事故物件を手放したい! 5つの売却方法と少しでも高く売るコツを紹介!
自殺や殺人などの発生した物件は、「事故物件」と呼ばれており、印象が良くないため、そう簡単に買主が見つかりません。
そのため、事故物件を抱えている人の中には、「手放したい」と考えているものの、買い手が見つかるのか、不安に感じている人も多いと思います。本記事では、事故物件の明確な定義、売却方法、高く売却するコツなどについて紹介します。
【監修】穂坂 潤平 宅地建物取引士。仲介営業13年(宅建は新卒の時に取得)、不動産仲介会社起業3年の経験を経てウェブクルーに入社。趣味は何でも遊びにすること。仕事では「喜ばれる仕事をして、自らも喜ぶこと」をモットーに日々ご提案しております!
事故物件に定義はある?
「事故物件」とは、人の死に関連するような事故の発生した物件のことを指します。しかし、これまでは、明確な定義がなかったため、売主の独断で買主に告知せず、売買契約後に事故物件であることが発覚してトラブルに発展したことが数多くありました。そこで、2021年には、トラブルを回避するために事故物件について以下のように定義されました。
事故物件に該当しない | 事故物件に該当 |
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自然死や不慮の事故については事故物件に該当しないものの、「心理的瑕疵」という印象面の問題を有しています。心理的瑕疵は、人によって捉え方が違うため、注意が必要です。「事故物件に該当していないから」という理由で告知しなかった場合、後でトラブルに発展する恐れがあるため、必ず不動産会社に相談しましょう。
「瑕疵」「告知義務」の詳細な説明については、以下の記事をご確認ください。
事故物件を手放す方法は?
事故物件は、心理的瑕疵を有しており、一般的な不動産と比べて売ることが簡単ではありません。そのため、「手放したい」と考えていても難航することが予想されるでしょう。事故物件をうまく手放すためには、売却方法を工夫することが求められます。事故物件を売却する方法としては、以下の5つが挙げられます。それぞれの売却方法について、詳しく見ていきましょう。
- 通常通り不動産会社を経由して売却する
- 事故物件専門サイトにて売却する
- 一定期間を空けてから売り出す
- 不動産会社に買い取ってもらう
- 解体して更地にして売却する(戸建ての場合)
通常通り不動産会社を経由して売却する
事故物件だからといって、全く買い手がないというわけではありません。不動産を探している人の中には、心理的瑕疵を気にしていない人もいます。「安く不動産が手に入るのであれば、事故物件でも良い」と考えている人もいるため、通常通り売り出したとしても、購入希望者が現れる可能性もあります。
実際に、大手の不動産サイトでも「訳あり物件」という形で売り出されていることも多いです。しかし、事故の内容によっては、不動産会社が仲介を受けてくれない可能性もあるため、まずは不動産会社に相談してみましょう。
事故物件専門サイトにて売却する
不動産会社を経由して通常通りに売却する場合は、多くの購入希望者が訪れる一方、市場に出回っている物件に紛れ込んでしまうため、成約までに時間がかかる可能性があります。そこでおすすめなのは、「事故物件専門サイト」です。
「事故物件専門サイト」とは、事故物件を専門に扱っている不動産会社が運営するサイトのことです。事故物件専門サイトを訪れる人は事故物件に対する理解があり、購入意思のある人であるといえます。一般的なサイトと比べてマッチング率が高いため、通常通りの売却方法よりも速やかな成立が期待できるでしょう。
一定期間を空けてから売り出す
心理的瑕疵は人によって捉え方が異なりますが、事故発生からの時間が経過することで、印象が改善される傾向にあります。そのため、売却を焦っていないのであれば、一定期間を空けてから売りに出した方が好条件での売却を期待できます。しかし、期間を空けたからといって、告知義務がなくなるわけではありません。
また、ニュースになったような大きな事故や事件の場合、印象が和らぐまでかなりの時間を要する可能性があります。余裕のある人は、待っている間に部屋をリフォームして売却に備えるのも選択肢の一つですが、早く事故物件を手放したい人は、他の方法を選択しましょう。
不動産会社で買い取りしてもらう
不動産会社の中には、事故物件の買い取りを行っている不動産買取業者もいます。不動産買取業者の場合、条件に合致すれば速やかに成約するため、早く事故物件を手放したい人やなかなか買い手が現れずに悩んでいる人、売却を周囲に知られたくない人におすすめです。
しかし、不動産買取業者は、事故物件を安く買い取り高く転売することによって、差益を得ることを目的としています。そのため、不動産買取業者の買取価格は、第三者に売却よりもさらに安くなってしまう点には注意が必要です。
解体して更地にして売却する
事故物件を解体した場合、事故現場となった建物は残っていないため、心理的瑕疵が和らぎます。そのため、物件を解体し、更地にしてから売却するのも選択肢の一つです。しかし、解体できるのは「一戸建て」に限られており、マンションは他の住民もいるため、原則として解体することができません。
また、一戸建てを解体する場合は、解体費用がかかるだけでなく、更地にすることで住宅用地の特例を利用できなくなるため、固定資産税の負担が大きくなる点に注意が必要です。更地にすべきかどうかの判断は難しいため、不動産会社に相談した上で計画的に行いましょう。
事故物件を少しでも高く売るコツ
事故物件を売却することは可能ですが、基本的に相場に近い価格での売却は期待できません。そのため、価格を下げて買い手を探すことになり、おおよその相場を把握しておくことが大切です。事故物件の相場は、事故の内容や事故後の物件の状況によって異なるため、一概に言い切れませんが、おおよその目安としては、以下の通りです。
【事故物件の売買相場】
- 自殺:通常相場の7割程度
- 他殺:通常相場の5割程度
事故物件の売却は、実際に売り出し、市場の様子を見ながら価格を下げていくケースが多いです。少しでも高く売却したいのであれば、高く売却するコツを押さえた上で臨むことが大切です。以下、それぞれのコツについて、詳しく説明します。
【事故物件を高く売却するコツ】
- 特殊清掃をする
- 複数の業者で見積もりを取る
特殊清掃をする
事故物件は、事故の状況によって異なりますが、事故現場となった部屋に汚れやシミなどが残っている場合があります。事故を思い起こさせるような要素が残っている場合、不動産の価格に影響を与えます。そこで「特殊清掃」によって部屋をきれいにしておけば、心理的瑕疵が和らぐため、価格に与える影響の緩和が期待できるでしょう。
特殊清掃とは、特別な機材や薬剤を使い、通常の清掃では落とせない汚れを掃除することです。特殊清掃の費用は、清掃内容によって大きく異なります。簡単で部分的な清掃の場合は3万円程度で済みますが、不用品処分や片付けも含めると、数十万円程度と高くなるため、注意が必要です。少しでも費用を抑えたい人は、遺品整理や片付けについては自分で行いましょう。
複数の業者で見積もりを取る
不動産を売却する際は、およそいくらで売れるのかを把握するために、不動産会社に査定を依頼します。「査定結果は、どの不動産会社でも同じ」と考えている人もいるかもしれませんが、不動産会社によって査定で重視するポイントが違うため、査定結果も異なってきます。査定結果の高い不動産会社に依頼すれば、好条件での売却が期待できるため、査定結果の高い不動産会社に仲介を依頼するのも選択肢の一つです。
しかし、仲介の依頼を受けるために、わざと査定結果を高くする不動産会社もあるため、注意しましょう。不動産会社を選ぶ際には、査定結果だけでなく、スタッフの対応、実績、査定の根拠などを踏まえた上で、総合的に判断しましょう。とはいえ、複数業者に査定を依頼するのは、手間と時間がかかります。そこで、おすすめしたいのは、「一括査定サイト」です。
まとめ
事故物件は、心理的瑕疵を有しているため、そう簡単に買い手が見つかりません。そのため、「手放したい」と考えていても、買い手をすぐに見つけられないのが現状です。しかし、「安く手に入るのであれば、事故物件でも良い」という人も一定数いるため、買い手が全くいないというわけではありません。
売却方法をうまく工夫すれば、買い手を見つけられるでしょう。ただ、買い手を見つけられるとはいえ、価格への影響は避けられません。事故物件は、相場と比べるとどうしても価格が低いため、売却方法だけでなく、高く売るためのコツを押さえた上で臨みましょう。