不登校からの復帰を目指す!保護者の心構えや意識するポイントを紹介

不登校から復帰を目指すためには、子供自身が前向きになっていることが重要です。子供が前向きになるためには、保護者の理解あるサポートが欠かせません。 本記事では不登校の子供と接する保護者の心構えや意識するポイントについて紹介します。保護者の何気ない一言や日頃の接し方は子供に大きく影響するものです。 日頃のやり取りを思い返しながら、読み進めていただければと思います。

不登校からの復帰には保護者の関わり方が重要

子供が不登校から復帰するには、保護者の関わり方がとても重要になります。不登校になってしまった子供に対し、無理やり登校をすすめたりすると逆効果となり、かえって不登校が長引く可能性があるからです。

不登校とは、学校生活などで疲労してしまった心身を回復するための充電期間ともいえます。この期間に登校を催促すれば、またすぐに不登校になるおそれもあるでしょう。

保護者は意見をいう立場というよりも、サポート役という立場で子供に関わることが大切です。

不登校からの復帰を目指す保護者の心構え

不登校からの復帰には保護者の関わり方が重要だとお伝えしました。では具体的にはどのような意識を持つ必要があるのでしょうか。この項目では不登校からの復帰を目指す保護者の心構えを3つ紹介します。

不登校は珍しいことではない

文部科学省が発表した「令和2年度 学校基本調査」によると、小中高生は約1,200万人です。1クラス30人と仮定しクラス数で換算してみると全国で約40万クラスということになります。

同じく文部科学省によれば、令和元年度の不登校者は小中高生合わせると全体で約23万人といわれています。つまり2クラスに1人に近い割合で不登校の子供がいる計算です。このように、まず不登校は決して珍しいことではないことを保護者が理解しましょう。

参考:「令和2年度 学校基本調査」文部科学省
参考:「令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」文部科学省

過去を振り返らない

「あの時の言動が良くなかったのかもしれない」「あの時声掛けをしていれば」といったように過去を振り返ることもあるでしょう。しかし不登校になった原因を過去にさかのぼって考えることにあまり意味はなく、大事なことは今後どのように対応していくかです。

場合によっては、保護者自身が自己嫌悪に陥ることもあるかもしれません。しかし前述のとおり、不登校は珍しいことではないのです。過去を振り返るのではなく、今後子供のために何ができるのか考えるようにしましょう。

愛着障害が原因である可能性も認識する

親子のすれ違いなどが原因で愛情を感じることができず、日常生活に支障が出る状態を愛着障害といいます。愛着障害の特徴は次の通りです。

■愛着障害の特徴

  • 自分に自信がない
  • 積極的になれない
  • 人を信用するのは怖い
  • 生きづらさを感じる

このように日常生活におけるやる気の喪失や生きづらさといった精神的症状が現れます。愛着障害は医学もしくは心理学観点での考え方の1つです。

親などの特定人物との愛着形成が上手くいかなかったことで現れる困難の総称であり、病気ではありません。しかし愛着障害が原因で不登校になる可能性があることも認識しておきましょう。

保護者が意識するべき4つのポイント

子供が不登校になった場合、保護者はどのようなことを意識すればよいのでしょうか。この項目では保護者側が意識するべきポイントを4つ紹介します。

ポイント1. 家庭を安息の場所にする

不登校になる子供の多くは、何らかの原因によって心身が疲労している状態です。不登校になったばかりの初期のタイミングでは登校できない自分を責めるなど、精神的に不安定なことも多いでしょう。

ここでポイントなのが、不登校を肯定して子供をしっかりと受け止めることです。つまり家庭を子供にとって安息の場所にしてあげることともいえます。

しっかりと休息を与え、子供が前向きになれるタイミングを気長に待ってあげることが復帰への近道です。

ポイント2. 生活習慣の改善を図る

心が前向きになると物事に対して意欲的になります。そこでまずは生活習慣の改善から図りましょう。

不登校になると、昼夜逆転などの不規則な生活になりがちです。その生活からいきなり規則正しい生活に戻そうとすれば、余計にストレスがかかるそれもあります。

いきなり改善するのではなく、起床時間を徐々に早めることなどから取り組んでください。生活習慣を少しずつ改善し、復帰に向けて準備をすすめましょう。

ポイント3. 保護者と先生の連携を強める

先生との連携を強めながら、学校復帰に向けて具体的な解決策を考えましょう。学校に馴染むためも、まずは個別学習できる環境を整備したり、登校日を徐々に増やしたりなど、状況にあわせて相談してみてください。

いじめや学校環境が不登校の原因であれば、転校も視野に入れてもよいでしょう。ただし保護者と先生同士だけで話をすすめてはいけません。本人の意思を確認し尊重することを忘れないようにしましょう。

ポイント4. 支援機関や相談窓口も利用

復帰に向けてさまざまな方法に取り組んだものの、あまり効果が表れない場合もあります。そのような時は不登校支援機関や相談窓口なども積極的に利用も検討してみてください。

ただ子供が相談窓口の利用を拒否する場合には、まずが保護者だけで利用してみるほうがよいかもしれません。

不登校からの復帰を目指す子供にやってはいけないこと

最後に、保護者が不登校からの復帰を目指す子供にやってはいけないことがあります。ここでは代表的な3つの内容について解説します。

復帰後いきなり毎日通わせる

今まで自宅にいた生活から学校生活に復帰するのは非常に大きな変化です。そのため保護者が思っている以上に子供はエネルギーを消費します。

復帰したからといっていきなり毎日の登校をすすめてはいけません。場合によっては再度不登校となる可能性もあります。本人の意思を尊重し、無理のない範囲で少しずつ環境に慣れさせてあげることが大切です。

不登校の克服期間は3ヵ月~1年程度

不登校の悩みが改善され、問題なく登校できる状態になるまでの期間を「不登校の克服期間」といいます。不登校の克服までは3ヵ月~1年ほどかかるとされるのです。

しかしあくまでも目安であり、必ずこの期間内に不登校が克服できるわけではありません。克服には個人差があることを覚えておきましょう。

保護者の意見を押し付けない

不登校からの復帰を目指すにあたり、保護者の意見を押し付けてはいけません。保護者がやるべきことは子供を尊重し、復帰をサポートすることです。

遠回りだと感じても、子供の主体性を尊重してサポート役に徹することが、不登校解決の近道になります。

保護者は子供のサポートに徹しよう

ここまで不登校の子供と接する保護者の心構えや意識するポイントなどについて紹介しました。

不登校の原因は人それぞれ違います。不登校から復帰するきっかけも異なるため、本人の意見にしっかりと耳を傾けて意思を尊重することが大切です。

不登校の子供を持つ保護者は子供とどのように接するべきかを悩むことも多いでしょう。しかし一番苦しいのは不登校になっている子供自身だということを忘れてはいけません。不登校からの復帰には、保護者の理解あるサポートがなにより大きな力となります。

不登校自体は悪いことではないと保護者が肯定し、心の拠り所になるところからはじめて、子供のサポートに徹しましょう。