不登校の居場所を学びの場に!フリースクール「ベネッセ高等学院 中等部」が示す新しい教育の形【イベントレポート】
公開日:2026年05月15日 更新日:2026年05月15日
通信制サポート校「ベネッセ高等学院」の中等部が、開校後半年を迎えました。2026年3月10日には半期を振り返る説明会と、生徒・保護者との懇談会が開かれ、ズバット通信制高校比較 編集部も参加しました。説明会では、同校の学院長である上木原孝伸氏から、フリースクールに関する意識調査結果の報告がありました。この記事では、懇談会での生徒・保護者へのインタビューも交えながら、当日の模様をまとめていきます。
- 意識調査から分かる「居場所」と「学び」の切実なニーズ
- 高等部生徒の「中学でも、こういう学校があったら良かった」という声から生まれた
- 5ヶ月で在籍者数1.47倍。急成長を支えるハイブリッドな学び
- 進研ゼミのノウハウを生かした個別の「さかのぼり学習」
- 手厚い「人」のサービスと自由なコミュニティ
意識調査から分かる「居場所」と「学び」の切実なニーズ
ベネッセ高等学院の調査によると、小中学生の保護者の約4割が「不登校の経験がある、またはその兆候がある」と回答し、不登校は誰にでも起こり得る身近な課題となっていることが伝えられました。
中学生がフリースクールに期待することとしては、以下の3点が上位に挙げられました。
- 1位:学び直しなど学習の遅れへのサポート(4%)
- 2位:友達や同世代の人と関われる場(4%)
- 3位:学校以外の安心できる居場所づくり(8%)
特に中学生は小学生に比べて「学習サポート」へのニーズが高く、単なる「居場所」以上の役割が求められています。
高等部生徒の「中学でも、こういう学校があったら良かった」という声から生まれた
ベネッセ高等学院 中等部は、先んじて開校していた高等部の生徒たちが、「中学のときにも、こういう学校があったら良かったのに」と口を揃えて言ったことをきっかけに誕生しました。
最大の特徴は、在籍中学校との連携です。同校に通い、学習成果を提出することで、最終的には在籍中学校の校長先生の判断により「出席扱い」となったり、成績評価を受けられたりする仕組みを整えています。
5ヶ月で在籍者数1.47倍。急成長を支えるハイブリッドな学び

2025年10月に開校した中等部は、当初の募集定員100名を200名に急遽拡大するほどの反響を呼びました。2026年3月時点での在籍者数は252名に達し、開校からわずか5ヶ月で在籍者数が1.47倍に急成長しています。
成長の理由のひとつは、通学とオンラインを柔軟に切り替えられる設計です。
現在、在籍生徒の62%がオンラインを選択しており、通える範囲に住んでいても自分のペースを守るためにオンラインを選ぶ家庭も多いのが現状です。
学びを止めない
「今日は体調が悪いから家で」「気分が乗らないからオンラインで」という当日の急な変更も可能です。
繋ぎ止める力
一度つまずくと学校へ行けなくなってしまうという、よくある不登校のパターンとは異なり、オンラインで繋がり続けることで、そこから再び通学へ復帰できるケースも生まれています。
生徒コメント:週3日のペースで通学していますが、自宅で一人勉強するよりも、学校という環境に行くことで気持ちが切り替わると感じます。家だとどうしても甘えが出てしまいますが、学校へ行けば先生や仲間がいて、適度な緊張感を持って学習に集中できます。(3年生・アオイさん)
進研ゼミのノウハウを生かした個別の「さかのぼり学習」
学習面では、「進研ゼミ」のノウハウを最大限に活用しています。
公立校のオンライン授業は登校している生徒がメインで、画面の向こうの黒板が見えるだけというケースも多いです。一方で、ベネッセ高等学院 中等部では、オンライン授業でも本格的な学習システムが導入されています。
小学校範囲までさかのぼる
単元ごとのチェックテストで苦手を発見し、小学校の範囲までさかのぼって動画やアニメで理解を深めます。
AIドリルの活用
ICTソフト「ミライシード」のAIドリル「ドリルパーク」により、個々の理解度に応じた問題を自動出題します。
生徒コメント:動画授業なので自分のペースで止めたり、分からない箇所を繰り返し見直したりできます。一斉授業のようにどんどん進んでしまうことがないので、理解しやすく、使い勝手が良いです。(1年生・アカリさん)
手厚い「人」のサービスと自由なコミュニティ
同校では、学習だけでなく「社会的な繋がり」も重視しています。
担任と赤ペンメンター
毎朝のチャットでの挨拶や、生徒一人ひとりの「マイカルテ」に基づいた丁寧なフィードバックが生徒の支えとなっています。
部活動と企業コラボ
軽音部(ヤマハ協力)やeスポーツ部(セガXD協力)など、プロの現場を体験できる機会を提供。
生徒たちが自ら企画・運営した「リズダム Championship 2025」では、オンラインとオフラインが一体となった熱狂が見られました。
保護者コメント:最初は「大会のお手伝いをする」と言っていたのですが、いつの間にか選手として出場することになり、人見知りだった娘が人前に出て戦う姿に驚きました。部活動を通じて、自分の居場所ができ、周りのメンバーからも必要とされる経験をしたことで、見違えるほど自信がついたように感じます。(アカリさんのお母様)
生徒主体の同好会
「にわとり同好会」のように、全国の生徒がオンラインで共通の趣味(ひよこが生まれた報告など)を通じて交流する、自由なコミュニティが広がっています。
まとめ:全国28拠点への拡大と自治体連携
ベネッセ高等学院 中等部は、2026年4月より拠点を全国28拠点へと大幅に新設・拡大します。池袋、川崎、浦和、梅田、三宮など、より多くの地域で学びの機会を提供していく計画です。
上木原学院長は最後に、名古屋市が月額3万円の補助を開始した例などを挙げつつ、「自治体間の支援の差はまだ大きい」と指摘しました。
今後も自治体と連携し、「不登校から生じる社会課題を解決するべく邁進したい」とその決意を述べ、説明会を締めくくりました。

