再建築不可物件を売却する方法とは|売れない理由や放置するリスクも紹介

公開日:
再建築不可物件を売却する方法とは|売れない理由や放置するリスクも紹介

再建築不可物件の売却を検討している人の中には、どのような点が通常の不動産売却と異なるのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。

一般的に、再建築不可物件の売却は難しいといわれているため、売却する際には再建築不可物件への理解を深めた上で臨むことが大切です。本記事では、再建築不可物件とは何か、売却が難しい理由、うまく売却する方法などについて紹介します。

監修者画像

【監修】穂坂 潤平 宅地建物取引士。仲介営業13年(宅建は新卒の時に取得)、不動産仲介会社起業3年の経験を経てウェブクルーに入社。趣味は何でも遊びにすること。仕事では「喜ばれる仕事をして、自らも喜ぶこと」をモットーに日々ご提案しております!

再建築不可物件とは

再建築不可物件とは

土地に建物を建てる際には、「建築基準法」というルールに基づかなければなりません。また、建築基準法以外にも、消防法、バリアフリー法、都市計画法といった各種法律・法令などを遵守する必要があります。

「再建築不可物件」とは、建物を一度解体すると再度建物を新築できない土地のことです。再建築不可物件の扱いは難しいため、売却する際には売却方法を慎重に判断することが大切です。以下、どのような物件が再建築物件に該当するのか、なぜ再建築不可物件が存在するのかについて、詳しく見ていきましょう。

再建築不可物件の例

再建築不可物件の例としては、以下の3つが挙げられます。

  • 建物の敷地が建築基準法上の道路と全く接していない
  • 建物の敷地が建築基準法上の道路と接しているものの、幅が2m未満である
  • 建物の敷地が幅員4m未満の道路や私道のみと接している

都市計画区域や準都市計画区域で建築する場合、「幅員4m以上である建築基準法上の道路に建物の敷地が2m以上接していなくてはならない」という建築基準法の接道義務を満たさなければなりません。上記のように、そもそも道路と全く接していない、接していても接地面が2m未満、道路の幅員が4m未満といった場合は、接道義務を満たしていないため、「再建築不可物件」として扱われます。

再建築不可物件が存在する理由

建物を建築する際は、各種法律・法令などを遵守しなければならないにもかかわらず、なぜ再建築不可物件が存在するのか疑問を抱いている人も多いでしょう。

建築基準法が制定されたのは1950年、都市計画法が制定されたのは1968年であり、時代の変化に合わせて適宜見直しが行われています。制定前や改正前に建築が完了している物件は、建築当初に問題がなかったとしても、現行制度に適合していません。

現行制度に適合していない物件は、「今すぐ適合させる必要はなく、再建築時に適合させれば良い」とされています。そのような物件が「再建築不可物件」として、現在も一定数残ったままになっています。

再建築不可物件の売却が難しい理由

再建築不可物件の売却が難しい理由

再建築不可物件は、一般的な物件とは違い、「売却が難しい」といわれています。少しでも速やかに再建築不可物件を売却するためには、「なぜ売却が難しいのか」という理由を事前に把握し、対策を練った上で売却に臨むことが大切です。再建築不可物件が一般的な物件と比べて売却が難しい理由としては、以下の2つが挙げられます。それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。

  • 建て替えができない
  • ローンが組めない可能性が高い

建て替えができない

再建築不可物件は、建築基準法の接道義務を満たしていないため、建物を解体して再建築したり、増築や改築などを行ったりすることができません。再建築できないのは、自ら建物を解体した場合だけでなく、火災や地震などの災害で建物が全壊した場合も同様です。

リフォームは基本的に行えることから「ある程度の需要が期待できる」と考えている人もいるかもしれませんが、買主にとっては、取得後のリスクが高い物件であるため、想定よりも需要が低いことを理解しておきましょう。

ローンが組めない可能性が高い

マイホームの購入時には、自己資金だけでは不足するため、住宅ローンを利用する人がほとんどです。住宅ローンの契約時には、万が一返済が滞った場合に備えて、銀行が不動産を売却して現金化できるように抵当権を設定します。

しかし、再建築不可物件のように資産価値(担保価値)の低い物件は、抵当権を設定したとしても融資を回収できる可能性が低いため、融資を断られるのが一般的です。基本的に再建築不可物件は、現金での一括購入になるため、購入希望者が限られる点に注意が必要です。

再建築不可物件の売却額の相場

再建築不可物件の売却額の相場

再建築不可物件は、一般的な不動産と比べて流動性・需要が低いです。そのため、基本的には売出価格を相場より下げて買主を募集することになります。再建築不可物件の相場は、一般的な不動産の相場と比べて50~70%程度といわれています。しかし、立地の良い場合やリフォームが完了している場合は、上記よりも好条件で売れる可能性もあるため、一概に言い切れないところもあります。売却予定の再建築不可物件の適正価格を知りたい人は、不動産会社に査定を依頼し、詳しく調べてもらいましょう。

再建築不可物件の売却を可能にする方法

再建築不可物件の売却を可能にする方法

再建築不可物件は、通常の物件よりも売却が難しいです。判断を誤ると、適正価格よりも安く売り出して損をしたり、なかなか買主が見つからなかったりといった事態に陥る可能性もあるため、どのような売却方法があるのか、把握しておくことが重要です。再建築不可物件の売却方法としては、以下の2つが挙げられます。それぞれについて、詳しく解説します。

  • 再建築不可のまま売却する
  • 再建築可能にして売却する

再建築不可のまま売却する

再建築不可物件は、「そのままでは売却できない」と思っている人もいるかもしれません。しかし、「不動産を安く取得したい」「リフォーム・リノベーションをして住みたい」「貸し出したい」と考えている人も一定数いるため、再建築不可のまま売り出すことは可能です。再建築不可のまま売却する方法としては、以下の4つが挙げられます。

  • 再建築しないことを前提でそのまま売る
  • 隣接地所有者に売る
  • 不動産会社などに買い取りしてもらう
  • フルリフォームをして売る

再建築しないことを前提でそのまま売る

再建築不可物件は、流動性や需要が全くないというわけではありません。「不動産を安く取得したい」「賃貸用として取得したい」「建物を自分で解体して資材置き場として使用したい」「駐車場として使用したい」という人も一定数います。

再建築しないことを前提にそのまま売りに出しても、上記のような人たちとマッチングする可能性も考えられるため、まずはそのまま売り出し、状況によって他の方法に切り替えるのも選択肢の一つです。

隣接地所有者に売る

隣接地所有者の中には、「庭を広くしたい」「車を停めるためのスペースを確保したい」などといった理由で隣接地の取得を希望している人もいます。「いくら隣接地所有者でも、再建築不可物件を欲しがることはないのでは?」と考えている人もいるかもしれません。

しかし、隣接地が接道義務を満たしていれば、隣接地とつながることで再建築不可物件でなくなります。隣接地所有者は、不動産会社を介して広く買主を募集するよりも、好条件で買い取ってくれる可能性があるため、相談してみると良いでしょう。

不動産会社などに買い取りをしてもらう

不動産会社の中には、再建築不可物件の買い取りを専門としている業者もいます。そのような業者に買い取りを依頼し、双方の条件が合致すれば、速やかに成約に結びつくため、売却までの時間を短縮することが可能です。

しかし、買取業者は安く買い取り、高く転売することで利益を得ているため、相場よりも買取価格が安くなるのが一般的です。少しでも速やかに現金化したいのであれば買い取りを、少しでも手元に残るお金を多くしたいのであれば他の方法を選択しましょう。

フルリフォームして売る

再建築不可物件は、築年数の経過によって劣化が進行しており、それが原因で買主が購入を躊躇しているケースも多いです。そこで、少しでも高く売る方法として考えられるのは、「フルリフォームして売る」という方法です。

再建築不可物件は、建て直しや増築・改築ができないものの、リフォームすることは可能です。フルリフォームすれば、築年数の経過による劣化の印象が和らぐため、買主が見つかりやすくなります。しかし、フルリフォームした分の金額を価格に上乗せできるとは限りません。フルリフォームする際には、不動産会社に相談してから実行しましょう。

再建築可能にして売却する

再建築不可物件は、「再建築可能にして売却する」という選択肢もあります。再建築可能になれば、通常の不動産と同様、売却できます。

そうすれば、再建築不可物件とは異なり、不動産の流動性・需要が高くなるため、相場に近い価格での売却が期待できるでしょう。再建築不可物件を再建築可能にする方法としては、以下の2つが挙げられます。

  • 隣接地を購入して一緒に売る
  • セットバックで再建築可能にして売る

隣接地を購入して一緒に売る

隣接地が接道義務を満たしている場合、隣接地を買い取って一緒に売れば、再建築不可物件としてではなく、再建築可能な不動産として一般的に売却することが可能です。ただし、この方法は、隣接地の所有者が売却を希望している場合に限ります。

また、最終的にまとまったお金が手に入るとはいえ、隣接地を買い取るためのお金が必要です。十分な資金がない場合は、隣接地を購入して売る方法を選択できない点に注意しましょう。

セットバックで再建築可能にして売る

再建築不可能な物件を再建築可能にする方法の一つとして、「セットバック」という方法があります。「セットバック」とは、土地と接している道路が建築基準法に定めている一定の道路の場合、道路の中心線から水平距離2メートルまで建物を後退させることで再建築可能になるというものです。

セットバックすれば、再建築可能となり、再建築不可物件のままで売却するよりも、流動性・需要が高くなると期待できます。ただ、セットバックした分だけ敷地が小さくなり、価格に影響を与えることになるため、不動産会社に相談してから決めましょう。

再建築不可物件をそのまま放置するリスク

再建築不可物件をそのまま放置するリスク

再建築不可物件は、築年数の経過によって劣化が進行している物件が多いため、放置することをおすすめしません。その理由としては、以下の3つが挙げられます。

  • 倒壊の危険性がある
  • 近隣住民に迷惑がかかる可能性がある
  • 特定空き家に指定される可能性がある

建物の劣化が進行すると、台風や地震などが発生した場合に建物が倒壊する危険性があり、倒壊した場合は近隣住民に迷惑がかかる可能性があります。また、特定空き家に指定された場合、住宅用地の特例を受けられなくなり、固定資産税の負担が大きくなるため、注意が必要です。

まとめ

再建築不可物件は、建物を解体すると再建築できないというだけではなく、増築・改築ができません。地震や火災などで全壊しても再建築できないため、買主にとってはリスクの高い物件であるといえます。

一般的な不動産と比べると、需要が低く、売却が難航しやすい点に注意しましょう。とはいえ、物件を安く手に入れたい人、賃貸用として取得したいと考えている人も一定数いるため、全く需要がないというわけではありません。好条件で売却するためには、再建築不可物件の特徴や売却方法などを押さえた上で売却に臨みましょう。

この記事についてのおさらい

再建築不可物件とはなんですか?
再建築不可物件の売却額の相場は?
58秒で入力完了売りたい物件を無料査定!
STEP.1 OK
STEP.2 OK

人気記事ランキング

  1. 不動産売買の委任状の書き方|記載項目・必要書類・注意点
    不動産売買の委任状の書き方|記載項目・必要書類・注意点

    不動産を売買する際に、入院している場合や遠方で移動が難しい場合など、当事者が直接立ち会えないケースもあります。このような場合、委任状と呼ばれる書類を作成し、代理人を立てた上での取引きが可能です。この記事では、不動産売買による委任状の基礎知識をわかりやすく解説します。どのようなときに委任状で取引きできるか、どのようなときに委任では取引きできないのかに加え、委任状の記載項目や注意点も併せて説明しますので参考にしてください。

  2. 土地と建物の名義が違う場合|売却方法や名義変更手続き方法を紹介
    土地と建物の名義が違う場合|売却方法や名義変更手続き方法を紹介

    土地とその土地に建っている家や建物の名義人は、一般的には同じことがほとんどです。しかし、さまざまな事情により、土地の名義人と家や建物の名義人が異なっている場合もあります。土地と建物、それぞれの名義人が違うことで、不具合が生じることは通常はあまりありません。しかし、その土地や建物を売却する際や、税金が課せられる際に問題が生じる場合があります。この記事では、土地と建物の名義が違う不動産を売却したい場合、どのような方法があるのか、手続きはどうすればいいのかなどの解説しています。名義が異なる土地や建物を所有している人は、ぜひ参考にしてください。

  3. マンションにおける減価償却費の計算方法<シミュレーションを基に解説>
    マンションにおける減価償却費の計算方法は?シミュレーションを基に詳しく解説

    確定申告を行う際には減価償却費の計算が必要です。不動産で得られた所得には税金が課せられますが、所得から経費を差し引くことができれば課税される額が抑えられるので税金が安くなります。減価償却費は、その経費として計上することが可能です。この記事では減価償却の意味をはじめ、メリットとデメリット、計算方法まで詳しく解説します。

  4. 不動産売買の契約後に解約したくなったら?解除パターンと注意点
    不動産売買の契約後に解約したくなったら?解除パターンと注意点

    戸建てやマンションなどの不動産の売買契約を結んだ後は、物件が引き渡されるまでに1ヵ月程度の期間があるケースがほとんどです。その期間中に、売主または買主が何らかの理由で売買契約を取りやめたいと考えることがあります。売買契約を結んだ後も解除を申し出ることは可能ですが、違約金の支払いや手付金の放棄などのデメリットもあるのが現状です。また、売主または買主とトラブルになる可能性もあるため、売買契約の後に解除する場合は慎重に検討しましょう。この記事では、不動産の売買契約後に解約できるかどうかをわかりやすく解説します。「解約」と「解除」の違いも併せて解説するので、不動産を売買する予定がある人はぜひこのまま読み進めてください。

  5. 専任媒介契約の期間は3ヵ月!更新や途中解約の方法を解説
    専任媒介契約の期間は3ヵ月!更新や途中解約の方法を解説

    不動産を仲介で売却する際には、売り手と不動産会社の間で「媒介契約」と呼ばれる契約を結びます。媒介契約は、不動産の売却活動を売り手に代わって宅地建物取引業者である不動産会社が引き受けるという契約です。媒介契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があり、それぞれ内容が異なります。専任媒介契約の内容は、一般媒介契約と専属専任媒介契約の言わば中間的な存在です。この記事では、専任媒介契約の期間やルールをわかりやすく解説しています。満期を迎えた場合の手続きや途中解約も併せて解説しているので、専任媒介契約の理解を深めて適切な期間で契約しましょう。

58秒で入力完了!!最大6社の査定額を比較

お問い合わせ窓口

0120-829-221 年中無休 10:00~18:00(年末年始・特定日を除く)

複数の不動産会社で査定額を比較

あなたの不動産の最高額がわかる!