離婚時の財産分与、家はどう分ける?2つの方法とメリットデメリットを解説

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離婚時の財産分与、家はどう分ける?2つの方法とメリットデメリットを解説

やむを得ない事情で離婚の選択を余儀なくされたとき、購入した家をどうすればいいのか悩む人もいるでしょう。婚姻中に夫婦で築いた財産は財産分与の対象になるため、家も何らかの形で分配できます。

しかし、家は現金と異なり、分割しにくい財産のひとつです。分割しにくい財産にも、いくつか財産分与する方法があります。そこでこの記事では、離婚時に家を財産分与する方法を解説します。

離婚後のトラブルを回避するためにも、夫婦できちんと協議して家を財産分与しましょう。

【監修】穂坂 潤平 宅地建物取引士。仲介営業13年(宅建は新卒の時に取得)、不動産仲介会社起業3年の経験を経てウェブクルーに入社。趣味は何でも遊びにすること。仕事では「喜ばれる仕事をして、自らも喜ぶこと」をモットーに日々ご提案しております!

離婚時における財産分与とは

最初に、離婚時における財産分与とは何かをわかりやすく解説します。財産分与とは、その名のとおり財産を当事者同士で分け合うことです。婚姻中に築いた財産は夫婦のものであるとされているため、共有財産は原則として折半します。

どちらか一方が自分のものだと主張しても、法的根拠に基づいてもう片方が財産分与を請求できます。民法第768条では、「離婚する際には相手方に対して財産分与を請求できる」とされているからです。

離婚時に次の共有財産がある場合、財産分与の対象になります。

  • 現金
  • 預貯金
  • 有価証券
  • 保険解約返戻金
  • 退職金…など

財産分与の対象になるタイミングは、原則として別居時です。別居後に夫婦のどちらか一方が取得した財産は、たとえ離婚前でも財産分与の対象外になります。

相続した家や結婚前に購入した家は財産分与の対象外

婚姻中に夫婦が共有していた財産でも、すべてが財産分与の対象になるわけではありません。財産分与の対象は、あくまでも婚姻中に築いた共有財産のみです。そのため、夫婦のどちらか一方が結婚前に有していた資産は、婚姻中に共有していても対象外になります。

例えば夫が結婚前に取得していた車や、妻が嫁入り道具として持参した家財などが挙げられます。また、夫婦のどちらか一方が親から相続した家も、原則として財産分与の対象外です。

正確に財産分与するためには、婚姻中の共有財産をピックアップし、結婚前の財産と分けておく必要があります。

家を財産分与する方法

ここからは、家を財産分与する方法を解説します。家は、現金のように物理的に2つに分けられません。離婚後のお金に関するトラブルは多いため、物理的に分けられない財産こそ、きちんと協議しておくことが大切です。

家を財産分与する方法は、次の2つです。

  • 家を売却し、現金化して分割する
  • どちらかが住み続け、住まないほうに現金を渡す

詳しく解説するので、自身のケースではどちらの方法が適切かを考えてみましょう。

財産分与の方法 メリット デメリット
家を売却し、現金化して分割する ・現金化すると分割しやすくなる
・トラブルも少ない
・住宅ローンの残債によってはオーバーローンになるケースもある
・離婚後も夫婦のどちらか一方が住む場合は難しい
どちらかが住み続け、住まないほうに現金を渡す ・子供の教育環境を変えずに済む
・現金を受け取ったほうは新生活の資金に充てられる
・離婚後に住宅ローンの返済が滞るリスクがある
・ペアローンは契約違反と見なされて一括返済を求められる可能性がある

家を売却して現金化して分割する

家そのものは財産分与が難しいですが、売却して現金化すると分割しやすくなります。きっちり分けられる現金化による財産分与の方法は、トラブルが少ない傾向にあります。

離婚後に新生活をスタートさせるためには、まとまったお金が必要です。家を売却して現金を受け取れば、新生活の資金にも充てられます。しかし、すべてのケースでスムーズに家を売却して現金化できるわけではありません。

現金化が難しいのは、オーバーローンになるケースです。オーバーローンとは、住宅ローンの残債が売却代金を上回る状態のことです。足りない部分を自己資金で補えば売却自体はできますが、手元にお金は残りません。

どちらかが住み続け、住まないほうに現金を渡す

家を財産分与する際には、どちらかが住み続け、住まないほうに現金を渡す方法もあります。夫婦の両方が家に住まない場合は、売却して現金化したほうがスムーズです。しかし、子供がいる場合、教育環境を考慮して住み続けたほうがいいケースもあります。

この方法で家を財産分与する際には、まず家の資産価値を調べる必要があります。家の資産価値を調べるおもな方法は、次のとおりです。

  • 固定資産税納税通知書
  • 不動産鑑定士に鑑定を依頼 など

固定資産税納税通知書は、毎年1月1日時点の不動産所有者に対して送付される書類です。通知書の「固定資産税評価額」の欄を見れば、家の価値が確認できます。財産分与する際には、不動産会社ではなく不動産鑑定士に鑑定を依頼しましょう。

鑑定士による鑑定は法的効力を持つため、不動産を扱う裁判で基礎資料として提出されるケースもあります。ただし、鑑定士に依頼するには鑑定費用が必要です。鑑定士事務所によって料金は異なりますが、相場として20~30万円程度がかかります。

また、住宅ローンの残債がある家にどちらか一方が住み続ける場合、返済を巡ってトラブルになるリスクがあります。想定されるパターンとリスク、リスクに対してとるべき対策は次のとおりです。

住宅ローンの残債がある場合のパターン トラブルになる可能性があるリスク 対策
債務者と住み続けるのが夫 離婚後に住宅ローンの返済が滞ると連帯保証人の妻に負担がかかる 離婚時に連帯保証人の変更手続きを行っておく
債務者が夫で住み続けるのが妻 離婚後に住宅ローンの返済が滞ると金融機関に家を差し押さえられる 離婚時に公正証書を作成しておく
ペアローン 契約違反と見なされ残債の一括返済を求められる 離婚時に住宅ローンを借換える

ペアローンの場合、返済期間中に夫婦のどちらかが家を出ると契約違反と見なされる可能性があります。返済期間中の名義変更は審査時点での条件と変わるため、原則として認められていません。

そのため、離婚までに住宅ローンを借換え、返済を続けるほうの単独名義に変更しておきましょう。返済が滞ると生活に支障を来すリスクもあるため、離婚後の返済に関してはきちんと協議しておくことが大切です。

なお、各パターンの対策については、「離婚で家を財産分与する際のポイント」で詳しく解説します。

家の財産分与の手順

夫婦で協議して家の財産分与の方法を決めても、状況によっては希望通りにならないこともあります。住宅ローンの残債によっては、オーバーローンで現金が手元に残らない可能性があるからです。

そのため、まずは住宅ローンの残債を確認しましょう。ここからは、家を財産分与する手順を解説します。

1. 家と住宅ローンの名義を確認する

住宅ローンの残債がある家でも返済が続けられる限り、どちらか一方が住み続ける方法で財産分与できます。家と住宅ローンの名義は、同じである必要はありません。

しかし、将来予期せぬトラブルに見舞われる可能性があるので注意が必要です。例えば次のようなケースです。

  • 家に住み続けるのは妻と子供
  • 住宅ローンは夫と妻が折半
  • 離婚を機に住宅ローンの名義を妻に変更
  • 家の名義は夫のまま

将来的に、家を子供に生前贈与すると仮定します。しかし、家と住宅ローンの名義が異なるとスムーズに贈与できません。このようなトラブルも想定されるため、離婚時に家を財産分与する際には、家と住宅ローンの名義を確認しましょう。例えば、住宅ローン名義変更の際に家の名義も合わせて妻に変更しておけば、後々のトラブルを未然に防げます。

また、離婚後に別居する夫の住宅ローン返済が滞った場合、妻が連帯保証になっていると返済を求められます。将来的に想定されるさまざまなトラブルに備えて、連帯保証人の名義も変更しておきましょう。

2. 家の査定をして時価評価額を出す

家を売却して現金化する場合は、不動産会社に家の査定を依頼します。夫婦のどちらか一方が家に住み続ける場合は、費用はかかりますが法的効力を持つ不動産鑑定士に依頼したほうがいいでしょう。

次に、不動産会社や不動産鑑定士から提示された時価評価額をもとに、住宅ローンの残債とのバランスを確認してください。オーバーローンになる場合は自己資金を充てて完済する方法もありますが、手元にお金が残るどころかマイナスになります。

家のさまざまな状況を考慮した上で、最終的な財産分与の方法を協議しましょう。なお、離婚時の財産分与で家を分割する方法は、こちらの記事でも詳しく紹介しています。

家を売却する方法もわかりやすく解説しているので、ぜひこちらもチェックしてみてください。

不動産の査定なら一括査定がおすすめ

査定額を調べる際には、複数の不動産会社に依頼することをおすすめします。不動産会社によって、算出する査定額に差があるからです。複数社の査定額を比較すればおおよその売却価格が把握できるだけでなく、より高く売却できる不動産会社探しに役立ちます。

査定を依頼する際には、一度の情報入力で複数社の査定額を受け取れる一括査定依頼サービスを利用してみましょう。サイトと提携している不動産会社の中から査定を依頼したい業者を自由に選べる仕組みです。

離婚時に家がより高く売れると手元に残る金額も増えるため、一括査定依頼サービスを利用して高値での売却を目指しましょう。

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3. 財産分与をする

家と住宅ローンの名義、時価評価額を確認した後は、いよいよ財産分与です。家を財産分与する方法は、「売却して現金化」または「どちらかが住み続け、住まないほうに現金を渡す」のいずれかです。

財産分与の方法は、夫婦あるいは子供にとってどちらの方法が適切かを十分に検討しましょう。家を売却する際には、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。しかし、家を売るまでの期間は、平均で3~6ヵ月程度かかります。

状況によっては、希望する時期までに売却できない場合もあるでしょう。空室で売り出す場合は、お互いの新生活にかかる費用を事前に準備しなければなりません。

離婚で家を財産分与する際のポイント

夫婦で十分に協議して財産分与の方法を決めても、希望通りにいくかどうかはわかりません。家を財産分与する際にはさまざまな事態を想定し、それに対応できるように備えておきましょう。

ここでは、離婚時に家を財産分与する際に押さえておきたいポイントを方法別に解説します。

【売却する場合】すぐに売りたいなら買取りも視野に入れる

家を売却する方法には、仲介と買取りの2種類があります。早期売却を希望する場合は、仲介ではなく買取りも選択肢のひとつです。買取りとは、不動産会社に直接家を買い取ってもらう方法です。

売却までの平均期間が3~6ヵ月程度かかる仲介に対し、買取りは早ければ1ヵ月程度です。買取りは売却活動が不要なので、仲介よりも早く売却できます。即時買取に対応している不動産会社なら、最短3日~1週間程度で売却が可能です。

ただし、買取りは市場価格の50~80%になるため、高値での売却は期待できません。仲介での早期売却を希望する場合は、買取保証を検討してみましょう。買取保証とは、仲介で一定期間売却できなかったときは買取りに切り替えられるサービスです。

売却価格よりもスピードを重視したいときは、不動産会社による買取りまたは買取保証がおすすめです。

【住み続ける場合】住宅ローンの支払いは誰がするのかを決めておく

夫婦のどちらか一方が住み続ける場合、離婚後に住宅ローンの返済を巡ってトラブルに発展する可能性があります。住宅ローンの残債がある家を財産分与する際には、誰が返済するかをきちんと決めておくことが大切です。

夫名義の家に妻と子供が住み、養育費代わりに夫が住宅ローンを返済する場合、返済が滞ると家が競売にかけられる可能性があります。競売のリスクを避けるためには、離婚時に公正証書を作成しておくといいでしょう。

妻に返済能力があるケースでは、家と住宅ローンの名義を妻に変更しておくとリスク対策につながります。家と住宅ローンの名義が同じ人が住み続ける場合、基本的に名義変更の必要はありません。

ただし、住宅ローンの連帯保証人が相手方になっている場合は、離婚時に変更手続きをしないと返済が滞ったときのリスクが生じます。また、ペアローンでは、離婚で別居すると契約違反になるリスクを考えなければなりません。

契約違反になると一括返済を求められる可能性があるため、離婚するまでに住宅ローンを借換えて単独名義に切り替えておきましょう。離婚時にマンションを売却する方法は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

気になる税金に関しても解説しているので、マンションの売却を検討している人はぜひチェックしてみてください。

離婚時の家の財産分与はよく話し合おう

離婚する際にきちんと協議したつもりでも、将来的にトラブルが発生するリスクもあります。特に家は物理的に分割できない財産なので、離婚までに夫婦で十分に協議することが重要です。

また、売却して現金化する場合は税金や手数料などの費用もかかるため、財産分与以外のお金の支払いについても取り決めておきましょう。共有財産の家を同意なく売却されそうになった場合、家庭裁判所に申し立てして阻止できる制度があります。

申し立てには法律の知識を要するため、財産分与に関するトラブルに見舞われた際には専門家に相談しましょう。収入状況によっては法テラスが利用できるため、無料相談を受けられます。

この記事のおさらい

離婚するとき、家の財産分与はどうなるの?
離婚で家を売却するときはどうしたらいい?
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STEP.1
都道府県 市区町村を選択
OK
STEP.2
物件種別を選択
OK

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