不登校から就職して働くには。いまからはじめる将来設計

不登校でも、子どもは実家に住んでいるうちは、生活ができます。しかし、今後ひとりで生活していくには、仕事に就かなくてはなりません。不登校の子どもが将来就職で困らないために、いま何を目指すべきなのか、知っておきたい社会復帰のための心得や方法について解説します。

まず高校で社会性の獲得を目指そう

小中学校で不登校になった場合、諦めてしまいがちなのが高校への進学です。高校は義務教育でないということもありますが、他人とのコミュニケーションに自信が持てず、進学を断念してしまうケースも多くあります。

しかしそれでは、不登校で他人との関わりが希薄なまま就職を目指すことになってしまいます。そのような状態で就職しても、職場で人間関係をうまく築けない可能性があります。もし、そうなった場合、本人はいままで以上の挫折感を味わうかもしれません。

働く意欲をなくしてしまう可能性を考えると、不登校からいきなり就職することはできるだけ避けるべきでしょう。また、自分の好きなように生活していた不登校の状態から、毎日決まった時間に出社する生活に切り替えることは、肉体的にも精神的にも大きなストレスとなる可能性があります。

就職に向けた社会性を身に付けるという意味でも、高校へ入学し、集団生活を経験することは重要です

中卒より選択肢の多い高卒を第一目標に

高校の入学・卒業を目指す、もうひとつのメリットとして、就職における選択肢が広がる、という点があります。

「学歴社会」という言葉もありますが、現在、多くの企業が社員の応募資格に「高卒以上」「大卒以上」の学歴制限を設けています。学歴で面接を受けることすら制限されてしまうのです。大卒が珍しくない現代、中卒という学歴は就職において圧倒的に不利といえるでしょう。

実際に、厚生労働省が公開している「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」によると、平成29年3月に卒業する新卒者に対する平成28年7月時点の求人数が、高校新卒者では約 32万4,000人であるのに対し、中学新卒者は 920人となっています。社会性の獲得だけでなく、就職の幅を広げるためにも、高卒資格を持っておきたいところです。

自分のペースで通える学校を選ぶ

高校進学を目指すといっても、長く不登校で生活リズムが不安定な子どもが全日制高校に通うのはハードルが高いでしょう。なにしろ、全日制高校は、週5日、毎朝決まった時間に登校しなくてはなりません。しかも、ほとんどの全日制高校では、「学年制」を取り入れているため、遅刻、欠席が多いと単位が修得できずに留年する可能性があるのです。

全日制高校への進学が難しいのであれば、定時制高校や通信制高校という方法があります。特に多くの通信制高校は、卒業に必要な単位を修得すれば卒業できる「単位制」を採用しています。学年ごとに取得する単位が決まっていないので、自分のペースで学習できるのが特徴です。

通信制高校では、通学は必要最低限で、基本的に自宅学習となります。ただ、通信制高校によっては、週1日、2日など通学コースを選択できる学校があり、通学ペースを自分で決めることができます。不登校だった子どもでも、徐々に学校に慣れていくことで、通学日数を増やして、社会性を養っていくという進め方ができます。

通信制高校のしくみについては「通信制高校とはどんな学校?世界一わかりやすく解説!」で詳しく紹介しています。

アルバイトをしながら学校に通ってみる

社会性を身に付ける方法として、アルバイトをするのもいいでしょう。アルバイトをすることで、社会人としてのマナーやルールを学ぶことができ、就職後に役立つ経験を積むことができます。

通信制高校は時間に自由が利くので、アルバイトをしながら高校卒業を目指すことができます。全日制高校は、学校で過ごす時間が長いうえ、学業に支障が出る懸念からアルバイトを禁止している学校が多くあります。しかし通信制高校は、自分で学習プランを決められるので、必要な単位を修得するための学習時間さえしっかり計画立てておけば、かなり多くの時間をアルバイトにあてられます。

通信制高校であれば、アルバイトと高校生活を並行することで、高卒資格と社会経験を同時に得られるのです。アルバイトで長時間働きながらもしっかり勉強し、卒業資格を手にしたという実績は、就職の面接でもアピールできるでしょう。