不動産売却の税金っていくら?計算方法・確定申告・節税対策などを専門家の監修のもと解説

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不動産売却にかかる税金一覧!計算方法・申告方法・節税対策を解説

不動産を売却した際には、売却して利益を得た場合に課せられる譲渡所得税をはじめ、さまざまな税金を納める必要があります。税金の計算は自分でも算出できるため、だいたいの金額を事前に把握することが可能です。

そこでこの記事では、初めて不動産売却をする人に向けて、不動産売却時に課される税金の詳細と、譲渡所得税の計算方法、税金の申告方法などについて詳しく解説します。また、控除や特例を利用した税金対策についても説明しています。

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【監修】西崎 洋一 宅地建物取引士・管理業務主任者・不動産コンサルタント・不動産プロデューサー。不動産業界10年以上の専門家。物件調査、重説作成・説明などの実務経験が豊富。特に土地の売買、マンション管理に精通。大阪を中心に活動を行っている。

不動産売却にかかる税金一覧表

不動産売却で税金が発生するタイミング

不動産を売却したときは、売上代金が全額手元に入るわけではなく、さまざまな税金がかかります。最初に、どのような種類の税金がかかるのか、税率、いつどのように納税するのかを一覧表で確認しましょう。

税金の種類 何にかかる税金か 税率 いつ納税するのか 納税方法
印紙税 売買契約書 ・500万円超1,000万円以下:5,000円
・1,000万円超5,000万円以下:10,000円(※1)
不動産売買契約するとき 印紙
登録免許税 不動産登記 ・新築住宅:0.15%
・売買による所有権移転:0.3%(※2)
決済(引渡し)のとき 現金
印紙(30,000円以下の場合)
消費税 ・仲介手数料
・住宅ローンを繰上返済する場合の手数料
・登記手続きを司法書士に依頼した場合の報酬
10% おもに売却時 現金
譲渡所得税(所得税・住民税) 不動産の売却 39.63%または20.315% 確定申告後 納付書

※1、2:軽減措置による税率

このように、不動産売却にかかる税金はおもに4つです。

また、印紙税、登録免許税、譲渡所得税はそれぞれ納税の時期や納税方法が異なります。

それぞれの税金が発生するタイミングは、印紙税は売買契約書に貼って納税するので売買契約時、登録免許税は所有権移転登記を行う引き渡し時、譲渡所得税は不動産を売却した利益に対してかかる税金なので確定申告後です。

不動産売却にかかる税金の種類

不動産売却にかかる税金の種類

印紙税、登録免許税、譲渡所得税などは普段の生活ではあまり聞き慣れない言葉のため、どれくらいかかるのか不安になる人もいるかもしれません。そこで、それぞれがどのような税金なのか、税率や税額について、詳しく解説していきます。

売買契約書の作成にかかる印紙税

印紙税とは、印紙税法で定められた課税文書を作成する際に課せられる税金です。不動産売買の契約書も課税文書に該当するため、印紙税が課されます。

不動産の売買契約書は、売主分と買主分を作成するため、2通分の印紙税が必要です。一般的には、売主と買主、それぞれが1通分ずつを負担して納めます。

税額は、課税文書に記載されている額によって定められており、印紙税額分の収入印紙を購入して貼付することで納税します。不動産売買契約書にかかる印紙税は次の通りです。

契約書に記載されている金額 本則税率 軽減税率
10万円超~50万円以下 400円 200円
50万円超~100万円以下 1,000円 500円
100万円超~500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超~1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超~5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超~1億円以下 60,000円 30,000円
1億円超~5億円以下 10万円 60,000円

※2024年(令和6年)3月31日までは、軽減税率が適用されます。

売主側の印紙税は節約が可能

売買契約後、売主が契約書を必要としない場合は、売主側の印紙税を節約することもできます。その場合は、印紙税額の収入印紙を貼付した買主側の契約書をコピーして、売主側の契約書とします。

不動産売却の名義変更にかかる登録免許税

登録免許税軽減措置の適応期限

※建物所有権の保存登記等については、2024年(令和6年)3月31日まで軽減税率が延長されました。

登録免許税は、家や土地などを新しく登記したり、売買や相続などで登記情報を変更したりするときに支払う税金です。

不動産を売買するときには、不動産の名義人を売主から買主に変更するために所有権移転登記を行います。 土地の所有権移転登記は、令和5年3月31日までの軽減措置適用で固定資産税額の1.5%となっています。

建物の所有権移転登記は、通常2%です。しかし、個人の住宅の用に供される床面積50平方メートル以上の家屋で、かつ中古住宅の場合は、築後25年以内(木造は20年以内)のもの、または一定の耐震基準に適合するものであれば、0.3%に軽減されます。

さらに、長期優良住宅・認定低炭素住宅の新築等に係る登録免許税の税率は、令和4年3月31日までの措置として、0.1%(戸建ての長期優良住宅の移転登記については0.2%)に軽減されています。

所有権移転登記にかかる登録免許税は、買主が負担するのが一般的ですが、法律で定められているわけではありません。売買契約を交わす前に、登録免許税をどちらが負担するのかについて、不動産会社の担当者に確認しておきましょう。

抵当権抹消登記にかかる登録免許税

住宅ローンが残っている不動産を売却する場合は、その不動産を売却した代金などで住宅ローンを完済し、住宅ローンを借りる際に登記された抵当権を抹消しなければなりません。

抵当権の抹消登記にかかる登録免許税は、1つの不動産につき1,000円です。戸建ての場合は、土地と建物、それぞれ別の不動産になるため、登録免許税は2,000円になります。

抵当権を外してから所有権を変更する手続きを一度におこなう場合は、司法書士に依頼することがほとんどです。そのため、抵当権抹消の登録免許税は、司法書士の報酬を合わせて支払うことになります。このときに支払う報酬額は、10,000~20,000円程度が一般的です。

【監修者コメント】
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登録免許税の納税は司法書士に任せることが一般的です。そのため、司法書士に報酬と登録免許税をあわせた金額を支払います。その後、無事に手続きが完了したら司法書士から登録免許税の領収書をもらうという流れになります。

仲介手数料や住宅ローン手数料にかかる消費税

不動産売却に関する費用の中で、消費税の対象になるのは次のようなものがあります。

  • 仲介手数料
  • 住宅ローンを繰上返済する場合の手数料
  • 登記手続きを司法書士に依頼した場合の報酬
消費税の扱いに注意!

個人間での不動産の売買代金や土地の代金には、消費税は課せられません。仲介手数料は売買代金によって決まる場合が多いので、売買代金に消費税が含まれていないかどうか、確認するようにしましょう。

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不動産の売却益にかかる譲渡所得税

不動産を売却して売却益が発生した場合、その利益に対して課されるのが譲渡所得税です。譲渡所得税は、給与所得や事業所得とは別枠で計算して納税する「分離課税」にあたります。「分離課税」には住民税と所得税(復興特別所得税)が含まれています。

譲渡所得は、不動産の売却額そのものに課せられるわけではありません。売却額から、その不動産を購入したり売却したりする際にかかった費用を差し引いた「利益」が課税対象です。

不動産購入時の契約書や仲介手数料の領収書などが対象となり、差し引ける費用が多いほど課税額は低くなります。

購入した際の費用が不明な場合

先祖伝来の不動産を売却した場合などで、購入した際の費用がどうしてもわからない場合は、その不動産を売却した金額の5%を購入した際の費用としてみなすことができます。

不動産売却にかかる譲渡所得税の計算方法

不動産売却にかかる譲渡所得税の計算方法

不動産売却にかかる4種類の税金の中で、計算が複雑なのが譲渡所得税です。また、不動産の売却価格によっては、納税額が多くなることもあります。

ここでは、譲渡所得税を算出する際に必要となる取得費用の計算方法や減価償却費の計算方法から、譲渡所得の計算式について解説します。

取得費を算出する

譲渡所得税を計算するためには、まず取得費を計算します。取得費とは、不動産購入(取得)する時にかかった費用の総称のことで、次のような費用が対象です。

  • 土地の購入代金(不明の場合は売却代金の5%を適用することが可能)
  • 建物の購入もしくは建築代金から減価償却費を差し引いた金額
  • 購入時の仲介手数料
  • リフォーム費用
  • 設備費
  • 改良費

これらを合計したものが取得費になります。

減価償却費の計算方法

減価償却とは、経年劣化によって建物の価値が下がることです。建物は構造や建材によって法定耐用年数が定められていて、毎年一定の割合で価値が減っていき、最終的には価値がなくなります。

建物の構造 耐用年数 償却率
鉄筋コンクリート造 70年 0.015
レンガ造・石造・ブロック造 57年 0.018
骨格材の肉厚4mm超の金属造 51年 0.020
骨格材の肉厚3mm超4mm以下の金属造 40年 0.025
骨格材の肉厚3mm以下の金属造 28年 0.036
木造もしくは合成樹脂材 33年 0.031
木骨モルタル造 30年 0.034

減価償却費の計算式は次の通りです。

減価償却費 = 取得価額×0.9×償却率×経過年数

例として、以下のような建物の減価償却費の計算方法を説明します。

▼木造モルタル造の建物/購入費(取得価額):1,000万円/築20年
1,000万円(取得価額)×0.9×0.034(減価賞規約率)×20(年数)= 612万円(減価償却費)
1,000万円(取得価額)-612万円(減価償却費)=388万円(現在の建物の価値)

譲渡費用を算出する

次に譲渡費用を算出します。譲渡費用とは売却にかかった経費のことで、次のような費用が対象です。

  • 売却時の仲介手数料
  • 売主が負担した印紙税
  • 売却にともなう借主退去の立退料(貸家だった場合)
  • 建物の解体費用
  • より有利な契約で売却するために破棄した契約の違約金

これらを合計したものが譲渡費用になります。

譲渡所得を算出する

取得費と譲渡費用の計算ができたら、譲渡所得を計算します。譲渡所得の計算式は次の通りです。

譲渡所得=不動産の売却金額ー(取得費+譲渡費用)

このように不動産の売却額から、その不動産を購入するためと売却するためにかかった費用を差し引いた「利益」が譲渡所得になります。

不動産の売却益がプラスになり譲渡所得が発生した場合は、譲渡所得税が課せられます。しかし、売却益が発生しなかった場合や、譲渡所得がゼロやマイナスになった場合は、譲渡所得税は課せられません。のちほど詳しく説明する「居住用不動産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の特例や「居住用不動産の譲渡損失の損益通算と繰越控除」の特例を利用すれば譲渡所得を抑えることができます。

所有期間に応じた税率をかける

譲渡所得税の税率は、売却した不動産の所有期間が、売却した年の1月1日時点で5年以下の短期譲渡所得の場合と、5年を超える長期譲渡所得の場合で異なります。

所有期間によって税率が変わるのは、投機目的での短期間の不動産売買取引きを抑制し、必要以上に不動産価格が上昇するのを防止するためです。

短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率は次の通りです。

短期譲渡所得 長期譲渡所得
所有期間 5年以下 5年超
所得税 30.63% 15.315%
住民税 9% 5%
合計税率 39.63% 20.315%

※2037年(令和19年)12月31日まで、所得税には復興特別税も含まれています。

例えば、5年を超えて所有した不動産を売却し、500万円の譲渡所得が発生した場合、譲渡所得税の計算式は次の通りになります。

500万円×20.315%=101万5,750円

不動産売却にかかる税金を抑える対策

不動産売却の節税

不動産を売却した際にかかる税金を抑えるために、どのような対策があるのかを解説していきます。

3,000万円の特別控除の特例

売却した不動産がマイホームであった場合には、所有期間にかかわらず譲渡所得から3,000万円の特別控除が受けられます。これが「居住用不動産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の特例です。

譲渡所得が低くなれば、課される譲渡所得税が安くなります。さらに、譲渡所得が3,000万円以下の場合には、譲渡所得税がゼロになります。

特例を受けるための条件を満たしているかどうかは、税務署の窓口や税理士に問い合わせてみましょう。なお、国税庁のウェブサイトで確認することも可能です。

また、この特例を利用するには、確定申告が必要です。確定申告をしないと控除を受けることができないので、忘れないようにしましょう。

軽減税率の特例

マイホームを売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている場合、長期譲渡所得の税率がさらに軽減される「10年超所有軽減税率の特例」を適用することができます。

軽減できる税率は、譲渡所得の6,000万円以下の部分と、6,000万円を超える部分では、次の表のように変わります。

譲渡所得 6,000万円までの部分 6,000万円を超える部分
所得税 10.21% 15.315%
住民税 4% 5%
合計税率 14.21% 20.315%

6,000万円を超える部分に関しては長期譲渡所得と同じ税率ですが、6,000万円までの部分に関しては5%ほど安くなります。10年以上所有した不動産を売却するのなら、この特例を活用して確定申告をしましょう。

買替え特例

買替え特例とは、売却金額よりも高額な住宅に買い替えた場合に、譲渡所得税を次の買替えに繰り延べられる特例です。

例えば、3,000万円で購入した住宅を5,000万円で売却して2,000万円の譲渡所得が発生したとしても、6,000万円の家を購入して住み替えれば、譲渡所得税が課されません。ただし、これは税金が繰り延べられただけで、次回の売却時の譲渡所得に加算されます。

また、適用するには、3,000万円の特例などのほかの控除との併用できない、売却価格が1億円以下であること、所有期間10年超で居住期間が10年以上の場合のみ等の条件を満たすことが必要です。

相続した不動産の売却時の特例

相続した不動産を売却する場合には「相続税が取得費に加算される特例」か「相続した空き家の3,000万円特別控除」のいずれかを受けることができます。どちらを受ける方が譲渡所得税の節約になるか、予め確認をして確定申告時に申請するようにしましょう。

相続税が取得費に加算される特例

相続や贈与などで取得した不動産を、相続が開始した日の翌日から3年10ヵ月(相続税の申告期限の翌日以後なら3年)以内に売却した場合、相続時に支払った相続税の一部が、譲渡所得を計算する際の取得費に加算することができます。

それにより、譲渡所得から差し引かれる取得費が多くなり、結果として譲渡所得税が低くなります。

取得費とされる相続税額の計算式は、以下の通りです。

相続税額×(売却した不動産の課税価額÷相続財産の課税価額)=取得費とされる相続税額

例えば、以下のようなケースの場合、相続税として支払った425万円分を取得費として譲渡所得から控除できます。

相続税として支払った額:680万円
相続税の課税価額:8,000万円
売却した不動産の課税価額:5000万円

680万円×(5,000万円÷8,000万円)=425万円(取得費とされる相続税額)

相続した空き家の3,000万円特別控除

空き家になった不動産を相続して売却した場合、その不動産が適用条件を満たしていれば、売却した際に譲渡所得から3,000万円を控除することができます。

適用条件は次の通りです。

  • 売却額が1億円以下であること
  • 売却時に耐震基準に適合することが証明された家であること
  • 家を取壊して売却すること

申請するためには、空き家がある市区町村で空き家であることの「確認書」を発行してもらい、確定申告の際に添付して提出します。

なお、先に挙げた「相続税が取得費に加算される特例」との併用はできないので、どちらかを選択することになります。自分で計算するのが難しい場合は、税務署の窓口か税理士に相談して、どちらを選択するほうがいいかを決めるようにしましょう。

併用できる特別控除もあるが、最大控除額に注意

「相続した空き家の3,000万円特別控除」と「居住用不動産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」を併用することは可能ですが、両方を合わせた最大控除額が3,000万円になります。6,000万円にはならないので注意が必要です。

不動産売却にかかる税金のシミュレーション

それでは実際に、次のような場合を仮定して不動産売却にかかる税金をシミュレーションしてみましょう。

【売却物件の情報】

  • 種別:住居用マンション(購入時は新築) ※鉄筋コンクリート造
  • 築年数:9年
  • 購入価格:5,000万円(土地3,000万円・建物2,000万円)
  • 購入時の諸費用:350万円
  • 売却価格:5,500万円
  • 固定資産税清算金:10万円

これらの情報から、譲渡価額、減価償却費、取得費、譲渡費用、譲渡所得、課税譲渡所得を算出します。

【譲渡価額】
5,500万円(購入価格)+固定資産税精算金10万円=5,510万円

【減価償却費】
2,000万円(建物の価格)×0.9×0.015×9年=243万円

【取得費】
3000万円(土地の価格)+2000万円(建物の価格)-243万円(減価償却費)=4,757万円
4,757万円+350万円(購入時の諸費用)=5,107万円

【譲渡費用】
仲介手数料:5,500万円×3%+6万円+消費税=188万1,000円
印紙税:10,000円
188万1,000円+10,000円=189万1,000円

【譲渡所得】
5,510万円(譲渡価額)-5,107万円(取得費)-189万1,000円(譲渡費用)=213万9,000円

【課税所得税】
居住用財産の特別控除が適用できる場合:213万9,000円(譲渡所得)<3,000万円
213万9,000円(譲渡所得)-213万9,000円(特別控除額)=0円

居住用財産の特別控除が適用できる場合、譲渡所得が3,000万円以下は全額控除できるため、今回のケースでは譲渡所得税と住民税はかかりません。

減価償却費用はこちらの自動計算ツールでシミュレーションできます。

こちらでは条件を入力するだけで売却時の手取り額がシミュレーションできます。

不動産売却にかかる税金の申告について

不動産売却の税金申告

不動産の売却で譲渡所得がプラスになった場合、譲渡所得税を支払うための確定申告が必要です。

ここでは、確定申告の手続きの方法や必要種類について解説していきます。

譲渡所得税を納めるには確定申告が必要

不動産売却で譲渡所得税が発生した場合、確定申告の手続きが必要です。売却益が出ず譲渡所得税がなければ、確定申告をしなくても問題ありませんが、控除を受けられないなどで損をすることもあります。

また、売却金額が大きい場合には、譲渡所得がなくても税務署から問い合わせが来ることがあります。予め確定申告で譲渡所得がない旨を申告しておくと、そのような問い合わせが来ないため、譲渡所得税を納める必要がなくても確定申告をしておくとよいでしょう。

確定申告の方法

確定申告は、所定の申告書に必要事項を記入して、添付書類をそろえた上で、毎年2月16日から3月15日の期間に最寄りの税務署に提出します。直接、税務署に出向かなくても、電子申請することも可能です。

確定申告は自分で行うのが一般的ですが、税理士に依頼することもできます。税理士に依頼した場合の報酬は申告金額によって変わりますが、10万円から20万円程度が多いです。

確定申告の必要書類

確定申告で必要な書類は次の通りです。

  • 確定申告書B様式
  • 分離課税用の申告書
  • 譲渡所得の内訳書
  • 売却金額や売却時の手数料を証明する書類
  • 取得費を証明するための書類
  • 売却した不動産の全部事項証明書
  • 戸籍の附表

申請用紙などは不動産の売却後に税務署から送られてきますが、税務署で直接入手するか、国税庁のウェブサイトからダウンロードもできます。

確定申告の手順

自分で確定申告をする場合は、次の手順で行います。

1. 確定申告に必要な書類を入手する
2. 譲渡所得税を計算する
3. 必要事項を申告書類に記入する
4. 税務署に提出する
5. 納税する

申告書の記入方法は国税庁のウェブサイトに記載があります。また、記入方法がわからない場合には、確定申告期間に税務署で開催されている相談会に行けば、税務署の人がわかりやすく説明しながら記入を手伝ってくれます。必要書類がそろっていたら、その場での提出も可能です。

所得税と住民税を支払うタイミング

譲渡所得に課せられる所得税(復興特別所得税を含む)と住民税は、支払方法やタイミングが異なります。

所得税を支払うタイミングは、不動産を売却した翌年の3月15日までです。確定申告をして、所得税の税額が決定したら、現金、口座振替、クレジットカードのいずれかで支払います。

住民税は、不動産を売却した翌年6月頃に届く納税書を使って納税します。

確定申告を忘れた場合

期限内に確定申告をしなかった場合は無申告扱いとなり、納税額に無申告加算税(10%もしくは15%)や延滞税(年率7.3%)が上乗せされます。

また、控除の対象となる場合にも、確定申告期間に申告しないと控除の申告ができなくなり、加算税や延滞税だけではなく、本来は支払わなくてもいい税金を支払うことになる場合もあります。

そのため、不動産を売却した際は、譲渡所得税があってもなくても確定申告をしておく方がよいでしょう。確定申告の必要があるかどうかを確認したい場合は、税務署の窓口や税理士に相談するなどして、早めに準備を進めておきましょう。

不動産売却時の税金に関するQ&A

Q&A

不動産売却時に課される税金についての疑問点をわかりやすく解説していきます。

土地と建物の売却における税金の違いは?

売却にあたって課される税金の種類や税率は、土地と建物では登録免許税が異なりますが、大きな違いはありません。

ただし、取得費に土地であれば造成費や測量費用も加算できる点と、利用できる特例や控除の対象が土地のみ、建物のみ、といった場合があります。特例や控除を活用したい場合には、どのような条件で利用できるのか、よく調べるようにしましょう。

売却損が出た場合に支払う税金は?

売却によって損失が出た場合、譲渡所得税は課されません。また、損益通算として繰越控除の特例が適用されるため、ほかの所得と合算して所得税を減らすことができます。

具体的に説明すると、給与所得や事業所得でのプラスの利益と、不動産売却で生じた損失を合算して、4年間繰り越して計上できるというものです。

損益通算をするためには確定申告が必要なので、売却損が出た場合でも、必ず確定申告をするようにしましょう。

不動産売却の税金に関する相談先は?

不動産売却時の税金についてわからないことがある場合には、まず、売却を依頼した不動産会社の担当者に質問してみましょう。報酬を得て税金の専門的なアドバイスは税理士しかできませんが、売却の仲介に含まれる一般的な税金のアドバイスをすることは不動産会社でも可能です。

不動産会社に相談してもわからない場合は、税務署に相談してみてもよいでしょう。確定申告の時期には、税務署で相談会も開催されています。

相続した不動産を売却する際に、相続人のあいだでトラブルが生じたり相続税が多額になったりするなど、特別な対応が必要な場合は、弁護士や税理士に相談することをおすすめします。

不動産の売却に必要な税金をしっかり把握しよう

不動産の売却に必要な税金をしっかり把握しよう

不動産を売却する際には、売る側であっても、印紙税や登録免許税などの税金がかかります。また、売却で利益が生じた場合には、売却の翌年に確定申告をして、譲渡所得税を納めなければなりません。

しかし、控除の特例などを適用することができれば、譲渡所得税を節約につながる場合があるので、予め確認しておくことが大切です。また、おおよその税額を把握しておくことで、不動産売却時の資金計画を立てやすくなります。

不動産売却時の税金で思わぬ損をしないためにも、どのような税金がいくらぐらいかかるのか売却に必要な費用を不動産会社の担当者に確認しておき、不動産売却を成功させましょう。

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