不動産売却にありがちなトラブルとその対処法・予防策
不動産売却では大きなお金が動くため、トラブルが発生することもあります。しかし、発生しやすいトラブルやその対処法を知っておくことで、被害を防いだり、最小限に抑えたりすることが可能です。
本記事では、不動産売却におけるトラブルについて一部実例を交えて紹介し、それぞれの対処法を解説しています。
- 不動産売買で起こり得るトラブル
- 各種トラブルの対策と予防策
- トラブルが起きた際の相談先
【監修】遠藤秋乃(えんどう あきの) 大学卒業後、メガバンクの融資部門での勤務2年を経て不動産会社へ転職。転職後、2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。知識を活かして相続準備に悩む顧客の相談に200件以上対応し、2017年に退社後フリーライターへ転身。
不動産売却で起こるトラブルと予防策
不動産売却で起こりやすいトラブルと、その対処法について、以下3つのタイミングに分類して紹介します。
- 媒介契約前
- 媒介契約後
- 売買契約後・売却後
媒介契約前のトラブル
媒介契約とは、不動産会社と売主の間で売却までの活動内容や方針、売却が成立した際の報酬(手数料)に関する契約を結ぶことです。この契約が締結されてから売却活動がスタートします。
不動産会社と媒介契約を交わす前のタイミングで起こり得るトラブルの代表例としては、土地の境界線トラブルがあります。
土地の境界線トラブル
境界線トラブルは、土地の境界線に関して隣接地の所有者との間で主張が食い違い、記録も残っていない場合に起こります。以下に当てはまる場合、境界線が不明瞭な可能性があるため確認してみましょう。
- 境界杭・境界標が見当たらない
- 筆界確認書や筆界確認図がない
- 一度も境界が測られたことがない
- ブロックやフェンスはあるが、どちらが負担して作ったものかわからない
- 測量士や土地家屋調査士に調査を行ってもらう
- 筆界特定制度を利用する
- 境界確定訴訟を起こす
土地の境界トラブルを解消する手段は3つです。士業の支援を得る方法と、筆界特定制度の利用、境界確定訴訟(境界確定の訴え)があります。
士業の支援を得る場合、土地家屋調査士や測量士に相談します。どちらも測量が専門分野ですが、境界を登記情報に反映できるのは土地家屋調査士です。境界トラブルの解消では、土地家屋調査士に依頼し、隣地所有者を交えて現場立ち会いを経て、図面及び確認書を用意してもらうのが一般的です。
筆界特定制度とは、法務局が調査をおこない土地の境界を特定し、境界標を設置してくれる制度です。公的な記録として残るうえ、民間の調査会社よりも費用を抑えられます。
境界確定訴訟とは、裁判によって境界を確定させることです。ただし境界確定に関する法的な規定はないうえ、判決に不服があっても申立てができません。必ずしも主張が通るとは限らない点に注意しましょう。
媒介契約後のトラブル
調査や説明を徹底しない不動産会社を取引に挟んだ場合、媒介契約後にトラブルになることがあります。
よくあるトラブルと、その対処法を、それぞれ見ていきましょう。
契約締結後に大幅に売却価格を下げるよう勧められた
契約前の不動産査定や売却相談で、他社よりも高額な査定額を提示されたからと、その価格を信じて媒介契約を結んでしまう人がいます。しかし、契約後になにかと理由を付けて大幅な値下げを勧められ、損をしてしまうこともあります。
- 媒介契約の更新をせずに取引の解消を行う
- 信頼できる不動産会社を選ぶ
媒介契約の契約期間は法律で最長3ヵ月と決められており、自動更新はされません。不動産会社に不信感を抱いた場合は契約を更新せず、別の不動産会社に売却を依頼しましょう。
信頼できる会社を選ぶためには、一括査定を利用して複数の不動産会社とやり取りすることをおすすめします。担当者の対応の仕方や、査定額が適正であるかをチェックすることで、信頼できる不動産会社かどうかを判断することができます。
ズバット不動産売却では独自の審査基準などを設け、優良な不動産会社のみと取引を行っています。このため安心して査定依頼ができるでしょう。査定をご検討中の方はぜひチェックしてみてください。
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仲介手数料の上限は法律によって定めがありますが、なかには法律で定められた限度を超えて仲介手数料を要求する会社も存在します。
仲介手数料は売買契約時と決済・引き渡しの際に支払うのが一般的ですが、仲介手数料を支払うタイミングや金額の割合について事前の取り決めがない場合にも注意が必要です。
- 複数の不動産会社とやり取りを行い信頼できる不動産会社を選ぶ
- 不動産売却に関する知識を身につけておく
- 仲介手数料や仲介手数料に含まれない費用について、媒介契約書に記載してもらう
不動産売却にかかる仲介手数料は、その額の上限が法律で定められています。こうした不動産に関する知識は、トラブルを避けるために契約前に学んでおきましょう。
契約に定めのない売却活動を依頼する場合、その活動費は仲介手数料に含まれていないことがあります。別途請求されるものがないか、また別途請求されるのであれば必ず媒介契約書に記載してもらいましょう。
囲い込みをされ広告費を請求される
囲い込みとは、売却する不動産の情報を意図的に公開せず、その不動産会社のみで売買を完結させようとする行為のことをいいます。この行為をする不動産会社の目的としては、売主と買主の両方から仲介手数料を得ることです。
囲い込みは、不動産会社1社にしか売却を依頼できない「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」を結んだ場合に起こりがちです。情報が開示されなければ売却は遅くなり、必要のない広告費の請求や安値を付けられるなど、売主のデメリットになることばかりです。
- 複数の業者に売却の依頼ができる「一般媒介契約」で売却依頼を行う
- 定期的に不動産会社の担当者と連絡を取り、売却活動の状況を聞く
一般媒介契約とは、複数の不動産会社へ売却を依頼できる契約方法です。物件情報を1社に集中させないため、囲い込みを防止できます。
専任媒介契約または専属専任媒介契約は、不動産会社から依頼主への定期的な活動状況の報告が義務付けられている契約です。売却活動の状況報告は、きちんとチェックするようにしましょう。
実際には行われていない業務の費用を払わされた
媒介契約に含まれていない業務を実施した場合、不動産会社は別途費用を請求できます。契約に含まれない業務とは、例えば新聞やポスティングチラシなどの広告費用、遠方の購入希望者との交渉に必要とした交通費などが該当します。
過去にはこの仕組みを利用して、実際には行っていない業務を媒介業務に含まれていない業務だからという理由で別途費用を請求され、支払ってしまった事例があります。その後裁判になり、この不動産会社は33日間の業務停止処分が下され、不当に支払った費用は返還されました。
- 依頼する前に、信頼できる不動産会社なのかを調べる
- 求めていない業務の費用を請求されても払わない
不動産会社が契約にない業務を行う際、依頼主が事前に承知していなければ、その業務にかかる費用を請求できません。そもそも信頼できる不動産会社なのか、口コミや評判を調べてから依頼しましょう。
実際には行っていないリフォーム費用を請求された
売却を依頼した不動産会社から、実際には行っていないリフォーム費用を請求され、支払ってしまったという事例があります。リフォーム代等の名目のはずが、領収書の記載は「広告宣伝費」であったため、売却した側が怪しいと気づき確認したところ、リフォームの事実はないことが判明しました。
また同時に、この不動産会社は存在しない物件の広告を掲載する違反も犯しており、悪徳業者であったこともわかっています。
- 依頼する前に、信頼できる不動産会社なのかを調べる
- 費用を請求された場合、まずは事実確認を行う
- 事前に確認をされずに行われた業務は不審に疑うようにする
信頼できる不動産会社であっても、何かしらの費用を請求された場合は、請求書の項目との事実確認は必ず実施するようにしましょう。
一般の売主と媒介する不動産会社との間には、知識や情報の格差があります。知らないうちに買い叩きや不当な請求に遭わないよう、少しでも不信感を抱いたら、宅建業者が加盟する団体や他の不動産会社に相談してみましょう。
売買契約後・売却後のトラブル
売買契約は、売主・買主の各不動産会社の担当者が立ち合いのもと、売主と買主の間で交わされる契約のことです。契約後は、売主・買主の双方に契約履行の義務が発生するため、その契約内容を守れない場合、トラブルに発展することがあります。
契約解除ができない
不動産会社とのトラブルが原因で、売買契約を解除したくなる場合があるかもしれません。しかし、売主・買主のどちらかが履行の着手を始めた段階では、売買契約を自由に解除することはできません。
履行の着手とは、例えば「売主が所有権移転登記を行った」「買主が購入した不動産のために賃貸契約の退去手続きを行った」などです。履行の着手以降に解除しようとする場合、状況やタイミングによっては違約金の支払いが必要になることがあります。
- 複数の不動産会社とやり取りを行い信頼できる不動産会社を選ぶ
- 売買契約を結ぶ前に解除に関する条件を取り決めておく
契約解除にまつわるトラブルを避けるためには、契約を結ぶ前の段階で、契約解除の条件を具体的に決めておくことが大切です。併せて、不動産会社から契約解除トラブルについての情報を共有してもらうとよいでしょう。
買主が支払いをしてくれない
売買契約を交わしたにも関わらず、買主が支払いをしてくれないというトラブルも起こります。このトラブルは、買主がローンを組んで支払おうとしたが、ローン審査に通らなかったなどの理由で起こります。
- 買主の経済状況など、事前にローンを組めるかどうかを確認しておく
- 支払いができなかった場合のキャンセル料などの取り決めを行う
ローンの審査は、人によっていくらまでローンを組めるか違うため、買主本人に確認してもらうほかありません。買主がローンで支払う予定なら、契約前から少なくとも手付金を受け取る前までに、ローン審査の確認をするよう促しておくとよいでしょう。
また、支払いができなかったときのキャンセル料や契約解除についても、売買契約を結ぶ際に話し合い、対策を考えておく必要があります。
売却後に物件の修繕・修繕費用を要求された
売却後に不動産の欠陥等が見つかった場合、修繕費や状況によっては損害賠償を請求されることがあります。売却後でも売主に請求されるのは、欠陥など契約内容と異なる点について「契約不適合責任」を売主が負い、買主に「履行の追完」や「代金の減額」、あるいは契約解除や損害賠償請求権が認められるからです。
例えば、売却後に雨漏りやシロアリ被害などが見つかり修繕や駆除が必要になれば、売主はその費用を負担しなければなりません。売主にとって発見不可能な物件の欠点(瑕疵と呼ぶ)でも、売却後に請求されるケースがあります。
- 住宅の状況診断(ホームインスペクション)を実施する
- 売買契約に売却する不動産の状況を細かく記載する
- あらかじめ契約不適合責任を負う範囲や期間を定めておく
- 「物件状況報告書」を漏れなく記載する
- 瑕疵保険に加入する
契約不適合責任が問われるのは、物件の基礎に欠陥がある場合やシロアリ被害など、建物の安全性に問題がある場合です。売却前に物件に欠陥がないか、状況診断をプロに依頼するのもよいでしょう。
瑕疵保険とは、契約不適合責任に問われたときに発生する損害金を保証する保険です。専門の建築士による検査を受けてから加入するため、加入していると物件の安全性アピールにつながります。
希望価格での売却は難しいと騙され相場よりも安い価格で売ってしまった
売主の希望価格では販売が難しいと、不動産会社にもちかけられることがあります。ある事例では、希望価格よりも400万円程度低い価格であれば不動産会社が買い取ってもいいと言われ、それに同意し手付金を支払ってしまいました。
その後、希望価格に近い価格で売りに出された事例があったこと、さらにはその不動産に買い手がいたことを別の業者から教えられ、買い取りが詐欺だったと気付きます。裁判を起こした結果、買い取った不動産会社の詐欺行為が認められ、売買契約を取り消せました。
- 大幅に売却価格を下げるよう相談を受けた際は、その根拠について質問する
- 不信感が拭えない時は、ほかの不動産会社に相談をする
もし不動産会社がこちらにとって不利な条件を提示してきたら、まずは疑って話を鵜呑みにしないようにしましょう。言われたままに決断するのではなく、別の不動産会社に相談し、意見を仰いでみる方法もおすすめです。
不動産売却でトラブルが起きたときの相談先
買主側からクレームなどが寄せられた場合、まずは依頼している不動産会社に相談しましょう。きちんとした不動産会社であれば、各種専門家と連携を取ってくれるはずです。
不動産会社に相談しても解決してくれない場合や、不動産会社との間でトラブルが発生している場合は、次のような機関に相談してみてください。
- 依頼した不動産会社が所属する団体の相談窓口
- 弁護士、司法書士などの専門家
- お住まいの市町村の相談窓口
- 国民生活センター
- 国土交通省各地方整備局
不動産売却のトラブルを未然に防ぐには不動産会社選びが最重要
ここまで紹介したトラブル事例からもわかるとおり、不動産売却では悪質な不動産会社との契約関係でトラブルに発展するケースは多く見られます。トラブルに巻き込まれないためには、不動産会社選びがとても大切です。
ズバット不動産売却では、お客様の不利益につながらないように、独自の審査基準を設けて登録企業の選定を行い、優良な不動産会社のみと取引しています。
初めての不動産売却では、会社選びが大きく結果を左右します。ズバット不動産売却なら、時間をかけずに簡単に優良企業を見つけることが可能です。
最大6社にまとめて査定依頼
査定依頼してみる完全無料不動産売却のトラブルまとめ
不動産売却で起こり得るトラブルを紹介しましたが、売却活動を始める前に知っているのと知らないのとでは、結果に大きく影響を与えます。どのようなところに落とし穴があるかわかっていれば、トラブルに注意しながら売却を進められるでしょう。
不動産会社は悪徳業者ばかりではありません。優良企業に不動産売却を依頼したいとお考えなら、ズバット不動産売却の一括査定から探してみてはいかがでしょうか。
不動産売却時にトラブルが起きると、損害が出ないとしても、住宅ローン等の計画への影響は免れられません。ポストに入っていたチラシなど見て行き当たりばったりに相談するのではなく、しっかり情報収集して優良業者を見極めましょう。
境界線トラブルが起きやすいのは、相続・贈与などにより親族で長らく所有していた土地や、空き家などの管理に空白が生まれている土地です。心当たりがあれば、査定依頼時に不動産会社に伝えておくとよいでしょう。