マンションの売却相談はどこにすべき?目的別の相談先や売却相談をするメリットについて解説
マンションを売却する際には、不動産の専門家である不動産会社に相談すればいいと考えている人も多いと思いますが、必ずしも不動産会社が最適な相談先とは限りません。目的によって違う相談先を選択した方が良いケースもあるため、目的に合った相談先がどこなのか把握しておくことが大切です。
この記事では、マンションを売却する際の流れと目的別の最適な相談先などについて解説します。
【監修】穂坂 潤平 宅地建物取引士。仲介営業13年(宅建は新卒の時に取得)、不動産仲介会社起業3年の経験を経てウェブクルーに入社。趣味は何でも遊びにすること。仕事では「喜ばれる仕事をして、自らも喜ぶこと」をモットーに日々ご提案しております!
マンション売却の流れ
マンションは高価な買い物の1つなので、余程のことがない限りは何度も売買を経験するものではありません。そのため、マンションを初めて売却するという人が多く、流れを把握しないまま売却を進めることによって後でトラブルに発展することもあるので注意してください。
速やかかつトラブルを防ぎながらマンションを売却するためには、流れを事前に把握した上で売却に臨むことが大切です。マンション売却の主な流れは以下の通りです。
- 売却相談
- 媒介契約の締結
- 売却活動
- 決済・引き渡し
それぞれの流れについて詳しく見ていきましょう。
①売却相談
マンションの売却は、まずは不動産会社に相談するところから始まります。初めてマンションを売却する人は何をどうすればいいか分からないため、全体的にサポートを受けたいと考えている人が多いと思います。そのような時にサポートしてくれるのが不動産の専門家である不動産会社です。
不動産会社に相談する主な内容として、売却予定のマンションの価値がどのくらいなのか、仲介と買取りのどちらが良いかなどが挙げられます。
不動産会社が提示するマンションの価値は不動産会社ごとに異なります。適正な売出価格を設定する、信頼できる不動産会社に仲介を依頼するためにも、複数の不動産会社に相談しましょう。
②媒介契約の締結
媒介契約とは、仲介を依頼する不動産会社と締結する契約のことです。媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の全部で3つがあります。
一般媒介契約は複数の不動産会社と契約を締結できるというメリットがある一方、成約した不動産会社しか仲介手数料を得られないため、十分なサポートを受けられない可能性があります。
専任媒介契約と専属専任媒介契約はどちらも1社しか依頼できませんが、サポートの充実度が高い点が大きな魅力です。両者の違いは、専任媒介契約は自分で見つけた購入希望者と契約を締結できますが、専属専任媒介契約の場合は直接契約できないという点です。
十分なサポートを受けたい人は専任媒介契約、専属専任媒介契約のいずれかを選択すると良いでしょう。
③売却活動
媒介契約締結後はいよいよマンションの売却活動に取り掛かります。売却活動では、チラシのポスティングや不動産サイトへの登録などの広告活動を行いますが、これらは不動産会社が行ってくれるため、特に売主が行うことはありません。
募集広告を見て購入希望者が現れた場合、内覧という現地確認のステップに移行します。内覧の準備と内覧当日の対応は売主が行わなくてはなりません。
急に内覧が入ってもすぐに対応できるように日頃から部屋をきれいに維持しておき、売却後のトラブルを未然に防ぐためにも傷や劣化などがないか確認しておきましょう。
④売買契約
売却活動を経て不動産の買主が見つかった場合には、買主と売買契約を締結します。売買契約の締結は、単に契約書に署名・捺印を行うだけではありません。契約後のトラブルを回避するために告知事項や売買契約書の内容を確認しておくことが大切です。
他にも、買主から手付金を受け取る、不動産会社に仲介手数料の半額を支払う、マンション管理会社に連絡する、ローンの残債がある場合は金融機関に連絡して事前に手続きを済ませておく必要があります。
準備や手続きに不備があると、売買契約後の流れに支障が生じるので、どのような準備や手続きが必要なのか不動産会社に確認しておきましょう。
⑤決済・引き渡し
売買契約の締結後は、売買契約書に記載されている引き渡し日にマンションの引き渡しと決済を行います。引き渡しの際に、鍵の受け渡し、売却代金や仲介手数料の残金支払い、住宅ローンの一括返済、登記変更手続きなどが行われます。
また、売買契約の締結から引き渡しまでは1~3か月ほどの猶予があるため、その間にガスや水道、電気といった公共料金の移転連絡、引越し業者の手配などを済ませなくてはなりません。
引越しに伴う転出届や住民税の変更手続きなどの役所や会社での手続きも必要になるので、優先順位を決めて手続きを終わらせましょう。
【目的別】マンション売却に関する8つの相談先
マンション売却の悩みは、不動産の専門家である不動産会社に相談すればほとんど解決しますが、目的によっては他の相談先を選択した方が良いケースもあります。
マンション売却における主な相談先として、以下の8つが挙げられます。
相談先 | 相談内容 | 費用 |
---|---|---|
不動産会社 | マンション売却全般 | 無料 |
税理士 | 税金に関する相談 | 5,000円~/30分 |
不動産鑑定士 | 正確な価格に関する相談 | 5,000円~/30分 |
FP(ファイナンシャルプランナー) | マンション売却についての相談 | 5,000円~/60分 |
司法書士 | 権利や登記に関する相談 | 5,000円~/30分 |
弁護士 | 契約やトラブルに関する相談 | 5,000円~/30分 |
金融機関 | ローンに関する相談 | 無料 |
消費者生活センター | 上記以外の相談 | 無料 |
それぞれの相談先について詳しく解説していきます。
総合的にいろいろと相談:不動産会社
不動産会社は不動産売却の専門家です。そのため、マンション売却全体について相談したいという場合には、不動産会社が最適です。
例えば、マンションの売却時期、売却価格、売却に伴う諸費用や税金などのように、不動産の売却に伴う疑問についてはほぼ対応してもらえます。
また、不動産会社は弁護士や司法書士、税理士といった他の専門家と連携していることが多く、不動産会社が対応できない事例については、相談先を紹介してもらえるでしょう。
売却における税金について相談:税理士
税金に関する質問をしたい場合の相談先は税理士です。マンションを売却する際は、譲渡所得税、相続税、印紙税、登録免許税などの税金が発生します。税理士は、税金の専門家なのでこれらの税金に関する様々な悩みに対応してくれます。
また、相続税対策でマンションを売却すべきかどうか悩んでいる場合の相談先も税理士です。
現時点での価値について相談:不動産鑑定士
マンションの正確な価値を知りたい場合の相談先は不動産鑑定士です。不動産会社が提示するのはマンションがどのくらいの価格で売れるのかという目安です。
一方、不動産鑑定士は公的なデータと正確な調査方法に基づきながらマンションの正確な価値を算出してくれます。例えば、離婚時の財産分与、相続などによってマンションの価値を正確に把握しなければならない場合は、不動産会社ではなく不動産鑑定士に相談します。
単にマンションがいくらくらいで売れるのかを知りたいという人は、不動産会社に相談しましょう。
売却の必要性について相談:FP(ファイナンシャル・プランナー)
マンションを売却すべきかどうかを悩んでいる場合の相談先はFP(ファイナンシャル・プランナー)です。FPとは、お金と暮らし、資産運用などのアドバイスをしてくれる専門家です。
例えば、住宅ローンの返済が生活を圧迫している、マンションの価格が上昇しているような場合には、マンションを売却すべきか悩みます。
FPに相談すれば、家族構成や資産状況などに基づきながらマンションを売却すべきかどうかをアドバイスしてくれます。
権利・相続・登記など法的な面についての相談:司法書士
マンション売却における権利関係について知りたい場合の相談先は司法書士です。司法書士は、不動産の名義変更といった登記手続き、相続手続きなどの相談に応じてくれる専門家です。
司法書士は各種登記手続きに対する相談だけでなく、登記手続きの代行も行っています。住宅ローンを契約してマンションを購入した場合、マンションには抵当権が設定されています。
マンション売却時にはこの抵当権を抹消しなくてはなりません。司法書士に相談すれば手続きを代行してもらえます。
契約などのトラブルについての相談:弁護士
マンションを売却するにあたって法的なトラブルが発生している場合の相談先は弁護士です。弁護士は法的トラブルに対応する専門家です。
例えば、マンション売却における契約上のトラブル、権利関係上のトラブルなどに対応してくれます。相続したマンションの売却で他の相続人と揉めているような場合に、法の専門家である弁護士が間に入ることによって速やかに解決することも多いです。
ローンなどお金に関する相談:金融機関
住宅ローンといったお金に関して悩んでいる場合の相談先は金融機関です。住宅ローンの返済に関する悩みについては、どの金融機関でも良いというわけではなく、融資を受けている金融機関に相談します。
住宅ローンの返済が残っているマンションには抵当権が設定されているため、勝手に売却することはできません。売却するには、金融機関の許可が必要です。買い替え資金に関する悩みも金融機関に相談することになります。
その他の相談:消費者生活センター
上記以外の目的で悩みがある場合の相談先は消費者生活センターです。消費者生活センターは消費生活に関する様々な相談や苦情を受け付けています。
消費者トラブルに巻き込まれた場合だけでなく、契約前における悩みや不安などの相談にも応じています。国家資格を持った消費生活相談員、それに準じた専門知識や技術を有した専門家が対応しているので安心です。
全国の都道府県や市町村に約850か所の消費生活センターが設置されているほか、電話での相談も受け付けています。
マンションの売却相談をするメリット
マンションの売却を検討している人の中には、不動産会社にいきなり仲介を依頼するのではなく、専門家に相談すべきか悩んでいる人も多いと思います。マンションを売ってしまってからでは手遅れになるため、相談することによるメリットを事前に把握しておくことが大切です。
マンションの売却相談をするメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 損をなるべくしないような方法で売却できる
- リスクを軽減できる
- 売却に関する不安や悩みを解決できる
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
損をなるべくしないような方法で売却できる
マンション売却を専門家に相談することによって損をなるべくしないような方法でマンションを売却できるようになります。例えば、マンション売却を相談せずに仲介を依頼した場合、その不動産会社の査定が適切でなければ相場よりも低く売却して損をする恐れがあります。
複数の不動産会社に相談すれば、それぞれの査定結果を踏まえて適切な売出価格を設定できるだけでなく、買取りも含めた幅広い売却方法の選択肢の中から最適な売却方法を選択できるようになるでしょう。
リスクを軽減できる
専門家にアドバイスを求めることによって、マンション売却におけるリスクを軽減できます。マンション売却において、疑問や悩みを解決しないまま売却に臨んだ場合、それが原因でトラブルに発展する可能性があります。
しかし、売却前に適切な相談先にマンション売却の疑問や悩みなどを相談していれば売却時のリスクを抑えることが可能です。相談先によっては相談料が発生しますが、相談せずにトラブルに発展した場合、トラブル対応に無駄なコストが発生することを考えると、必要経費と言えるでしょう。
売却に関する不安や悩みを解決できる
専門家に相談することで、売却に関する不安や悩みを解決できます。初めてマンションを売却する人や理由があってマンションを売却する人の中には、マンション売却の流れやマンション売却が正しい選択肢なのか分からないという人も多いと思います。
不安や悩みを抱えたままマンションの売却に臨んでもうまく進まない可能性が高く、誤った選択肢だった場合には売却したことでトラブルに発展する恐れもあるので注意が必要です。
プロに相談すれば不安や悩みを解決できるだけでなく、正しい選択へとサポートしてくれるので安心して売却に臨めるでしょう。
まとめ
マンションは高価な買い物なので、何度も売買を繰り返すものではありません。そのため、初めてマンションを売却するという人が多いと思います。
初めてマンションを売却する場合には、よく分からないまま売却を進めると、後でトラブルに発展する恐れがあるため、まずは流れをしっかり把握することが大切です。
また、初めてのマンション売却で疑問や不安、悩みがある場合は、無理に売却を進めようとするのではなく、専門家のサポートを受けることをおすすめします。プロのサポートを受けながら、マンション売却を成功に導きましょう。