マンションの維持費は月々どれくらいかかる?抑えるポイントも解説

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マンションの維持費は月々どれくらいかかる?抑えるポイントも解説

マンションを購入すると、修繕積立金や固定資産税などの維持費の支払いが必要です。維持費の中には必ず支払わなければならないもののほかに、居住者の利用状況に応じて支払いが発生するものもあります。

マンションの購入を検討している人の中には、維持費にはどのようなものがあり、どのくらいの金額がかかるのか不安な人も多いのでしょう。想像以上に高額になるケースもあるため、事前にシミュレーションしておくと安心です。

この記事では、マンションの維持費の内容や抑えるポイントを中心に解説します。マンションと戸建ての維持費を比較したシミュレーション結果も解説するので、購入を検討する際に役立ててください。

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【監修】穂坂 潤平 宅地建物取引士。仲介営業13年(宅建は新卒の時に取得)、不動産仲介会社起業3年の経験を経てウェブクルーに入社。趣味は何でも遊びにすること。仕事では「喜ばれる仕事をして、自らも喜ぶこと」をモットーに日々ご提案しております!

マンションの維持費は何がかかる?

マンションの維持費は何がかかる?

最初に、マンションの維持費にはどのようなものがあるのかを確認しておきましょう。大きく分けると次の5つのカテゴリーに分類されます。

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 税金(固定資産税・都市計画税)
  • 保険料(火災保険・地震保険)
  • そのほか

各カテゴリーを詳しく見ていきましょう。

管理費

管理費とは、マンションの共用部分の管理やメンテナンスにかかる費用です。建物を良好な状態に保ち、すべての居住者が共用部分を気持ち良く利用するためには、欠かせない費用です。

居住者は、マンションを所有している限り毎月支払う必要があります。具体的には、次のようなものが含まれます。

  • 清掃費用
  • 電気代
  • 水道料金
  • 管理人の人件費
  • ゴミの処分費用
  • エレベーターや貯水槽の保守点検費用
  • 火災保険料
  • 損害保険料

金額は、建物の形態や専用面積の広さ、地域などによって異なります。参考までに、国土交通省のデータを紹介します。

項目 平均金額(月/1戸あたり)
形態別 単棟型(ひとつの敷地に1棟) 3階建以下:14,965円
4~5階建:16,892円
6~10階建:15,307円
11~19階建:16,155円
20階建以上:25,069円
団地型(ひとつの敷地に複数棟) 2~3棟:15,128円
4~5棟:15,937円
6~10棟:12,582円
11~20棟:12,335円
21~50棟:8,845円
51棟以上:31,438円
地域別 北海道:15,190円
東北:16,550円
関東:16,096円
北陸/中部:16,947円
近畿:16,240円
中国/四国:14,590円
九州/沖縄:15,057円
都市圏別 東京圏:16,442円
名古屋圏:16,893円
京阪神圏:16,848円
出典元:国土交通省「平成30年度マンション総合調査」

20階建以上のタワーマンションは、ほかの単棟型に比べて10,000円程度高いことがわかります。地域別の金額は北陸・中部、都市圏別では名古屋圏がほかのエリアを若干上回っています。

金額は築年数でも違いがあるため、中古マンションの購入を検討している人はチェックしておきましょう。以下では、首都圏の築年数別の平均金額を紹介します。

項目 平均金額(月/1戸あたり)
築年数 築10年以内:14,690円
築11~20年:13,860円
築21~30年:12,487円
築30年超:9,619円
出典元:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2021年度)」

築年数別では、建物が新しいほど金額が高いことがわかります。管理費は各マンションの管理組合が決めるため、同じエリアの類似物件でも金額に差が生じることもあります。

また、当初決められた金額が今後続くとは限らず、状況によっては上下する可能性もあるのが現状です。

修繕積立金

修繕積立金とは、建物の修繕に備えるための費用です。マンションは、12~15年に1回の頻度で大規模修繕が必要です。工事には多額の費用がかかるため、月に一度管理費と併せて居住者から集められます。

金額は、管理費と同様に建物の形態や地域などによって異なります。国土交通省のデータによると、一戸あたりの平均金額(月額)は次の通りです。

項目 平均金額(月/1戸あたり)
形態別 単棟型(ひとつの敷地に1棟) 3階建以下:10,340円
4~5階建:13,631円
6~10階建:12,078円
11~19階建:10,872円
20階建以上:13,699円
団地型(ひとつの敷地に複数棟) 2~3棟:14,158円
4~5棟:17,111円
6~10棟:13,398円
11~20棟:11,044円
21~50棟:14,754円
51棟以上:7,617円
地域別 北海道:14,206円
東北:11,739円
関東:14,421円
北陸/中部:11,421円
近畿:11,537円
中国/四国:9,948円
九州/沖縄:11,804円
都市圏別 東京圏:14,745円
名古屋圏:11,401円
京阪神圏:11,834円
出典元:国土交通省「平成30年度マンション総合調査」

表を見ると、タワーマンションや関東エリアの金額が高いことがわかります。続いて、首都圏の築年数別の平均金額(月額)を紹介します。

項目 平均金額(月/1戸あたり)
築年数 築10年以内:9,061円
築11~20年:13,331円
築21~30年:12,569円
築30年超:10,704円
出典元:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2021年度)」

築年数別では築10年以内が低く、築11年を過ぎると数万円程度増加していることがわかります。金額を決めるのは、管理費と同様に管理組合です。組合員の長期滞納などにより計画通りの費用を集められない場合は、値上げされる可能性もあります。

税金(固定資産税・都市計画税)

固定資産税とは、毎年1月1日時点でマンションや土地などの不動産を所有している人に対して課せられる地方税です。エリアによっては、固定資産税と併せて都市計画税がかかります。都市計画税とは、市街化区域内に不動産を所有している人に対して課せられる地方税です。

それぞれの計算式は、次の通りです。

税金の種類 計算式
固定資産税 固定資産税評価額×1.4%
都市計画税 固定資産税評価額×上限税率0.3%

どちらも、固定資産税評価額をベースに税額を算出する仕組みです。固定資産税評価額とは、固定資産評価基準に基づいて各自治体が定める評価額です。金額は一定ではなく、3年に1回の頻度で見直されます。

保険料(火災保険・地震保険)

火災や地震による損害への備えとして、保険の加入も検討しなければなりません。特に住宅ローンを組む際は、建物が担保となるため、火災保険の加入は必須です。料金は月々ではなく、契約の際に、1~10年分(2022年10月以降は最長5年)をまとめて支払うのが一般的。

住宅ローンを組む際でも地震保険の加入は必須でないため、居住者の希望で加入の有無を決められます。ただし、地震保険は単体で加入できず、火災保険とセットでしか加入できません。それぞれの保険料は、マンションのあるエリアや補償内容によって変動します。

加入する保険の種類 保険料の相場(1年間あたり)
火災保険のみ 30,000円~52,000円程度
火災保険+地震保険 90,000円~11万円程度

そのほか

マンションでは、居住者の利用状況に応じて次の維持費がかかる場合があります。各項目の金額の目安は、1戸あたりの月額です。

  • 駐車場代:5,000円~30,000円程度
  • 駐輪場代:500円程度
  • トランクルーム使用料:1,000円程度
  • 専用庭使用料:1,000円程度
  • ルーフバルコニー使用料:1,000円程度 など

それぞれの金額はエリアによって異なりますが、無料に設定されていることもあります。

マンションの管理費・修繕積立金は高くなっていく

マンションの管理費・修繕積立金は高くなっていく

管理費や修繕積立金は一律ではなく、基本的に築年数が経つに連れて高くなっていくケースが多いです。その理由に次のような点が挙げられます。

  • 築年数に応じて修繕の必要性が高くなるから
  • 総戸数が少なく一戸あたりの負担額が多いから
  • 機械式駐車場の電気代やメンテナンス費用がかかるから
  • ディスポーザー排水処理システムの電気代やメンテナンス費用がかかるから
  • 管理費や修繕積立金の滞納者がいるから
  • 工事費用や工事材料の値上げや消費税の増税があるから
  • 大規模修繕を迎える時期に建築資材や人件費が高騰すると、集めた金額では賄えず、やむを得ず値上げに踏み切るケースも少なくありません。

マンションの維持費を抑えるポイント

マンションの維持費を抑えるポイント

マンションの維持費は、想像以上に家計の負担になる可能性もあります。後悔しないためにも、購入前に次のようなポイントを確認しておきましょう。

管理費・修繕積立金の収支状況を確認する

購入を検討しているマンションの管理費や修繕積立金の収支状況は、「重要事項に関わる調査報告書」で確認できます。報告書は、仲介の不動産会社を経由してマンションの管理組合から取得しましょう。

値上げのリスクが高いのは、滞納者や空室が多いケースです。滞納者が多いと、近い将来に値上げせざるを得ない状況になる可能性があります。値上げの予定がある場合は報告書に記載されているため、必ずチェックしましょう。

管理費・修繕積立金の内容を確認する

購入を検討している物件の維持費が高い場合は、理由を確認してみましょう。マンションによってはセキュリティ面がしっかりとしており、支払う金額に見合う価値を提供してくれている可能性があります。

管理費や修繕積立金が高いマンションの特徴は、次の通りです。

  • 総戸数が少ない
  • 豪華な設備や施設がある
  • 電灯が明るすぎる
  • 管理人や清掃員、警備員が多い
  • タワーマンション など

ラグジュアリーなマンションには、スポーツジムやバーなどの居住者専用施設が設置されていることもあります。しかし、施設を運営するにはそれなりの金額がかかるため、管理費や修繕積立金が高く設定されているケースが多いです。

一方で、管理費や修繕積立金が安すぎる場合も注意が必要です。管理状況が悪かったり共用部分のメンテナンスが行き届いていなかったりするケースもあります。

きちんと管理されていないマンションは劣化につながるため将来的に価値が下がりやすくなりあす。また今は安くても将来的に不足分を補うために値上がりする可能性もあるため、金額の安さだけで選ばないようにしましょう。

保険料を比較し安い保険を探す

火災保険や地震保険の保険料は、加入する保険会社によって異なります。保険会社には代理店タイプとネットタイプがありますが、ネットタイプのほうが保険料が安い傾向にあります。補償内容と保険料のバランスを見ながら、複数社を比較して選ぶことが大切です。

手続きに不安がある場合や細かく相談したい場合は、専属の担当者と対面でやり取りできる代理店タイプを選ぶといいでしょう。

車が必要か検討する

居住者の利用状況に応じてかかる費用の必要性を見直すのも大切です。例えば車をほとんど利用しない場合は処分すると、月々の駐車場代の支払いが不要です。保険料や車検代などの費用も抑えられるため、大幅なコストダウンが期待できます。

マンションと戸建ての維持費はどちらが安い?

マンションと戸建ての維持費はどちらが安い?

戸建ての場合、マンションのように管理費や修繕積立金の支払いは不要です。その代わり建物の修繕やメンテナンス費用は、所有者自身で捻出する必要があります。最後に、マンションと戸建ての維持費はどちらが安いかを解説します。

マンションと戸建ての維持費を比較

まずは、それぞれにかかる維持費の違いをチェックしてみましょう。

物件種別 維持費の種類
戸建て 修繕費用
税金(固定資産税・都市計画税)
保険料(火災保険・地震保険)
庭や各種設備のメンテナンス費用、警備代 など
マンション 管理費 修繕積立金
税金(固定資産税・都市計画税)
保険料(火災保険・地震保険)
駐車場代やトランクルーム使用料 など

戸建ての場合、費用のすべてを自分で賄う必要があります。庭があれば庭の手入れ費用、防犯対策費用などです。

しかし自分の裁量で決められます。例えば防犯カメラや防犯ライトで十分という人もいれば、セキュリティをより強化するために警備会社に依頼する人もいるでしょう。このようにかかる金額や修繕費用は人それぞれです。

ただし、戸建ては管理費や駐車場代が発生しないため、マンションよりも維持費が抑えられる印象です。

マンションと戸建ての維持費をシミュレーション

次に、実際にどのくらいの金額がかかるかをシミュレーションでチェックしましょう。シミュレーションにあたってのマンションと戸建てそれぞれの条件は、次の通りです。

マンション 居住想定年数:20年
管理費:12,480円/月
修繕積立金:11,071円/月
固定資産税・都市計画税:12万円/年
火災保険料:40,000円/10年
※駐車場やトランクルームなどの使用はなし
戸建て 居住想定年数20年
固定資産税・都市計画税:10万円/年
火災保険料:80,000円/10年
修繕の有無:外壁1回・シロアリ対策1回

居住年数を20年と想定した場合のシミュレーション結果は、次の通りです。

物件種別 維持費の種類 20年間でかかる費用の目安
マンション 管理費 240万円
修繕積立金 265万7,040円
税金(固定資産税・都市計画税) 240万円
保険料 80,000円
駐車場代やトランクルーム使用料 など なし
戸建て 修繕費用 175万円
税金(固定資産税・都市計画税) 200万円
保険料 16万円
庭のメンテナンス費用・警備代など なし

保険料は、マンションよりも戸建てのほうが高い傾向にあります。この理由は、鉄筋コンクリート造のマンションのほうが法定耐用年数が長く、火災や自然災害による被害を受けにくいからです。

戸建ては毎月管理費や修繕積立金の支払いが不要ですが、状況に応じて外壁や屋根、床下の修繕、シロアリ対策を行う必要があります。修繕はそれぞれ20年に1回は行っているケースが多く、すべてに対応した場合は総額で360万円程度です。

仮に1年間で18万円、月に15,000円積み立てれば、各種修繕に対応できる計算になります。戸建ての修繕にかかる総額は、マンションで管理費と修繕積立金を毎月20年間支払った総額には及びません。総合的に見ると、20年間で支払う金額はマンションよりも戸建てのほうが低い印象です。

マンションの維持費は事前に計算してみよう

マンションの維持費は事前に計算してみよう

維持費は購入するマンションや居住者の利用状況などによって変動するため、事前にシミュレーションしておくことが大切です。管理費や修繕積立金は、周辺の類似物件と比較して高いか低いかをチェックしましょう。

インターネット上には、部屋の面積や戸数などを入力するだけで管理費や修繕積立金のシミュレーションができるウェブサイトもあります。管理費や修繕積立金は維持費の大部分を占めるため、購入前にシミュレーションしてみてください。

この記事についてのおさらい

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