アドレスホッパーとは?メリット・デメリットを詳しく解説
近年は、アドレスホッパーと呼ばれるライフスタイルに注目が集まっています。
アドレスホッパーは、自由な生き方や働き方を希望している人におすすめのライフスタイルです。
この記事では、アドレスホッパーの基礎知識やメリット・デメリットなどを解説します。
類似したライフスタイルとの違いやアドレスホッパーに関するよくある質問も解説するので、アドレスホッパーに興味を持っている人はぜひ最後までお読みください。
【監修】穂坂 潤平 宅地建物取引士。仲介営業13年(宅建は新卒の時に取得)、不動産仲介会社起業3年の経験を経てウェブクルーに入社。趣味は何でも遊びにすること。仕事では「喜ばれる仕事をして、自らも喜ぶこと」をモットーに日々ご提案しております!
アドレスホッパーとは
アドレスホッパーとは定住する特定の家を持たず、さまざまな場所で生活する人たちや生き方のことです。
この言葉は、「住所=アドレス」と「転々する=ホッピング」を組合わせた造語です。
アドレスホッパーたちは最低限の荷物だけを持ち、数日から数週間ごとに拠点を変えます。拠点とする場所は、ホテルやゲストハウスなどさまざまです。
生活の場所が一拠点に留まらないため、フリーランスやIT系の職種などのオフィスへの出社が不要な人が多い傾向にあります。
類似したライフスタイルとの違い
ノマドワーカーやデュアラーも、アドレスホッパーと類似したライフスタイルです。
しかし、ノマドワーカーやデュアラーは、拠点とする特定の住まいがあります。
ライフスタイルの種類 | 特徴 | 仕事をする場所 | 特定の家の有無 |
---|---|---|---|
アドレスホッパー | 定住する特定の家を持たず、さまざまな場所で生活する人たちや生き方 | 限定されない | なし |
ノマドワーカー | 特定の仕事場を持たず多様な場所で仕事をする人たち | 限定されない | あり |
デュアラー | 2つの拠点で生活する人たち | 限定されない | あり(※2拠点) |
ノマドワーカーとは
ノマドワーカーとは特定の仕事場を持たず、さまざまな場所で仕事をする人たちのことです。
ノマドには、遊牧民という意味があります。
ノマドワーカーが重視するのは、あくまでも仕事をする場所です。
仕事をする場所は、カフェやコワーキングスペースなどさまざまです。
居住する場所に明確な定義はありませんが、定住する特定の家があります。
近年は都心部を中心に、ノマドワーカーが快適に過ごせるフレキシブルオフィスも増えています。
デュアラーとは
デュアラーのデュアルには、二重という意味があります。
その意味の通り、デュアラーとは2つの拠点で生活する人たちのこと。
例えば平日は都心部で働き、週末は地方で暮らすといった方法です。
基本的には、仕事とプライベートを分けて生活するのが一般的。
趣味を重視するデュアラーの場合、海や山などでアクティビティを楽しむために、生活拠点を2つ持っているケースもあります。
アドレスホッパーが注目されている理由
近年は新しいライフスタイルの一環として、アドレスホッパーに注目が集まっています。
その背景には、時代の流れとともに変化したライフスタイルが関係しています。
多様な働き方が浸透したため
最近ではテレワークを導入する企業が増えました。
東京都が公表した「テレワーク実施率調査結果(2023年3月)」によるテレワーク実施率は次の通りです。
年月(※資料より抜粋) | テレワーク実施率 |
---|---|
2020年3月 | 24.0% |
2020年4月(※緊急事態宣言発令時期) | 62.7% |
2021年3月 | 57.7%(3月前半と後半の平均) |
2022年3月 | 62.5% |
2023年3月 | 51.6% |
上記の調査結果から、50%台以上の企業がをテレワークを実施していることがわかります。
※出典元:東京都「テレワーク実施率調査結果(2023年3月)」、東京都「テレワーク実施率調査結果(2021年5月)」また、近年は働き方改革の一環として、多様な働き方を導入する企業も多い傾向にあります。
出社日数が限定されれば、通勤しやすいエリアに居住する必要性がなくなったため、アドレスホッパーを始める人が増えました。
価値観が多様化したため
近年は多様性を尊重し、さまざまな価値観を受け入れようという動きが強まっています。
これを受け、固定観念にとらわれないライフスタイルが数多く生まれています。
柔軟な働き方が増えつつある中で、家賃や公共料金を支払って特定の場所に定住する必要性もなくなりました。
ワーク・ライフ・バランスを重視したライフスタイルを実現するには、アドレスホッパーという生き方も選択肢のひとつです。
ニーズに対応したサービスも登場している
アドレスホッパーへの注目度が高まる中、アドレスホッパー向けのサブスクリプションサービスも登場しています。
一般的には、多拠点コリビングサービスと呼ばれています。
コリビングには、仕事場と家を複数人で共有するという意味があります。
毎月定額料金を支払うと、全国各地にある登録物件に自由に滞在することが可能です。
広いエリアに拠点があり、移動しながら新たなコミュニティを形成できるため、仕事や生活において視野を広げられます。
アドレスホッパーのメリット
ドレスホッパーは特定の仕事場や家を持たないため、今後の生活に不安を感じる人もいるかもしれません。
しかし、仕事場や家が限定されないがゆえの、さまざまなメリットがあります。
固定費を削減できる可能性がある
特定の家を持つ場合、家賃や光熱費などの維持費が必要です。
一方のアドレスホッパーは特定の家を持たないため、維持費の支払いが不要になります。
固定費は支出の中でも占める割合が大きいため、アドレスホッパーを始めることで経済的な負担が軽減できる可能性があります。
ただし、滞在場所によっては宿泊費が高額になるケースもあります。
リーズナブルな宿泊施設を選んだり、多拠点コリングサービスを利用したりするなどの工夫次第では、宿泊費の節約につながるでしょう。
また、通信環境が完備された宿泊施設なら、毎月の通信費をおさえられます。
理想のライフスタイルを追求できる
アドレスホッパーは特定の家を持たず、生活拠点に縛られることがないため、自分の好きなときに好きな場所で暮らすことが可能です。
ひとつの拠点で不満を感じれば、別の拠点に移動すれば問題を解消できます。
旅行が趣味なら全国の観光地を移動し、毎日の暮らしを楽しむこともできるでしょう。
アドレスホッパーは定住に比べて自由度が高いため、理想のライフスタイルの実現が期待できます。
人との交流が増える
アドレスホッパーはホテルやゲストハウス、マンスリーマンションなどのさまざまな場所に滞在します。
共有スペースがある宿泊施設なら、自然と宿泊者同士の交流が生まれる可能性があります。
例えば外国人の利用者が多いゲストハウスでは、さまざまな人種の人と交流する機会もあるでしょう。
人との交流が増えると、自分の視野を広げるきっかけにもなります。
移動するごとに新たな出会いが訪れるため、常に刺激がある生活を送ることが可能です。
アドレスホッパーのデメリット
アドレスホッパーは、自由度が高いライフスタイルのひとつです。
その一方でいくつかのデメリットもあるため、アドレスホッパーを始める前に確認しておくようにしましょう。
住民票に住所を登録できない可能性が高い
住民基本台帳法第二十二条では、転入日から14日以内に市町村長に氏名や住所などを届け出ることが義務づけられています。
これに違反した場合には、50,000円以下の過料が科せられます。
※出典元:e-GOV法令検索「住民基本台帳法」つまり、住む場所が変わったときには、期限内に市区町村の窓口で手続きが必要だということです。
しかし、アドレスホッパーを始めると、住民票に住所を登録できない可能性があるので注意が必要です。
宿泊施設の中には住民票に住所を登録できるところもありますが、特定のプランへの契約が必要なケースが多い傾向にあります。
ほとんどの宿泊施設では住民票に住所を登録できないため、アドレスホッパーを始める前に何らかの対策が必要です。
対策としては、実家に住民票を移しておく方法があります。
クレジットカードの作成や借入れが難しくなる
クレジットカードを作成したりローンを組んだりする際には、審査に通らなければなりません。
申込み時には、家が賃貸か持ち家かを選択する項目があります。
アドレスホッパーは特定の家を持たないため、審査に通りにくくなる可能性があるので注意しましょう。
審査に通らなければ、当然ながらクレジットカードの作成やローンの利用はできません。
クレジットカードやお金の借入れが必要な場合は、アドレスホッパーを始める前に申し込んでおくようにしましょう。
ストレスにつながる可能性もある
アドレスホッパーは短期間で住む場所を変えるため、常に新しい環境に適応する必要があります。
仕事で疲れていても、拠点を変えるごとに宿泊施設を探さなければなりません。
すぐに宿泊施設が見つかるとは限らないため、それに耐えられる体力が求められます。
また、宿泊施設によっては他人と生活空間を共有するケースもあり、プライベートの確保が難しくなることもあります。
就寝する場所が個室でなければ、騒音で眠れないことがあるかもしれません。
アドレスホッパーを始めると常に快適に過ごせる保証はないため、環境によってはストレスにつながる可能性もあります。
プライベートな空間を確保したい場合は、個室のある宿泊施設を滞在先にするのも選択肢のひとつです。
ただし、同じ宿泊施設でも個室は割高なので、宿泊費が高額になります。
アドレスホッパーに関するよくある質問
最後に、アドレスホッパーに関するよくある質問を紹介します。
月にどれくらいの費用がかかるのか
月の宿泊費はどこに滞在するかで変動しますが、相場の価格帯は幅広く50,000円~20万円程度です。
アドレスホッパーが利用するおもな宿泊施設は、次の通りです。
- ホテル
- 旅館
- ゲストハウス
- ウィークリーマンション
- マンスリーマンション
- サービスアパートメント
- シェアハウス
- 民泊
- 多拠点コリングサービスの登録物件 など
ホテルを利用する場合は、ほかの宿泊施設に比べて高額になりやすい傾向。
エリアによっては定住よりも割高になる可能性があるため、アドレスホッパーを始める前にシミュレーションしておくことをおすすめします。
また、アドレスホッパーを続けていく上で必要になる費用は、宿泊費だけではありません。
生活するには食費や交通費、通信費などの費用もかかるため、トータルでどのくらいの金額がかかるかを調べておきましょう。
郵便物の受け取りはどうするのか
アドレスホッパーは、郵便物の送付先として実家を指定しているケースが多いようです。
また、ホテルやマンスリーマンションなどで長期間滞在する場合は、宿泊施設の住所の利用が可能です。
宿泊施設が変わっても同じエリアに長期間滞在する場合は、郵便局の私書箱を利用する方法もあります。
このほかには、シェアハウスやバーチャルオフィスの郵便物受け取りサービスを利用するのも手段のひとつです。
多拠点コリングサービスの登録物件の中には、特定のプランを契約することで、住民票を移せるケースもあります。
ただし、郵便物の中には、住民票のある住所にしか郵送されないものもあるので注意が必要です。
どのような職業の人が多いのか
アドレスホッパーは滞在場所を移動するため、基本的にオンラインで仕事が完結する職業の人が多い傾向です。
アドレスホッパーに多い職業は、次の通り。
- デザイナー
- エンジニア
- ライター
- マーケター
- Webディレクター
- カスタマーサポート
- カメラマン など
上記の職業で毎日のオフィス出社が必須でない場合は、アドレスホッパーを始められるでしょう。
一方で、アドレスホッパーはオープンスペースで仕事をするケースもあります。
機密情報や個人情報を扱う業務はオープンスペースではなく、個室スペースを選びましょう。
アドレスホッパーは環境の変化を楽しみたい人におすすめ
アドレスホッパーは短期間で滞在場所を移動するため、常に新しい環境に適応する必要があります。
移動するたびに新たな出会いがあるため、仕事とプライベートともに人脈を広げられる可能性もあります。
ただし、住む場所を変え続けることや人との関わりがストレスにつながるリスクもあるため、アドレスホッパーを始める際には、自分に適しているライフスタイルかを慎重に検討してから判断しましょう。