専任媒介契約のメリット・デメリット|どんな人に向いてるの?
土地やマンションなどの不動産を売却する場合、不動産会社に仲介を依頼するケースがほとんどです。そのような場合は、売り手と不動産会社で媒介契約と呼ばれる契約を結びます。
媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。それぞれ特徴が異なりますが、専任媒介契約は一般媒介契約と専属専任媒介契約の中間的な位置づけです。
この記事では、専任媒介契約のメリット・デメリットをわかりやすく解説します。不動産会社の選び方も併せて解説しているので、不動産の売却で専任媒介契約を結びたいと考えている人はご参考ください。
【監修】穂坂 潤平 宅地建物取引士。仲介営業13年(宅建は新卒の時に取得)、不動産仲介会社起業3年の経験を経てウェブクルーに入社。趣味は何でも遊びにすること。仕事では「喜ばれる仕事をして、自らも喜ぶこと」をモットーに日々ご提案しております!
専任媒介契約とは
3種類ある媒介契約で決められているルールは、おもに契約期間・契約可能な不動産会社数・自己発見取引・レインズへの登録義務・活動状況の報告義務です。ルールはそれぞれ異なり、すべてが共通する項目はひとつとしてありません。
専属専任売却契約と専任媒介契約の特徴は、契約可能な不動産会社数が1社に限られ、レインズへの登録義務や活動状況の報告義務がある点です。
それに対して一般媒介契約は複数の不動産会社と契約可能ですが、レインズへの登録義務は任意で活動状況の報告義務がありません。ここでは専任媒介契約のルールを紹介していきます。
契約期間 | 上限:3ヵ月 |
---|---|
契約可能な不動産会社数 | 1社のみ |
自己発見取引の可否 | 可 |
レインズへの登録義務 | 契約締結後7日以内 |
活動状況の報告義務 | 2週間に1回以上 |
契約期間
売り手と不動産会社で媒介契約を結ぶ際には、契約期間の取り決めが行われます。しかし、何ヵ月でも自由に設定できるわけではありません。
宅地建物取引業法の第34条の2第3項及び4項では、契約期間の上限が3ヵ月と明記されていますが、これは法律で定められた上限でしかないため、上限を超えない範囲であれば1ヵ月や2ヵ月などの短期間での契約も可能です。
もっと詳しく知りたい方は下記の記事もおすすめです。
契約可能な不動産会社
一般媒介契約は複数の不動産会社と契約可能ですが、専任媒介契約の場合は1社に限られます。しかし、このルールは決してデメリットではありません。
売買契約が成立した場合、不動産会社は売り手から仲介手数料と呼ばれる報酬が得られます。複数社と契約可能な一般媒介契約では、ほかの不動産会社で売買契約が成立すれば報酬は得られません。
専任媒介契約は不動産会社にとって利益につながりやすいため、売却活動が期待できます。
また、一般媒介契約のようにほかの不動産会社と同時に契約できませんが、相談だけなら問題ありません。専任売却契約の契約期間満了後は、同じ不動産会社で契約更新するか、またはほかの不動産会社と新たな契約を結びます。
自己発見取引の可否
3種類ある媒介契約のうち、自己発見取引が可能なのは専任媒介契約と一般媒介契約です。自己発見取引とは、売り手自身が買い手を見つけた場合に、不動産会社を介さずに直接取引きする行為を指します。
不動産会社を介して取引きした場合、売り手と買い手それぞれで仲介手数料の支払いが必要です。しかし、自己発見取引では仲介手数料が発生しないので、不動産を売買する際にかかるコスト削減につながります。
レインズへの登録義務
専任媒介契約と専属専任媒介契約には、レインズへの登録義務があります。レインズは「Real Estate Information Network System」の略称で、国土交通大臣の指定を受けた公益財団法人不動産流通機構が運営する不動産情報システムのことです。
全国の不動産会社がレインズを通じて物件情報を閲覧できるため、登録すると買い手が見つかりやすくなります。専任媒介契約では、契約から7日以内の登録が必要です。
不動産会社がレインズに物件情報を登録すると、内容が記載された登録証明書と呼ばれる書類が発行されます。登録証明書にはウェブサイトのURLやID・パスワードなどが記載されており、ログインするときちんと登録されているかどうかをチェックできます。
不動産会社は登録証明書を売り手に発行する義務もあるため、受け取っていない場合は担当者に確認しましょう。
活動状況の報告義務
専任媒介契約と専属専任媒介契約には、不動産会社から売り手に活動状況の報告義務があります。専任媒介契約の場合、報告を受ける頻度は2週間に1回以上。電話・メール・文書など、形式に決まりはありません。
報告内容は、おもに売却活動の内容や問い合わせ件数、内覧希望者数などが挙げられます。定期的に報告を受けるメリットは、今の売出価格で売れそうかどうかを把握できる点です。
また、報告形式は契約の際に選べますが、記録に残しておきやすい電話以外の手段が良いでしょう。
専任媒介契約のメリット
公益財団法人不動産流通機構の調査によると、レインズに登録した人の媒介契約は専任媒介契約の割合が多いことがわかっています。
専任媒介契約は一般媒介契約と専属専任媒介契約の中間的な位置づけなので、不動産会社から提案されるケースも少なくありません。
専任媒介契約のメリットは、おもに次の3つです。
- スピーディな売却を目指せる
- 活動状況を把握しやすい
- 不動産独自の特典・サービスを受けられる場合がある
ここでは、専任媒介契約のメリットをそれぞれ解説していきます。
スピーディな売却を目指せる
不動産の売却にかかる期間は、平均で3~6ヵ月と言われています。できるだけ早く売却したい場合は専任媒介契約がおすすめです。
仲介媒介では売買契約が成立すると、不動産会社は仲介した相手から仲介手数料が得られます。専任媒介契約は契約可能な不動産会社が1社に限られ、不動産会社が買い手を見つけた場合は確実に利益を得られるため売却活動を積極的に行ってもらいやすいからです。
それに加えて専任媒介契約にはレインズへの登録義務があるので、よりスピーディな売却を目指すことが可能です。
活動状況を把握しやすい
一般媒介契約では、売却活動の報告義務は任意ですが、専任媒介契約では2週間に1回以上の頻度で報告が受けられます。また、複数の不動産会社と契約可能な一般媒介契約の場合、活動状況に動きがあった際の窓口がひとつにはなりません。
その点、専任媒介契約は契約する不動産会社が1社に限られているため、窓口を一本化できる点がメリットです。一般媒介契約に比べると不動産会社とのやり取りの手間が少なく、活動状況も把握しやすいでしょう。
不動産会社独自の特典・サービスを受けられる場合がある
契約可能な不動産会社が1社に限られる専任媒介契約では、売買契約が成立すると売り手から仲介手数料を確実に得られます。
売買契約をほかの不動産会社に先制される心配がないため、特典やサービスを用意して顧客の獲得に繋げているのです。
例えばハウスクリーニングや設備補修費用の負担、一定期間内に売却できなかったときの買取保証などが挙げられます。
専任媒介契約のデメリット
3種類ある媒介契約の中でも、専任媒介契約を選ぶ人の割合は多い傾向にあります。しかし、メリットだけでなくデメリットも把握し、自身にとってメリットがどれだけ大きいかを検討の軸にしましょう。
専任媒介契約のデメリットは、おもに次の3つです。
- 解約の理由によっては違約金が発生する
- 囲い込みに遭うリスクがある
- 希望通りに売却できるかは不動産会社に左右される
ここでは、専任媒介契約のデメリットをそれぞれ解説していきます。
解約の理由によっては違約金が発生する
専任媒介契約を結ぶ際には売り手と不動産会社が協議し、上限の3ヵ月を超えない範囲の契約期間を決定します。何かしらの事情で契約を終了したい場合は、不動産会社に申し出れば解約可能です。
しかし、解約理由が自己都合の場合の場合は、不動産会社から違約金を請求される可能性があるので注意しましょう。
違約金の内容は、おもに交通費や権利関係の調査費用、広告費などが挙げられます。契約期間の満了時にそのまま更新せずに終了する場合は、どのような理由であっても違約金は発生しません。
もっと詳しく知りたい方は下記の記事もおすすめです。
囲い込みに遭うリスクがある
囲い込みとは、不動産会社が売り手と買い手の両方から仲介手数料を得たいがために、ほかの不動産会社からの買い手の紹介や問い合わせを売り手の許可なく断る行為です。利益優先で専任媒介契約に持ち込む悪徳業者も存在するため、不動産会社選びは慎重に行いましょう。
囲い込みに遭わないためには、レインズへの登録状況を確認したりほかの不動産会社に相談したりするといいでしょう。
レインズへの登録を確認
専任媒介契約の場合、契約から7日以内にレインズへの登録が義務づけられており、登録後は登録証明書の発行が可能です。
レインズに登録すれば全国の不動産会社が物件情報を閲覧できるため、買い手が見つかりやすくなります。
登録証明書に記載されている内容は、物件情報やID・パスワードなどです。最初から囲い込みを狙い、故意にレインズへの登録を怠っている可能性もあります。そのため、不動産会社から登録証明書を受け取るようにしましょう。
ほかの不動産会社に相談
専任媒介契約で、契約できる不動産会社数は1社に限られます。しかし、契約期間中であっても、ほかの不動産会社に相談自体は可能です。
例えば登録証明書に記載されているIDとパスワードを使ってレインズにログインし、取引状況のステータスをチェックしてもらいましょう。身に覚えがないのにステータスが商談中になっている場合は、囲い込みの可能性が疑われます。
希望通りに売却できるかは不動産会社に左右される
不動産の売却を成功に導くためには、売却活動を依頼する不動産会社の手腕次第と言っても過言ではありません。不動産会社選びに失敗した場合、スピーディかつ高値での売却は難しいでしょう。
特に1社としか契約できない専任媒介契約は、不動産会社選びが重要です。しかし、不動産会社に対して不信感を抱いて契約期間中に自己都合で解約すると、違約金が発生する可能性があります。
不動産会社選びを成功させるためには、一括査定サイトの利用がおすすめです。一括査定サイトは、インターネットを介して複数の不動産会社に一括で査定を依頼できるサービスです。査定額だけでなく、担当者とのやり取りを通じて信頼できる不動産会社を見つけやすくなります。
専任媒介契約が適している人
専任媒介契約は一般媒介契約と専属専任媒介契約の中間的な位置づけなので、契約する人も多い傾向にあります。
専任媒介契約は次のような人におすすめです。
- 最小限の手間で売却したい人
- どの媒介契約を選ぶか迷っている人
- 早く売却したい人
専任媒介契約は、不動産会社とのやり取りが最小限の手間で済みます。契約可能な不動産会社が1社に限られるため、窓口を一本化できることが特徴です。
また、不動産会社が売却活動を積極的に行ってくれやすい点や自己発見取引が認められている点により、スピーディな売却が期待できます。
3種類ある媒介契約のどれを選ぶか迷っている場合は、中間的な位置づけの専任媒介契約で様子を見るのも手段のひとつです。
専任媒介契約を結ぶ不動産会社の選び方
専任媒介契約は1社としか契約できないため、不動産の売却を成功に導くためには不動産会社選びが重要です。ここでは専任媒介契約を結ぶ不動産会社の選び方を解説します。
得意分野や売買実績をチェック
不動産会社の規模は大手から地域密着型まで幅広く、数も多いですが、得意分野や売買実績はさまざまです。そのため、不動産会社を選ぶ際には売却したい物件種別の売買が得意なところを見つけましょう。
例えば土地を売却したい場合は、土地の売却が得意で売買実績が豊富な不動産会社を選ぶと良いです。得意分野や売買実績は、不動産会社の公式サイトや広告などでチェックできます。
また、得意分野や売買実績は大手だから優れているとは限りません。不動産会社の規模にこだわらず、大手から地域密着型まで大小さまざまなところを検討するのがおすすめです。
免許の取得状況をチェック
不動産会社を選ぶ際には、免許の取得状況を確認しましょう。宅地建物取引業法では、不動産取引業を営む業者は、不動産取引業の免許の取得が義務づけられているからです。
免許の認可を行うのは国土交通省または各都道府県で、不動産会社の営業範囲に応じて異なります。
不動産会社の公式ウェブサイトや広告などには、免許番号が記載されているケースがほとんどです。免許番号の横にあるカッコ内の数字は免許の更新回数を示しており、数が多いほど営業年数が長いことがわかります。
担当者の信頼性をチェック
売却したい物件種別と得意分野や売買実績にマッチした不動産会社を見つけても、信頼できる担当者に出会えるとは限りません。
担当者ごとに営業能力や人間性はさまざまなので、問い合わせや査定でやり取りする際に信頼できるかどうかを見極めましょう。
- 売り手の希望をきちんと聞いてくれる
- プラス面だけでなくマイナス面も説明してくれる
- 査定額の根拠をはっきり説明してくれる など
上記に当てはまる担当者に出会えた場合、不動産の売却を成功に導いてくれる可能性が期待できます。
専任媒介契約の特徴を把握して不動産売却を成功に導こう
専任媒介契約は、契約可能な不動産会社は1社に限られますが、レインズへの登録義務や自己発見取引が認められているのでスピーディな売却も期待できます。しかし、悪徳業者と契約してしまうと囲い込みに遭うリスクがあるため、不動産会社選びは慎重に行いましょう。
「ズバット 不動産売却」では、厳選した不動産会社と提携しており、最大6社へ同時査定の依頼が可能なため、効率よく不動産会社を探すことが可能です。独自基準で厳選した不動産会社と提携しているため、不動産会社探しに最適です。