戸建て査定で失敗しない!基礎知識や注意点、査定額UPのコツを解説
戸建て査定で失敗しないためには、押さえておきたい基礎知識が存在します。
具体的には戸建ての査定方法、査定に影響する要素、注意点などです。これらを抑えておけば査定がスムーズに進むだけでなく、以降の売却活動も有利に進められるでしょう。
そこで、この記事では戸建て査定に失敗しないための基礎知識、注意点を詳しく解説します。また査定価格をUPさせるコツも紹介していますので参考にしてください。
【監修】穂坂 潤平 宅地建物取引士。仲介営業13年(宅建は新卒の時に取得)、不動産仲介会社起業3年の経験を経てウェブクルーに入社。趣味は何でも遊びにすること。仕事では「喜ばれる仕事をして、自らも喜ぶこと」をモットーに日々ご提案しております!
戸建て売却のステップ
戸建査定は売却の第一ステップです。売却をスムーズに進めるには取引きの流れを把握しておく必要があります。
まずは戸建売却の流れを見てみましょう。戸建売却は大きく分けて以下のステップで進みます。
【1.】査定:不動産会社に査定価格を提示してもらう
【2.】媒介契約:不動産会社と媒介契約を締結し、売却活動を依頼する
【3.】売却活動:不動産会社が買主を探す、購入希望者が現れたら契約条件の交渉などを行う
【4.】売買契約の締結:条件に合意ができたら契約を結ぶ
【5.】決済・引渡し:売買代金の受領と同時に建物を引渡す
売り出しから引き渡しまで、およそ3〜6ヵ月の期間が必要です。
いつ売却を完了させたいかをイメージして、査定依頼のタイミングを検討するといいでしょう。
査定とは
不動産査定とはマンションや戸建て、土地がいくらで売れるかの見込み額を算出することです。
査定には簡易査定と訪問査定の2種類があります。
簡易査定とは不動産会社が蓄積した取引履歴や市場価格などを活用して、現地訪問を行わずに査定価格を算出する方法です。物件所在地や土地や建物の広さ、築年数などから算出できます。
詳細情報を含まない概算価格の査定なので、売却するかわからないけれども、参考に売却想定価格を知りたい人におすすめです。
対して訪問査定は名前の通り、実物件に訪問し現地調査を実施した上で算出する査定額を指します。周辺環境や敷地前の道路状況、間取り、メンテナンス履歴など査定に左右する情報を収集します。
そのため簡易査定より高精度な査定価格の提示が可能です。訪問査定は、これから売却を依頼したい人に向いている査定方法です。
不動産売却は3つの価格が存在する
査定価格とは先に述べた査定方法で算出された物件の価格を指します。売り出してからおおむね3ヵ月間での売却を想定した価格です。
売り出し価格は名前の通り、物件を売り出した際に初めて売り出す価格のことです。不動産の場合、中古車などのように査定価格と売り出し価格は必ずしも同額でなくても構いません。類似物件の価格や理想の売却価格、ローン残債の金額など複数視点で決定します。
成約価格は売買契約が成立した価格です。一般的には売り出し価格より低くなる傾向があり、購入希望者が提示した金額で制約に至るケースが多いです。
戸建て査定の流れ
戸建て売却を進めるためには、第一に不動産会社に査定をしてもらう必要があります。実際に査定を行うと大きく分けて以下の4ステップで進んでいきます。
【1.】査定を依頼
【2.】訪問日のスケジュール調整
【3.】不動産会社が現地調査
【4.】査定価格提示
査定の流れの中には注意すべきポイントやスムーズに進めるコツなどがいくつか存在します。査定を実施してから不動産会社と媒介契約を結ぶまでには、上記ステップを何度も繰り返す必要があります。
ここでは各ステップごとに査定をスムーズに進めるコツや、注意すべきポイントを見ていきましょう。
査定を依頼
まずは査定を不動産会社に依頼しましょう。依頼の方法は電話やメールで1社ずつ依頼する方法やインターネットで一括査定を依頼する方法があります。
複数社に査定依頼する際は、インターネットでの一括査定が手間を省けます。一括査定とは一度の情報入力で複数の不動産会社へ査定の依頼ができるサービスです。
訪問日のスケジュール調整
査定を依頼したら訪問査定のスケジュールを調整しましょう。訪問査定は基本的に立ち会いで行われます。理由は物件に関する質疑が出てくる可能性があるためです。
現在空き家の物件であっても、立ち会いのもと査定を実施したほうが正確な価格を提示してもらえます。
訪問査定当日は物件の確認やヒアリングなどで1〜2時間程度かかります。物件が住んでいる場所から遠方にあると1日がかりのになる事もあるでしょう。まとまった時間が確保できる日に訪問査定を設定しましょう。
不動産会社が現地調査
訪問査定当日は不動産会社が目視で物件の内外を確認します。また建物の修繕履歴や不具合などをヒアリングされます。回答内容が査定価格に反映されるため事前に情報を整理しておくといいでしょう。
特に不具合箇所はしっかりと伝える必要があります。査定価格への悪影響を恐れて隠してしまうと、引き渡し後のトラブルにつながります。
具体的には以下の情報をまとめておくのがオススメです。
- アピールポイント
- 間取りの特徴
- 利便性(周辺施設)
- 修繕履歴
- 不具合箇所(雨漏り、設備機器の故障など)
査定価格提示
訪問査定を終えたら、いよいよ査定価格提示です。現地確認を終えた上で、その場で査定価格を伝えられるケースや、一度持ち帰って連絡が来るケースなど不動産会社によって提示方法はさまざまです。
方法は異なりますが、依頼してから価格提示までの期間はおおむね1〜2週間かかります。
査定価格は複数社に査定を依頼すると金額が大きく異なる場合もありますが、心配はいりません。査定価格は不動産会社が、その価格であれば売れるだろうと考える目安です。極端に金額に差がある場合は理由を聞いてみるといいでしょう。
戸建ての査定時に準備しておくもの
簡易的な査定価格の算出だけであれば書類の提出は必要ありません。ただ、より精度の高い査定を求めるのであれば下記の書類は事前に揃えておくといいでしょう。
- 図面
- 権利書(登記識別番号)
- 建物の確認申請書・確認済証・検査済証
- 土地の確定測量図
上記書類は購入当時、建物の引渡し(決済)で受け取った資料ばかりです。将来売却を検討している方は引渡し時に受け取った書類を大事に保管しておきましょう。
複数社査定依頼する際は提出書類を揃えておいたほうが、価格査定にブレがなくなります。
戸建の査定方法
戸建ての査定価格はただ単に不動産会社の感覚で決まっているわけではありません。査定価格を決定する中で、土地と建物、それぞれに合った査定方法を活用しています。
実はこれらの査定方法を理解すれば、査定価格に影響するポイントが見えてきます。影響するポイントを抑えておけば高値で売却を狙った対策も実施可能です。
そこで、ここからは土地と建物それぞれの査定方法を詳しく解説します。
土地の査定方法
土地の査定には「取引事例比較法」と呼ばれる方法を用います。
取引事例比較法とは、多くの不動産取引事例を元に対象とした不動産価格を決める方法です。エリア、立地、土地形状など成約物件の条件を査定物件と照らし合わせ、似たような物件を洗い出し、成約価格を参考に価格を決定していきます。
建物の査定方法
建物の価格査定は原価法という方法で算出します。原価法とは現在立っている建物を取り壊し、まったく同じ建物を建て直すと仮定した際のコストを計算する方法です。
原価法は以下のような計算式で価格を算出していきます。
積算価格=単価×総面積×残存年数(耐用年数-築年数)÷耐用年数
戸建ての査定価格に影響するポイント
先にご紹介した2つの査定方法から見えてくる査定価格に影響するポイントは以下の通りです。
- 築年数、構造
- 土地の形状、条件
- 立地条件
- 市況、需要
築年数、構造
先に述べたように建物の査定方法である原価法は築年数や建物の構造などで価格を算出します。
原価法の積算価格は耐用年数に対して、どれだけの年数が残っているかで変動します。
簡単に言えば、築年数が増えるほど建物の価値が下がっていくわけです。耐用年数は木造、RC造、鉄骨造など建物の構造によって区別され、以下の年数で設定されています。
- 木造:22年
- RC造:47年
- 金属造:34年
売却予定物件がどの構造に該当するか事前に確認しておくと、どれくらい価値が残っているかおおよそ見当がつきます。
土地の形状、条件
土地の価格は土地の形状などの条件が査定価格に影響します。評価額が増加、減少する要因をまとめると、それぞれ以下の通りです。
【評価額が増加する要因】
- 角地
- 南向き道路に接道している
- 前面道路の歩道が整備されている
- 整形地
- 道路から0.5~1m程度高い
- 閑静で区画整然とした住宅街の中にある
【評価額が減少する要因】
- 前面道路の道幅が狭い
- 水道等のインフラ設備が引き込めない
- 北向き道路に接道している
- 眺望や通風が劣る
- 不整形地
- 道路よりも土地が低い
- 地中障害物や土壌汚染等がある
立地条件
立地条件は査定価格に影響する要素です。駅やスーパーなどの生活施設が付近にあれば利便性が向上し、評価額は上がります。
対して火葬場や廃棄物処理場、下水処理場など不快感・嫌悪感を与える施設が付近にあると評価額は下がります。
ほかにも有名校が付近にある、閑静な住宅街など、地域柄も査定に関わる重要な要素のひとつです。
市況、需要
これまで述べた物件自体の要素以外に市況や需要も査定額に影響します。
例えば、売却物件周辺に売り出し中の類似物件が多数存在すると供給過多の状態と言えます。この状態では、よほど魅力的な条件がなければ買主の目に止まること少なくなるでしょう。最悪の場合、価格競争となりかねません。
また、日本の市場動向そのものが影響を与える場合も考えられます。不動産市場は住宅ローンの金利と密接な関係があります。金利が上がれば不動産の購入コストが上がるので、不動産市場は冷え込む恐れがあるでしょう。
このように物件価格は物件自体のポテンシャルとは別に需要や市場動向によっても左右されます。
査定時の3つの注意点
査定時に失敗しないためには以下の3つに関して注意しましょう。
- 修繕以外のリフォームを行わない
- 複数者に査定依頼する
- 査定価格が高ければいいわけではない
それぞれ詳しく解説します。
修繕以外のリフォームを行わない
戸建て物件の売却の際はわざわざリフォームを行う必要はありません。
なぜなら中古住宅の購入者はリフォームを前提に検討している人が多いためです。建物の価値は耐用年数に対する残存年数のため、見た目を変えるようなリフォームは価値を上げることはありません。
さらにデザイン次第では購入層を絞ってしまうことにつながる恐れもあるでしょう。見た目を変えるリフォームを行うのであれば、不具合が発生している箇所の修繕や外壁塗装を行うなど、メンテナンス実績を蓄積していくほうがアピールにつながります。
複数社に査定依頼する
複数社に査定を依頼すると、売却物件の相場を把握できます。相場を把握できると、理想的な価格設定が可能です。結果、安売りを防げたり、逆に高値設定による売却活動の長期化を防げたりなどの効果を得られるでしょう。
また、実際に売却を依頼する際は不動産会社の担当者との相性も関係してきます。少なくとも数ヵ月間、大事な物件の売却を任せることになります。1社で決めるのではなく、複数の不動産会社の担当者と話し合い、信頼できる会社へ依頼しましょう。
以上のことから査定依頼は最低でも3社以上に査定依頼しておくといいでしょう。
査定価格が高ければいいわけでは無い
複数社へ査定を依頼すると査定価格が予想より高い会社や思ったより低い会社など、さまざまな結果が出てきます。
高く売れる可能性があるなら、高い査定額を出してくれた不動産業者と媒介契約を結ぼうと思うでしょう。しかし、先にも述べたように査定価格とは不動産会社が決める目安にすぎません。提示された価格で売り出したとしても、買い手が見つかる保証はありません。
中には査定価格の高さで釣って、とりあえず媒介契約を結ばせようとするケースがあります。このような手法を取る不動産会社と契約してしまうと、販売活動自体を積極的に行わず、売れなければ値下げを促される事態に陥りかねません。
上記のようなトラブルに巻き込まれないために、相場をしっかり把握し、査定価格が相場と乖離がないか確認をしましょう。
戸建て査定の基礎知識を理解して複数の不動産会社へ依頼しよう
戸建て査定には建物・土地それぞれの算出方法があります。そして算出方法に関わる要素一つひとつが物件の価格に影響します。
注意すべきことは査定に影響しない工夫を施しても、売却物件の価値は上がらない点です。特に見た目を良く見せるためのリフォームはかえって逆効果になりかねません。
査定以降の売却を成功させるためには、あなたの戸建ての相場を把握することです。相場の把握には複数の不動産会社への査定依頼がオススメです。
今回ご紹介した査定の基礎知識を参考にして、売却活動を成功に導いてください。