オルタナティブスクールとは?フリースクールとの違いやメリット・デメリット

オルタナティブスクールは、従来の学校とは異なる教育方針やカリキュラムを持つ学校です。 子どもの個性や自主性を重視し、不登校や従来の教育に馴染めない子どもたちにとって新たな選択肢となっています。 この記事では、オルタナティブスクールの基本情報、フリースクールとの違い、そしてメリット・デメリットについて解説します。

オルタナティブスクールとは

「オルタナティブ」とは「もうひとつの選択、代わりとなる」という意味で、オルタナティブスクールは、従来の学校教育制度とは異なる教育方針やカリキュラムを持つスクールを指します。

オルタナティブスクールでは、海外の哲学的思考をベースにした教育を取り入れており、学校それぞれの理念や方針によって運営されています。

オルタナティブスクールでは、子どもの自主性や個性を重視した教育が行われることが特徴です。

フリースクールとの違い

オルタナティブスクールとフリースクールは、どちらも従来の学校教育とは異なる教育を提供する場です。

オルタナティブスクールは一般に、特定の教育哲学や方法論に基づいて運営されています。たとえば、シュタイナー教育やサドベリー教育など、多様な教育理論を実践する学校が含まれます。そのため、子どもに従来の学校教育以外の教育を受けさせたい保護者が選択することが多いです。

一方、フリースクールは、不登校などで学校に行けない子どもの受け皿としての役割が強いです。個々の子どものニーズや興味を第一に考え、より自由度の高い学びの環境を提供します。

また、オルタナティブスクールは一定のカリキュラムや学習目標を持つことが多いのに対し、フリースクールはカリキュラムがなく、子どもたちが自分で学びたいことを選び、自主的に学習を進めることが特徴です。

オルタナティブスクールのメリット

オルタナティブスクールのメリットは、以下の通りです。

少人数制の指導

オルタナティブスクールは少人数制の指導が特徴です。一般的に、公立よりもクラスの規模が小さく、教師が一人ひとりの子どもに対して丁寧に指導できる環境が整っています。

そのため、生徒の個性や学習能力に合わせた教育を提供しやすい環境となっています。

子どもの自主性や個性を重視

オルタナティブスクールでは、子どもの自主性や個性を重要視しています。子どもの興味に基づいて、学習計画やルールなどが決められることが多いです。

子どもと先生が話し合いながら決めていくことで、子どもの自主性や主体性が養われます。

学校に馴染めない子の選択肢

オルタナティブスクールでは、不登校の子どもや、学校に馴染めない子どもを受け入れているケースもあります。

少人数制の指導や、子どもの自主性や個性を重視した指導によって、従来の学校に馴染めない子どもでも、対応しやすい教育環境を実現しています。

オルタナティブスクールのデメリット

オルタナティブスクールのデメリットは、以下の通りです。

認可されていないことが多い

オルタナティブスクールの多くは、無認可です。正式に「学校」として認められていないため、卒業資格が得られない場合があります。

そのため保護者は慎重に検討する必要があります。また、認可校ではないために、教育内容や運営が各学校に委ねられており、教育の品質にばらつきがあることも懸念されます。

卒業資格を得たい場合は、私立校として認可されているオルタナティブスクールを選ぶようにしましょう。

学校の数が少ない

オルタナティブスクールは数が少なく、選択肢が限られています。そのため、たとえば「シュタイナー教育を受けさせたい」と思っても、通える範囲にシュタイナー教育を提供しているオルタナティブスクールが見つからないかもしれません。

学費が高い

オルタナティブスクールは一般的に学費が高い傾向にあります。多くのオルタナティブスクールは学校として認可されていないため、公的な経済支援を受けることができません。そのため、保護者が負担する学費が高額になるケースが多いです。

オルタナティブスクールの種類

オルタナティブスクールにはさまざまな種類があり、それぞれ独自の教育方針とカリキュラムを持っています。ここでは、オルタナティブスクールで提供されている主な教育方法を紹介します。

シュタイナー教育

シュタイナー教育はオーストリアの哲学者ルドルフ・シュタイナーによって創設された教育法です。子どもの発達段階に応じた教育を行うことを重視しており、学習内容は芸術、手仕事、農業など多岐にわたります。

幼児期から高校生まで、幅広い年齢に対応した教育方法です。

サドベリー教育

サドベリー教育は、1968年にアメリカのマサチューセッツ州で設立されたサドベリー・バレー・スクールが始まりです。

サドベリー教育では、学年やクラス、時間割、テストなどが存在しません。子どもたち自身が学びの内容やペースを決定するという点が、この教育法の特徴です。

自主性を重んじる教育法のため、幼児期から高校生まで、幅広い年齢に対応しています。

サマーヒル教育

サマーヒル教育は、イギリスの教育者A.S.ニールによって設立されたサマーヒル・スクールに基づく教育法です。

サマーヒル・スクールは、「世界一自由な学校」として知られ、子どもの自由を最大限に尊重し、強制的な授業や評価を行わない点が特徴です。

この教育法では、子どもが自分の興味や関心に基づき、自由に学ぶことができます。

主に小・中学生を対象としており、私立や公立校で取り入れられるケースもあります。

フレネ教育

フレネ教育は、フランスの教育者セレスタン・フレネによって創始された教育法です。

この教育法の特徴は、自主性や発想力を重視する点です。自由作文や自由研究発表などによって、自分の考えを言葉にする力を養います。

また、教科書や授業はなく、自ら計画を立て、必要な課題を見つけ、主体的に学習を進めていくという特徴があります。

主に小・中学生を対象としており、私立や公立校で取り入れられるケースもあります。

イエナプラン教育

イエナプラン教育は、ドイツの教育者ペーター・ペーターセンによって開発された教育法で、主体性や協調性を育むことを主な目的としています。

この教育法の特徴は、「会話・遊び・学習(仕事)・行事(催し)」の4つの基本活動を軸として、学習計画が立てられる点です。

主に幼児期から小学生を対象としている教育法です。

モンテッソーリ教育

モンテッソーリ教育は、イタリアの医師で教育者であるマリア・モンテッソーリによって開発された教育法です。

この教育法は、「子どもには自分で自分を教育する力がある」という教育理念のもと、自主性と自己学習を促進することを目指しています。

主に、就学前の幼児期を対象とした教育方法です。

レッジョ・エミリア教育

レッジョ・エミリア教育は、イタリアのレッジョ・エミリア市で生まれた教育法です。

この教育法の特徴は、「子どもには無限の可能性がある」という理念のもと、子どもの考えや個性を尊重する点です。

主に、就学前の幼児期を対象とした教育方法です。

オルタナティブスクールの学費

オルタナティブスクールの学費は、スクールによって異なります。

たとえば、東京にある「東京サドベリースクール」は、入学金が55万円、学費は月70,350円となっています。年間の学費は84万4200円となります。

また、愛知県にある「愛知シュタイナー学園」は、入学金が30万円、学費は月55,000円です。このほか、教材費約50,000円、施設拡充目的寄付金25万円なども必要なため、総額120万円以上の費用がかかることになります。

一方、和歌山県にある「モデクラティックスクールくまのび」のように、登録料3,600円、参加費が年額12,000円と安価なオルタナティブスクールもあります。

スクールによって、提供する教育や金額が異なり、追加で費用が必要になるケースもあるため、よく確認するようにしましょう。

オルタナティブスクールに関するよくある質問

オルタナティブスクールについての、よくある質問をまとめてみました。

Q.オルタナティブスクールに認可校はある?

A.私立校の認可を受けているオルタナティブスクールもありますが、多くのスクールは無認可です。

Q.オルタナティブスクールと一条校の違いは?

A.一条校とは、教育基本法に基づき設置された学校のことで、カリキュラムや運営が国家基準に準拠しています。

公立校や私立校は、すべて一条校に該当します。学校として国から認可されているかどうかが最大の違いとなります。

Q.オルタナティブスクールの問題点は?

A.オルタナティブスクールは、認可を受けていない学校が多いため、卒業資格が得られず、卒業後の進学や資格取得に問題が生じる可能性があります。

また、公的な経済支援が受けられず、学費が高額になることが多いです。

Q.オルタナティブスクールは卒業資格を得られる?

A.認可を受けたオルタナティブスクールでは、卒業資格を得ることができますが、多くの無認可校では、卒業資格を得ることはできません。

そのため、別途通信制高校に通ったり、高卒認定試験を受けるなどの方法をとる必要があります。

通信制高校について詳しくは、こちらの記事「通信制高校とは?カリキュラムや全日制との違いをわかりやすく解説!」を参考にしてください。

まとめ

オルタナティブスクールは、従来の教育システムとは異なる教育方針やカリキュラムを提供する学校です。

オルタナティブスクールは法的に認可されていない場合が多く、学校の数が少ないため、選択肢が限られることがあります。

一方で、子どもの自主性や個性を重視し、多様な学びのスタイルを採用しているため、不登校の子どもや従来の教育に疑問を感じる保護者にとって、進学先の選択肢となるでしょう。