空き家の売却はどこに相談すればいい?4つの相談先とそれぞれの特徴

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空き家を初めて売却する方は、どこに相談するべきかで悩んでいるのではないでしょうか。

空き家を売却する際の相談先は、大きく分けて4つに分けられます。
適切な相談先を選べば、金額や時期など、さまざまな面で自分の希望を叶えることが可能です。一方、相談先を間違えてしまうと、金銭面で損をしたり、思わぬトラブルに見舞われたりするリスクを抱えかねません。
この記事では、空き家売却の4つの相談先について、それぞれの特徴を解説しています。売却を相談する前に必要な準備も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること
  • 空き家売却を相談する前の準備
  • 空き家を売却する際の相談先
  • 相談先ごとのメリットとデメリット
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【監修】岡﨑渉 【経歴】国立大学卒業後、新卒で大手不動産仲介会社に入社。現在はフリーランスのWebライターとして活動中。不動産営業時代は、実需・投資用の幅広い物件を扱っていた経験から、Webライターとして主に不動産・投資系の記事を扱う。宅地建物取引士・FP2級の資格を保有。 【SNS】 https://twitter.com/watalog_site 【ホームページ】 https://watalog.site

空き家の売却は相談先を探す前に自分でリサーチしてみよう

空き家の売却は相談先を探す前に自分でリサーチしてみよう

不動産売却に関する知識がないまま売却に進んでしまうと、以下のような判断ができず、希望する売却価格や日程での売却が難しくなってしまいます。

  • もっとも売主の希望に適した売却方法なのか
  • 査定額が正しいのか(相場価格なのか)
  • 信頼していい相談先なのか

なかには、売主の利益を考えず、自分が得をすることだけを考えて動く相談先もあります。そういった相談先を選んでしまうことのないよう、相談先を探す前に、自分で相場を調べることが大切です。

以下の記事では、空き家売却の相場や基礎知識を解説しています。相談先を選ぶポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

空き家を売却したいときの相談先

空き家を売却する際の相談先としては、以下の4つが挙げられます。

  • 不動産会社
  • 空き家バンク
  • 隣家の住民
  • 知人・親族

それぞれの相談先には、下表のようにメリットとデメリットがあるため、売却する不動産や自分の状況によって、適切な相談先は異なります。

相談先 メリット・デメリット
不動産会社 <メリット>
・不動産売却のプロであり、最も適している相談先
・不必要な出費を防げるほか、買主を見つけるまでの活動を一任できる
<デメリット>
・不動産会社によって得意な物件が異なるため、希望価格で売れない可能性がある
・自分の希望に合う優良な不動産会社を見つけるのが難しい
空き家バンク <メリット>
・無料で登録でき、個人取引であるため手数料も削減できる
・リフォーム費や家財処分に助成金を利用できるケースもある
<デメリット>
・利用には一定の条件を満たす必要がある
・買主との条件交渉を自身で行う必要がある
隣家の住民 <メリット>
・隣家が必要としていればすぐに話しがまとまる
・隣家の住民にとってメリットが大きければ、高く買い取ってもらえる可能性があり仲介手数料も発生しない
<デメリット>
・交渉の難航やトラブルに発展する可能性もある
・時間が経ってから売却の話がなくなることもある
知人・親族 <メリット>
・引き渡し日の相談などがスムーズに進みやすく、売却後も訪問が可能
・仲介手数料がかからない
<デメリット>
・極端な低価格で売却すると贈与と見なされて贈与税がかかる可能性がある
・親族や特別な関係にあたる人との売却は控除が利用できず税負担が大きくなる可能性がある

ここからは、それぞれの相談先について詳しく見ていきましょう。

【監修者コメント】
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仲介手数料がかからないのは、不動産会社に依頼せずに、個人間で取引をする場合に限られます。隣家の住民や知人に売却する場合でも、不動産会社を通す場合は仲介手数料がかかります。買主がローンを使う場合や取引を安全に進めたい場合は、不動産会社に依頼するのがおすすめです。

不動産会社

不動産会社は、空き家の売却を検討する際の、最も一般的な相談先です。

不動産会社を介しての売却には、「買取」と「仲介」の2種類があることを知っておきましょう。買取と仲介の違いは下表のとおりです。

■売却方法

買取 不動産会社に直接買い取ってもらう方法

<特徴>
  • 早く現金化できる
  • 仲介手数料が不要
    (仲介業者に買取業者を探してもらう場合は仲介料が発生する)
  • 売却価格が仲介よりも2~3割程度低い
仲介 不動産会社に買主を見つけてもらう方法

<特徴>
  • 買取よりも2~3割高く売れる
  • 仲介手数料が必要
  • 買取よりも、売れるまでに時間を要する

買取は不動産会社に直接買い取ってもらえるため、すぐに現金化できる反面、売却価格が相場の2〜3割低くなってしまう傾向にあります。

仲介は買取よりも高く売れますが、買主が見つかるまで時間がかかるケースが大半です。

なお、買取と仲介はそれぞれ専門で取り扱う不動産会社があるため、希望の売却方法を考えたうえで、相談する不動産会社を選ぶといいでしょう

メリット

不動産会社は売却のプロであるため、相談先として最も一般的です。

不動産会社に相談すれば、「更地にしたほうが売れやすい?」「リフォームしたほうが高く売れる?」といった、売却活動のなかで生まれるさまざまな疑問を解決してもらえます。不必要な解体費用やリフォーム費用の出費を防ぐことにもつながるでしょう。

また、不動産会社に依頼すれば、買主を見つけるための活動を一任できるため、個人間でやり取りする場合と比べると、手間や時間を大きく削減できます。

なお、買取を専門としている不動産会社に売却を依頼すれば、空き家の片付けをせずに売却できる可能性もあるため、空き家の売却先としても適しているといえるでしょう。

デメリット

マンションの売買を得意とする不動産会社や、都市部の物件の売買を得意する不動産会社など、不動産会社によって得意とする物件が異なります。そのため、相談先の不動産会社が空き家の売買を得意としていない場合、希望する期間や売却価格で売れない可能性があります。

加えて不動産会社は数が多いので、自分の希望に合う優良な不動産会社を選び出すのには骨が折れるでしょう。

また、悪徳な業者も存在しており、選ぶ不動産会社によっては損をしてしまったり、トラブルに発展したりする可能性もあります。

不動産会社を選ぶ際は、以下のポイントを必ずチェックしましょう。

  • 売却実績
  • 顧客満足度
  • 査定額の根拠
  • 売却する地域に精通しているか
  • 売却物件は得意か
  • 対応の速さ
  • ネット広告を活用できるか
  • 免許番号・過去の行政処分情報
  • 的確なアドバイスがあるか
  • 担当者との相性

優良な不動産会社かを見極めるためには、必ず複数の不動産会社に査定依頼を行ってください。その査定結果を参考に、上記のポイントに当てはまる不動産会社をいくつか選択して、訪問査定を行ってもらいましょう。

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空き家を売却する際の注意点は、以下の記事で解説しています。

空き家バンク

空き家バンクとは、空き家を売りたい・貸したいと希望する所有者が、その物件の情報を自治体が運営しているサイトに提供し、買いたい・借りたいという人を募るものです。

かつては地方部の市町村を中心に行っていた取り組みでしたが、近年は空き家の増加が問題視されていることから、全国的な展開に至っています

メリット

空き家バンクは法律に基づいた行政サービスとして運用されており、営利目的ではありません。

そのため、無料で登録できるうえ、取引も売主と買主の個人間取引であることから、諸々の手数料がかからないといったメリットがあります

また非営利のため、不動産会社だと断られるような物件でも販売できる点もメリットです。

個人間のやり取りではトラブルが不安な方もいると思いますが、契約などの実務に関しては、各自治体と提携した宅建協会や、全日本不動産業界に所属する業者が担ってくれるため、安心して利用することができるでしょう。

さらに自治体によっては、リフォーム費用や家財処分に必要な助成金がでるところもあります。

例えば山梨県北杜市では、補助率3分の2、上限を150万円までとして、売却時の家財処分費の助成を行っています。

デメリット

空き家バンクのデメリットは、誰でも利用できるわけではないことです。登録するためには、以下4つの条件を満たす必要があります。

  1. 該当する各自治体に存在する住宅であること
  2. 宅建業者(不動産業者)と媒介契約を締結していない住宅
  3. 建築基準法違反を犯していない住宅
  4. 各自治体の最高責任者が不適切と判断しない住宅

「2」の条件にあるように、すでに不動産会社に買主を探してもらう契約を結んでいる場合、空き家バンクには登録できません。

また、空き家バンクはあくまでも情報を掲載するサイト(ページ)であるため、不動産会社のように売主に代わって売却活動をしてくれるわけではありません。そのため、買主との条件交渉は、売主が自身で行う必要があります

宅建協会および、全日本不動産業界に所属する業者に仲介をお願いすることもできますが、その場合は仲介手数料がかかってしまいます。

また、空き家バンクは全国各地、どこの自治体でも行っている取り組みではないため、お住まいの自治体によってはそもそも選択肢に入らないこともあるでしょう。

隣家の住民

隣家の住民にとって、自宅のすぐ隣の家・土地を購入するメリットは大きいです

具体的には、迷惑な住民が引っ越してくることがないこと、ひとつなぎの大きな土地になること、物件環境が良くなることなどが挙げられます。

また、駐車場を作ったり、アパートを建てたり、息子・娘夫婦の家を建てたりするなど、活用法にもさまざまな選択肢があります。

【監修者コメント】
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建築基準法の接道要件などを満たしておらず、再建築不可となっている物件の売り先は隣家になるケースがほとんどです。接道要件を満たしている隣家であれば、現状再建築不可の土地であっても、有効活用できるためです。一般的に価値が低いとされている不動産でも高値で売却できる可能性があります。

メリット

隣家の住民が、自宅の隣の土地を手に入れることに付加価値を感じる場合、他の売却方法よりも高く買い取ってもらえたり、交渉がすぐに成立したりする可能性があります

特に、物件の需要が低い地域であれば売却活動は長引きやすいため、早く売れることは大きなメリットになります。また、個人間のやり取りをすれば、仲介手数料も発生しません。

デメリット

過去のご近所トラブルなどが原因で、交渉が難航したり、トラブルに発展したりする可能性があります。また、交渉の途中で売却の話が無くなってしまうこともあり得るでしょう。

また、極端に安い金額を提示されてしまうこともあります。通常の売却と比較して、買主にとってメリットがあるかをよく考えましょう。

知人・親族

ほかの方法で売却が難しい場合や、家に愛着がある場合などは、知人や親族などの身内に相談するのもひとつの方法です

メリット

空き家とはいえ、愛着のある家を他人に売るのは気が引ける方も多いでしょう。知人や親族に売却できれば、売却後も訪問する機会があるかもしれません

また、売却の事情を理解してくれるため、引き渡し日などの話し合いがスムーズに進みやすいといったメリットもあります。

隣家の住民の方へ売るのと同様に、個人間でやり取りをすれば仲介手数料もかかりません。

デメリット

知人への売却もトラブルになる可能性がありますが、とくに注意が必要なのが親族間でのやり取りです。

親族へ売却する場合、「できるだけ安くしてあげたい」と極端に低い価格で売却してしまうと、譲渡(売買)ではなく贈与と見なされてしまい、贈与税がかかってしまうことがあります

また、親族間などの特別な関係にある人との売買は、特別控除が利用できず、税負担が大きくなってしまう可能性もあります。

親族間などの特別な関係にある人とは
  • 親子
  • 夫婦
  • 内縁関係にある人
  • 生計を共にする親族
  • 物件を売ったあとに、その物件で同居する親族
  • 特殊な関係のある法人 など

売却によって利益が出た場合、通常は譲渡所得税がかかりますが、令和9年12月31日までの間の売却において、要件に該当している場合は譲渡所得(利益)から最高で3,000万円の控除が受けられます。

親族間などの特別な関係にある人への売却によって利益が出た場合、この特別控除の特例が受けられなくなってしまうため、他の売却方法に比べて利益が少なくなってしまいます。

空き家の売却にかかる税金や特例に関しては、以下の記事を参考にしてください。

空き家を売却したいときの相談先【まとめ】

空き家を売却する際の一般的な相談先は、不動産売却のプロである不動産会社です。不動産会社に相談することで、的確なアドバイスがもらえたり、売却活動を一任できたりと、建物の売却に関する悩みを解決してくれるでしょう。

ただし、不動産会社のなかには、空き家の売却を得意としていない会社や、売主の利益を考えない悪質な会社もあります。そのため、複数の会社で見積もりを依頼し、比較・検討したうえで、信用できる相談先を見つけることが大切です。

また、売却条件によっては、空き家バンクの利用や、友人や親族、隣家の方に売却する方がメリットが多いこともあります。それぞれのメリットデメリットを把握したうえで、相談先を判断しましょう。

【監修者コメント】
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空き家の売却期間が経過するほど、売りにくくなる傾向にあります。なぜなら、家を管理する人がおらず、時間の経過とともに室内・外観ともに劣化して状態が悪くなるからです。状態が悪い物件は買主としても不安であるため、価格交渉を受けることも。資産価値を落とさないためにも、早めの売却相談がおすすめです。

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