【通信制高校を選択した子供の親1,027名に調査】約6割は子供自身の意思で進学を決定、約3割は親の経験やアドバイスを参考に進路選択したという結果が明らかに
公開日:2025年03月12日 更新日:2025年03月12日
「ズバット」を中心とした比較サイトを展開する株式会社ウェブクルー(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:藤島 義琢)は、通信制高校に通った経験のある子供(卒業済み・在学中を含む)を持つ親1,027名を対象に「『親の高校時代の経験が子の高校選びに与える影響』に関する調査」を実施しました。
調査実施の背景
通信制高校の進学者数は近年増加傾向にあり(※1)、高校進学時の選択肢として通信制を検討するケースが以前より広がっています。その背景には、不登校やいじめ、心身の理由などで全日制・定時制への通学が難しい生徒に加え、学業以外の活動と両立したい、あるいは自分のペースで学習したいというニーズの多様化があり、通信制高校が柔軟な受け皿として認知されつつあることが挙げられます。
そこで、通信制高校に関連するサービスを運営しているウェブクルーは「親が通学していた高校の形態」が「子供の高校選び」にどのような影響を与えているのかを探るべく、調査を実施しました。ほかにも「通信制高校の魅力」「通信制高校での学びによる子供の変化」などを可視化するとともに、多様化する学びの選択肢に関する実態と新たな可能性を見出すことを目的としています。
※1 参考:文部科学省「検討を進めるための参考資料」P.17 通信制高等学校の生徒数(公私別推移)
調査結果トピックス
- 通信制高校に在学中または卒業した子供を持つ親の70.4%が「自分自身は全日制高校に通っていた」と回答
- 子供の進路決定にあたり、自分自身の学生時代の経験は「影響を与えなかった」という人が62.3%
- 通信制高校への進学によって子供に生じた変化については、全体の32.8%が「ストレスが軽減され、精神的に安定した」と回答
このほかにも、以下の項目についての調査結果をまとめました。
- 子供が通信制高校に通う前と後のイメージの変化
- 子供の学校選びに影響を与えた、親自身の経験や思い、きっかけ
調査結果詳細
通信制高校に在学中または卒業した子供を持つ親の70.4%が「自分自身は全日制高校に通っていた」と回答
はじめに、今回のアンケート対象者である「通信制高校に通った経験のある子供(卒業済み・在学中を含む)を持つ親」1,027名に「Q1. あなた自身はどの形態の高校に通っていましたか。」(n=1,027)と質問したところ、「全日制」が70.4%、「通信制」が22.9%という回答となりました。
文部科学省の調査(前述※1)によると、2023年(令和5年)の全日制高校の生徒数は2,918,501人、通信制高校の生徒数は264,974人で、通信制高校の生徒数の割合は全体の約8.3%に相当します。今回のアンケート対象者である1,027人のうち、通信制高校に通っていたという割合は22.9%なので、文科省の調査と比較すると高い割合であると言えます。親自身が通信制高校に通っていた経験があるからこそ、通信制高校に対する知識や信頼が十分にあり、安心して子供を通わせているという背景もあるのかもしれません。
・全日制:70.4%
・通信制:22.9%
・定時制:3.3%
・高校に進学しなかった:3.4%
通信制高校について「名前も内容もよく知っていた」が29.3%、「名前は聞いたことがあるが、内容はあまり知らなかった」が43.3%
次に「Q2. あなた自身は、通信制高校についてどの程度知っていましたか。」(n=1,027)と質問したところ、「名前も内容もよく知っていた」が29.3%、「名前は聞いたことがあるが、内容はあまり知らなかった」が43.3%という回答となりました。
・名前も内容もよく知っていた:29.3%
・名前は聞いたことがあるが、内容はあまり知らなかった:43.3%
・名前は聞いたことがある程度:17.5%
・まったく知らなかった:9.8%
また、Q2で「名前も内容もよく知っていた」「名前は聞いたことがあるが、内容はあまり知らなかった」「名前は聞いたことがある程度」と回答した方に「Q3. お子様が進学する前に、通信制高校についてどのようなイメージを持っていましたか。(自由回答)」(n=926)と質問したところ、「不登校などの子供にも柔軟な対応をしてくれる」や「信制高校でも大学進学を目指せることを知って驚いた」といった回答を得ることができました。
通信制高校のイメージ<自由回答・一部抜粋>
・不登校などの子供にも柔軟な対応をしてくれる(神奈川県/58歳女性)
・通信制高校でも大学進学を目指せることを知って驚いた(東京都/50歳女性)
・私たちの時代とは違って、今は良い通信制高校が多くあると思っていた(兵庫県/54歳男性)
・最近、主流になってきている(京都府/44歳女性)
・卒業できるか不安(大阪府/51歳男性)
・学校に行かなくても、高卒の資格が得られる(東京都/58歳女性)
・いろんな形態が増えたイメージ(千葉県/50歳男性)
・勉強が苦手な子が行くイメージだったが、実際は多様な生徒が通っていると知った(愛知県/47歳女性)
・通学できない子供のための学校と思っていたが、実際は柔軟な学びの場だった(広島県/53歳女性)
・自由な環境だが、自己管理能力が求められると思う(岡山県/50歳男性)
・いじめや不登校の子供たちの受け皿になっていると感じる(福島県/50歳女性)
子供の進路決定にあたり、自分自身の学生時代の経験は「影響を与えなかった」という人が62.3%
さらに「Q4. お子様の進路決定にあたり、あなた自身の学生時代の経験はどの程度影響を与えたと思いますか。」(n=1,027)と質問したところ、「ほとんど影響を与えなかった」が35.4%、「まったく影響を与えていない」が26.9%という回答となり、合わせて62.3%の人が「影響を与えなかった」と考えていることがわかりました。このことは、親の経験や通っていた学校形態にとらわれず、自分の意思で通信制高校を選んだということを表していると言えます。
・大いに影響を与えた:8.7%
・ある程度影響を与えた:17.8%
・ほとんど影響を与えなかった:35.4%
・まったく影響を与えていない:26.9%
・わからない/答えられない:11.2%
親自身の「心身の不調や不安があり、学校に行くのがつらかった」「決められた通学スタイルではなく、自分のペースで学びたかった」といった経験が子供の学校選びの後押しに
Q4で、親自身の学生時代の経験が「大いに影響を与えた」「ある程度影響を与えた」と回答した方に、「Q5. お子様の進学先(通信制高校)を選ぶにあたって『自分はこうだったから子供にはこうなってほしい』という思いにつながったご自身の出来事やきっかけがあれば教えてください。(複数回答)」(n=272)と質問したところ、「心身の不調や不安があり、学校に行くのがつらかった」が33.8%、「決められた通学スタイルではなく、自分のペースで学びたかった」が32.4%、「人間関係がうまくいかなかった」が30.5%で、上位を占めました。親自身のさまざまな経験をふまえつつ、「子供には後悔させたくない」という思いのもとで子供を通信制高校へと送り出している様子が見てとれます。
・心身の不調や不安があり、学校に行くのがつらかった:33.8%
・決められた通学スタイルではなく、自分のペースで学びたかった:32.4%
・人間関係がうまくいかなかった:30.5%
・不登校(もしくは不登校気味)だったので克服したかった:26.8%
・部活動・趣味・習い事など、学業以外の活動を優先したかった:25.4%
・通学時間や通学コストの負担を軽減したかった:15.8%
・その他:3.3%
・わからない/答えられない:12.9%
全日制高校と比べて、通信制高校は「自分のペースで学習できる」のが魅力だと感じている人が53.7%で最多
「Q6. 通信制高校が全日制と比べて魅力的だと感じた点を教えてください。(複数回答)」(n=1,027)と質問したところ、「自分のペースで学習できる」が53.7%、「通学日数を抑えられる(通学負担が少ない)」が39.7%、「部活動・趣味・習い事・アルバイトなど、学業以外の活動と両立しやすい」が26.0%と上位を占めました。
・自分のペースで学習できる:53.7%
・通学日数を抑えられる(通学負担が少ない):39.7%
・部活動・趣味・習い事・アルバイトなど、学業以外の活動と両立しやすい:26.0%
・学費が比較的抑えられる:19.2%
・家庭の事情に合わせて予定を組みやすい:18.6%
・ITやオンラインを活用した学習環境が整っている:14.9%
・自主性や自己管理能力が身につきやすい:14.1%
・年齢や背景が多様な仲間と学べる:13.7%
・先生や職員とのコミュニケーションが取りやすい:12.7%
・進路や全日制にはないユニークな科目が学べる:12.7%
・進路選択の幅が広い:7.6%
・その他:1.4%
・わからない/答えられない:12.9%
通信制高校への進学による子供の変化は「ストレスが軽減され、精神的に安定した」「学校に行けるようになった」が上位
「Q7. 通信制高校への進学によって、お子様に生じた変化を教えてください。(複数回答)」(n=1,027)と質問したところ、「ストレスが軽減され、精神的に安定した」が32.8%、「学校に行けるようになった」が26.8%、「気の合う友達ができた」が17.8%という回答となりました。
・ストレスが軽減され、精神的に安定した:32.8%
・学校に行けるようになった:26.8%
・気の合う友達ができた:17.8%
・自己管理能力が向上した:14.6%
・将来について考える機会が増え、自分の進路を意識するようになった:14.0%
・興味のある分野を見つけることができた:13.4%
・自主的に学ぶ意欲が高まり、主体性が育まれた:13.0%
・学校外での活動に積極的になった:12.0%
・さまざまな境遇の生徒との交流を通じて、多様な価値観を学んだ:11.8%
・その他:1.8%
・特に変化はない:19.6%
・わからない/答えられない:9.3%
子供が通信制高校に通ったことで「通信制高校のイメージが良くなった」割合が過半数
「Q8. お子様が通信制高校に通う前と後で、通信制高校に対するイメージに変化はありましたか。」(n=1,027)と質問したところ、「とても良くなった」が24.3%、「少し良くなった」が31.5%となり、ポジティブなイメージに変わった人が全体の55.8%を占める結果となりました。
・とても良くなった:24.3%
・少し良くなった:31.5%
・変わらない:24.7%
・少し悪くなった:5.1%
・とても悪くなった:2.2%
・わからない/答えられない:12.2%
また、Q8で「とても良くなった」「少し良くなった」「少し悪くなった」「とても悪くなった」と回答した方に、「Q9. 通信制高校に対するイメージがどのように変化したのか、またその理由や背景があれば自由にお書きください。」(n=648)と質問したところ、「努力して卒業した達成感があると感じた」「夢を持って入る子供も多いと知った」などの回答を得ることができました。
通信制高校に対するイメージがどのように変化したのか、またその理由や背景<自由回答・一部抜粋>
・努力して卒業した達成感があると感じた(静岡県/59歳男性)
・夢を持って入る子供も多いと知った(大分県/48歳女性)
・やはり今の通信制高校は良いところが多いと思ったのは間違いではなかったと思った(兵庫県/54歳男性)
・不登校を経験した子供が多いためネガティブなイメージもあったが、活発な子供がいたり、先生も熱心に指導してくれ、イメージが変わった(岐阜県/41歳女性)
・普通の道から外れてしまう感覚だったけど、子供が楽しく通う姿を見て、色々な道があると受け入れることができるようになった(千葉県/44歳女性)
・生徒も先生も明るく、雰囲気も良かった(千葉県/60歳女性)
・子供がストレスなく勉強できる環境(福岡県/43歳女性)
・以前の暗いイメージは無い(東京都/38歳女性)
・子供が楽しそうにしているので(福井県/60歳男性)
・思ったよりも学習する機会があった(東京都/52歳男性)
・子供のストレスがなくなった(長崎県/41歳女性)
「どんな学校を卒業したかで人生が決まるわけではない」「自分で決めた道を応援してあげてください」などのメッセージも
「Q10. 通信制高校への進学を検討している方(親御さんやお子さんご本人)に向けて、これまでの経験を踏まえたアドバイスを自由にお書きください。(自由回答)」(n=1,027)と質問したところ、さまざまな励ましの言葉が寄せられました。「全日制にこだわる必要はない」「子供の個性や自主性を尊重してほしい」といった意見も多く、通信制高校のポジティブな側面や多様な選択肢、そして子供自身の意思を尊重することの大切さが浮かび上がりました。
通信制高校への進学を検討している方に向けたアドバイス<自由回答・一部抜粋>
■通信制高校のポジティブな側面を知ってほしい!
・子供に合っていれば通信制もとてもよい選択肢になること(沖縄県/55歳女性)
・全日制にこだわらなくても通信制でも十分進学を目指せる。全て本人次第(岐阜県/41歳女性)
・通信制高校はいろいろなタイプがあるので、よく調べてお子様にマッチした学校を選択されるのが良いと思います(東京都/58歳男性)
■多様な選択肢があることを知ってほしい!
・全日制にこだわらず、お子さんの性格や環境に合った学校選びをしてあげてほしい(和歌山県/48歳男性)
・高校は全日制だけでなく、他の選択肢もあります。諦めないでください。卒業した時の達成感があります(静岡県/59歳男性)
・どんな学校を卒業したかで人生が決まるわけではない(埼玉県/47歳女性)
■子供の自主性・意思決定を尊重してあげてほしい!
・本人が行く気持ちがあれば、行く事が良いと思います。新しい可能性が見つかるかもしれません(千葉県/60歳女性)
・自分で決めた道を応援してあげてください(広島県/53歳女性)
・普通校に通うべきという価値観は一旦捨てて、子供が楽しく毎日を過ごせるような学校選びをしてほしいと思います。親は子供を追い詰めることなく温かく見守ることができればいいと思います(千葉県/44歳女性)
■学校見学・情報収集が重要!
・見学及び先生に質問など学校見学してみるのがよいと思う(福岡県/52歳男性)
・悩んでいるのは自分の家庭だけではなく、もっと深刻な方も数多くいらっしゃるという現実がわかると思うので気になったら見学だけでもしてみて欲しい(大阪府/51歳女性)
まとめ
今回の調査結果では、通信制高校に通わせた親の多くが、自身は全日制高校に通っていた経験がありながらも、子供の事情や個性に応じて柔軟かつ前向きに進路を検討し、通信制高校を選んだことがわかりました。2005年ごろから通信制高校の数が増え始め、通信制高校に通う生徒数も徐々に増加してきていることから、全日制以外の選択肢のひとつとして身近なものとして捉えられるようになってきているようです。時代の変化とともに、親の意識も柔軟に変化してきていると言えるでしょう。
また、通信制高校ならではのフレキシブルな学習スタイルが子供にとってポジティブな変化をもたらしており、「通信制高校のイメージが良くなった」という肯定的な声が多く寄せられています。
これらの結果は、親子ともに「高校=全日制」という固定観念を変化させ、多様な学びの場を受容する社会へと移行している一端を示しています。今後、オンライン学習環境の整備や個別カリキュラムの充実がさらに進めば、通信制高校への進学がより一般的な選択肢として確立され、一人ひとりのニーズに合った高校を選びやすい社会が実現されるでしょう。
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■調査概要
・調査名称:『親の高校時代の経験が子の高校選びに与える影響』に関する調査
・調査方法:IDEATECHが提供するリサーチデータマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
・調査期間:2025年2月6日〜同年2月12日
・有効回答:通信制高校に通った経験のある子供(卒業済み・在学中を含む)を持つ親1,027名
・男女比率:男性 497名(48.4%)、女性 530名(51.6%)
・年代比率:30代 57名(5.6%)、40代 387名(37.7%)、50代 541名(52.7%)、60代 42名(4.1%)
・平均年齢:50.0歳
※2 合計を100%とするため、一部の数値について端数の切り上げ処理を行っております。そのため、実際の計算値とは若干の差異が生じる場合がございます。
≪調査結果の利用条件≫
(1)情報の出典元として「ズバット 通信制高校比較(株式会社ウェブクルー)」の名前を明記してください。
(2)ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
URL:https://zba.jp/tsushin-highschool/cont/basic-research-parental-influence/

