不登校は甘え?甘えじゃない?甘え依存型の不登校と対応について

不登校は甘えや怠けだ、という意見を耳にすることがあります。 その通りだと思っている人もいれば、いや、そうではないと思っている人もいることでしょう。 果たして、不登校は甘えなのでしょうか。 ここでは、不登校は甘えであるかどうか、また、甘えであるならばどのように対応していけばよいのかについて、詳しくご説明します。

不登校は甘えである?甘えじゃない?

不登校は、甘えなのでしょうか、甘えではないのでしょうか。

まず、さまざまな意見や、なぜ不登校が甘えだとされるのかなどについて見ていきましょう。

不登校は甘えなのか?

不登校が甘えか甘えではないかということについては、安直にどちらかであると言い切れないとする意見が多くあります。

そもそも、甘えるという意味には、良い意味と悪い意味の両方が含まれおり、甘えられるということは、裏を返せば信頼できる関係であるとも言えます。

反対に、甘やかすという言葉には、どちらかといえばネガティブな要素が強くなり、相手を依存させてダメにしてしまうといった意味に受け取られる場合が多いです。

不登校が甘えであならば、なぜ甘えてしまうのかということが問題であり、不登校が甘やかしであるならば、子どもではなく、親などの甘やかす側の問題ということになります。

不登校が甘えか甘えでないかといったことよりも、そのような根本的な問題に目を向けていくことが大切です。

なぜ、不登校が甘えだとされるのか

不登校が甘えだという意見の背景には、特に病気というわけでもないのに学校に行かないというのは、本人のがんばろうという気持ちが足りないからだという考えがあります。

そのため、不登校は甘えであり、怠けであるというのです。

病気などの問題があっても学校に行けないわけではないので、本人の気持ちの問題であるといえばそうかもしれません。また、やる気やがんばりがあれば行けるというのも一理あることでしょう。

しかし、その気持ちがダメージを受けていて、やる気やがんばる気持ちが出ないということが根本的な問題の場合もあり、それを甘えや怠けだとするのは少々乱暴だと言えます。

つまり、不登校は甘えだと言えるかもしれませんが、決して悪いことや怠けなどではなく、そのような甘えが必要な状態になってしまう状態の改善が必要なのです。

甘え型依存不登校について

不登校のタイプとして、甘え依存型というものがあります。

現在では、混合型と呼ばれることが多い、甘え依存型の不登校について、ご説明します。

甘え依存型不登校の特徴とは

甘え依存型(混合型)不登校とされるタイプには、以下のような特徴が多く見られます。

  • ・他人任せにしやすく、自立していない
  • ・我慢することが苦手で嫌なことから逃げやすい
  • ・繊細で傷つきやすい

自分で責任を負うことや周囲から責められることを極度に恐れ、そのような状況を何とか回避しようとするのが、甘え依存型の特徴です。

また、自主性が十分に育ってない、気分のムラが激しいといった点もあげられます。

その背景として、過去の失敗を激しく叱責されたり笑われたりした経験があったり、親が常に先回りをして失敗をしないように手を出していたりするなどがあり、子どもの自己肯定感や自己尊重意識が低いことが多いです。

子どもが親に依存し過ぎている場合だけでなく、親が子どもに依存していているため、子どもが依存してくるような状況を無意識に作り出していることもあります。

甘え型依存による不登校への対応

甘え型依存型の不登校の場合、どのような対応をすればよいのでしょうか。

甘え依存型不登校の対応

甘え依存型の不登校の対応としては、まず、子どもをそのまま受け入れ認めてあげるといった子どもを尊重することを通して、自己肯定感を高めてあげるようにしましょう。

さらに、成功体験を積み重ねたり、失敗してもリカバリーできる体験を増やしていくことで、問題に遭遇しても大丈夫だという自己効力感を与えるようにします。

そして、親から子どもへの依存を無くしていく、つまり、親と子、双方が甘えられないような関係性を築いていくことが大切です。

甘え依存型は、子どもだけではなく、親が子どもに甘えてほしいと依存している場合もあります。

親自身で気づきにくいことが多いため、少しでも思い当たる節がある場合は、カウンセリングを受けたり専門機関で相談したりしてみるとよいでしょう。

甘え型依存に対してやるべきではないこと

甘え依存型不登校の子どもに対して、甘えている、怠けているなどと一方的に決めつけて叱責してはいけません。

特に、親が厳格で規則などを重んじるタイプだと、子どもの不登校が甘えや怠けにしか見えず、怒ったり嫌味を言ったりしてしまいがちなので注意しましょう。

また、叱責ではなくても、むやみにがんばれ、やればできるなどといった励ますようなことも、子どもが自分の努力が足りないのだと責められているような気持ちになってしまうため避ける方がよいです。

甘えに隠れているほかの原因

子どもが甘えている不登校と思われる場合、ほかの原因が隠れていることもあるので注意が必要です。

例えば、発達障害やうつ病など、子どもや親だけではどうしようもない原因が、甘え依存型不登校のような行動につながっている場合もあります。

そのような場合、早めの対応が大切なので、少しでも不安な点があれば、医療機関や専門機関に相談してみるようにしましょう。

 

「甘え」は悪いことなのか?

先にも述べたように、子どもが甘えることと、子どもを甘やかすこととは違います。

子どもが甘えられるということは、信頼関係が築けているということであり、逆に、子どもの甘えが、不登校などの歪な方向に表れているということは、本来の甘えられる信頼関係がないからだと言えるでしょう。

そのような場合に必要なことは、子どもがどのような状態であってもしっかりと受けとめて信頼関係を築き、自己肯定感や自己尊重意識を高めてあげることが大切です。

また、親が子どもを甘やかしたことで不登校を引き起こしているのならば、子どもだけではなく親の改善も必要になります。

いずれにしても、一見、甘えが原因だと思われる不登校や甘え依存型とされる不登校の場合は、子どもだけではなく、親自身が自らの行動を省みて改善していくことが重要です。

 

甘えることができる信頼関係が不登校解決の鍵

不登校は子どもの甘えや怠けであり、親が子どもを甘やかすから不登校になる、などといった意見は、ひと昔前よりは減少傾向にありますが、依然として残っています。

しかし、不登校が甘えである、甘えでないといった一元的な議論ではなく、甘えであるとされるような背景に潜む問題を掘り下げていくことが大切です。

甘え依存型不登校のタイプは、自己尊重意識や自己肯定感が低く、失敗することを極度に恐れたり回避しようとしたりする傾向があります。

まず、子どものそのような意識を改善するためには、子どもが親に、親が子どもに依存するといった「甘やかし」の関係ではなく、子どもがありのままの自分で「甘えられる」信頼関係を築いていくことが大切です。

子どもの不登校が甘えに見える場合は、子どもが信頼し、安心して甘えることができているかどうか、親自身の行動も振り返ってみるようにしましょう。