空き家を早く手放したい!処分を勧める理由と5つの売却方法を紹介
相続などによって手に入れた空家をどのように扱って良いか分からず、困っている方は少なくないでしょう。
空き家を所有し続けると、維持や管理に手間がかかります。だからといって放置してしまうと、近隣住民に危害を及ぼすリスクがあります。そのため、基本的には早期に手放すことをおすすめします。
ただし、売却方法は慎重に選ばなければなりません。間違った方法を選ぶと、思ったよりも時間がかかってしまうこともあります。
本記事では、空き家を所有し続けるデメリットや、効果的な売却方法、注意点などを解説しています。空き家の処分を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
- 空き家をすぐに手放したほうがいい理由
- 空き家を自治体やNPO法人に寄付をすることもできる
- なるべく高値で手放したい人向けの方法
空き家はすぐに手放したほうがいい?
空家を所有し続けると、多くのデメリットやリスクが生じます。しかし、適切な方法で活用すれば収益を得ることも可能なので、本当に手放すべきなのか、一度検討してみる程度の余地はあるでしょう。
ただし、検討してもなお活用が難しい場合や、活用に向けて取り組む意思がない場合は、やはり手放すのが賢明です。
ここでは、空家を所有し続けるデメリットと、検討してみたい空家の活用方法をそれぞれ紹介します。
空き家を所有し続けるデメリット
空き家を所有していると、以下のようなデメリットやリスクが生じます。
- 所有しているだけでお金がかかる
- 定期的な管理が必要
- 近隣に危害がおよび責任を問われる恐れがある
- 税制優遇の適用期限が過ぎてしまう
それぞれの詳細を見ていきましょう。
所有しているだけでお金がかかる
空き家は、所有しているだけでも少なくない金銭的負担が伴います。具体的には下表のとおりです。
項目 | 詳細 |
---|---|
固定資産税 | 平均10~15万円 |
都市計画税(市街化区域内の場合) | 平均3~5万円 |
メンテナンス費用 | 修繕や掃除用具など |
メンテナンスに行くまでの交通費 | 空き家が遠方にある場合 |
その他 | 火災保険や地震保険などに加入している場合 |
毎年の固定資産税や都市計画税は、不動産の評価に基いて変動し、平均的には10万円から15万円の範囲で発生します。
特に注意すべきは、2015年施行の「空家等対策特別措置法」による「特定空き家」の指定です。自治体から「特定空き家」に指定されてしまうと、以下のような費用が発生します。
- 固定資産税の減税措置の適用が解除され、税額が6倍に上がる
- 改善命令を無視すると、50万円以下の罰金が科せられる
- 改善命令を無視すると強制的に解体が進み、その費用を請求される
定期的な管理が必要
空き家は、放置すれば急速に老朽化が進むため、以下のような管理を定期的に行う必要があります。
- 換気
- 掃除
- 庭の手入れ
- 通水(蛇口を開けて水を流すこと)
- 郵便物の管理
なかでも、掃除や庭の整備は頻繁に行わなければならず、体力的な負担がかかります。特に遠方の空き家を管理するのは、時間や精神的にも大変です。
これらの継続的なストレスを考えると、空き家を手放すことは金銭面だけでなく、時間や体力の節約にもなります。
近隣に危害がおよび責任を問われる恐れがある
空き家の放置が原因で近隣住民に被害が及ぶと、損害賠償を請求されることもあります。空き家の放置によって起こりえるリスクには、次のようなものがあります。
- 倒壊や破壊、外壁材の落下によるケガ、火災の発生
- 犯罪の誘発(放火、不法侵入など)
- 害虫や害獣の繁殖による衛生、悪臭の発生
景観の悪化や犯罪の温床となるリスクを考慮すると、空き家は早期に手放すか、適切に管理する必要があります。
税制優遇の適用期限が過ぎてしまう
空き家の売却で利益が出た場合、特定の要件を満たすと、3000万円までの利益に税金がかからない特例が適用されます。この特例を受けるためには、相続から3年後の12月31日までに売却完了が必要です。
この特例を利用して、どれくらいの税負担を抑えられるかを以下の設定で見てみましょう。
- 空き家の所有期間5年以下(税率39.63%)
- 売却によって得た利益1,000万円
1,000万円×39.63%=約396万円
空き家の所有期間が5年以下で、売却利益が1,000万円の場合、通常税率39.63%で約396万円の税金がかかります。特例を活用すればこの税金を節約できます。
上記は一例ですが、税制優遇を最大限に活用するには売却のタイミングが重要です。詳しい計算方法や特例の詳細については、こちらの記事で詳しく解説しています。適切な対応で、税負担を軽減しましょう。
検討してみたい空き家活用の方法
空き家を手放す前に、活用の可能性を検討してみてもいいでしょう。
賃貸物件としての利用が最も一般的ですが、他にも福祉施設、駐車場、太陽光発電、レンタルスペースやシェアハウスとしての利用も考えられます。特に、高齢化が進む地域では福祉施設としての需要が増え、安定収益が期待できます。
ただし、これらの方法は初期投資や維持管理が必要です。空き家の活用方法は多岐にわたりますが、現実的な方法が見つからないのであれば、手放すのも賢い選択です。
空き家を手放したい場合の処分方法
空き家を手放す際、目的や状況に応じて最適な方法が異なります。この章では、空き家を「なるべく早く手放したい場合」と、「なるべく高い価格で手放したい場合」の2つの視点から、空き家の処分方法を詳しく解説します。
早く手放したい人・売却できない人向けの方法
空き家の売却は、場合によっては時間がかかることもあります。「売却代金を得るよりも早く手放したい」と考えている方や、「売りに出しているけど売れる気配がない」という状況の方には、以下の3つの方法がおすすめです。
- 買取業者に買い取ってもらう
- 隣人や知人、企業に譲渡する
- 自治体やNPO法人に寄付をする
買取業者に買い取ってもらう
買取業者とは、売りたい物件を直接買い取る専門の業者です。これらの業者は、買い取った物件にリフォームを施し、再販や賃貸として市場に出すことで利益を得ています。
買取業者を利用する場合、売却価格は通常の仲介売却よりも2~3割低くなることが多いですが、1週間程度での早期売却が可能です。遺品や家財の整理が難しい場合でも、そのままの状態で買取ってもらえる業者もあり、売主の手間を減らせます。
立地が不便な場所や老朽化した物件でも、買取業者を利用すれば迅速に手放せる可能性があります。
買取業者に買い取ってもらう際のメリットとして、売主が修繕費用の請求や契約解除などの契約上の不適合責任から解放される点が挙げられます。特に建物や設備に古さや不具合がある場合、買い取りを選択することで、売却後にも続く心配や不安を感じずに物件を売ることができます。
隣人や近隣住民、企業に譲渡する
空き家を早く手放したい場合、隣接する住民や企業に対し、譲渡を持ちかけてみてもいいでしょう。隣人が二世帯住宅の建設や庭の造成を考えていたり、近隣企業が施設や駐車場の設置を検討していたりする場合、双方にメリットがあります。
地方では、地域のニーズが共有されやすく、近隣住民との取引がスムーズに行えることが多いです。ただし、個人間の取引には贈与税、法人との取引には所得税や法人税の問題が生じるため、税制の注意点を理解し、適切な譲渡先を選ぶことが重要です。
自治体やNPO法人に寄付をする
空き家の手放し方として、自治体やNPO法人に寄付する方法もあります。自治体が公園や公民館の設置場所を探しているケースや、NPO法人が事務所や駐車場を必要としているケースなどで有効です。上手く行けば、地域への貢献や空き家問題の解決につながる可能性があります。
ただし、寄付を受ける側は固定資産税の減収や管理・解体費用などのコストを考慮し、受け入れを慎重に検討します。寄付を希望する場合、受け入れ側のニーズを把握し、双方にとって良い方法を選ぶことが大切です。
なるべく高い価格で手放したい人向けの方法
空き家を手放すにあたって、なるべく高く売りたいと考える人もいるでしょう。
そういった場合は、以下の2つの売却方法が考えられます。
- 仲介で売却する
- 空き家バンクを利用する
それぞれ見ていきましょう。
仲介で売却する
仲介による売却は、不動産会社を通じて買主を見つける方法です。この方法の最大のメリットは、前述した買取業者を利用する方法よりも高額での売却が期待できることです。
仲介が適しているのは、空き家の状態がいいケースや、エリアの利便性が高いケースです。一方、特にアクセスが不便な場所や老朽化が進んだ物件は、売却できないケースも多いです。
また、仲介を利用すると、売却が成立する場合であっても3~8ヵ月程度の期間が必要です。急ぎの方には不向きですが、時間をかけてでも最大限の利益を求める方にはおすすめの方法です。
最適な価格での売却を目指すためには、複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。複数社に査定依頼を行うことで、より高く適切な査定額がわかります。
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査定依頼してみる完全無料空き家バンクを利用する
空き家バンクとは、自治体が運営するサービスで、空き家の所有者と購入を希望する人をマッチングさせるものです。このサービスの魅力は、仲介手数料が不要なため売却金額を最大限手元に残せる点です。また、不動産会社に売却を断られた場合でも利用可能です。
ただ、利用時の注意点として、購入希望者を見つけるまでの時間や、希望者との直接交渉が必要となることがあります。また、物件を空き家バンクに登録するには、各自治体の条件を満たさなければなりません。以下は条件の一例です。
- 登録する自治体に建てられた住宅
- 宅建業者(不動産業者)と媒介契約を締結していない
- 建築基準法違反を犯していない住宅
- 各自治体の最高責任者が不適切と判断しない住宅
これらの条件は自治体によって異なるため、具体的な条件は登録を検討する自治体の公式サイトで確認してください。
補足:相続する前なら「相続放棄」も可能
相続前の空き家管理や将来の手間を避けたい方は、相続放棄という選択もあります。これは、相続人が遺産全体を受け取らないことを意味し、負の遺産だけでなく、プラスの財産も放棄します。
相続放棄を検討する場合、相続の事実を知ってから3ヵ月以内に手続きが必要です。一度放棄すると撤回はできないため、放棄した財産が次の相続人に移ることを考慮し、家族や親族と事前に相談しましょう。
相続放棄は簡単な方法とはいえ、重要な選択です。慎重に情報を収集し、家族とのコミュニケーションを大切にしながら、最適な選択を行ってください。
空き家を手放す際の注意点
空き家を手放す際の注意点として、次の点を紹介します。
- 自分の判断でリフォームや解体はしない
- 家財の処分は必要がある場合のみす
自分の判断でリフォームや解体はしない
空き家を、早く、高く売るために、自己判断でやってはいけない処分方法は以下の2つです。
- リフォームする
- 解体して更地にする
リフォームや解体は時間と費用がかかるため、急ぎの方には適していません。また、費用をかけてリフォームしたからといって、その後の売却が成立する保証はありません。リフォームの内容によっては売却が困難になることもあります。
余計なコストをかけるリスクを避けるため、リフォームや解体を考える前に、複数の不動産会社から見積もりを取ることをおすすめします。
家財の処分は必要がある場合のみする
空き家を手放す際に、家財の処分は必須ではありません。自分で処分するとコストがかかるため、状況をよく考慮することが大切です。買取業者が家財処分も担当することもあるので、その場合は別途の手間や費用を考慮する必要がありません。
また、近隣の住民や知人に空き家を譲渡する際には、家財に関する要望を確認し、それに基づいて対応するのが適切です。市場価値が低い空き家の場合、不要な出費を避けるため、家財の処分は本当に必要な時だけ検討しましょう。
空き家を手放したい場合の処分法【まとめ】
空き家は、そのまま持ち続けると、維持費や税金などの金銭的負担や、管理の負担などが発生してくるうえに、近隣住民とのトラブルに発展するリスクもあるため、できるだけ早期に処分した方が得策です。有効活用する方法もいくつかありますが、現実的な方法がみつからないのであれば、やはり手放してしまった方が良いでしょう。
手放し方としては、仲介による売却や買取業者の利用、空き家バンクの活用、さらには相続前の放棄も選択肢として考えられます。
この記事を通じて、空き家の処分や活用に関する知識を深め、最適な選択をする手助けとなれば幸いです。
空き家の所有年数が長くなればなるほど塵も積もれば山となり、金銭的負担はかかる一方です。空き家を処分するには記事で解説したように複数の方法があるので、ご家族と話し合い、なるべく早期に手放すことをおすすめします。
固定資産税の納税額は、毎年4月から6月にかけて自治体から届く「固定資産税納税通知書」で確認することができます。空き家を所有し続ける限り所有者は、税金を毎年支払うことになるので、今後どうするかを早めに決めて行動することをおすすめします。