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不動産売買の契約後に解約したくなったら?解除パターンと注意点

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不動産売買の契約後に解約したくなったら?解除パターンと注意点

戸建てやマンションなどの不動産の売買契約を結んだ後は、物件が引き渡されるまでに1ヵ月程度の期間があるケースがほとんどです。その期間中に、売主または買主が何らかの理由で売買契約を取りやめたいと考えることがあります。

売買契約を結んだ後も解除を申し出ることは可能ですが、違約金の支払いや手付金の放棄などのデメリットもあるのが現状です。また、売主または買主とトラブルになる可能性もあるため、売買契約の後に解除する場合は慎重に検討しましょう。

この記事では、不動産の売買契約後に解約できるかどうかをわかりやすく解説します。「解約」と「解除」の違いも併せて解説するので、不動産を売買する予定がある人はぜひこのまま読み進めてください。

不動産の売買契約の「解約」と「解除」の違い

不動産の売買契約を取りやめる場合、状況に応じて「解約」と「解除」の2種類の言葉が使われます。

解約は、売買契約を結んだ後に当事者のどちらか一方が申し出て、一定の要件を満たした上で将来的に契約関係を終了させることです。

一方の解除は、解除権を持った当事者が申し出て、売買契約の時点にさかのぼって契約関係を解消することを指します。

本来、解約は賃貸借のような継続性がある契約を前提としているため、不動産売買のシーンで使われるのは解除です。しかし、現在は不動産売買のシーンでも解約と解除はほとんど区別せず、同じような意味合いで使われることが多い傾向にあります。

売主も買主も不動産売買の契約後に解除は可能

不動産の売買契約は売主と買主の双方で結ぶものなので、基本的にどちらも解除を申し出ることが可能です。

しかし、相手方が履行に着手している場合は自由に解除できないので注意しましょう。民法第557条第1項では、相手方が履行の着手を行った時点で売買契約を解除できないと規定されているからです。

通常は売買契約を結んだ後、物件の引渡しまでに1ヵ月程度の期間が設けられています。解除を申し出るタイミングや売買契約書の内容によっては違約金の支払いが必要です。違約金が発生する状況や金額は次の章で詳しく解説するので、ぜひチェックしてください。

不動産売買の契約後の解除にかかる違約金について

ここでは、売買契約の解除で違約金が発生する場合、どれくらいの金額が必要なのかの目安を解説します。また、違約金以外に発生する可能性のあるお金についても説明しますので参考にしてください。

違約金は状況によって発生の有無が異なる

不動産の売買契約後の解除で違約金が発生するかどうかは、状況によって異なります。

例えば、手付解除の期日までは、契約を解除しても契約違反ではないので違約金は発生しません。ただし、買主または売主のどちらかがお金を支払うことに変わりありません。

期間内に契約の解除を申し出るのが買主の場合、一度売主に支払った手付金を放棄することで解除が可能になります。そのため、支払った手付金は戻ってきません。

売主が期間内に契約の解除を申し出る場合、買主に対して支払うお金はすでに受け取っている手付金の2倍の金額を支払うことで解除が可能です。

手付解除の期日を過ぎて売主または買主のどちらかが一方的に解除を申し出る場合、基本的に違約金が発生します。

なお、手付解除の詳細は、「不動産売買の契約後の解除パターン」の「手付金による解除」で後述します。

違約金の金額は、相手方が個人か宅建業者かで異なります。相手方が個人の場合、違約金の相場は売買代金の10~20%です。一方で相手方が宅建業者の場合は、宅地建物取引業法で上限が売買代金の20%と定められています。

違約金以外の支払いについて

不動産の売買契約の後に解除を申し出る場合、相手方への違約金以外の支払いが発生することがあります。

例えば、通常は売買契約が成立した後に不動産会社に対して支払い義務が発生する仲介手数料です。

仲介手数料は成功報酬型ですが、一方的に解除を申し出た場合には相当額の金額を請求される可能性があるので注意しましょう。

このほかには、相手方(売主・買主)に損害賠償の予定額や違約罰などの支払いが発生することがあります。

損害賠償の予定額

損害賠償の予定額は、債務不履行を犯した場合の損害賠償額を予め売買契約書に記載しておくものです。売買契約書に損害賠償の予定額が記載されている場合、実際の損害額に関わらず決められた金額を支払う必要があります。

つまり、損害賠償の予定額と実際の損害額に相違がある場合でも、差額は請求したり減額したりできません。

違約罰

違約罰は、売買契約を結ぶ当事者が損害賠償の予定額より多くの損害を被ったときに備え、売買契約書に記載しておく規定です。

損害賠償額の予定額と異なり、予め決められた金額と実際の損害額に相違がある場合は差額を請求できます。違約罰は損害賠償額の予定額とは別に決められるため、債務不履行の度合いによっては両方の金額を支払う必要があります。

不動産売買の契約後の解除パターン

不動産の売買契約を解除には、いくつかのパターンがあります。パターンによっては、違約金を支払うことなく解除可能です。売買契約の解除パターンは、おもに次の通り。

  • 売主と買主の話し合いの合意による解除
  • 手付金による解除
  • 債務不履行による解除
  • 契約不適合責任による解除
  • ローン特約・買い替え特約の条件に基づく解除
  • 消費者契約法の条件に基づく解除
  • クーリング・オフによる解除

それでは、売買契約の解除パターンを詳しく解説します。

売主と買主の話し合いの合意による解除

どのような事情があっても、売主と買主の話し合いで双方が合意すれば売買契約の解除が可能です。不動産の売買契約は、売主と買主の双方で結ぶものだからです。

売買契約を結ぶかどうかは売主と買主の自由なので、話し合いがまとまれば解除しても問題ありません。また、買主だけではなく、売主からの解除の申し出も可能です。

売買契約の解除を申し出て相手方が応じてくれた場合、後々のトラブルを避けるため、すでに支払われている手付金や条件などを整理し、書面に起こしておきましょう。売買契約の解除を検討した場合は、まず不動産会社に相談してサポートを受けるとスムーズです。

手付金による解除

売買契約を結んだ後の解除で一般的なパターンは、手付金による解除です。この解除パターンは手付解除とも呼ばれており、売買契約書に記載された期日までであれば手付金の支払いをもって契約関係が解消できる方法になります。

手付解除には、売主と買主のどちらが解除を申し出たかで対応が異なり、売主が解除を申し出た場合は手付倍返しと呼ばれており、買主に対して手付金の2倍の金額を支払います。

一方で買主の場合は、売買契約のときに支払った手付金を放棄することで解除が可能です。

ただし、手付金による解除が可能なのは相手方の契約履行の着手があるまでの間に限られます。契約履行とは、契約内容を実現するためにすでに相手方が動きだしている状態のことです。

例えば売主が所有権移転手続きを開始していたり、買主の希望に沿って建築材料の発注や工事に着手していたりするなどの場合が挙げられます。

債務不履行による解除

債務不履行による解除は、相手方が契約内容を実現するための手続きや支払いなどを行わなかった場合などに売買契約を解除できる方法です。

例えば、売主が所有権移転の手続きを開始しているにも関わらず買主がその手続きに応じなかったり、買主が売買代金の支払いに応じなかったりした場合などが挙げられます。債務不履行は、履行遅滞・不完全履行・履行不能の3つのパターンです。

【履行遅滞】
相手方が期日までに契約内容を実現するための手続きや支払いなどを行わないこと

【不完全履行】
相手方が期日までに契約内容に沿った手続きや支払いなどが済まされているにも関わらず、中身が不十分な場合

【履行不能】
相手方が契約内容を実現するための手続きや支払いなどが行えなくなってしまった場合

不動産の売買契約でスムーズな解除が難しいのは、履行遅延です。なぜなら、履行遅延はまず相手方に催告し、それでも応じなかった場合にしか解除できないからです。そのため、ほかの債務不履行に比べて売買契約を解除するまでに時間がかかりやすくなります。

契約不適合責任による解除

契約不適合責任による解除は、売主が引き渡した目的物と種類・品質・数量が契約内容と合致しない場合、契約不適合責任に基づいて買主が売買契約を解除できる方法です。

例えば、シロアリ被害による木造部分の浸食によって住むことができない場合や地中の埋設物によって新たに建物を建てられない場合などです。このほかには、契約した土地の面積と実際の面積が異なる場合や地中に不要な埋設物があった場合などが挙げられます。

なお契約不適合の原因が買主にある場合を除いて、契約内容に適合しない場合はたとえ無過失でも売主側に責任が発生します。

ローン特約・買替え特約の条件に基づく解除

不動産の売買契約の解除パターンには、ローン特約や買替え特約の条件に基づいて解除できる方法もあります。ローン特約と買い替え特約とは、どちらも買主を保護するために設けられているものです。

ローン特約は、買主が一定の期間内に住宅ローンの審査が通らなかった場合に適用される特別な約束。不動産を購入する際には住宅ローンを組むケースが多いでしょう。しかし、すべての買主が金融機関の審査に通るとは限りません。

ローン特約が適用された場合、売買契約を結んだ後であっても違約金の支払いや手付金の放棄などのペナルティなしで契約を解除できます。

買替え特約は、新居の購入契約を結ぶ際に予め決めた期日までに今の家を売却できなければ、契約自体が解除になる約束。契約が解除になる理由は、今の家が売却できないと新居の購入費用を支払えないからです。

買替え特約が適用された場合も、ローン特約と同様にペナルティなしで解除可能になります。

消費者契約法の条件に基づく解除

不動産の売買契約の解除パターンの中には、消費者である一般の個人を保護する目的で制定された消費者契約法の条件に基づく解除方法があります。

不動産会社が消費者に誤認を与えるような事実と異なる説明をし、自由な意思決定を妨害されたまま売買契約を結んだ場合に解除できる仕組みとなっています。

例えば売主が不動産会社の場合、不明確な情報であるにも関わらず、この土地は将来的に価値が上がるので今買っておいたほうが良いと説明し、売買契約に誘導するケースが挙げられます。

消費者契約法の条件に基づく解除が適用されるのは、売主または買主が不動産会社の場合です。

クーリング・オフによる解除

不動産売買でも、一定の条件を満たせばクーリング・オフによる解除が可能です。一定の条件とは、売主が不動産会社の事務所や自宅以外の買主が冷静に判断できない場所で売買契約を結んだ場合になります。

クーリング・オフによる解除期限は、制度を書面で告知された日から8日間です。不動産会社からクーリング・オフを書面で告知されなかった場合、売買契約から8日間を経過しても権利を行使できます。

ただし、クーリング・オフによる解除は、不動産の売買契約の解除パターンとして利用されることはほとんどありません。

不動産売買の契約後に解除する際の注意点

ここで、不動産の売買契約後に解除する際の注意点を解説します。売買契約の解除でトラブルに発展する可能性もあるため、事前に注意点を把握しておきましょう。

不動産売買の契約後の解除する際は書面で伝える

売買契約を結んだ後に解除する際には、口頭ではなく書面で伝えることが大切になります。売買契約の解除を口頭で伝えた場合、伝達ミスによって後々トラブルに発展するリスクがあるからです。

ローン特約や買替え特約などの違約金が発生しない場合でも、思わないトラブルを防ぐために書面で伝えましょう。相手に書面で伝える手段としては、届いたことが証明できる内容証明郵便または書留を利用するといいです。

また、できるだけ早く相手方に解除を伝えたい場合は、書面と電話のような複数の手段を講じるとスムーズです。

受け取った手付金や違約金は課税対象になる

相手方の申し出によって売買契約を解除する場合、受け取った手付金や違約金は課税対象になるため、所得税と住民税の納付が必要です。売買契約が解除されても、受け取った手付金や違約金は一時所得になるからです。

所得税と住民税は、受け取った翌年の2月16日~3月15日までに確定申告して納付する必要があります。確定申告の方法は国税庁のウェブサイトに記載されているので、確認してみてください。

売買契約を解除しても仲介手数料がかかる可能性がある

仲介手数料は成功報酬型なので、売買契約が成立しなかった場合は基本的に支払う必要がありません。しかし、自己都合で解除になった場合、一度は売買契約が成立しているため、仲介手数料を請求される可能性があります。ただし、当事者(売主または買主)の「家を売る(家を買う)」という目的は達成されていないため、減額できるかもしれません。

売買契約が解除になった場合の仲介手数料の判例はさまざまなので、不動産会社に確認しましょう。また、ローン特約や買替え特約で白紙解除になる場合は、仲介手数料は請求されません。

不動産売買の契約解除は慎重に

不動産の売買契約を結んだ後は、基本的に売主と買主のどちらも解除の申し出が可能です。しかし、解除パターンによっては違約金が発生する可能性があるため、契約を結ぶまえに売買契約書で解除条件を確認しておくことをおすすめします。

また、相手方に売買契約の解除を申し出る際には、口頭ではなく書面で伝えることが大切です。売買契約の解除ではトラブルが発生する可能性があるため、解除を申し出る際には慎重に検討しましょう。

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