不登校をしたら後悔する?しない?子供の後悔と親の後悔を解説

不登校状態にある子供が身近にいる場合、将来、不登校をしていたことで何らかの後悔するのではないかと心配したり不安に感じたりしている人もいることでしょう。 この記事では、子供が不登校で学校に行けなかった場合、将来、学校を卒業してから後悔するようなことが起こり得るのか、子供が不登校状態にあることを自分のせいだと後悔している親はどう気持ちを切り替えればよいのかなどを解説します。

不登校していたことへの後悔の現状について

後悔

最初に、在学中に不登校状態であったことに対する後悔の実態について説明します。不登校で学校に行けなかったことを後悔している人の割合はどのくらいなのか、また、不登校を後悔している人は何に対して後悔しているのかを詳しく見てみましょう。

文部科学省が平成26年に発表した「不登校に関する実態調査報告書」は、平成18年に不登校のまま卒業した中学生を5年後に追跡調査した結果の報告です。その報告書によると、中学生のときに不登校をしていた人の約4割が何らかの後悔をしているという結果でした。

「学校に行かなかったことをどう思うか」という質問に対して「行けばよかった」と後悔しているという回答が38.9%と約4割を占めています。しかし、「行かないことに意味があった」と、不登校を肯定的に捉えている回答も32.6%であることから、不登校をしていたことを後悔している人だけが、決して大多数であり、大きな割合を占めているわけではないことがうかがえます。

不登校をしていた子供自身が後悔したこと

考える

先ほどあげた文部科学省による「不登校に関する実態調査報告書」では、不登校したことを後悔していると回答した人に対して、中学校を卒業してから具体的にどのようなことを後悔しているのかを聞き取り調査しています。

ここでは、不登校を経験していた人が、どのようなことを後悔していると回答したのか、主なものを取り上げて詳しく見てみましょう。

十分な学力を得られなかった

不登校を後悔している人のうち、後悔していることとして「学力・勉強」と回答した人の割合が最も多く、29.7%という結果でした。

この結果から、たとえ家で学習を続けていたとしても、不登校によって授業やテストなどを受ける機会が少なかったため、勉強が遅れたり十分な学力が得られなかったりしたことを後悔している人が多いことがわかります。

体力が落ちてしまった

不登校で登校しなかったので、体力が落ちてしまったことを後悔しているという人もいます。特別な運動や部活動をしなくても、歩いたり自転車に乗ったりして登校するだけで体力がつくことは言うまでもありません。

しかし、不登校をしていたため、体を作る時期である10代にその機会を得られなかったことを後悔している人もいます。

友だちや社会性を得られなかった

学校に行かなかったことで友だちを作る機会が少なく、結果として社会性が身に付かなかったと後悔している人もいます。

不登校を後悔した人の中で、後悔していることとして「友人関係」と回答した人の割合が16.7%と、勉強や学力に次いで多かったことからも、友だちや社会性を得られなかったと後悔していたことがうかがえます。

修学旅行などの学校行事に参加できなかった

不登校をしていたため、学校行事、特に修学旅行などの行事に参加しなかったことを後悔している人もいます。

不登校を後悔している人の中で、後悔していることとして「思い出」と回答した人は13.8%で、「進路」と回答した7.7%よりも多いという結果でした。学生時代を振り返ったり同窓会で友だちに会ったりしたときに感じることが多いようです。

不登校をしていたことを後悔しない場合もある

調べる生徒

不登校だったからといって、すべての人が必ず後悔するわけではありません。現に先の調査でも、不登校をしたことに意味があったという回答が後悔しているという回答に次いで多かったことからもわかると言えるでしょう。

ここでは、不登校を経験した人が、不登校をしたことにどのような意味があったと捉えているかを見てみましょう。

いじめから逃れることができた

不登校の原因がいじめによる場合は、不登校によっていじめから体や心を守ることができてよかったと感じている人もいます。

いじめでつらい思いをしているときは、家にいれば安全で安心できるという気持ちを保てることが大切です。あのまま無理に登校していたら、もっとつらい目にあっていた、不登校をしてよかったと感じている人もいます。

勉強以外の知識を得ることができた

不登校で勉強や学力に遅れが出たと後悔している人がいる一方で、不登校中に勉強以外のさまざまな知識が身に付いたと感じている人が多いのも事実です。

家で自ら学べることがあっただけでなく、学校以外の居場所としてサークル活動やフリースクールなどで興味のあることや好きなことの知識を伸ばすことができる場合もあります。

人の気持ちがわかるようになった

不登校を経験して得たものとして、人の悩みが理解できるようになったり、人の気持ちがわかるようになったりしたことをあげる人も多いです。

不登校をしていたことにより、同じように不登校をしている人に共感できるようになったり、ほかの人の辛さや苦しみに寄り添えるようになったりするきっかけになった感じるケースもあります。

不登校をしていた子供の親の後悔について

親

不登校をしている、または不登校をしていた子供の親の中には、子供の不登校について後悔しているケースも少なくありません。そして多くの場合、後悔と共に自分自身を責める傾向があります。

ここでは、不登校の子供がいる親がどのような後悔をしがちなのか、また親が不登校を後悔してしまう場合はどのように気持ちを切り替えればよいかについて見てみましょう。

不登校の親はどのような後悔をするのか

不登校の子供がいる親の後悔は、親である自分自身を責めるものが多い傾向にあります。学校に行きたくないという子供に休んでいいよと言ってあげられなかった、保健室登校を強いてしまったなど、子供の意思を尊重してあげられなかったことの後悔が多く見受けられます。

特に子供の不登校に対して後悔を抱きやすいのが母親です。子供を守ろうとする気持ちや、不登校でつらい状態を何とかしてあげたいという気持ちから、子供の気持ちに共感しすぎてしまい、不登校の原因が母親にあるように感じてしまう傾向があります。

親の後悔は不登校の解決になるわけではない

子供を大切に思い、何とかしてあげたいという気持ちが高じて親が自分を責め、これまでの対応や言動を後悔したとしても、それが不登校の解決に役立つわけではありません。

むしろ自分の不登校のせいで親が後悔したり自分自身を責めたりしている様子を見ることは、子供にとって非常につらいことです。そのような親の姿によって、子供自身がより傷つく恐れもあります。

子供が不登校になったことを後悔するよりも、これから親として子供に何ができるか、どのようなサポートをしてあげられるかを考えるほうが大切です。

学校での勉強が遅れないような学習環境を作ってあげたり、子供が安心できる場所を少しずつ広げたりすることに気持ちを向ける方が建設的だと言えます。子供の不登校の後悔で、親として自分自身を追い詰めてしまわないようにしましょう。

不登校をしていることを必要以上に恐れない

夕日背景の学生

今、不登校をしている人の中には、不登校をしていると将来後悔することになるのではないかと不安を感じている人もいるかもしれません。不登校をしていた人の中には、学校を卒業してから数年後に、不登校を後悔している人がいるのも事実です。

しかし、不登校を後悔している人ばかりではありません。不登校によって心身が救われたり学校の勉強とは違った知識を得られたりしたと感じている人もいます。さらに、不登校で人の気持ちがわかるようになったという人もいます。

不登校をしている子供自身だけでなく、不登校の子供がいる親も、不登校自体や不登校による後悔を必要以上に恐れないようにして、先々の心配よりも、今、何が本当に大切なのかを考え、見極めることが大切だと言えるでしょう。