不登校のあるある行動には理由がある?子供に合わせた対処法とは

年々不登校となる子供の数は増える一方ですが、それぞれの状況や程度はまったく異なります。取り巻く家庭や学校の環境まで違うのに、起きることや行動には似たところがあるのは不思議です。 この記事では、不登校の子供によくみられる行動や起きること、いわゆる「あるある」について解説します。

不登校のあるある行動とは?

悩む生徒

不登校の子供は「不登校」とまとめてしまうにはあまりにも違うことがあります。誰とも口を聞かない子供がいるかと思えば、学校に行かないだけで夕方になると遊びに行ってしまう子供もいて、まさに十人十色、状況は一人ひとりまったく違うといってよいでしょう。

ところが、不思議と不登校の子供に共通にみられる状況や行動もあります。ここではそんなあるあるが起きる状況について解説します。

あるある行動にも共通した原因がある

不登校の子供のあるある行動は、主に「学校に行かない」ことで起きることが多くあります。例えば「学校に行かなくてよい状況」を作るために仮病を使ったり、家でそのまま眠りすぎて夜眠れなくなったりといった行動はその代表といえるでしょう。

ほかにも、友達が来ておしゃべりする中で、学校を休むことをうらやましがられちょっと自慢げなのに本当はつらい気持ちだったり、人と話すことが少なくなりコミュニケーションが取りづらくなったりするのも、元はといえば学校に行かなくなったことが原因です。

とはいえ、それとは別に理由があるので学校にはやはり行けません。学校に行くことも含めて「なんとかしなくては」という気持ちは強いのですが、どうすればいいのかわからず悩んでいる状態であることも不登校の子供に共通しています。

不登校の子供には、共通した原因があるため似たような「あるある行動」をとるのです。あるある行動の原因と不登校の原因が同じというわけではないことには注意しましょう。

行動はあるあるでも共通の改善法はない

例えば学校に行かないことで睡眠をとりすぎ、昼夜逆転となってしまうことはあり得ます。しかし、いくら同じようなあるある行動がみられるからといって、それを改善するための共通の方法はありません。

それは学校に行かない理由は一人ひとり異なること、それに抱く悩みやつらさの程度もまったく違うからです。不登校を改善するには、まず子供の悩みやつらさを軽減し、本来の自分を取り戻す必要があります。

周囲の人々は子供の様子を見ながら、近すぎも遠すぎもしない適切な距離感や頻度で根気よく接することが大切です。あるある行動の改善だけにとらわれず、より広い視野で子供を見つめるよう努めましょう。

生活習慣にまつわるあるある

時計

不登校になるとまず目立ってくるのが生活習慣の変化です。学校に行くと決まった時間までに登校し、教室で授業を受けるといった「みんなとあわせて行動する」ことが求められます。この生活習慣が変わると、生活のほかの部分にも影響が現れてきます。

昼夜逆転してしまう

生活習慣のあるあるのなかで多いのは、おそらく昼夜逆転でしょう。まず朝学校に行かないと、することがないため日中に眠ってしまうことがあります。そのせいで夜になっても眠くならず、持っているスマホやゲームを楽しんでいるうちに朝になってしまうのはその典型です。

しかし、眠れない原因は別にあるかもしれません。家族が寝静まった夜中、学校に行けない理由やなんとかしなくてはという焦りが、不安となり眠りを妨げている可能性もあります。

ほかにも自律神経の働きの不調で立ち上がると体の血流が低下する「起立性調節障害」や、体内時計のリズムがうまく調節できず夜眠れない「睡眠相抗体症候群」といった病気の可能性もあります。

このように一口に昼夜逆転といっても、さまざまな原因が考えられます。

学校に行く時間になると体調が悪くなる

「朝、出かけようとすると気分が悪くなる」「前夜まで元気だったのに、朝になると急に頭痛や腹痛を訴える、発熱する」といった、朝に紐づいた体調不良は、心理学的には「ストレス反応」によるものといわれています。

不登校経験者の多くが経験しており、誰もが「学校に行こうという気持ちはあった」と口をそろえていることからは、不登校の朝にありがちな「あるある」だといえるでしょう。

夜間は活動できる

不登校でも、ただ学校に行けないだけで元気な子供もたくさんいます。体を動かすことが好きなら、昼間子供がいない公園で思い切り運動したいところですが、そう簡単ではありません。

多くの子供が学校にいる時間、大人は元気な子供を見かけると心配から声をかけられ、場合によっては補導される場合もあるようです。休日ならなおさら、同級生と会ってしまうと「学校には来ないのに元気だった」と言われることを考えると避けたくなるのは当然でしょう。

外出できるのは、子供のいない学校が休みの時間、どうしても夜間に限られます。しかし、夜間ひとりで外出すると、それこそ補導されるかもしれません。安心できる家族と一緒だと夜間だけはいきいきと活動できることも、不登校のあるあるといえます。

体にまつわるあるある

悩む生徒

学校に行くだけでも、歩いたり自転車に乗ったり、教室を移動したり体育の授業があったりと、なにかと体を動かすものです。不登校で家にいる時間が長くなると、体を動かすこと事態が少なくなり、体にも大きな影響を与えます。

体力が落ちる

特に中学生から高校生にかけて、人間の体は大きく変化します。体の大きさはもちろん、筋肉の量は増え、より強くなるのが普通です。しかし、それも適度な運動や食事、睡眠があってのこと。

体を動かさずに食事は以前と同じ量を取るなら、筋肉は衰え体には脂肪がついていくのも当然です。スタミナも落ち、あまり動いていないのにすぐにぐったりして眠ってしまうこともあります。

これは、特に部活でがんばっていた子供に顕著な変化として現れます。運動が好きなら、家の庭などでスクワットや腹筋などできるトレーニングを続けるとよいでしょう。

食事量が変わる

一日中家の中にいると、体のエネルギー消費量が変わるため、食欲も変化します。不安や悩みがあると食事量は極端に増えたり減ったりすることがあるので、注意が必要です。

食べて寝る繰り返しで太ってしまう

食べることが好きな人は、無理をしてでも食べようとします。不登校の子供も同じで、たとえお腹が空いていなくても「食べないと損する」とばかり口に入れ、特に運動するでもなくそのまま眠ってしまうのも「あるある」のようです。

食欲が落ちて急激に痩せる

一方で、不安や悩みが深刻で「食事がのどを通らない」という場合もあります。激しい運動はなくても、食欲が落ちれば体は急激に痩せてくることがあるので、不登校では食欲不振にも、十分な注意が必要です。

というのは成長期の食欲不信は長期化すると体の各器官の成長を妨げるだけでなく、悩むあまりうつ病や双極性障害を患う可能性があるからです。

心にまつわるあるある

学生

学校に行っていないとはいえ、不登校の子供は同じようにさまざまなことを考え、望んでいます。ここで紹介する4つのあるあるは、大人が自身の問題だったとしても解決が難しいものばかりです。

このような悩みは、放っておくとより大きな問題や不安に発展する可能性があります。周囲が協力して、できるだけ早くに叶えたいものです。

将来のことをいつも考えている

どれだけ不登校の子供の数が増えても、自分の将来を考えない子供はおそらくいないでしょう。どうしても学校には行けないが、だからといってどうすればいいのかもわからない、誰に相談していいかもわからないと結論に至らず堂々巡りを繰り返します。

そんなとき子供は自分の言うことを「しっかり聞いてもらう」ことで安心し、場合によっては結論に辿り着くこともあるようです。周囲は子供に寄り添い、とにかく子供の気持ちを受け止める姿勢でいる必要があります。

うまくコミュニケーションが取れない

学校では直接ではなくても、多くの同級生の話を聞く機会がたくさんあります。その中から自分の気持ちを相手に伝えるテクニックや作法を学ぶのが通常です。ところが不登校ではその機会が圧倒的に少ないため、長引くほどコミュニケーション力に差ができてしまいます。

家に来てくれる友達ともうまく話せなくなったり、話題や興味の違いを感じたりすると自信をなくしてしまうのはこれが原因かもしれません。放置すると身近な家族とのコミュニケーションも避けるようになってしまうので、周囲は適切な頻度で接するよう努めることが大切です。

家族や友だちのやさしさが気まずい

特に不登校の子供は、人の言葉や態度の変化に敏感です。長く不登校でいると、いくら仲のよい友達でもだんだんと疎遠になり、腫れ物に触るような接し方になってしまうことがあります。せっかく持ってきてもらったプリントに「ありがとう」という気持ちがあるのに気まずく、そっけないお礼で返してしまうのはそのためです。

これは家族でも同様、注意する必要があります。子どもに対してどう接すればいいのか迷っていると敏感に感じ取られ、家族なのに疎外感を与えてしまうかもしれません。

普通に学校生活を送りたいと願っている

学校に行けない理由があるとはいえ、授業以外の部活や運動会、修学旅行といったイベントは楽しみたいと思うのも「あるある」です。

もし子供が興味を示したら、イベントを目標にすると生活にメリハリが生まれる可能性があります。先生や友達にも協力してもらい、一緒に楽しめるようしっかり寄り添いましょう。

不登校あるあるは理由を踏まえて対応しよう

オッケー

ここまで不登校の子供に多い「あるある」を紹介してきましたが、どれも見た目は同じようでも理由には違いがあることがわかっていただけたでしょう。

不登校の子供はどんな態度であれ、なんとかしなくてはという焦りと不安の気持ちを抱えており、本来の自分を取り戻したいと感じています。周囲は不登校の「あるある」を見せる子供に寄り添い、適切にコミュニケーションをとって話しやすい環境を整えることが大切です。

不登校あるあるにもしっかり対応し、本来の子供の気持ちを取り戻せるようサポートしましょう。