不動産売却で売主が用意すべき必要書類と入手方法

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不動産売却を依頼する際には、売却活動や契約のために複数の書類を用意する必要があります。売主自身で作成するもの、役所へ出向いて入手が必要なものなどがあり、そろえるまでに時間がかかることもあります。

必要書類を事前に準備しておけば、売却の手続きをスムーズに進められます。

この記事では、不動産売却で売主が準備すべき書類を、必須書類と任意書類に分けて紹介します。不動産売却を考えている方は、ぜひお役立てください。

不動産売却の全体的な流れについては、次の記事で紹介しています。

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【監修】遠藤秋乃(えんどう あきの) 大学卒業後、メガバンクの融資部門での勤務2年を経て不動産会社へ転職。 転職後、2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。知識を活かして相続準備に悩む顧客の相談に200件以上対応し、2017年に退社後フリーライターへ転身。

不動産売却の依頼時に必要な書類

まずは、不動産売却を依頼する際に必要な書類と、その取得先をまとめて紹介します。任意書類は価格交渉に影響を与えることもあるため、できる限り準備するとよいでしょう。

「〇」......必須
「△」......場合によって必要、またはあるとよい
「-」......不要
  必要書類 書類の取得先 書類の必要有無
戸建て マンション 土地
必須 本人確認書類 売主が保有
実印・印鑑証明書 売主が保有
登記済権利証または登記識別情報 売主が保有
固定資産税納税通知書または固定資産税評価証明書 市区町村役場
物件状況報告書 売主が作成
付帯設備表 売主が作成 -
マンションの管理規約または使用細則・マンション維持費に関する書類 マンションの管理会社 - -
場合によって必要、またはあるとよい 住民票 市区町村役場
建築確認済証および検査済証 売主が保有
地積測量図・境界確認書 地積測量図:法務局または調査を依頼した会社
境界確認書:調査を依頼した会社
建築設計図書・工事記録書 売主が保有
ローン残高証明書 借り入れをしている金融機関
パンフレットなどの広告資料 売主が保有
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書 調査を依頼した会社
【監修者コメント】
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売却相談する時は、ひとまず「本人確認書類」「実印・印鑑証明書」「登記済権利証または登記識別情報」さえあればOKです。いずれも物件所有中は手元で保管するものであり、見当たらないものは探しましょう。

不動産売却時の必須書類

不動産売却時の必須書類

不動産売却時に、必ず用意しなければならない書類を紹介します。不足があると売却の手続きが進められないため、漏れがないことを確認しましょう。

本人確認書類

本人確認書類として、次のような公的書類を用意します。

  • 運転免許証※
  • マイナンバーカード※
  • パスポート
  • 各種保険証
  • 国民年金手帳
  • 介護保険被保険者証

※外国籍の場合、在留カードまたは特別永住者証明書が必要です。

顔写真が付いていない本人確認書類の場合、本人確認のできる書類を2点求められることもあります

相続物件を売却する場合や、家族で不動産の名義を共有している場合など、不動産の所有者が複数いる場合は、所有者全員の本人確認書類が必要です。所有者が遠方に住んでいると取り寄せるのに時間がかかることもあるため、早めに準備を始めるとよいでしょう。

実印・印鑑証明書

不動産売買の契約書を作成する際には、実印の押印を求められます。実印とは、居住する市区町村に登録の届出をした印鑑のことです。不動産会社によっては認め印でもよい場合もありますが、実印を用意しておくとよいでしょう。

実印が本物であることを証明する書類が印鑑証明書で、実印とあわせて準備が必要です。市区町村役場の窓口で発行してもらうか、マイナンバーカードを持っていればコンビニのコピー機(行政サービスメニューがあるもの)でも発行できます。

印鑑証明書には有効期限があります。発行から3か月以内のものを準備しましょう。本人確認書類と同様に、不動産の所有者が複数いる場合は全員分の印鑑証明書が必要です。

ただ、売主が外国籍だと、在留期間3か月未満もしくは日本に住所がない場合は、印鑑登録の手続き自体ができないため、証明書の交付もできません。上記のケースでは、印鑑証明書の代替として、自国の公証役場・在日大使館のいずれかで取得できる「認証を受けた宣誓供述書」か、自国の在日大使館または自国の官憲が発行する「サイン証明書」を提出します。

登記済権利証または登記識別情報

登記済権利証は「権利証」とも呼ばれており、不動産の所有者本人であることを正式に証明する書類です。平成17年以降に取得した物件であれば、「登記識別情報」という名称の書類が発行されています。

権利証は不動産の取得時に法務局から交付されるもので、売主が保管します。紛失した場合の再発行はできませんが、「事前通知」や「司法書士等の資格者による情報提示」などをもって権利証の代わりにできます。

固定資産税納税通知書または固定資産税評価証明書

固定資産税納税通知書とは、固定資産税の納税額や所有する不動産の評価額、支払い期限などが記載された書類です。自治体から不動産の所有者宛に毎年送付されており、移転登記の際、登録免許税の算出のために提出を求められます。

固定資産税がわかると、物件を適切な価格で売却する根拠になります。紛失した場合は、市町村役場で固定資産税評価証明書を発行してもらいましょう。

物件状況等報告書

物件状況等報告書とは、売却する不動産の現状を詳細に記した書類で、買主への説明のために売主が作成します。記載する内容は、雨漏りや増改築、リフォーム、修繕の履歴、シロアリの被害に関することなど、物件の詳細な状態や状況です。

譲渡前に物件の欠陥や故障を把握していながら買主に知らせなかったと判断されると、損害賠償などのトラブルに発展する可能性があります。基本的には仲介会社からフォーマットが共有され、書き方の説明もありますが、内容は売主の責任で記載しなければなりません。

物件状況等報告書は本来、売買契約を結ぶ際に必要な書類ですが、売却の依頼や買い手の募集などに使用されます。売買契約の前に提出を求められることが多いため、早めの準備が必要です。

付帯設備表

付帯設備表とは、不動産を買主に引き渡す際に、設置されている設備を記載する書類です。次のような設備の内容をすべて記載します。残していく家具や家電がある場合にも記載が必要です。

  • キッチン
  • トイレ
  • お風呂
  • 照明
  • エアコン
  • 給湯器
  • 家具
  • 家電

物件状況報告書と同様に、基本的には仲介会社から説明があり、フォーマットが共有されます。付帯設備表も売買契約を結ぶ際に必須となる書類ですが、依頼時に確認することが多いため、前もって設備や家具の取り扱いについて考えておきましょう。

マンションの管理規約または使用細則・維持費に関する書類

マンションの管理規約または使用細則・維持費に関する書類は、マンションを売却する場合に必要な書類です。

マンションの管理規約や使用細則には、「ペット可」や「楽器演奏可」などの規約が記載されており、居住する際の条件やルールがわかります。

維持費に関する書類には、マンションの管理費や修繕費、町内会費などが記載されており、不動産を購入する決め手の一つになります。

一般的には仲介会社が手配してくれますが、マンションの管理会社に依頼して取得することも可能です。

不動産売却時の任意書類

不動産売却時の任意書類

不動産売却時に、場合によっては必要になる書類や、必須ではないものの売却活動を有利に進める手助けとなる書類を紹介します。

住民票

住民票は、売主の現在の住所と登記上の住所が異なる場合に必要です。発行日から3か月以内のものしか効力がないため、取得するタイミングに注意してください。市区町村役場で取得できるほか、マイナンバーカードがあればコンビニのコピー機(行政サービスメニューがあるもの)でも取得できます。

ただ、売主が外国籍だと、在留期間3か月未満もしくは日本に住所がない場合は、住民票の写しはもらえません。上記のケースでは、自国の公証役場・在日大使館のいずれかで取得できる「認証を受けた宣誓供述書」か、自国の在日大使館または自国の官憲が発行する「住民登録証明書」を提出します。取得の際は、印鑑証明書の代替書類と一緒に請求すれば、手間がありません。

建築確認済証および検査済証

物件調査には、建築確認番号・検査済証番号・取得年月日の3つの情報が必要です。これらの情報は、建築確認済証や検査済証に記載されています。

建築確認済証とは、建築基準法に基づいて建築される物件であることを、着工前に証明する書類です。検査済証とは、建築基準法に基づいて建築された物件であることを、工事の途中や工事完了後に証明する書類で、紛失しても再発行されません。

新築で物件を購入した場合、これらの書類は売主が受け取っているはずです。もし手元になければ、お住まいの市町村役場で「建築計画概要書」または「台帳記載事項証明書」を取得して確認できます。

地積測量図・境界確認書

地積測量図は土地の面積を証明する書類で、境界確認書は隣接地との境界を証明する書類です。どちらも用意しておくことで、売却後に隣接地所有者とのトラブルを避けられます。

地積測量図は、売却する物件の購入時に、その物件の売主から受け取ります。通常、購入後は物件の所有者が保管しますが、手元にない場合は法務局もしくはインターネットから請求することで入手できます。

境界確認書は測量を実施したうえで作成するものですが、物件の購入時には測量が実施されていないことが多いものです。新たに書類を作成する場合は、測量会社や土地家屋調査士へ依頼しなければなりません。測量には1か月~3か月程度かかることもあるため、必要なら早めに依頼しましょう。

建築設計図書・工事記録書

建築設計図書は、建物の位置や形状などの設計内容がわかる書類です。工事記録書は工事の内容を記録した書類で、どちらの書類も売却する物件の購入時に受け取っていると考えられます。

もし手元になければ、その物件を建てた建築会社に問い合わせてみてください。ただし、契約書の保存期間を過ぎていると、記録も書類も残っていない可能性があります。保存期間は通常、5年~7年程度です。

建築会社に書類がなければ、市町村役場で建築確認台帳の写しを取得し、代用するとよいでしょう。

ローン残高証明書

ローン残高証明書は、住宅ローンが残っており、売却物件の売値が住宅ローンの残高より下回りそうな場合に提出を求められます。ローン完済の目途が立たなければ、抵当権(弁済できない時に銀行が物件を競売にかけて売却する権利)を抹消できず、買主へ引き渡せません。そこで、売却計画を立てるために必要です。

ローン残高証明書は、住宅ローンの返済残高を確認する目的で、住宅ローンの借入会社から定期的に送られてきます。紛失しても借り入れしたローン会社に問い合わせれば入手が可能です。

パンフレットなどの広告資料

売却する物件が新築で購入したマンションや戸建ての場合、売り出し時のパンフレットやチラシなど、不動産会社が作成した広告資料があると売却時の参考資料として役立ちます。広告資料は物件のアピールポイントがわかりやすいため、残っていれば仲介会社に提出するとよいでしょう。

耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書

耐震診断報告書とは、建築物が大地震で倒壊する可能性を診断した書類です。アスベスト使用調査報告書は、人体に悪影響を与えるアスベスト(石綿)が建材に使用されているかどうかを調査した書類です。

これらの書類が用意できなくても不動産の売却は可能ですが、物件に信頼性を与え、買主の購買を決める際の判断材料にもなるため、用意しておくとよいでしょう。過去に調査を実施していなければ、新たに調査会社へ依頼することで証明書を取得できます。

【監修者コメント】
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不動産売却時の任意書類は、物件について説明義務が課されている事項に関する重要なものです。揃えないと後日トラブルになる可能性があるため、必ず不動産会社の案内のもと完備するようにしましょう。

不動産売却に必要な書類まとめ

本記事では、不動産の売却依頼をする際に必要となる書類を必須・任意に分けてご紹介しました。
交付に時間がかかるものもあるため、不動産会社の担当者と確認しながら進めるとよいでしょう。

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【監修者コメント】
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不動産売却に必要な書類は、売買の条件等によって変わる場合があります。契約前に案内してもらい、手元にありそうなものは購入希望者が現れる前から探しておくと良いでしょう。

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