調子の良いことは言わない。お客様にいつも正直な気持ちで向き合うこと──フォーティセブン不動産株式会社、代表取締役・渡邊一浩さんに不動産業者のあるべき姿を学ぶ
神奈川県横浜市泉区を中心に不動産仲介業を営むフォーティセブン不動産株式会社。今回は代表取締役の渡邊一浩さんに、お客様との向き合い方や実際の販売方法をお伺いしました。そこには不動産業者としてのあるべき姿が……。
(聞き手:「ズバット 不動産売却」営業担当・穂坂 潤平)
【お話を伺った方】
フォーティセブン不動産株式会社
代表取締役:渡邊 一浩さん
丁寧な資料作りと説明は必須!目に見えるかたちで説得力を持たせることが大切
──媒介契約後、物件の販売方法、募集方法はどのようにしていますか?また工夫や意識していることはありますか?
渡邊一浩さん(以下、渡邊):最初に媒介契約を取るところから説明すると、実際にお会いしたお客様には、弊社の紹介をはじめ、実際にどのように販売していくのか、売却(または購入)するにあたり、どのような費用がかかるのかなど、さまざまな情報を資料としてファイリングしたものをお渡しさせていただき、ひとつずつ丁寧にお話しています。
穂坂潤平(以下、穂坂):なるほど。具体的にはどのような内容になるのでしょうか。
渡邊:例えば、中古物件の場合は、既存住宅売買瑕疵保険に入るためのインスペクション(建物の状況調査)の解説と費用の説明をしたり、ほかの不動産会社からの問い合わせを意図的に断る「囲い込み」はしないという内容も資料にして、しっかりと事前にお話をしています。
あと、売却するときにどのような費用がかかるのかという説明はマストです。お金の話はやはり重要で、売れそうな値段のほか、いくら経費かかって実際自分の手元にいくら残るのかというのは、お客様の一番知りたい部分です。税金については、税理士法に抵触する可能性もあるので、一般的なことしか話せませんが、詳しい話をするなら税理士さんに聞いてくださいね、と促し、必要であれば税理士さんの紹介もします。
販売時も、やはり購入希望者の方に物件パンフレットを作って丁寧に説明します。他社でも説明はされていると思いますが、弊社では、実際どのようなことをやるのかを目に見える形で提案しています。
穂坂:目に見えるとやはり説得力が変わってきますよね。
渡邊:そうですね。お客様が想像できるものであれば問題ないのですが、難しい用語や作業もあるので、想像できないものもあると思うんです。わからない部分を質問しづらくて自分の解釈で捉えてしまい、あとから「あれってそういう意味だったの?」となってしまう可能性もあるわけです。手間はかかりますが、目で見ればお客様は理解しやすいと思いますし、私も話やすいので良い方法だと考えています。
媒介契約までいらないケースもありますが、お客様からは「今回は別の業者さんにお願いすることになりましたが、渡邊さんからいただいた査定書が一番よくできていました」と言っていただけることがあるので、この手法はとても大切にしています。
穂坂:なるほど。ただでさえわかりにくい点を目に見える形で説明してもらえるのは、お客様にとっても安心材料になりますね。
空き家は管理が重要!水回りと庭先の手入れは怠らないこと
渡邊:空き家になっている場合は、管理が非常に大事です。とくに洗面台、トイレ、キッチンなどの水回りはしっかりと排水し、定期的に水を流さなければ、ニオイがこもってしまいます。せっかく綺麗な内装でも、玄関を開けた瞬間に悪臭が漂っているとお客さんのモチベーションが下がってしまって購入までたどり着くのは難しいでしょう。
ニオイが原因で売れないということがないように掃除をして、ニオイを抜くために週に2~3回換気を行うために物件に通うようにしています。
あとは、庭先のお手入れも大切です。草がボーボーだと見た目がよくないので、草むしりをして見栄えが良くなるようにしています。伐採や伐根する木があれば解体業者もこっちで全部手配しますよ、個人で頼むよりは業者さん経由でまとめてやった方が安くできますよというような提案もします。
やはり空き家だからと、放置せずに見栄えよくするお手伝いをすることは大切だと思います。
穂坂:これはお客様にとってはかなり嬉しくて、響く内容だと思います。「そこまでやってくれるんですか!」みたいな、感動があるのではないでしょうか。
渡邊:ええ。そう思います。あと弊社は取り扱っている物件をかなり絞っているのも特徴です。基本的には泉区のほか、泉区に隣接している戸塚区とか栄区の一部だけです。
遠いところでも対応は可能ですし、昔独立前は横浜全域とか川崎とかもやっていたのですが、今は遠方で詳しくわからない地域のことは積極的にはやらないようにしています。もちろん買い替えの場合などは、媒介契約後に現地まで足を運び、その周辺を見て、購入希望者のお客様に説明できるように準備します。しかし、基本的にはエリアを絞って対応している旨はお客様に最初に話してますね。
穂坂:そういうのも大事ですよね。エリアを絞ることで地域に根ざした紹介をできるようになってきますよね。
渡邊:そうですね。
調子の良いことは言わない。否定はせずに正直に伝えるのも優しさ。
──お客様(売主様)の対応で普段から気をつけていることを教えてください。
渡邊:さきほどの話とつながる部分があるのですが、お客様の対応では普段から調子のいいことは言わないようにしています。きちんとお客様の質問には正直に答えていくというスタンスです。 とくにお客様の話はよく聞くよう心がけています。ワーッと一方的に話すような営業担当者もいますけど、私はお客様の話を聞くことをメインにして、それについて答えます。
ときにはその場ではすぐに回答が難しいこともあるのですが、わからない場合は持ち帰って後日、きちんとお答えするようにしています。 また、その場で、答えることで逆に不安感を与えてしまいそうなときには言い回しに気をつけて伝えています。あと身だしなみにも気を配っていますね。 穂坂:そうですよね。やはり質問の答え方というのも、どのように伝えるかによって同じ内容でも全然違ってきますよね。 渡邊:そうですね。なるべく否定的な言い方はしないように心がけています。一度お客さんの話はすべて受け入れた上で、それに対して、回答するなり話をします。 お客様のお話に「それ違いますよ!」と言う人もいると思うんです。もちろん気持ちはわかるのですが、それやってしまうと、もうそこでお客様の話は終わりになってします。
どれだけこちらから正しい話をしたとしても、お客様にはもう伝わらないですし、受け入れてもらえないでしょう。 ですから、ちょっとこの予算では希望条件の家は買えないだろうとか、売れないかもれないと思ったとしても一旦は受け入れてから提案するようにしています。 穂坂:若い人に結構いると聞きます。「お客様の年収からみると、この価格帯の物件しか無理ですね」とか、はっきり。 渡邊:私は絶対にないですね。一応予算に見合う物件と、あと条件に見合う物件両方出して提案します。よく営業の人とか仲間内で話すのですが、本当に欲しい家を見つけたとき、お客様は予算を超えてでも買うんですよ。 穂坂:そうですよね。わかります。買うんですよ! 渡邊:親御さんからお金を借りたり、実は奥さんがへそくりしてて預貯金持ってたり。 穂坂:本当そうなんですよね。 渡邊:本当にひとつのきっかけでしかないんです。本当に欲しい家を買ったお客様は、あとでクレームなどのトラブルにもなりにくい傾向があります。
結局クレームになってしまうのは、自分が望まない物件を家を買ってしまった。あるいは、買わされてしまったからだと私は思います。 穂坂:そういうことですよね。 渡邊:だって、自分が欲しいものを買っていたら文句言わないと思うんです。もちろん、期待してたのにちょっと違うな…と思うこともあると思うんですけど、家は事前にわかるところもたくさんあるので。 穂坂:そうですね。 渡邊:重要事項説明とか自分で現地に行って周り見たりしますしね。だけど、予算の条件とか、「お客様、今契約しないと物件無くなっちゃいますよ!」と焦らされたりして、営業担当者の判断だけで買ってしまった物件の場合には、あとからクレームになることが多いと思います。 穂坂:確かに適当に対応するほどクレームも増えて行きますよね。 渡邊:はい。欲しいものに限界はないんですから。 穂坂:名言出ましたね! 渡邊:本当に欲しいものだったらさ、勢いでも買っちゃいますよね。 穂坂:いや本当にそう思います。
実際に住んでいる人の情報は説得力が違う!居住中の物件は売主様から購入希望者に説明してもらう
──物件を売るためのポイントや注意点があれば教えてください。
渡邊:やはり見栄えを良くする、第1印象を良くするのが必要ですね。例えそれが古い家でもです。古い家でもきちんと手入れされている整理されていればある程度見栄えはします。空き家だったら自分でやるとか、とにかく見栄えを良くします。ニオイのことも。
また、もしも居住中であれば、お客様(売主様)からなるべく購入希望者に説明をしてもらいます。
穂坂:売主様から買主様へということでしょうか。
渡邊:はい。だって住んでる人が話しするのが一番内容わかってるし、説得力が違うと思いませんか。その他の法律的なこととか論理的なことを、不動産屋さんが携わるようなことについて私がいるわけですので。なるべく家や近所周りの事については、住んでる人に話をしてもらうようにしています。実際に住んでいない私が説明しても説得力が無い気がしてしまい…。
穂坂:そうですよね。
渡邊:本当のことを話していたとしても、実際に住んでる人の話と、実際にそのエリアに住んでない不動産で仲介やってる人が話で同じことを言ったとしても、どっちが信頼できますかって話になるんですよ。
穂坂:たしかに。実際住んでる人のほうを信じますよね。
渡邊:そうですよね。なので購入希望者が閲覧に来た人と一緒にその場にいるようならば、その方に話してもらうのが一番だと思います。そう思ってやっていると、売り主さんもだんだん話がうまくなってくるんです(笑)。
「いやあ、私、本当は営業やりたかったんですよ~」と話されるお客様もいるほど。 なのでお客様も結構楽しんでやってくれているのかなと思います。自分の家を売りたい、高く売るためには自分もやっぱり一生懸命になりますしね。
また、女性のほうが部屋の中や周辺への熱量は強いです。例えばお子さんがいればお子さん関係。近所のことも知っていますし、病院やスーパー、幼稚園、保育園の情報までとても詳しいです。とくに保育園とか幼稚園の情報はすごく貴重で重要なんです。そういう理由から売主さんから話してもらうようにしています。
穂坂:確かにそれはとても貴重な情報ですね。
まったく売れなかった物件を2ヵ月以内に成約へ。売買が成功したのは真剣にお客様、物件と向き合った結果
──お客様から特に感謝されたエピソードがあれば教えてください
渡邊:さきほど、中古物件は管理、とくにニオイ対策が大切だと話しましたが、実は、実際にあったケースなんですね。その物件は注文住宅だったんですね。
穂坂:え!そうなんですね。
渡邊:お客様の事情で、住まわれてから1ヵ月くらいしか経っていない物件で。最初は別の業者さんにお願いしていたようで、一括査定の反響が来てから連絡しても全然つながらなかったんです。
3ヵ月ほど経った頃にたまたま電話が繋がって事情を聞くと、売りに出したものの、その業者が放置してしまっていたため全然売れなかったようで、住んでいないのにローンの支払いがあるのが辛いと仰っていて。
それならば、私は地元なのでぜひ見せてくださいと話し、お話も詳しく聞きました。即決での媒介契約はもらえませんでしたが、後ほどお客様のほうから私に任せると連絡をいただきました。
媒介契約を結んでからは、税金まわりのこともお手伝いさせていただきました。住んでいる期間が短かったので、固定資産税都市計画税の確定しないうち空き家になってしまったことで、確定するために役所の人が物件に来る日にお客様と一緒に立ち会いました。
建物購入時の設計図書や権利書のコピーなども、現在お客様の住んでいる県まで行き、そこらのコンビニでコピーをとり、それでまた事務所に帰ってきて…ということをしました。
また、私は絶対に囲い込みはしません。案内したい業者さんがいたら必ず案内してもらいます。空き家でもキーボックスを現地付けっぱなしもしませんし、向こうの不動産の担当もやりにくくなるので立ち合いもしません。鍵の受け渡しや内覧の時間帯などは事前に電話などで詳細に決めて、不動産会社もやりやすいように気遣いをしています。
穂坂:すごいですね。ここまでやれる方は少ないと思います。
渡邊:結局、反響のあったうちのひとつが、徒歩5分までいかないところのアパートに住んでいるご家族だったんです。内覧に来て2回目くらいで成約しました。販売を開始してからひと月半ぐらい、2ヵ月は経ってなかったと思います。しかも買ったときよりも高く売れたんです。この案件は本当に感謝されましたね。「渡邊さんにお任せしてよかったです。」というLINEは今でも大事に残しています。
穂坂:え!すごいですね。素晴らしいです。これは両者にとってとても嬉しいエピソードですね。
渡邊:ありがとうございます。
売る物件ではなく、どうしたら売れるのかを提案していく力を養うことが大切
──数多ある不動産会社の中から選ばれるために意識していることがあれば教えてください。
渡邊:私のような小さい会社を利用してくださるということを非常にお客様には感謝しています。 1人社長でやってる会社に、何千万円の自分の資産を預けて、売却して、買い手見つけて引き渡しして、お金のやりとりまで任せるわけじゃないですか。普通に考えたら怖いですよね。それを任せてくれるっていうのは、本当に感謝しています。
なので、自分がやれることはやるようにしています。売る物件を集めるのではなく、どうしたら売れるかというのをお客様に提案していくようにしています。
多くの営業担当者は売る物件を集めるのが仕事になりがちです。1ヵ月で売る物件を何件集めるとか、ある程度自分の裁量で決められる部分もあるので、この物件は受けない方がいいかなとか、集客できる物件の方がいいなとか。でもそうではなくて、ひとつひとつの物件と真面目に向き合うことが大切なんです。
囲い込みをせず、高く売れるようにするためにどうしたらいいかというのは、常々考えています。会社が小さい分、ブログとかを書いて訴求はしています。ただし、あまり広告には力を入れていません。
穂坂:そうなんですね。それはなぜですか?
渡邊:費用をかけて広告をバンバンうつのもいいですが、やはり予算に限りもありますし、私の事務所がある地域は年配の方が多いので、ネット広告とかの訴求はあまり合わないと考えているからです。機会があったら、駅とかに看板を出せればいいなという感じです。
とはいえ、媒介契約を結んだ物件は一般的なポータルサイトに情報を載せます。その場合は、弊社のホームページを見てもらえるような工夫をしたりしています。目立たず真面目にコツコツと頑張っています。
穂坂:本当に、コツコツ真面目にするというのは、難しいことであり、お客様への最高のサービスだと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。
>>フォーティセブン不動産株式会社の詳細を見る「ズバット 不動産売却」営業担当 穂坂より一言
穂坂 潤平(ほさか じゅんぺい) 宅地建物取引士。仲介営業13年(宅建は新卒の時に取得)、不動産仲介会社起業3年の経験を経てウェブクルーに入社。趣味は何でも遊びにすること。仕事では「喜ばれる仕事をして、自らも喜ぶこと」をモットーに日々ご提案しております!
今回インタビューさせていただいたのは、フォーティセブン不動産株式会社渡邊様です。
渡邊様はお一人で営業されており、受け持った不動産に関して売れるために様々なご提案をされていました。特に印象的だったことは良いことばかりではなく悪いことも正直お伝えしている点です。お客様一人一人に対して本当に真摯に対応しているという印象でした。
もしお近くで不動産についてお困りの方、ぜひ一度渡邊様へご相談してみてください!