マンション売却にかかる手数料・費用を徹底解説!相場は?戻るお金はある?
マンションを売却する際には手数料や税金などのさまざまな費用がかかるため、売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。状況によっては想像以上の金額がかかる可能性もあるため、事前にどのくらいの費用が必要なのかを把握しておくと安心です。
この記事では、マンションの売却にかかる費用の相場を項目別にわかりやすく解説していきます。マンションの売却時に戻る費用も併せて解説しているので、これからマンションの売却を検討している人はぜひ参考にしてください。
【監修】穂坂 潤平 宅地建物取引士。仲介営業13年(宅建は新卒の時に取得)、不動産仲介会社起業3年の経験を経てウェブクルーに入社。趣味は何でも遊びにすること。仕事では「喜ばれる仕事をして、自らも喜ぶこと」をモットーに日々ご提案しております!
マンション売却にかかる費用相場
マンションの売却にかかる費用は、おもに仲介手数料・印紙税・住宅ローン一括返済費用・譲渡所得税・そのほかの費用に分けられます。
ここでは、マンションの売却にかかる費用の相場を項目別に詳しく見ていきましょう。
費用名 | 相場 | |
---|---|---|
仲介手数料 | 売却価格に応じて異なる | |
印紙税 | 1,000円~60,000円 ※売買契約書に記載された金額に応じて異なる |
|
住宅ローン一括返済費用 | 無料~33,000円 ※金融機関や手続き方法によって異なる |
|
抵当権抹消登記の費用 | 登録免許税 | 不動産ひとつにつき1,000円 |
司法書士への報酬 | 15,000円程度 | |
譲渡所得税 | 売却価格やマンションの所有期間によって異なる | |
そのほかの費用 | 引越し費用 | 時期や荷物量、移動距離などによって異なる |
ハウスクリーニングやリフォーム費用 | 場所によって異なる |
仲介手数料
マンションを売却する際は、不動産会社に売却活動を依頼するのが一般的です。不動産会社は、物件広告の作成・掲載、購入希望者からの問い合わせの対応などマンションの売却に関わるさまざまな業務を売り手に代わって行います。
仲介手数料は売却活動を行った不動産会社への対価として支払う費用です。マンションの売却にかかる費用の中でも、仲介手数料は高額になりやすいと言えるでしょう。上限額は宅地建物取引業法で決められており、次の計算式を用いて算出します。
売却価格 | 上限額の計算式 |
---|---|
200万円以下の部分 | 取引額の5%+消費税 |
200万を超え400万円以下の部分 | 取引額の4%+消費税 |
400万円を超える部分 | 取引額の3%+消費税 |
また、売却価格が400万円超える場合は「売却価格×3%+60,000円+消費税」の速算式で求めることも可能です。
例えば、売却価格が2,000万円の場合、計算式に当てはめると次の金額が仲介手数料の上限になります。
【通常の計算】
200万円×5%+消費税=11万円
200万円×4%+消費税=88,000円
1,600万円×3%+消費税=52万8,000円
→11万円+88,000円+52万8,000円=72万6,000円
【速算式】
2,000万円×3%+60,000円+消費税=72万6,000円
仲介手数料の早見表
仲介手数料は売却価格ごとに異なり、金額に応じて高くなります。売却価格ごとの上限額は次の通りです。
売却価格 | 上限額 |
---|---|
1,000万円 | 39万6,000円 |
2,000万円 | 72万6,000円 |
3,000万円 | 105万6,000円 |
4,000万円 | 138万6,000円 |
5,000万円 | 171万6,000円 |
6,000万円 | 204万6,000円 |
7,000万円 | 237万6,000円 |
8,000万円 | 270万6,000円 |
9,000万円 | 303万6,000円 |
1億円 | 336万6,000円 |
仲介手数料は成功報酬なので、売買契約が成立した時点で売り手の支払い義務が発生します。支払いのタイミングが決められているわけではありませんが、基本的には売買契約が成立した後です。
一般的には、売買契約が成立したときと物件の引渡しが完了したときです。2回のタイミングのいずれかで全額を支払うケースもあれば、半額ずつを支払うケースもあります。支払いのタイミングは媒介契約の際に取り決められているので、契約内容を確認しておきましょう。
印紙税
印紙税とは売買契約書に貼る印紙のことで、特定の文書に対して印紙税と呼ばれる税金が課せられます。売り手と買い手で取り交わす売買契約書は印紙税の課税対象です。
税額は、売買契約書に記載された金額に応じて異なります。
売買契約書に記載された金額 | 税額※軽減措置後の金額 |
---|---|
100万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 30,000円 |
1億円超5億円以下 | 60,000円 |
2024年(令和6年)3月31日までに作成された文書は軽減措置の対象となっており、通常よりも税額が低く設定されています。
印紙税を支払うタイミングは売買契約の作成時で、税額分の印紙の貼付によって納付します。売買契約書は売り手と買い手で1通ずつ保管するため、それぞれに印紙税がかかります。
住宅ローン一括返済費用
住宅ローンの残債があり、マンションの売却代金で住宅ローンを一括返済する場合は、一括返済手数料がかかります。
手数料は金融機関や手続き方法で異なりますが、代表的な金融機関の場合は次の通りです。
金融機関名 | 手数料(税込) |
---|---|
三菱UFJ銀行 |
店舗:33,000円 テレビ窓口:22,000円 インターネットバンキング:16,500円 |
みずほ銀行 | 店舗:33,000円(税込) |
三井住友信託銀行 | 郵送:22,000円 |
りそな銀行 |
店舗:5,500円~33,000円 テレビ窓口:5,500円~33,000円 ※保証料返戻手続きを行う場合は別途11,000円 インターネット:取扱なし |
ソニー銀行 | インターネットバンキング:無料 |
ここで紹介した金融機関以外でも、インターネットバンキングの一括返済手数料を無料に設定しているケースが多い傾向にあります。
抵当権抹消登記の費用
住宅ローンの残債があり、マンションの売却代金で住宅ローンを一括返済する場合は、抵当権を抹消する手続きが必要となります。
抵当権とは、住宅ローンを借入れる際に金融機関がマンションを担保にするために設定された権利です。
住宅ローンを完済した場合、抵当権が必要なくなるので抹消登記の手続きを行います。抵当権抹消登記にかかる費用は、登録免許税と司法書士への報酬です。登録免許税は特定の手続きに対して課せられる税金で、抵当権抹消登記の場合は不動産ひとつにつき1,000円です。
一方の司法書士への報酬は事務所やエリアによって異なりますが、15,000円程度を目安に見ておくといいでしょう。
譲渡所得税
マンションを売却した場合、利益が出るケースもあれば損失が出るケースもあります。このうち利益が出た場合は、売却益に対して譲渡所得税が課せられます。しかし、売却益すべてが課税対象になるわけではありません。
課税対象の金額は次の計算式で算出します。
課税譲渡所得=マンションの売却価格(譲渡所得)-(取得費用+譲渡費用)
【取得費用】マンションの購入時にかかった費用
- マンションの購入代金
- 仲介手数料
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 印紙税 など
【譲渡費用】マンションの売却時にかかった費用
- 仲介手数料
- 登録免許税
- 印紙税 など
税額は、課税譲渡所得(所得税+住民税)にマンションの所有期間に応じた税率をかけて算出します。また所得税には復興特別所得税が含まれています。
区分 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得(所有期間:5年以下) | 30.63% | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得(所有期間:5年超) | 15.315% | 5% | 20.315% |
譲渡所得税の納付には確定申告が必要なので、マンションを売却した翌年に手続きを忘れないようにしましょう。
譲渡所得税の特例
マンションの売却で譲渡所得税がかかる場合、特例の利用で節税につながります。
- 3,000万円の特別控除
- 10年超所有軽減税率の特例
- 特例居住用財産の買換え特例
特例ごとに適用条件があり、すべてを満たした場合に利用可能です。
特例の種類 | 内容 | 適用条件(一部) |
---|---|---|
3,000万円の特別控除 | 譲渡所得から3,000万円まで差し引くことが可能 | ・居住用物件の売却 ほか ・売り手と買い手が特別な関係でないこと ・売却の前年と前々年に3,000万円特別控除を受けていないこと ほか |
10年超所有軽減税率の特例 | 所有期間が10年超の場合の税率が軽減 | ・居住用物件の売却 ほか ・売却した年の1月1日時点で所有期間が10年超であること ・売り手と買い手が特別な関係でないこと |
特定居住用財産の買換え特例 | 新たに購入した物件の金額が売却価格を上回った場合に、譲渡所得税を将来に繰り延べることが可能 | ・居住用物件の売却 ほか ・売却した物件と購入した物件が国内にあること ・売却価格が1億円以下であること |
なお、特例の適用条件はほかにもあるため、利用する際には国税庁の公式サイトで確認できます。
そのほかの費用
マンションを売却する際には、手数料や税金以外にも引越し費用やハウスクリーニング・リフォーム費用がかかる場合があります。
引越し費用
引越し費用は、おもに基本料・作業料・オプション料で決まるのが一般的です。
基本料は移動距離や移動時間に大きく左右され、転居先が長距離で荷物量が多いほど高くなる傾向にあります。また、同じ条件でも時期によって金額が異なり、3月~4月は繁忙期になるので費用が高めです。
マンションの売却にかかる費用を事前に計算する際には、引越し費用も含めておくと全体的な出費を把握できます。なお、仮住まいの期間がある場合は引越し費用が2回分必要です。
ハウスクリーニングやリフォーム費用
マンションを売却する場合、ハウスクリーニングやリフォームは基本的に必要ありません。
ハウスクリーニングやリフォームに費用をかけても、売り出し価格に上乗せできるとは限らないからです。また買い手が好きなようにリフォームしたいという場合もあります。
しかし、売却前にハウスクリーニングを行っておくと、内覧時の印象がアップして買い手が見つかりやすくなるメリットもあります。
そのため、リフォームやハウスクリーニングが必要かどうかは、不動産会社の担当者と相談してから決めるようにしましょう。
【ハウスクリーニングの相場】
場所 | 相場 |
---|---|
キッチン | 12,000円~20,000円程度 |
浴室 | 12,000円~18,000円程度 |
フローリング | 6畳あたり8,400円~15,000円程度 |
【リフォームの相場】
場所 | 相場 |
---|---|
キッチン | 60万円~90万円程度 |
浴室 | 80万円~100万円程度 |
トイレ | 20万円~30万円程度 |
マンション売却時に戻るお金
マンションを売却する際にはさまざまな費用がかかりますが、一方で清算され戻ってくるお金もあります。
費用名 | 相場 |
---|---|
住宅ローン保証料 | 30万円~80万円程度 ※金融機関や借入額などで異なる |
火災保険料 | 借入額や借入期間によって異なる |
管理費・修繕積立金 | マンションごとに異なる |
それぞれを詳しく見ていきましょう。
住宅ローン保証料
住宅ローンを利用してマンションを購入した場合、保証料を支払うのが一般的です。これは、万が一返済が滞ったときの保証として支払う費用になります。マンションの売却によって一括返済した場合、残りの期間に応じた金額が金融機関から返金されるでしょう。
相場は相場は30万円~80万円程度で、金融機関や借入額などで異なります。また、金融機関や商品によっては、住宅ローン保証料自体がないケースもあるため、自身の借入れている住宅ローンを確認してみるといいでしょう。
火災保険料
住宅ローンを利用してマンションを購入した場合、火災保険への加入を義務づける金融機関もあります。
火災保険料は借入額や借入期間によって異なりますが、保険料を一括で前払いしていた場合は、保険期間内に解約することで残りの期間に応じた金額が金融機関から返金されます。
ただし、住宅ローンを一括返済しただけでは火災保険料が返金されません。契約者が解約を申し出ない限り契約は継続されるため、保険会社に忘れずに連絡をしましょう。
管理費・修繕積立金
分譲マンションでは、毎月管理費や修繕積立金の支払いが必要です。これらの費用を先払いしている場合は、売却のタイミングに応じて売り手と買い手で日割り計算して清算するケースがほとんどです。
ただし、費用の清算は売り手と買い手による任意であるため、場合によっては行わないケースもあります。
マンション売却でかかる仲介手数料の値引きについて
マンションの売却にかかる費用のうち、仲介手数料は大部分を占めます。上限は宅地建物取引業法で決められていますが、下限に法的効力はありません。そのため、仲介手数料は値引き交渉が可能です。
一方で、費用を抑えるために値引き交渉しても、不動産会社のおもな収入源となる部分のため、売却活動が消極的になる可能性があります。どうしても値引き交渉したいという場合は、媒介契約前のタイミングで交渉しましょう。
また媒介契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があります。それぞれ契約内容が異なりますが、不動産会社1社と契約できるのは専任媒介契約と専属専任媒介契約です。
そのため、専任媒介契約と専属専任媒介契約であれば交渉してみる余地はあるかもしれません。これは、不動産会社の利益になる仲介手数料が売り手から確実に得られるため、値引き交渉に応じてもらいやすいからです。
しかし、マンションの売却で大切なのは、仲介手数料の値引きに注力するよりも高値で売却することなので、無理に交渉を行う必要はありません。
マンション売却にかかる費用は事前の把握が大切
マンションを売却する際には、予想よりも高額な費用が必要になることもあります。特に仲介手数料は一番高額になる手数料と言っても過言ではありません。
しかし、マンションの売却にかかる費用は、特別控除の利用などで、費用を節約することも可能です。また、住宅ローン保証料や火災保険料など戻ってくるお金もあります。
のように、マンションの売却にかかる手数料や費用については、事前にいくらぐらいかかるのか、どのようなお金が戻ってくるのかをおおまかに把握しておくことで、実際に費用がかかる場面で慌てずに済みます。
本記事を参考に、自身のマンション売却にはどれくらいの手数料・費用がかかるのか調べておきましょう。
下記のページでは条件を入力するだけで売却時の手取り額がシミュレーションできます。