土地評価額の計算で使用される路線価とは|路線価図の見方などを解説

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路線価は、道路に面する宅地1㎡あたりの土地価格です。

相続税・贈与税の納税額を決めるために必要な「土地評価額」の算出に用いられるほか、路線価を参考に土地の売値を決めることもあります。しかし、路線価の見方や活用方法がわからない方も多いでしょう。

この記事では、土地評価額の計算で使用する路線価の概要と、路線価図の見方について紹介します。土地評価額を計算する方法についても具体的に解説していますので、ぜひご覧ください。

この記事でわかること
  • 路線価とは何か
  • 路線価図の見方
  • 路線価方式で土地評価額を計算する方法
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【執筆】岡﨑渉 【経歴】国立大学卒業後、新卒で大手不動産仲介会社に入社。現在はフリーランスのWebライターとして活動中。不動産営業時代は、実需・投資用の幅広い物件を扱っていた経験から、Webライターとして主に不動産・投資系の記事を扱う。宅地建物取引士・FP2級の資格を保有。
【SNS】 https://twitter.com/watalog_site
【ホームページ】 https://watalog.site

土地評価額の計算で使用される路線価とは

路線価とは、道路に面する宅地1㎡あたりの土地価格です。相続税や贈与税を決める基準となる土地評価額(相続税評価額)を算出するために、国税庁から例年7月に公表されています。

路線価には、「固定資産税路線価」と呼ばれる各市町村(東京23区の場合は東京都)が算定したものもありますが、一般的に使われている「路線価」とは、国税庁が公表している「相続税路線価」のことです。

路線価図の見方

路線価図の見方

ここでは、路線価図の見方をわかりやすく解説します。路線価図を見る際は、主に次の3か所を確認しましょう。

①地区区分
②借地権割合
③1㎡あたりの土地価格

①地区区分

地区区分

「地区区分」とは、その土地がどのような用途に使用されているかを示したもので、次の7つに分類されています。

  1. ビル街地区
  2. 高度商業地区
  3. 繁華街地区
  4. 普通商業・併用住宅地区
  5. 中小工場地区
  6. 大工場地区
  7. 普通住宅地区

区分によって異なる記号が使用されており、記号全体が白抜きになっている場合は路線全域がその区分に該当し、黒塗りになっている場合は、道路沿いがその区分に該当することを示しています。例えば、次の図の「140E」は、道路沿いが高度商業地区であることを意味します。

地区区分例

地区区分は「補正率」の計算を行う際に使用されます。土地は、奥行きや形といった要因で利用価値が変わるため、地区区分と補正率によって適正な土地評価額を算出する仕組みです。

下の表を見ると、土地の奥行距離によって補正率が変わっていることがわかります。

奥行価格補正率表

奥行価格補正率のほかにも、不整形地補正率や間口狭小補正率など、補正率にはいくつかの種類があり、土地の特徴に合わせて補正を行います。

【監修者コメント】
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一般的に正方形の土地や間口が広い土地は評価額が高く算出されます。間口の狭い長方形の土地や、土地の形がいびつな不整形地では、建物のプランが入りにくく、用途が制限されてしまうためです。

②借地権割合

借地権割合

借地権割合とは、土地の権利に対する借地権の割合を示したもので、借りている土地に建物を建てている場合に知っておく必要があります

第三者から土地を借り、そこに建物を建てる権利のことを「借地権」といいます。土地そのものは貸主の所有物ですが、土地を借りている人も「土地を使用する権利」という財産を持っていると考えられるため、借地権は相続財産として評価されます。

借地に建っている不動産を相続する際は、借地権割合をもとに土地評価額(相続税評価額)を計算します。借地権割合は10%単位で定められており、一般的に地価が高いほど借地権割合も高くなります。

借地権割合は、下図の赤枠の箇所で確認が可能です。190「E」と記載があり、右側の表の記号に当てはめると借地権割合が50%であることがわかります。

借地権割合の例
出典:路線価図|国税庁

なお、建物が少ない地域では借地権割合が決められていない場合があり、借地としての評価がないことを意味します。

③1㎡あたりの土地価格

1㎡あたりの土地価格
出典:路線価図|国税庁

1㎡あたりの土地価格は1,000円単位で表記されています。上図では「190」と記載されているため、190 × 1,000 = 190,000円となり、この場合は1㎡あたりの土地価格が19万円であることがわかります。

路線価方式で土地評価額を計算する方法

ここでは、路線価方式で土地評価額を計算する方法を解説します。

標準的な土地評価額(相続税評価額)は、「路線価 × 土地面積」で計算できますが、土地の奥行きや形状をもとにした補正率も考慮する必要があります

例として、こちらの図のような土地の評価額を路線価方式で計算してみましょう。

計算用例

奥行価格補正率は、普通商業・併用住宅地区で奥行距離が30mの場合は1.0になるため、計算式は次のようになります。

路線価 × 奥行価格補正率 × 土地面積 = 相続税評価額
⇒19万円 × 1.00 × 150㎡ = 2,850万円

土地を借りている場合は、借地権割合も考慮する必要があります。記号Eの場合、借地権は50%となるため、計算式は次の通りです。

路線価 × 奥行価格補正率 × 土地面積 × 借地権割合= 相続税評価額
⇒19万円 × 1.00 × 150㎡ × 50%=1,425万円

路線価の記載がない場合は、倍率方式を用いて算出が可能です。また、補正率は奥行きだけでなく、2つの道路に面している宅地や間口の広さといった複数の要素があります。

詳細な土地評価額の計算方法については、次の記事で詳しく紹介しています。

【監修者コメント】
監修者画像

農村や郊外では路線価が設定されていないことがあります。その場合は、倍率方式で計算しましょう。計算式は「相続税評価額=固定資産税評価額×評価倍率」です。評価倍率は国税庁の「財産評価基準書」で確認できます。

土地評価額の計算で使用される路線価の基礎知識まとめ

土地評価額の計算で使用される路線価は、道路に面する宅地1㎡あたりの土地価格を示したもので、相続税や贈与税の税額を決める際の基準の一つになります。

路線価をもとに土地評価額を計算する際は、今回紹介した路線価図の見方や計算方法を参考にしてください。

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【監修者コメント】
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相続税評価額は、土地が正方形や長方形であれば、比較的簡単に計算できます。しかし、実際の土地は正方形や長方形だけではありません。不整形地になると補正率などによって計算が複雑になるため、不動産会社や税理士などのプロに依頼しましょう。

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