売却する空き家は片付けておくべき?方法と自力でやる場合の流れ

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売却予定の空き家は、片付けておくに越したことはありませんが、片付けなくてはいけないという規定はありません。ただし、一定の売却利益が見込める物件であれば、事前に片付けてきれいにしておいた方が有利です。

本記事では、空き家を売却する際の片付けの必要性や、自力で片付けをする際の3つの方法、流れや注意点を解説します。

この記事でわかること
  • 片付けをしたほうがいい物件と、そうでない物件
  • 空き家の片付け方法とそのメリット&デメリット
  • 空き家を自力で片付ける場合の基本手順
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【執筆者】遠藤秋乃(えんどう あきの) 大学卒業後、メガバンクの融資部門での勤務2年を経て不動産会社へ転職。転職後、2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。知識を活かして相続準備に悩む顧客の相談に200件以上対応し、2017年に退社後フリーライターへ転身。

空き家となった実家を売却するには片付けが必要?

空き家となった実家を売却するには片付けが必要?

不動産を売却する際の片付けは「やっておいたほうがいいこと」であり、法律や契約上の義務として課せられるわけではありません。原則として片付けなくても売却は可能で、空き家であってもそれは同じです。

ただし、室内の状態や置いてある物品によっては、片付けることで売却が有利になる場合もあります。また、片付けが売却の前提になる場合もあるでしょう。

ここでは、売却前に片付けをしたほうがいい物件と、そうでない物件について、それぞれ解説します。

売却時に片付けをしたほうがいい物件

売却時に片付けをしたほうがいいのは、需要や売却価値が見込まれ、買主が現れやすい物件です。具体的には、次のような物件が挙げられます。

  • 物件の状態が良い(築浅・リフォーム済物件)
  • 交通アクセスが良い(都心や駅に近い物件)
  • 周辺施設が充実しており、生活の利便性が高い

上記のような物件は、片付けをするメリットが大きくなります。内観の写真の印象が良くなり、内覧時も広く見えるため、売りに出ている類似条件の物件に比べて有利になるのです。

また、不用品を残したままだと、売買成立時に残置物処分費用がかかる可能性があります。せっかくの利益が減ると勿体ないので、事前に売主側で片付けしておいたほうが良いでしょう。

片付けをせずに売ったほうがいい物件

売却にあたって、片付けが不要、もしくは片付けをしないほうがいいのは、需要や売却価値が見込まれず、買主が現れにくい物件です。具体的には、次のような物件が挙げられます。

  • 物件の状態が悪い(築古・要修繕の物件)
  • 交通アクセスが悪い(地方の物件・駅から遠い物件)
  • 自家用車がないと買い物できないなど、生活の利便性が低い

上記のような物件は、片付けしてまで売却に出すメリットが低くなります。売却で得られる利益が少なく、片付けにかかる手間や費用に見合わないため、コストパフォーマンスが悪いと言わざるを得ません。

また、古家付きの土地として土地代金のみで売りに出したり、売却前に更地にする予定があったりする場合も、片付ける必要はありません。

売却したい空き家について片付けが必要かどうか判断しかねるときは、いったん現況のままで査定に出してみることをおすすめします。ズバット不動産売却なら、最大6社に一括査定を依頼できます。一括査定で空き家の相場観が分かったら、個別相談で片付けについて意見を聞いてみると良いでしょう。

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空き家を売却する際の3つの片付け方法

空き家を売却するときの片付けの方法には、自力で片付ける方法と、業者に依頼する方法との2通りがあります。

業者に依頼する場合、依頼先の候補は「不用品回収を行う業者」と「遺品整理業者」のどちらかです。

部屋の状態や、仕事や家事の都合、自分の住まいと空き家の距離を考慮して、どの方法で片付けるか決めると良いでしょう。

自分や親族の力を借りて片付ける

空き家の所有者自身で片付けを行うなら、費用は最低限で済みます。東洋経済ONLINEの「実家の片付けにかかった費用」の調査によれば、7割の人が10万円未満~100万円以上をかけて片付けを行っています。この費用を節約できることは、自力で片付ける大きなメリットです

室内の状態によりますが、十分な人手があれば、自力で片付けるハードルはそう高くありません。

なお、空き家の売主となる人が自分たちで片づけを行うときの具体的な方法としては、次の5点が挙げられます。

【1】ゴミの日に捨てる

一般的な日用品は、分別してゴミの日に捨てられます。ただし、一回に出せるゴミの量が決められていることが多く、片付けるまでに時間を要す可能性があります。空き家が所在する地域のゴミ出しルールが不明の場合は、自治体ホームページなどで確認しましょう。

【2】粗大ごみは回収に来てもらう

大型ゴミは「粗大ごみ」として回収してもらう必要があります。自治体ホームページで事前予約が必要になる点や、粗大ごみの種類・大きさに応じて数百円程度の費用がかかる点に注意しましょう。

【3】廃棄物処理センターに持ち込む

自治体の廃棄物処理センターでは、「数キロ●百円」などと廃棄する重量に応じた廃棄量が決まっていることが多く、比較的安価に処理することができます。ただし、家電(エアコン・冷蔵庫・洗濯機・電子レンジなど)の持ち込みは不可だったり、分解が必要だったりするため、事前にチェックが必要です。

【4】リサイクルショップに持ち込む・出張買取を依頼する

貴金属はもちろん、まだ使えそうな物品や切手などのコレクションは、捨てるには惜しいものです。不要な場合、リサイクルショップで査定買取してもらったり、出張買取を依頼したりすると良いでしょう。

【5】オークションやフリマサイトで売る

価値がつきそうな物品は、オークションやフリマサイトで売却する方法もあります。取引対応がやや面倒ですが、【4】で紹介した買取サービスよりも高く売れる場合があります。家電類も、比較的新しいものに関しては「落札者自身で回収すること」を条件に出品することで、搬出の手間が省ける可能性があります。

不用品回収業者に片付けてもらう

空き家の片付けにかかる手間と時間を省きたいなら、不用品回収業者への依頼がおすすめです。重量物も大きい物品もスムーズに搬出でき、基本的には2時間程度、広い戸建てでも数時間から1日程度で片付けが終わります。

特に、いわゆる「ゴミ屋敷」と化した物件については、とくに不用品回収業者に依頼したほうが良いでしょう。自分たちで片付けると、手間や時間だけでなく、衛生面でも不安があるためです。

不用品回収業者の依頼費用の相場は、下記の表の通りです。業者の多くは、搬出に使用するトラックの大きさで費用を設定しています。

部屋の間取り(目安)車両相場
1R~1K2トントラック(平車)1.5~2万円
1DK~2LDK2トントラック(箱車:半)3~5万円
2K~2LDK2トントラック(箱車)5.5~10万円

先述した東洋経済ONLINEの調査によると、片付けにかかった時間は「3カ月未満」と「3ヵ月以上」で約半分ずつに分かれています。これを数時間から1日程度で済ませられる点が不用品回収業者を利用するメリットです。

これは、相続した空き家など、特定の期日までに売却しないと損をしてしまうケースにおいて、大きなメリットです。費用を節約するために自力で片付けようとすると、売却活動が遅れ、期日に間に合わないおそれもあるでしょう。

なお、不用品回収業者の利用で注意したいのは、室内にあるものをすべて「ゴミ」として扱われてしまう点です。価値があるものや必要なもの、思い出の品などは、先に探して保管しておく必要があります。

また、家まるごとの回収や、遺品整理の費用については要相談としている業者もあり、高額な特別料金がかかるケースがある点にも要注意です。

【監修者コメント】
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【監修者コメント】

不用品回収業者のなかには、当日になって料金を割り増すなど、あまり好ましくない業者も存在します。チラシなどで行き当たりばったりに依頼先を決めるのではなく、実際に利用した経験がある人や不動産会社に紹介してもらうと良いでしょう。

遺品整理業者に片付けてもらう

空き家の片付けを業者に依頼する場合、よりきめ細かい対応を求めるなら、遺品整理業者がおすすめです。先述の不用品回収業者と比較すると、室内にあるものを慎重に扱い、不用品とそれ以外を分別してくれる点が特徴です。

遺品整理業者による片付け完了までの時間は、不用品回収業者とそう変わりません。一般的には2日以内で終わります。さらに、作業後に簡単なハウスクリーニングをしてくれる業者もあります。

遺品整理業者の費用相場は、下記の表の通りです。業者の多くは、部屋の広さで値段設定しています。

間取り相場
1R・1K3~8万円
1DK・2K5~12万円
1LDK・2DK7~25万円
2LDK・3DK12~40万円
3LDK・4DK17~50万円
4LDK・5DK20~60万円

空き家売却のため自力で片付けるときの流れと注意点

空き家の売却にあたって、自力で片付けをする場合は、完了までの全体の流れを頭に入れておくと効率的に進められるでしょう。

具体的な流れは次のとおりです。

空き家売却のため自力で片付けるときの流れと注意点

1.ルールを決める

空き家の片付けで最初にやるべきことは、担当する人の数やそれぞれの立場に関わらず、最初にルールを作って関係者全員に共有しておくことです。具体的には「片付け費用の負担はどうするか」や「貴重品を見つけたら情報共有する」などといった内容になります。

片付けルールを決めないことでトラブルになる例としては、次のようなものが挙げられます。

  • へそくりを見つけた人が、誰にも言わず持ち出してしまう
  • 不用品処分費用の負担割合があいまいで、押し付け合ってしまう
  • 特定の人ばかりに作業負担がかかり、反感を買う
【監修者コメント】
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大きな問題になりやすいのは、故人の貴重品やタンス預金を誰かが隠してしまうケースです。万一のことがあると、裁判手続を通じた遺産分割のやりなおしに繋がり、空き家の売却どころでない事態に発展します。片付け担当の人はきちんと話し合い、情報共有を徹底しましょう。

2.スケジュールを決める

空き家の片付けルールを決めたら、いつまでに捨てるか、あるいは買い取ってもらうかなど、スケジュールを立てる必要があります。予定を決めずに行き当たりばったりで進めると、売却そのものが遅れてしまうおそれがあります

決めておきたいスケジュール項目は下記の通りです。

  • 不用品と取っておくものを仕分ける日
  • 片付ける部屋の順番
  • 取っておくものを運び出す日
  • 不用品を処分する日
  • 分担決めを決める日
  • 清掃を行う日 など

3.不用品と取っておくものを決める

空き家の片付けに関するルール・スケジュールが決まったら、室内にあるものを「不用品」と「捨ててはいけないもの」に分けていきましょう。このとき、「捨ててはいけないもの」に当てはまらないものをリストアップしておくと、次の工程で役立ちます。

なお、リストアップしたい「捨ててはいけないもの」には、貴重品を含む下記のようなものが挙げられます。

  • 通帳
  • 印鑑
  • クレジットカード
  • 健康保険証、年金手帳
  • マイナンバーカード、パスポート
  • 契約書類、請求書、領収書
  • そのほかの権利義務に関係する書類
  • 宝石や美術品など、希少価値のあるもの

4.不用品の処分方法を決める

リストアップした処分品を、どのような方法で処分するかを決めていきましょう。

既に述べましたが、自力で片付けを行うなら、以下のようにいくつかの方法があります。

  • ゴミの日に捨てる
  • 粗大ごみは回収に来てもらう
  • 廃棄物処理センターに持ち込む
  • リサイクルショップに持ち込む・出張買取を依頼する
  • オークションやフリマサイトで売る

手間がかからないのは「ゴミ」として処分してしまう方法ですが、少しでも利益を回収したいのなら、必要な人に売り渡すと良いでしょう。

事前に不用品の処分方法を決めておかないと、何度も業者を読んだり、リサイクルショップに繰り返し持ち込んだりすることになり、余計な手間が発生してきます。何事もあらかじめ決めておくのが効率的です。

5.分担決めを行う

不用品の処分方法まで決めたら、スケジュールに沿ってどのような作業が必要かを細分化し、各作業の分担を決めていきましょう。たとえば「不用品処分の当日」なら、下記のように作業を分け、それぞれの担当者を決めるのが効率的です。

  • ゴミの分別をする人
  • ゴミを出しに行く人
  • 粗大ごみ回収の予約をする人
  • 出張買取の担当者が来たときに対応する人
  • オークションやフリマサイトへの出品・落札対応をする人

作業を細分化して担当者を決めておけば、人手の無駄がなくなり、短時間でスムーズに片付けできます。作業分担の取り決めは、一部の人の負担が過重になることによるトラブルの防止にも繋がります。

6.片付けを行い清掃をする

空き家の片付けがひと段落したら、売りに出すときの印象を良くするため、できる範囲で室内を清掃しましょう。とくにきれいにしておきたい箇所として、下記が挙げられます。

  • 床、壁、階段(汚れ・ほこりを取る)
  • 水回り設備(水垢やカビを除去する)
  • 換気扇や窓(油汚れや雨染みを取る)
  • 庭(雑草を除去、植木の手入れ)

汚れがひどい場合は、無理に自分たちでやろうとせず、ハウスクリーニング業者に依頼することも検討しましょう。清掃費用の相場は部屋の広さによって異なりますが、2万円から13.5万円程度が相場です。

空き家の売却をする際の片付けについて【まとめ】

空き家の片付けは義務ではないものの、一定の利益が見込める需要・価値のある物件なら、なるべくきれいにして見栄えを良くしておく方が得策です。

実際に片付けるときは、部屋の状態や避ける手間を考えて、自力でするか、業者に頼むかを検討しましょう。自分たちで空き家を片付けると決めた場合は、全体の流れを押さえて効率的に進めることが重要です。

また、片付けなどによって売却利益が大きくなった場合は、所得税の計算が必要です。以下の記事では、節税効果の大きい「空き家特例」について分かりやすく解説しています。

【監修者コメント】
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実際のところ、売ろうとする家の中に多くの物品が残されている場合、その処理費用を巡って買主と交渉がまとまらないケースが増えてきています。片付けの要否の判断は、査定結果だけでなく、担当者の個別の意見も聞くようにするのが無難です。

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