ゴミ屋敷売却の方法と費用|高く売るためのポイントと注意点を紹介!
家を売る際は不動産業者に購入希望者を探してもらう、内覧、売買契約手続きに至るのが通常の流れです。しかし、家がゴミ屋敷の場合は、ゴミが残ったままでは内覧時の印象が悪く、売買契約手続きに至ることが難しいです。
ゴミの処分には多額の費用がかかるため、なるべく費用をかけずに高く売りたいと考えている人も多いと思います。
この記事では、ゴミ屋敷の売却のやり方と費用、高く売るためのポイント、注意点などを紹介します。
【監修】穂坂 潤平 宅地建物取引士。仲介営業13年(宅建は新卒の時に取得)、不動産仲介会社起業3年の経験を経てウェブクルーに入社。趣味は何でも遊びにすること。仕事では「喜ばれる仕事をして、自らも喜ぶこと」をモットーに日々ご提案しております!
ゴミ屋敷をできるだけ早く処分すべき理由
ゴミ屋敷に明確な定義はありませんが、家中にゴミが溢れていて生活できる空間がほとんどない住居、管理されていない住居を指すのが一般的です。
「自分は家をきれいにしているので問題ない」と思っていても、相続によって誰も住まなくなった空き家や管理されていない家を相続することは少なくありません。
ゴミ屋敷を放置していると、火災や倒壊、害虫の発生といった近隣トラブルに発展する恐れがあるほか、場合によっては行政処分を受ける可能性もあるため、できる限り早く処分、手放すことをおすすめします。
ゴミ屋敷の処分・売却方法
ゴミ屋敷でも、一般的な不動産と同様に売却することは可能です。しかし、一般的な不動産の場合には不動産会社に依頼して購入希望者を探してもらうという方法を選択しますが、ゴミ屋敷の場合にはゴミをどうするかによって以下のように選択する処分・売却方法が異なるので注意が必要です。
- ゴミが残ったまま売却する
- ゴミを処理してから売却する
それぞれの処分・売却方法について詳しく見ていきましょう。
ゴミが残ったまま売却する
ゴミが残ったままでは売却しにくいと考えている人も多いと思いますが、全く売却できないというわけではありません。しかし、個人が買い取ってくれるケースはほとんど期待できないでしょう。
そのため、ゴミが残ったまま売却するにはゴミ屋敷の買取を専門とする不動産会社に依頼することになります。ゴミ屋敷の買取業者は、業者側がゴミ処理やリフォームなどをして、一般向けに転売することによって利益を得ます。
利益を得るために安く買い取って高く売ることを前提としており、以下のように売却価格が安くなる点に注意が必要です。
売却価格=通常物件の相場の60~70%程度−ゴミ処理費用−リフォーム(解体)費用−手数料
ゴミ処理をせずに売却するメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
ゴミを処理してから売却する
少しでも売却時の値段を高くしたいのであれば、ゴミを処理してから売却することをおすすめします。こちらの方法の場合、自分でゴミを処理した後、不動産会社を仲介して一般向けに売り出すことになります。
しかし、ゴミ屋敷レベルでは、自力でゴミを処分するのは容易ではありません。大量のゴミを家庭ゴミの回収日に出すと、近隣トラブルの原因にもなるので注意してください。
ゴミを処理してから売却するメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
ゴミを処理した後は、建物が戸建てかマンションかによっても異なりますが、そのまま売却せずにリフォームする、更地にして売却するという選択肢もあります。
ゴミ処理後リフォームして売却する
ゴミ屋敷はシミや害虫被害などで部屋が汚れていることが多いです。そのままの状態で売りに出しても印象が悪いため、購入希望者が見つかりにくいでしょう。
そこでおすすめするのがリフォームやハウスクリーニングをしてから売りに出すという方法です。ゴミ屋敷だったとしても、ゴミを処分してリフォームやハウスクリーニングで部屋がきれいになれば、購入希望者が見つかる可能性が高まります。
特にマンションは、他の入居者がいる関係上、建物を解体して更地にしてから売りに出すことはできないため、リフォームやハウスクリーニングしてから売りに出すほうが高値での売却が期待できるでしょう。
ただし、リフォームには100万円以上の費用がかかることも珍しくありません。リフォームやハウスクリーニングにかかる費用を上乗せして売却できるとは限らないため、不動産会社に必要かどうかを連絡・相談してから取り掛かりましょう。
ゴミ処理後更地にして売却する
戸建ての場合、リフォームやハウスクリーニングしてから売却するという選択肢以外に、解体して更地にしてから売るという選択肢もあります。
買い手が自由に建物を建てられる更地(土地)として売り出した場合、中古住宅として売り出すよりも需要が高くなる可能性があります。一方、解体費用がかかる、建物がなくなって売却価格が下がる可能性がある点に注意してください。
更地として売り出す場合、売り出すタイミングが重要です。更地として保有すると、住宅地として保有している時と比べて固定資産税が高くなります。
固定資産税が決まるのは1月1日なので、1月1日を迎えてから建物を解体しましょう。
ゴミ屋敷の売却にかかる費用相場
不動産を売却する際は、売却前と売却後に費用がかかります。売却後の費用については売却代金を充てられますが、売却前の費用については売却代金を当てられないので、ある程度は費用を確保しておかなくてはなりません。
ゴミ屋敷の売却は、一般的な不動産の売却とは異なり売却前の費用が多くかかるため、どのような費用がかかるのかを事前に把握しておくことが大切です。
ゴミ屋敷を売却する時にかかる費用として、以下のような費用が挙げられます。
- ゴミ処理にかかる費用
- 登記費用
- 印紙税
- 仲介手数料
- リフォーム(解体)費用
各費用を詳しく見ていきましょう。
ゴミ処理にかかる費用
ゴミを自分で処分する場合、ゴミが一般家庭ゴミであれば処分費用はかかりません。しかし、粗大ゴミを処分する場合、処理手数料を支払わなくてはならず、金額は処分するものの種類、大きさによって異なります。
分別を誤った場合には近隣トラブルに発展する可能性がある、ゴミの処分に時間と手間がかかることを考えると、業者に依頼することをおすすめします。
ゴミ処理を業者に依頼した場合における費用相場は以下の通りです。
- 戸建ての場合:数十万〜100万円程度
- マンションの場合:15〜30万円程度
ゴミの量や部屋の広さ、依頼する業者によっても価格は異なります。そのため、複数の業者に見積もりを取ってもらうことをおすすめします。
場合によっては100万円以上のまとまったお金が必要になる可能性があります。用意できない場合はゴミ処理をせずにゴミ屋敷のまま買い取ってもらうことで支出を回避することも可能です。
登記費用
登記費用とは、法務局で登記手続きをする際にかかる費用です。登録免許税と呼ばれる費用で、ゴミ屋敷の売却では家の名義人を変更する際にかかります。
登記費用はどのような理由で登記するのかによって以下のように差があります。
登録免許税=固定資産税評価額×税率(1~5万円)
相続・合併:0.4% 遺贈・贈与:2% 売買等:2%(原則税率)
登記手続きを自分ではなく司法書士に依頼する場合は、さらに報酬を支払わなくてはならないので注意が必要です。
印紙税
印紙税とは、経済取引に伴って契約書や領収書などを作成する際、印紙税法に基づいて課税される税金です。
印紙税の金額は売買契約書に記載されている契約金額によって以下のように異なります。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円超50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円超10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億円超50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円超 | 60万円 | 48万円 |
1,000円~1万円
仲介手数料
仲介手数料とは、不動産会社にゴミ屋敷の売却の仲介を依頼して、契約を成立させた場合に支払う成功報酬です。
ゴミ処理をせずにゴミ屋敷専門業者に買い取ってもらう場合、仲介手数料は発生しません。ゴミ処理をして、一般向けに売り出す場合にかかる費用です。
仲介手数料の金額は不動産会社によって違いますが、自由に設定できるわけではありません。宅地建物取引業法には以下のように仲介手数料の上限が定められています。
- 売買価格200万円までの部分:対象金額の5%+消費税
- 売買価格200万円超400万円までの部分:対象金額の4%+消費税
- 売買価格400万円超の部分:対象金額の3%+消費税
リフォーム費用
ゴミを処分した後にリフォームで状態を良くしてから売却する場合、リフォーム費用が発生します。リフォーム費用は、家の広さやリフォームする場所によって以下のように価格が異なるので注意してください。
- キッチン:50~150万円
- トイレ:20~50万円
- ユニットバス:50~150万円
- 洗面台:20~50万円
- 壁紙張り替え:50万円程度
- フローリング張り替え:100万円程度
リフォーム費用は会社による違いも大きいため、複数社に見積もりを依頼しましょう。
解体費用
ゴミを処分した後に建物を解体してから売却する場合、解体費用が発生します。解体費用は、家の広さや構造によって以下のように価格が異なるので注意してください。
- 木造:3~5万円/坪
- 鉄骨造:4~6万円/坪
- 鉄筋コンクリート造:6~8万円/坪
仮に建物が30坪だった場合の解体費用は木造で120万円程度、鉄骨造で150万円程度、鉄筋コンクリート造で210万円程度です。解体業者による違いも大きいため、複数社に見積もりを依頼しましょう。
ゴミ屋敷の売却に関しての注意点
ゴミ屋敷を売却する際は、売りにくい、費用がかかるという点だけでなく、以下の3点にも注意が必要です。
- 複数の不動産業者に査定を依頼する
- 売却後は確定申告が必須
- 解体時期に注意する
それぞれの注意点について詳しく説明していきます。
複数の不動産業者に査定を依頼する
少しでもゴミ屋敷を高く売却したいという人は、複数の不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。その理由は、不動産会社によって査定価格が異なるためです。
買取業者に買取を依頼する場合、査定価格が高ければ高いほど多くのお金が手に入ります。一方仲介業者の場合、査定価格と相場の乖離が大きければ売却に不利になります。そのため、複数の業者に査定を依頼して、適正な価格を見抜くことが大切です。
複数の不動産会社に査定を依頼するのに手間がかかるのを何とかしたいという人には、一括見積ができる比較サイトが便利です。ズバット不動産売却では物件情報を入力するだけで、複数社の査定を簡単に受けられます。ご利用ください。
売却後は確定申告が必須
ゴミ屋敷を売却して1円でも利益が生じた場合は、確定申告して利益に対する税金を納めなくてはなりません。申告を忘れた場合には、無申告加算税や延滞税といったペナルティの対象となり、さらに多くの税金を納めなくてはならないので注意してください。
ゴミ屋敷の売却から確定申告までの期間が空いている場合、売却代金を使い込む恐れもあるため、使い込まないように税金用のお金をあらかじめ確保しておきましょう。
売却代金から購入代金を引いてプラスでも、売却代金から解体費や仲介手数料などの諸費用を引いてマイナスになるケースでは税金を納める必要はなく、確定申告も不要です。
解体時期に注意する
一度解体時期について触れましたが、更地にした場合には固定資産税の負担が大きくなるため、解体時期を意識する必要があります。
建物を残した状態で売却するのか、解体して更地にしてから売却するのか、立地条件や建物の築年数などを踏まえつつ不動産会社と相談しながら最善策を選択しましょう。
建物を解体するにあたり、12月に解体すると1月1日までに売却できなければ、その年からすぐに税金が高くなります。1月まで待てば約1年の猶予ができるため、余裕をもって売却に臨めるでしょう。
ゴミ屋敷売却までの実際の流れ
ゴミ屋敷の売却の流れは、一般的な不動産を売却する場合と大きく変わりません。しかし、ゴミ処理や解体の有無などが加わってくるため、スムーズに売却を進めるためにも事前におおまかな流れを把握しておくことが大切です。
ゴミ屋敷の売却の流れは以下の通りです。
- 1.不動産会社やゴミ屋敷専門の業者に相談する
- 2.必要ならゴミ処理を行う
- 3.必要ならリフォームもしくは解体を行う
- 4.査定金額の提示
- 5.売買契約を結ぶ
- 6.引き渡し&決済
ゴミ屋敷を放置していても、固定資産税や都市計画税が発生する、行政代執行で強制的にゴミを処理されて費用を請求される恐れがあります。放置することにメリットはないため、処分に向けた手続きに速やかに取り掛かりましょう。
まとめ
「自分はきれい好きなのでゴミ屋敷とは無縁だ」と思っていても、相続によってゴミが散乱しているゴミ屋敷を取得することも少なくありません。
「面倒なので放置しておこう」と考えている人もいるかもしれませんが、放置されたゴミが原因で異臭や火災などが発生して近隣トラブルに陥る可能性があるので注意が必要です。また、空き家でも固定資産税や都市計画税が発生するため、速やかに処分することをおすすめします。
ゴミ屋敷の売却は一般的な不動産の売却とは流れが異なる部分がいくつかあります。ゴミを処理してから売却するのか、建物の解体やリフォームはどうするのかなど、不動産会社と相談しながら最善策を選択しましょう。