築50年の一戸建ての売却相場は?売却の方法とポイントも解説!

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築50年の一戸建ての売却相場は?売却の方法とポイントも解説!

築50年を超える一戸建ては「価値がないから売れない」と考えている人は多いでしょう。たしかに一般的に流通している物件と比べると売却の難易度は高いと言えます。しかし、決して売れないわけではありません。

築50年を超える築古戸建の売却は、売却方法の見極めと押さえておくべきポイントを理解していることが大切です。

そこで今回は築50年の一戸建ての売却相場、売却方法、売却の際に押さえておくべきポイントなどを解説します。

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【監修】穂坂 潤平 宅地建物取引士。仲介営業13年(宅建は新卒の時に取得)、不動産仲介会社起業3年の経験を経てウェブクルーに入社。趣味は何でも遊びにすること。仕事では「喜ばれる仕事をして、自らも喜ぶこと」をモットーに日々ご提案しております!

築50年の一戸建ての売却相場とは

戸建ての売却相場

築50年を超えるような一戸建ての売却相場は一般的に以下のように評価されます。

  • 建物の価値はほぼゼロと評価される
  • 建物の状態がよければ評価される可能性がある

どのような理由で上記のような評価がされるのかを詳しく解説します。

建物の価値はほぼゼロと評価される

一戸建ての価値は建物と土地で評価されるポイントが異なります。具体的には以下の通りです。

建物 築年数、建物の構造を中心に評価される。加えて外装、内装、設備の劣化具合を考慮して価値を算出する。
土地 周辺相場、利便性を中心に評価される。敷地の大きさや形状、建築制限の有無などを加味して価値を算出する。
国土交通省「中古住宅流通、リフォーム 市場 の現状」p.11
出典元:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム 市場 の現状」p.11

木造一戸建ての場合は新築から15〜20年でおよそ9割程度価値が下がり、以降は緩やかに価値が低下する傾向が読み取れます。

そのため築50年の建物はほぼ価値がない物として評価され、土地の価値のみで評価されることがほとんどです。

建物の状態がよければ評価される場合もある

例外的に建物の状態が良ければ、評価されるケースもゼロではありません。

近年、リノベーションされた古い家を購入する方も珍しくないことから、築年数と同じくらいお部屋の状態を重要視される人は多いと考えられます。

例えば、築年数は経っているけれど水回りや内装がきれいな状態で保たれている、あるいは購入してすぐに大規模な修理が必要ない場合です。

物件の状態によって判断は異なるので、築年数だけを基準に判断するのではなく、不動産会社に相談をして正確な価格を知ることが大事です。

築50年の一戸建てを売却する方法

戸建てのイメージ

築50年の一戸建てを売却する方法は大きく分けて5つあります。具体的には以下の方法です。

  • 建物が建っている状態で売却する
  • 建物を解体して更地にして売却する
  • リフォームまたはリノベーションして売却する
  • 不動産会社に買い取ってもらう
  • 空き家バンクを利用して売却する

5つの売却方法にはそれぞれメリット・デメリットが存在するため、特徴を見極めた上で売却方法を選択するのが成功の秘訣です。それぞれを詳しく見ていきましょう。

建物が建っている状態で売却する

1つ目の方法は現在建っている家を解体せず、そのまま売却する方法です。

不動産会社が査定した結果、建物にも価値があると判断された場合は建物が残っていても売却できます。

また解体費用を捻出できない人は、建物が建っている状態で売却するケースが多いです。この場合は古家付き土地での売却になります。

解体を前提に購入を検討する人や、先に述べたようなリノベーションを前提に購入する買主が見つかる可能性があります。

売却活動中にかかる売主への費用負担はありません。まずは建物が建っている状態で売りに出して見てみるのもいいでしょう。

建物を解体して更地にして売却する

2つ目は建物を解体して更地として売りに出す方法です。

更地にしてから売却すると買主の解体手間が省けることに加え、土地の形状がイメージしやすいため買主にとって大きなメリットになります。

注意すべき点は、解体費用が基本的に売主負担になる点です。

解体費用の相場は一坪あたり約30,000〜50,000円ですが、業者や建物の構造・面積によって異なるため、複数社に見積もりを依頼するなどして慎重に判断する必要があります。

古い建物にはアスベストや石綿などが使用されている可能性があります。これらの撤去は別途費用がかかるため事前に業者に確認しておきましょう。

また、住宅が建つ土地に適用される軽減措置がなくなるため、更地にすると固定資産税が高くなる点には注意が必要です。

固定資産税の増額を加味して、「更地化予定の土地」として家を残したまま市場に出すこともあります。

リフォームまたはリノベーションして売却する

3つ目はリフォームやリノベーションを実施し、きれいな状態にして売却する方法です。

物件の老朽化が目立つ箇所や設備を新しいものに交換すると、買主にいい印象を与えられます。結果、そのまま売る場合より高く売れる可能性があるでしょう。

ただし、リフォームやリノベーションを行うことで自己負担が発生します。お金をかけすぎると相場とかけ離れた価格になり、逆に売れにくくなったり、売却益で資金回収ができず赤字になったりなどの問題が発生する恐れがあるでしょう。

また、古家付き土地を購入する方の中には自身でのリフォーム・リノベーションを前提として探している人もいます。

リフォームやリノベーションは安易に実施せず、パートナーとなる不動産会社とよく相談し、リフォーム・リノベーションをすべきか販売戦略を立てるようにしましょう。

不動産会社に買い取ってもらう

不動産売却は、おもに仲介と呼ばれる方法で行われます。

仲介とは売主と買主のあいだに不動産会社が立ち、売買契約を成立させる方法です。媒介とも呼ばれます。

ただ、建物が古く、土地も需要がない物件は、仲介で売却活動を行っても買い手が見つからないケースがよく見られます。

このように仲介での売却が思うように進まない場合は、不動産会社に直接、買い取ってもらう方法を利用するのも手です。

買取りのメリットはすぐにお金が手に入る点です。

ここで仲介と買取りとで、取引きの流れを比較してみましょう。

仲介の流れは以下の通りです。

  • 1.売却相談
  • 2.物件調査
  • 3.価格査定
  • 4.媒介契約の締結
  • 5.販売(広告)活動
  • 6.契約交渉
  • 7.売買契約の締結
  • 8.決済・引渡し

対して買取りの場合は仲介における手順の4〜6が省略されます。

結果、取引きがスピーディに進み、最短1週間程度での売却も可能です。

ただし、仲介の場合と比べて、売却金額が下がります。基本的には買取業者の査定額で決まるため一概には言えませんが、仲介での取引価格の6〜7割程度の価格で取引きされることが多いようです。

空き家バンクを利用して売却する

不動産業者に売却や買取りを依頼するのではなく、各自治体の空き家バンクに登録して売却活動を行う方法があります。

空き家バンクは不動産業者を挟まないため、物件の登録料や仲介手数料などの諸費用が不要です。しかし売主と買主のみで交渉や売買契約を行わなければなりません。

またトラブルが起きた場合、自治体は対応せず、当事者間ですべて解決する必要があります。

加えて空き家バンクを設置している自治体は少なく、そもそも空き家バンクを利用できないケースも十分考えられます。

空き家バンクは、あくまで手段の一つとして残しておき、まずは仲介や買取りでの売却を検討しましょう。

築50年の一戸建てを売却するポイント

戸建ての査定

築50年の一戸建て売却には売却方法とは別に、押さえておきたいポイントが3つあります。

  • 不動産会社の査定は複数者に依頼する
  • 古家戸建の売却の実績がある不動産会社に依頼する
  • 査定前に自分で相場価格を調べておく

これらのポイントを押さえておけば損をしたり、売却に時間がかかったりなどのリスクがぐっと低くなります。

それぞれ詳細を解説します。

不動産会社の査定は複数社に依頼する

不動産会社への査定は1社で済まさず、複数者に依頼しましょう。理由は以下の2点です。

  • 売却価格の相場を把握できる
  • 不動産会社の担当者との相性を見極められる

複数社に査定を依頼すれば各社の査定価格が提示されます。査定価格は周辺相場や販売実績、各社が持っている独自のデータを元に算出されます。そのため、提示される査定額は不動産会社によってさまざまです。

たまたま依頼した不動産会社の査定額が、相場より低い場合は損をする可能性がありますし、逆に高すぎる場合は売却活動がスムーズに進まないリスクがあります。適切な売却価格の相場を把握するためには複数社に査定依頼を行うのがおすすめです。

また複数社に査定を依頼することで、担当者との相性を見極められます。

不動産の売却はパートナーとなる不動産会社と共に進めるのが一般的です。特に築50年以上の戸建は売却に時間がかかりやすく、不動産会社との付き合いも長くなります。

複数社の査定を通して「この人なら任せられる」と感じた不動産会社の担当者を見極めましょう。

古家戸建の売却の実績がある不動産会社に依頼する

築50年の一戸建てをスムーズに売却するためには、古家戸建の売却が得意な不動産会社に依頼するのが賢明です。

不動産業には、さまざまな業務が存在し、一つの分野に特化している不動産会社が存在します。例えば賃貸管理業に特化した会社、売買に特化した会社などです。

そして売買に特化した会社にも得意不得意なジャンルが存在します。具体的にはマンション、一戸建て、土地などです。

加えて古家戸建はそのままでも売却できるか、更地のほうが集客効果があるか、リノベーションやリフォームの提案をして売却するかなどを決められる判断力が求められます。これらの判断は古家戸建売却に関するノウハウがなければできません。

そのため古家戸建売却の実績が多数ある不動産会社に依頼すれば、より高く、スムーズに売却できる可能性がぐっと上がります。

不動産会社の得意分野は売却実績から判断できます。売却実績は訪問査定時に聞いてみたり、会社のウェブサイトに掲載されていないか確認してみましょう。

査定前に自分で相場価格を調べておく

不動産会社の中には手早く売って仲介手数料を得ようと、相場より低い査定金額を提示してくる場合があります。また、どうしても契約が取りたいために相場からかけ離れた高額を提示してくるケースもあるでしょう。

不動産会社が提示した査定額が妥当か判断するために、売却予定の物件を査定前にあらかじめ相場価格を調べておくことが大切です。

相場価格は以下の3点で一般の人でも調べられます。

  • 不動産ポータルサイト
  • 土地総合情報システム
  • レインズマーケットインフォメーション

不動産ポータルサイトは現在売り出されている価格帯をチェックできます。土地総合情報システムやレインズマーケットインフォメーションは、実際の売買取引価格(成約価格)の検索が可能です。

つまり手軽に類似物件の売り出し価格を調べるには不動産ポータルサイトを、より詳細な相場や、実際の成約価格を確認するにはレインズマーケットインフォメーションや、土地総合情報システムを併せて利用するのがいいでしょう。

築50年の一戸建てを売却する際に知っておきたいこと

戸建てに関する悩み

築50年を超える一戸建ては現在のように細かく法律で定められていない時代に建築された建物です。そのため売却をするためには条件があったり制約をつけなければならないケースがあったります。

そこで築50年の一戸建てを売却する際に知っておきたいポイントをまとめました。ぜひ参考にしてください。

土地の境界線は明確にする必要がある

一戸建てを売却する際は土地の境界線を明確にしておくことが大切です。築50年以上の古い一戸建ての場合、境界線があいまいな場合も多く見られます。

以下の書類から境界の確認が可能なので、一度調べてみましょう。

  • 公図・測量図:隣地との境界線を記録されている書類。土地の面積が確認できる。
  • 建物の図面:建物の間取りや面積などの情報が確認できる。
  • 境界確認書:隣地境界線を記録した証明書。公図や測量図より効力が強い書類

境界が不明な場合は売却前に境界の確定が必要です。確定には専門業者による測量を実施しなければなりません。測量には時間がかかるのでスケジュールを立てて実施しましょう。

費用は土地の広さや状況にもよりますが、数十万円以上かかります。

土地によっては再建築が不可な場合がある

土地によっては再建築ができないケースがあります。再建築不可であるにも関わらず解体してしまった場合、利用制限が限られてしまい買い手が見つかりにくくなる恐れがあります。あらかじめ確認しておきましょう。

再建築不可のおもな原因に接道義務を満たしていないことが挙げられます。以下の点に該当する場合は接道していない土地とみなされ、再建築ができません。

  • 建物の敷地が建築基準法上の道路とまったく接していない
  • 建物の敷地が建築基準法上の道路と接しているが、接している幅が2m未満である
  • 建物の敷地が幅員4m未満の道路や、私道とのみ接している

建築基準法の道路か私道かは一般の方では判断できないため、不動産会社に相談するか、市町村に確認しましょう。

築50年の戸建の売却には時間がかかる

築50年の一戸建ては、一般的な不動産と比べて制約に至るまでに時間がかかる傾向があります。そのため期間には余裕をもって売却活動を進めましょう。

一般的な不動産売却の場合、売却活動を開始してから引渡し完了まで、3〜6ヵ月程度かかると言われています。この期間はあくまで目安なので、築年数が大きく経過していない物件でも、6ヵ月以上かかってしまうことも少なくありません。

築50年を超える古い家は、購入検討者の数が一般的な不動産と比べて少なくなるため、制約に至るまでより長い期間が必要なのは明白です。また、リフォームや更地にしてから売却するとなれば、さらに時間がかかるでしょう。

そのため焦って売却活動を進めてしまうと、相場よりも低い価格で売買せざるを得なくなったり、高く売るチャンスを逃してしまったりします。損をしないためにも、期間に余裕をもって売却に臨みましょう。

相続した家の売却なら相続人全員の同意が必要

相続不動産の場合、相続した不動産を売却するには、相続人全員の同意が必要です。

例え1人が一戸建てを売却したくても、相続人のうち誰か1人でも反対すれば、売り出すことはできません。

よって、相続した不動産の売却を検討するなら、まず余裕をもって相続人との話し合いを進め、必ず相続人全員の同意を得ましょう。

築年数が50年経った戸建も売却できる

戸建ての査定

築50年を超えるような古い家でも売却は可能です。

ただし、成約に至るまでの期間が通常よりも長くかかったり、売却前に確認すべきことがいくつか存在したりします。

築50年を超える一戸建ての売却は一般的な不動産を売却する場合よりも難易度が高いのは事実です。だからこそ築古戸建てを得意とする不動産会社の力を借りて、二人三脚で売却活動を進めることがとても大切です。

そのためには複数社へ査定依頼を行うだけでなく、周辺相場との比較、不動産会社の売却実績のチェックなどさまざまな視点から不動産会社を見極める必要があります。

今回紹介したチェックポイントを参考に信頼できる不動産会社を見つけ出し、売却活動を成功させましょう。

この記事のおさらい

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