持ち家があっても生活保護は受けられる?条件と相談先を解説!

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持ち家があっても生活保護は受けられる?条件と相談先を解説!

生活保護は生活に困った折にたいへん助かる制度ですが、適用されるためにはいくつかの条件を満たさなければなりません。そのため、どのような条件を満たせば受給できるのかどうかわからない人もいることでしょう。

迷う条件として持ち家が挙げられます。持ち家がある場合、生活保護を受けられるのだろうかと心配している人もいるかもしれません。さまざまな理由で働くことができなくなったり極端に収入が減ってしまったりする状況は、どのような人にも起こり得るため、決して他人事ではありません。

この記事では、持ち家があっても生活保護を受けられるのかどうか、また受けられるのであれば、どのような条件を満たす必要があるのかを説明します。持ち家があって生活保護の受給を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

【監修】穂坂 潤平 宅地建物取引士。仲介営業13年(宅建は新卒の時に取得)、不動産仲介会社起業3年の経験を経てウェブクルーに入社。趣味は何でも遊びにすること。仕事では「喜ばれる仕事をして、自らも喜ぶこと」をモットーに日々ご提案しております!

生活保護とは

最初に、生活保護とはどのようなものかを確認しましょう。

厚生労働省のウェブサイトによると、生活保護は次のように説明されています。

資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する人に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度です。(支給される保護費は、地域や世帯の状況によって異なります。)

引用:厚生労働省「生活保護制度」

また、生活保護を受給する要件は、次に挙げる4つを最大限に活用したり利用したりしても、なお最低限の生活を送るのが難しい状況の場合とされています。

  • 資産の活用
  • 能力の活用
  • あらゆるものの活用
  • 扶養義務者の扶養

資産の活用」とは、預金や貯金など、そして生活するために利用していない土地や家といった不動産などを現金化して生活費に充てることです。

能力の活用」とは、働ける人は、まず能力に応じた労働をして賃金を得ることを意味します。

あらゆるものの活用」とは、年金やさまざまな公的な手当など、ほかの給付を受けられる場合は、まずそれらを受けて生活費に充てることです。

扶養義務者の扶養」とは、家族や親族などの扶養に入ったり援助を受けたりできる場合は、まず援助を受けることを意味します。

これらすべてを活用したり利用したりしても、厚生労働省が算出する最低生活費に世帯の収入が満たない場合、生活保護が初めて適用されることになります。

持ち家があっても生活保護は受けられる?

生活保護を受けるためには、先に述べた通り、まず所有している資産を活用しなければなりません。この資産には預貯金だけでなく、土地や家といった売却できる不動産も含まれるため、持ち家があると生活保護を受けられるのだろうかと思う人もいることでしょう。

結論から述べると、原則として家や土地といった不動産を所有している場合は売却して生活費に充てなければなりません。しかし、持ち家があっても生活保護を受けられる場合もあります。

ここでは、それぞれを詳しく説明します。

原則として不動産は売却しなければいけない

持ち家をはじめとした家や土地などの不動産は資産となるため、原則として所有している場合は生活保護を受けることができません。

特に、セカンドハウスや別荘といった居住用として使っていない持ち家の場合は、売却して現金化して生活費に充てやすいため、生活保護の受給を検討する際は売却が必要です。

持ち家などを売却して得られた利益があっても最低限の生活を送ることが困難であるとされるような経済状況の場合は、次のような生活保護内容のうち、必要となる分が支給されます。

  • 日常生活に必要な費用(生活扶助として、食費・被服費・光熱費など)
  • 住居にかかる費用(住宅扶助として、賃貸住宅の家賃など)
  • 義務教育を受けるために必要な学用品などの費用(教育扶助として)
  • 医療サービスの費用(医療扶助として、費用や直接医療機関に支払われる)
  • 介護サービスの費用(介護扶助として、費用は直接介護事業者へ支払われる)
  • 出産費用(出産扶助として)
  • 就労に必要な技能の修得などにかかる費用(生業扶助として)
  • 葬祭費用(葬祭扶助として)

持ち家があっても生活保護を受けられる場合はある

家を売却してしまうと住む場所がなくなってしまうようなケースであれば、持ち家を売却せずに所有したまま生活保護を受けられる場合があります。

このようなケースが認められる場合の考え方としては、持ち家が資産ではなく、生活のために最低限必要な所有物であると見なされるためです。このような場合は、家だけでなく、その家の敷地である土地についても同様となります。

居住用として持ち家を所有したまま生活程を受給する場合は、先に挙げた生活に必要な費用として支給されるものうち、家賃などの住居にかかる費用の支給分を除いた分が支給対象です。

受給中は持ち家の固定資産税が減免される可能性がある

居住用のためであっても、持ち家を所有していれば固定資産税が課せられます。持ち家を所有したまま生活保護を受ける場合、住居にかかる費用分は支給されないため、固定資産税の支払いをどうしようかと悩む人もいるかもしれません。

持ち家を所有したまま生活保護を受給しているような場合は、一定の要件を満たせば持ち家の固定資産税を減免できる可能性があるため、居住している自治体の役所に問い合わせてみるといいでしょう。

固定資産税の減免を受けるための要件や申請方法は、それぞれの自治体によって異なります。まずは、役所の担当窓口に相談してみるのがおすすめです。

持ち家があっても生活保護が受けられるケース

持ち家を所有したまま生活保護が受けられるケースがあることがわかったところで、次に、具体的にどのようなケースであれば持ち家を売却せずに生活保護が受けられるのかを見てみましょう。

持ち家があっても生活保護が受給できるのは、次のような要件を満たしている場合です。

  • 持ち家に居住している場合
  • 持ち家が生活維持のために必要な場合
  • 持ち家のローンが300万円以下の場合

それぞれについて、詳しく説明をします。

持ち家に居住している場合

居住しているのが持ち家で、かつ生活費のために売却してしまうと、住む場所がなくなり困った状況に陥ってしまうような場合は、持ち家を所有していても生活保護を受けることができます。

持ち家という不動産を所有していることは、生活保護を受給するための要件である資産の活用を満たしていない状況です。しかし、持ち家を売却することによって、最低限度の生活から遠ざかってしまうと見なされるため、例外として認められるケースがあります。

持ち家が生活維持のために必要な場合

店舗や工場などが併設されている持ち家の場合、生活費を工面するために売却をしてしまうと、今後、生活費を稼いで自立するために必要となる手段がなくなってしまいます。そのような状況になることは、生活保護を支給する目的と相反するものです。

よって、生活費を得るための手段として必要な店舗や工場が併設されている持ち家の場合、売却をしなくても生活保護が受けられる可能性があります。

持ち家のローンが300万円以下の場合

住宅ローンを組んで購入した持ち家の場合、ローンの残高が300万円以下で、かつ残りの返済期間が5年以内の場合であれば、持ち家を所有していても生活保護を受けることができる場合があります。

しかし、住宅ローンの残高や返済期間が多く残っている場合は、ほとんどの場合、生活保護を受けられません。これは、住宅ローンが多く残っている場合、生活保護で受け取ったお金を住宅ローン返済に充てることになり、「不動産」という資金形成につながると見なされるためです。

持ち家の売却指導をされるケース

持ち家があっても生活保護を受けられる場合とは反対に、生活保護の申請をした際に、持ち家の売却を指導されるケースもあります。

持ち家の売却指導を受けるのは、おもに次のような場合です。

  • 持ち家の資産価値が高い場合
  • 持ち家に多額のローンが残っている場合

それぞれの場合について、ひとつずつ詳しく見てみましょう

持ち家の資産価値が高い場合

居住用として使っている持ち家であれば、売却しなくても生活保護を受けることが可能です。しかし、利用価値よりも資産価値の高い持ち家の場合、つまり、生活に必要と考えられる以上に資産価値の高い持ち家は、売却指導をされることがあります。

なぜなら、資産価値の高い家を売却し、生活に最低限必要となる資産価値の低い家に住み替えれば、差額分を生活費に充てることができると見なされるからです。そのため、生活保護の受給を申請するのであれば、資産価値の高い家の売却指導を受けることになります。

また、持ち家で生活している家族の人数に対して、大きすぎる家や広すぎる家を所有している場合も、生活保護を受けられない可能性があるため注意が必要です。

厚生労働省による資産価値が高すぎるかどうかの判断基準は、標準的な世帯人数が3人の場合に受給される生活扶助基準額に住宅扶助特別基準額を加算した額の10年間分程度として、約2,000万円程度がひとつの目安になります。

持ち家に多額のローンが残っている場合

先に述べた通り、住宅ローンの残額が300万円を超えていて、かつ支払いが期間が長く残っている場合は、基本的に生活保護は受けられません。そのような持ち家を所有している場合は、生活保護の受給を希望するのであれば、売却を指導されます。

もしも家を売却した代金で住宅ローンが完済できないような場合は、任意売却の検討が必要です。住宅ローンを組んでいる金融機関に相談をして、ローンが残っている状態で抵当権を外してもらって売却をし、残りの額は通常の債務として返済していくことになります。

住宅ローンの残額や返済期間の残りがどの程度までなら生活保護を申請できるのかといった細かい規定は、それぞれの自治体によって異なる場合があるため、役所の窓口などで確認しましょう。

生活保護受給中に不動産を相続することになったら

生活保護を受給しているときや受給を検討しているときに、親などが死亡して相続が発生し、持ち家を所有することになる場合もあり得ます。

ここでは、そのような生活保護の受給中に不動産を相続することになった場合、どのようにすればいいかを詳しく見てみましょう。

福祉事務所への報告が必要

生活保護を受給しているときに不動産を相続して持ち家などを所有することになった場合は、生活保護法61条に従って、福祉事務所に不動産を相続した旨の届け出をしなければなりません。

相続が発生して不動産を所有することになったにもかかわらず、届けでないまま生活保護を受け続けると不正受給と見なされ、それまでに受け取った生活保護の全額返還を要求される場合もあります。

生活保護の受給中に不動産を相続した場合は、きちんと福祉事務所に届け出をして、どのようにすればいいかを相談するようにしましょう。

資産価値が高いと生活保護の受給ができなくなる

生活保護の受給中に相続した家や土地といった不動産の資産価値が高い場合は、その不動産を売却すれば多額の現金を得ることができ、生活費に困ることがなくなるため、受けていた生活保護が停止または廃止されます。

停止は、しばらくの間は生活保護を受けなくても生活できる資力があると見なされる場合に適用される方法です。もし資力が底をついた場合は、再び生活保護の支給が行われる状態を意味します。

廃止は、生活保護が今後も必要がないと見なされる資力を得られた場合に適用される方法です。もし、再び生活保護が必要になった場合は、生活保護の申請から手続きが必要になります。

生活保護受給を受けるための相続放棄はできない

不動産を相続したことにより、生活保護の支給が停止、または廃止になるのを回避するために、相続放棄を選択することはできません。

相続放棄とは、相続権、つまり相続される人の財産を相続する権利すべてを放棄することです。相続放棄をすれば、不動産や預貯金といったプラスになる相続だけでなく、債務などのマイナスの相続もしなくて済みます。

相続によって不動産などの価値の高い資産を受け取ることができ、その結果として生活保護を脱却できるような場合は、相続を放棄することはできないということを踏まえておきましょう。

生活保護についての相談先

生活費に困るような状況に陥った場合、どうすればいいのか、どこに相談すればいいのかわからない場合もあるでしょう。また、今住んでいる持ち家を所有したまま生活保護が受けられるのかどうか、判断できなくて困るケースもあるかもしれません。

ここでは、生活保護を申請したい場合、どこに相談すればいいかを紹介します。生活費に困っている場合や生活保護の申請を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。

福祉事務所の相談窓口

生活保護の相談先として挙げられるのは、福祉事務所の相談窓口です。生活保護を申請したい場合や受給できるかどうかを相談したい場合は、居住している地域を管轄している福祉事務所の相談窓口を訪れて相談するといいでしょう。

けがや病気といった諸事情により、福祉事務所に出向いて相談できない場合は、窓口に連絡をして事情を説明すれば、担当者が自宅まで訪問してくれます。生活に困った場合は、まず福祉事務所に連絡をしてみましょう。

生活保護困窮者自立支援の相談窓口

生活困窮者自立支援制度とは、生活保護を申請したり受給したりする前の段階で支援をする制度のことです。福祉事務所がある市区町村の場合、こちらの自立支援の相談窓口も併設されています。

生活保護自体の相談窓口ではありませんが、生活保護の受給を検討している場合に相談が可能です。また、自立支援窓口で相談をした結果、相談者が生活保護の受給条件に当てはまると判断されれば、そのまま福祉事務所へ繋いでくれる場合もあります。

生活保護を受けたほうがいいのかどうか、生活保護を受ける前に何か打つ手があるのかどうか悩んでいる場合は、自立支援の相談窓口を訪れてみるのもひとつの手です。

各地域の民生委員に相談

民生委員とは、民生委員法に基づき、厚生労働大臣から任命された非常勤の地方公務員です。

各地域で任命された民生委員がおり、地域住民の身近な相談相手となって生活の支援を必要とする住民と行政や専門機関を繋ぐパイプ役をしてくれます。民生委員はボランティアとして活動しているため、給与は発生していません。

近隣地域に住んでいる人が民生委員を担っているため、個人的な相談内容が周囲に知れ渡るのではないかと心配する人もいますが、民生委員法第15条で守秘義務があるため、安心して相談できます。生活保護に限らず生活支援が必要な場合は、地域の民生委員に相談をしてみましょう。

持ち家があっても生活保護を受けられるか確認しよう

さまざまな事情により、生活費の工面に陥ることは誰にでも起き得ることです。そのような場合に、最低限の生活を送ることができるような支えとなってくれるのが、生活保護制度になります。

生活保護制度を受けるためには、いくつかの要件を満たさなければなりません。その一つが資力の活用で、生活費に充てられるような資産がある場合は、まずそれを活用する必要があります。そのため、持ち家などの不動産を所有している場合は、原則として売却をし、生活費に充てなければなりません。

しかし、持ち家を売却することで住む場所に困ったり、生活費を稼ぐための術がなくなったりする場合は、所有したまま生活保護を受けられる可能性があります。生活保護の相談や持ち家を所有したまま受給できるかどうかについては、まず居住している地域を管轄している福祉相談事務所や地域の民生委員に相談してみるといいでしょう。

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