田舎の空き家を売りたい!6つの売却方法と早く・高く売るコツ

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三大都市圏の外側や、そのほかの地方にある「田舎の空き家」は、都市部の空き家と比べて売れにくい傾向にあります。

周辺環境や交通の便の関係で、そもそも需要が少ないことが主な理由です。加えて、修繕費用や、扱っている不動産会社の数が限られることも影響しています。
しかし、売ることが難しい田舎の空き家でも、力を入れるポイント次第では、迅速に適正な価格で売却できるケースがあります。故郷の実家や、使用する予定のない別荘の処分で困っている人は、ここで紹介する売却のポイントを参考にしてみてください。

この記事でわかること
  • 田舎の空き家が売れにくいとされる理由
  • 売れにくい空き家を早く・高く売る方法
  • どうしても売れない空き家の処分方法
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【執筆】遠藤秋乃(えんどう あきの) 大学卒業後、メガバンクの融資部門での勤務2年を経て不動産会社へ転職。転職後、2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。知識を活かして相続準備に悩む顧客の相談に200件以上対応し、2017年に退社後フリーライターへ転身。

田舎の空き家が売れにくい理由

いわゆる田舎の空き家、つまり「地方に所在する住む人のいない家」が売れにくいとされる理由は3つあります。よく指摘されるのは需要の問題ですが、ほかにも下記のような問題点があります。

田舎の空き家が売れにくい理由

需要がない・少ない

田舎の空き家が売れにくい主な原因として、需要がない・少ない点が挙げられます。理由はやはり「交通の便」や「周辺環境」にあります

日本の人口は、約半数が三大都市圏に集中している状態です。もちろん、住む人の職場や学校も、同じ都市圏にある場合が多数です。そのため、三大都市以外のエリアに所在する物件や、都市圏でも外側にある物件は、通勤や通学での利便性が乏しいため、需要が少なくなります。

最近では「リモートワークが普及し、地方への移住が進む」との明るい見方もありますが、現実は異なります。週に数回の出社が必要だったり、家族の職場に毎日の出社義務があったりなどの理由で、移住を敬遠する人が依然として多数派です。

さまざまな事情で地元にUターンする人々がいるとしても、すでに存在する実家に帰るのが一般的で、新しい家を選ぶ人はあまりいません。

修繕費がかかる

修繕費がかかることも、田舎の空き家が売れにくい理由の一つです。多くの空き家は老朽化が進んでおり、一定の修繕を行わないと住むのに適しません。この修繕費を売主側が全額負担するメリットは少なく、逆に買主側が修繕費を負担するとなると、購入をためらわれる傾向があります。

とくに注意したいのが、1981年以前に建てられた住宅です。これに該当する住宅は新しい耐震基準に適合していないため、安全性の観点から耐震改修が必要です。この回収にも多額の費用がかかります。

一般財団法人日本建築防災協会が行った「耐震改修にかかった費用」の調査よると、耐震改修にかかった費用が200万円未満であるケースが55%となっていますが、残りの45%では200万円以上、350万円以上となる場合も一定数ありました。

さらに、水回り(キッチン・お風呂・トイレなど)も、修繕を必要とすることが多いポイントです。これらの費用が加わると、売主もしくは買主の負担額は大きくなり、さらに売れにくくなります。

【監修者コメント】
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耐震改修など、住宅性能を向上させるための工事には、一定要件を満たせば適用される補助金制度や税制優遇制度があります。売主側で制度を使って改修するのも、現況のままで購入希望者に「リフォームが安く済む」とアピールするのも、古い家の売却では良い手段です。

依頼または信頼できる不動産会社を見つけにくい

依頼または信頼できる不動産会社を見つけにくいことも、田舎の空き家の売りにくさに拍車をかけています

そもそもの問題として、都市部から離れるほど不動産会社の数は少なくなります。信頼できる不動産会社を見つけられたとしても、空き家が所在するエリアに対応しているとは限りません。

探し回り、ようやく依頼を引き受けてくれそうな不動産会社に出会えても、その会社が積極的に販売活動を行ってくれるとは限りません。

不動産会社の主な収入は仲介手数料ですが、仲介手数料は売却価格に応じて決まります。

そのため、そもそも売れにくく、売れたとしても安価になりがちな田舎の空き家は、不動産会社にとって「割に合わない仕事」になってしまう可能性が高いのです。

田舎の空き家を早く・高く売るコツ

田舎の空き家を早く・高く売るコツ

田舎の空き家は、これまで説明してきた理由によって売りにくいため、売却を目指す際には工夫が必要です。何より大切なのは不動産会社の選定ですが、物件のアピール方法や売却交渉についても特別な戦略が欠かせません

田舎の空き家を売る際の、具体的なポイントとしては下記の5つが挙げられます。


  • 複数の不動産会社に査定依頼を出す。
  • 空き家売却に強い不動産会社に依頼する。
  • 空き家の所在地をアピール材料として活用する。
  • 購入希望者からの値下げ交渉には柔軟に対応する。
  • 売る前にリフォームをするメリットは薄い

複数の不動産会社に査定依頼を出す

仲介や買取を依頼する不動産会社を選定する際には、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。

物件の査定基準は会社によって異なるため、1社に絞って依頼しても、その査定額が妥当なのか判断するのは困難だからです。

実際に売却できたときの価格は、複数の会社を比較検討しないと予想できません

そこでおすすめなのが、「一括査定サイト」の利用です。各社のWebサイトから個別に査定依頼をしなくても、一度の入力で複数の不動産会社にまとめて査定依頼ができるため、時間と手間を大幅に削減できます。

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空き家売却に強い不動産会社に依頼する

田舎の空き家を売却する際は、そのエリアの空き家を得意とする不動産会社を選びましょう。築年数が長い物件や、利便性・需要が低いエリアの物件に強い会社です

ひとくちに「不動産売買の仲介を行う業者」と言っても、それぞれ得意とする分野やエリアが異なります。

依頼する物件について十分な知識や実績を持つ不動産会社を選ばないと、売却の際に時期や価格が希望から大きく外れてしまいがちです。

失敗の極端な例としては、都心部のマンション売却を得意とする不動産会社に、田舎の空家の売却を依頼してしまうようなケースが考えられます。

反対に「田舎の空き家」の特性を理解し、それに特化した販売戦略を立てられる不動産会社を選べば、迅速かつ希望額に近い価格での売却が期待できます。

空き家の所在地をアピールポイントにする

消極的に捉えられることの多い「田舎の空き家」の特徴は、逆にアピールポイントにできるかもしれません。周辺環境や物件の雰囲気をポジティブにとらえ、購入希望者に魅力として伝えることもできるのです

具体的には、以下のようなアピール方法が考えられます。

  • 豊かな自然環境で、のびのびと暮らせる
  • 自動車の通行が少なく、静かで暮らしやすい
  • 隣家と離れており、騒音の心配が少ない
  • 固定資産税が安く、別荘としてコスパがいい
  • 古民家の風情があり、落ち着いた日常が得られる

アピールポイントの考え方は物件ごとに異なり、売却に強い不動産会社と一緒に考えることになります。相談するだけでも、売主自身がこれまで発見できなかった物件の個性や魅力に気づけるかもしれません。

【監修者コメント】
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首都圏の郊外など「自家用車があれば三大都市に1~2時間ほどで入れる」ような立地なら、一般的なファミリー層や、フルリモートで働く人の需要もつかめます。環境や維持費を上手にアピールできる不動産会社に依頼すれば、希望に近い条件で売るのは、思っているほど難しくありません。

購入希望者からの値下げ交渉には対応する

購入希望者が見つかった場合、値下げ交渉には柔軟に対応するよう心がけましょう。

不動産の売買において、値下げ交渉が行われることは一般的です。特に田舎の空き家の場合、需要の少なさを考慮すると、多少は譲歩してでも成約を優先したほうが良いでしょう。値下げ交渉に応じず、結果として購入に至らない場合、次の購入希望者が見つかるまでには時間がかかってしまいます。

値下げ交渉への対応は、もちろん無理のない範囲で行うべきです。事前に不動産会社の担当者と相談し、交渉への対応方針を決めておくと良いでしょう。

売る前にリフォームをするメリットは薄い

田舎の空き家を売るために、リフォームをして物件の需要と価値を上げることが推奨されることもありますが、あまりおすすめできません。確かに、リフォームによって物件価値は多少底上げされますが、それによって需要が上がる保証はないのです

田舎の空き家の購入を希望する人のなかには「物件の購入費を低く抑えて、自分好みの内装に予算を割きたい」と考える人も一定数存在します。こうした購入希望者にとっては、リフォーム後の価格が上がった物件は魅力がなく、逆に売れ行きが悪くなってしまう可能性さえあります。

田舎の空き家が売れなかった場合の対処法

不動産会社に販売活動してもらっても買主がつかないようなら、他の方法を考える必要があります。候補として、下記のようなものが考えられます。

田舎の空き家が売れなかった場合の対処法

なお、空き家を売却も活用もしないままにしておけば、固定資産税などの維持費がかかります。放置するほど赤字がかさむため、なるべく早く手放すのがベターです

また、相続した空き家を売ったときに3,000万円控除できる「空き家特例」を適用するためには、相続開始日から3年が経過する日が属する年の年末までに売却しなければなりません。利益が出そうな場合には、期限に注意して売却する必要があります。

空き家特例の詳細については、別の記事で紹介しています。これから売却を進める人、売買取引が進んでいる人は、手元に残る利益に関わるため、ぜひ参考にしてください。

不動産会社に買い取ってもらう

空き家の売却方法は、不動産会社に買主探しを依頼して繋げてもらう「仲介」だけではありません。不動産会社が買主となる「買取」も候補に入ります。

不動産会社に買い取ってもらう

不動産会社の買取サービスは、売却仲介に比べて2~3割低い金額で取引される一方で、仲介に比べて下記のような優れている点を持ち合わせています。

仲介は3か月から8か月程度かかるが、買取なら1週間から1か月程度で売れる 空き家に瑕疵(欠陥)が見つかっても、契約不適合責任を負わなくていい

価格よりも早く手放すことを優先する場合は買取、期待できる売却価格の範囲でなるべく高く売りたい場合は仲介といったように、自分の目的に合った方法を選ぶと良いでしょう

更地にしてから売る

地方に所在する空き家には、建物を取り壊して更地にすることで売れやすくなるケースがあります。具体的には、建物の状態が悪かったり、耐震改修費用が高額になったりする場合が挙げられます。

地方の更地には、土地価格を押さえつつ「建設費用に予算を割いてこだわりの建築がしたい」という需要があります。このような考えの購入希望者に対してアピールできれば、希望する条件で売却できる可能性が高まります。

空き家を更地にする場合に注意したいのは、解体のタイミングです。更地の状態で年を越し、課税基準日である1月1日を迎えると、固定資産税の軽減措置がなくなり、課税額が前年の6倍になってしまいます。時期によりけりですが、余裕を持って売却活動するためにも、解体工事を翌年の1月2日以降にずらすのも考え方として良いでしょう。

古家付きの土地として売る

古家付きの土地とは、土地と建物をセット売りするときに、建物を実質無償として土地のみの価格で値決めする物件を指します。売主にとっては、リフォームや解体の費用を負担しなくて済むうえに、割安物件を求める人から土地のみ求める人まで、幅広い層にアピールできるメリットがあります

注意したいのは、購入時に建物の解体を希望されるケースが一定数存在することです。このような場合では、解体費用がかかることを理由に値下げ交渉を受ける可能性も考えられます。どこまでなら譲歩できるのか、不動産会社と一緒に検討しておきましょう。

隣人や近隣住民に売る

地方に所在する空き家の処分では、地元の人間関係やコミュニティを頼ってみるのも良いでしょう。近隣住民に「買ってみる気はないか」と尋ねてみて、買いたい人がいれば交渉に入る方法です。

地域に長く暮らす人のなかには、近接する土地や建物を欲しがっている人もある程度いる可能性があります。二世帯住宅の構築、子ども夫婦のUターン場所確保、新たな店舗や駐車場の設置などのためです。

注意したいのは、購入希望者が見つかったときの実務です。個人間の契約では、物件の事前説明や契約書作成を巡って、知識不足のため後々トラブルが起こるリスクがあります。取引に着手するときは、前もって不動産会社や司法書士に相談しましょう。

空き家バンクを利用する

買主が全く現れそうもない場合は、空き家バンクの利用も検討しましょう。

空き家バンクとは、各地の自治体による、Webサイトなどで空き家情報を提供する仕組みです。不動産会社に依頼を断られてしまった場合でも登録でき、取引成立時の仲介手数料もかからない点にメリットがあります。

なお、空き家バンクに登録するには、下記4つの条件を満たす必要があります。


  • その自治体に存在する住宅であること
  • 不動産業者と媒介契約を締結していないこと
  • 建築基準法違反に該当しない住宅であること
  • 各自治体の最高責任者が不適切と判断しない住宅であること

注意したいのは、売却のやり取りについては個人間で行うことになる点です。とはいえ、取引について合意したあとに関するトラブルは、あまり考えられません。契約書作成などの実務は、各自治体と提携した宅建協会および全日本不動産業界に所属する業者が行ってくれるためです。

寄附・寄贈する

たとえ無償でも空き家を処分したいと考える方は、各地の自治体や公益法人への寄附も検討してみましょう。各団体のホームページで問い合わせするなどして、事前に相談してみてください。

ただし、寄附をするためには先方の受け入れ準備(活路の検討など)が必要な点に留意しておきましょう。また、負担の大きさを理由に、不動産の寄付は受け入れていない団体もあります。

自治体や公共法人だけではなく、隣人や営利企業、親族などに寄贈する方法も考えられます。ただし、こちらも相手に負担がかかる点には注意しましょう。寄贈の相手が個人なら贈与税、法人なら法人税の申告・納付義務が生じ、毎年の固定資産税も相手が払っていくことになるのです。

そのため、空き家をうまく活用する方法が相手にない場合は、寄贈も謝絶される可能性が大きいといえます。

田舎の空き家を売りたいときの方法・コツ【まとめ】

田舎の空家が売れにくい理由は、需要の少なさや、修繕費の負担、仲介を行える不動産会社の少なさなどです。

しかし、売却をあきらめる必要はありません。一括査定で信頼できる不動産会社を見つけ、アピールポイントや値下げ交渉への対応をしっかり考えることで、期待以上に早く・高く売れる可能性があります。どうしても売れない場合は、不動産会社の買取サービスや、空き家バンクの利用などといった手段も検討すると良いでしょう。

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