大学進学に向けた通信制高校選びのポイントとは?受験に向けた勉強法も紹介

通信制高校に通いながら大学進学することは可能です。しかし、「通信制高校に入学すると大学進学が難しくなるのでは?」と考える方も少なくありません。 そこで本記事では、大学進学を視野に入れた通信制高校選びのポイントを紹介します。また、受験に向けた勉強法もみていきましょう。

通信制高校からの大学進学は不利?

平日は毎日通学する全日制と必要最低限しか通学しない通信制とでは、学生生活の内容は大きく異なります。

しかし、学校教育法が定める高校の課程を満たしていることから、通信制と全日制の卒業資格に差異はありません。そもそも、入試の合否は大学入試の点数と高校在学中の成績・態度などで判断されます。

そのため、通信制高校だからといって大学進学が不利になることはなく、全日制との優劣はありません。

通信制高校からの大学進学率が低い2つの理由

通信制高校からの大学進学率が低い理由は「進学希望者が少ない」「大学進学に向けたコースやカリキュラムが少ない」の2つです。なぜ大学への進学率が低いのか気になる方も多いでしょう。ここでは、通信制高校からの大学進学率が低い理由について詳しく紹介します。

1.進学希望者が少ない

大学進学率が低いのは、通信制高校からの進学希望者が少ないことが原因の1つです。通信制高校は、経済的な事情や人間関係、ほかに打ち込みたいことがある人でも、高校の卒業資格を得られるように学習しやすい仕組みとなっています。

そのため、高校の卒業資格を目的としている場合が多く、大学へ進学せずに仕事を始める人がたくさんいることも進学率に影響しています。

2.大学進学に向けたコースやカリキュラムが少ない

通信制高校全体でみれば、大学進学向けのコースやカリキュラムが少ないのも進学率が低い理由の1つです。前述のとおり、通信制高校の多くは高校の卒業資格を得ることを目的としており、全日制高校のように大学進学向けのコースやカリキュラムとなっている通信制学校は少ないのが現状です。大学進学率が低いのは、こういった通信制高校の仕組みも影響しています。

大学進学を視野に入れた通信制高校選びの5つのポイント

前述のとおり、通信制高校は大学進学に対応していないことも多いです。よって、大学進学を希望する人は、予め大学進学についても考慮したうえで学校を選ばなければなりません。大学進学を視野に入れて通信制高校を選ぶ際のポイントに次の5つが挙げられます。

  • 志望する大学への合格実績
  • 体調やメンタルに対するサポートの有無
  • 受験をサポートする体制の有無
  • 学習にかかる合計予算
  • 指定校推薦枠の有無

それぞれのポイントに関する詳しい内容を解説します。

1.志望する大学への合格実績

大学進学を目標とする場合、志望する大学への合格実績を確認しておくことが大切です。前述のとおり、通信制高校は高校の卒業資格を取得することを目的としています。

そのため、大学進学を目標とする場合は志望する大学への合格実績があるかを確認し、志望校に合格できる学力をつけられる通信制高校であるかを判断しなければなりません。可能であれば、入学前に見学や体験授業に参加してレベルを把握しておくこともおすすめします。

2.体調やメンタルに対するサポートの有無

生徒の体調やメンタルに関するサポートが充実しているかどうかも確認しておかなければなりません。通信制高校を希望する生徒の中には、病気や精神的な部分が原因で、ほかの生徒と同じように登校できないというケースも多くあります。

大学進学を万全なものにするには、登校が困難になったときの学校側のサポートが必要です。体調やメンタルに対するサポートの有無が大学進学へ大きく影響するため、忘れずに確認しておきましょう。

3.受験をサポートする体制の有無

大学受験カリキュラムなどの受験サポート体制の有無についても確認しておきましょう。高校の卒業資格が目的のカリキュラムだけの場合、大学受験で合格できるだけの学力を身につけることが難しい場合があります。

また、レベルの高い大学を目指す場合、なおさら考慮しなければなりません。合格実績だけでなく、大学受験専門のカリキュラム進路指導など受験のサポート体制が充実しているかを把握することが大切です。

中には自分に適したカリキュラムを組める通信制高校もあり、そのような特徴を持つ学校を選ぶことで大学合格の確率はグッと高まるでしょう。

4.学習にかかる合計予算

学習にかかる予算も事前に見積もっておきましょう。通信制高校の学費は30万円程度だといわれており、就学支援金の対象にもなっています。

しかし、近場の通信制高校に大学受験に特化した学校がない場合は、通信制高校の授業だけでは大学受験に必要な学力をつけられないと感じ、塾や予備校に通う生徒も多いようです。ただし、塾や予備校に通うと通信制高校の学費だけでなく、塾や予備校の月額料金がかかります。

そのため、入学前に通信制高校だけで大学進学を目指せるのか、塾や予備校に通う必要はないのかを考えた上で、学習にかかる合計予算を算出しておかなければなりません。

5.指定校推薦枠の有無

指定校推薦枠の有無についても、確認することをおすすめします。指定校推薦枠とは、大学が指定校として認めた高校の生徒のみが出願できる制度です。

大学側は入学枠を高校に与えることで、優秀な生徒を推薦してもらう狙いがあります。ただし、指定校推薦枠に入れるのは1~3人程度で出願条件もかなり厳しめです。

その分、指定校推薦枠での合格率は100%に近いといわれています。大学進学の選択肢も広げられる指定校推薦枠の有無は、事前に確認しておくと良いでしょう。

通信制高校から大学受験を目指す際に意識すべき4つのこと

通信制高校から大学受験を目指す際に意識すべき点に次の4つが挙げられます。

  • 大学合格をゴールに設定する
  • 当事者意識を強く持つ
  • 時間があることを活用する
  • 総合型選抜に向いていることを理解する

通信制高校から大学進学を目指す場合は、大学合格をゴールとして設定したり、試験概要について理解したりするなど、進学への意識をしっかりと持たなければなりません。ここでは、意識すべき点について詳しく紹介します。

1.大学合格をゴールに設定する

通信制高校から大学受験を目指す際は、大学合格をゴールに設定することをおすすめします。前述のとおり、通信制高校は高校卒業がゴールとして設定されているケースが多いです。

しかし、大学に進学するには大学受験から逆算し、そこに到達できるような方法で勉強をする必要があります。そのためにも高校卒業は通過点とし、大学合格を自身のゴールとして設定することが重要です。

2.当事者意識を強く持つ

当事者意識を持つことも大学受験を目指す際には必要なことです。当事者意識とは、問題や課題に対して「みずからが解決する」という意識を意味します。

大学進学をするのは受験する自分自身であり、親や兄弟、親戚、友達ではありません。通信制高校に通うのも大学受験・進学するのも自分であることから、当事者意識を強く持つことが大切です。

親に言われてから動くのでなく、みずから通信制高校を探したり、率先して勉強したりといった前向きな姿勢を意識しなければなりません。

3.時間があることを活用する

全日制高校に比べ、通信制高校に通う生徒のほうが、時間的な優位性は高いと言えます。全日制高校の生徒は、平日毎日学校へ通学して決まった授業を受けるだけでなく、体育祭や文化祭、部活動などに大きな時間を割きます。よって、本格的な大学受験の勉強になかなか手をつけられないケースも多いのです。

一方、通信制高校の生徒の通学日数は少ない場合が多く、勉強に充てられる時間が多く取れます。その時間を大学合格に向けた勉強に費やすことで、時間を有効的に活用できるでしょう。

4.総合型選抜に向いていることを理解する

通信制高校からの大学進学には、総合型選抜に向いているといえます。総合選抜とは、2021年4月に始まった大学入試のことで、以前はAO入試と呼ばれていました。

また、名称だけなく中身も大きく変化しています。総合選抜はAO入試とは異なり、国公私立は問わないほか、小論文やプレゼン、面接などの基準で評価されます。

つまり、志望動機や自己PRといった書類だけでの合否を判断されなくなったということです。この変更は、総合型選抜を目指す上で、通信制高校のほうが有利に働きます。

なぜなら、時間に融通が利く点を活かして、面接などでアピールできる活動実績を積みやすいからです。自分が大学進学によって目指したいことを早めに見つけて、できるだけ多くの活動実績を作っておきましょう。

通信制高校から大学進学する際の主な4つの勉強法

通信制高校から大学進学する際の主な勉強法は次の4つです。

  • 予備校
  • 自主学習
  • 家庭教師
  • サポート校

大学進学を目的としたカリキュラムやコースのない通信制高校に入学した場合、通信制高校の勉強だけでは大学受験までの学力は身につけられない可能性があります。そのため、学校以外の場で学力を補うことが重要です。

また、大学進学コースのある通信制高校だとしても今ひとつ学力が上がらないという場合も、ここで紹介する勉強法を参考にしてみてください。

1.予備校

通信制高校から大学進学を目指す上で代表的な勉強法といえるのが予備校です。予備校であれば無駄のないカリキュラムのほか、自習室も用意されており効率的かつ集中的に受験勉強できます。

また、予備校に通っている人たちは大学合格をゴールにしているため、共通の課題を持つ仲間が得られるのも特徴です。同じゴールを目指している者同士、一緒に勉強することでモチベーションも高められるでしょう。

2.自学自習

自学自習も立派な勉強法の1つです。自学自習のメリットとしては、科目ごとに自分にあったレベルで学習できることが挙げられます。

入学する通信制高校のレベルによりますが、高校卒業を目的としている学校の場合は中学校で学習した基礎レベルの内容が中心です。よって、通信制高校の授業を通じて基礎を学びなおしながら、苦手科目と得意科目の区別ができます。

そして、自学自習では苦手科目は再学習、得意科目は応用といった形で自分のレベルにあった学習が可能です。

3.家庭教師

自学自習で進めるのが難しい場合は、家庭教師を依頼すると良いでしょう。自学自習の場合、自分にあったレベルで学習できる反面、わからないことがあった場合に質問できないのが欠点です。

一方、家庭教師であれば先生とマンツーマンで学習するため、その場で質問することができます。また「訪問」「通学」「オンライン」というように自分にあった学習スタイルを選択でき、学習レベルや目標など個人にあわせたカリキュラムを組みやすいのもポイントです。

自学自習よりも効率良く学習を進めたい方には、家庭教師をおすすめします。

4.サポート校

大学合格に向けて総合的にサポートを受けたい場合は、通信制高校と併用してサポート校の利用をおすすめします。サポート校とは、通信制高校に通う生徒を支援するために設けられた民間の教育系企業が運営する教室です。通信制サポート校とも呼ばれ、これまで紹介した勉強法のメリットいずれも併せ持っています。

サポート校のおすすめポイントは、まず自分の学力レベルを把握しやすいという点です。自分の学力レベルにあわせてマンツーマンで指導してくれるため、しっかりと理解した上で次のステップに進められます。

また、メンタルサポートが充実している点も特徴です。サポート校によっては、教育支援カウンセラーやプロカウンセラーによるカウンセリングを実施しています。

メンタルケアも含めたトータルサポートを行うサポート校を利用すれば、大学合格に向けた環境を整えることができるでしょう。ただし、通信制高校と同様に大学受験レベルの指導力を兼ね備えるサポート校は多くないのが実情です。

大学への合格実績などを利用前に、しっかりと確認することをおすすめします。

大学進学を想定して通信制高校を選ぼう

通信制高校は大学進学ではなく、高校卒業の資格を得ることを目的としている場合が多いでしょう。よって、自身が大学進学を目指すと決めたなら、大学受験に向けた実践的な勉強ができる通信制高校を選ぶことが大切です。

もし、近くに大学進学を想定した通信制高校がない場合は、家庭教師や予備校、サポート校などをうまく活用して受験勉強にみずから取り組んでいきましょう。