空き家の査定方法とは?査定する際のポイントや注意点も徹底解説!
空き家を売却するには、まず不動産会社へ査定を依頼する必要があります。しかし、不動産の売却を経験したことがなく、どのように進めていいかも分からない人がほとんどでしょう。
そこで今回は空き家の査定方法から査定を依頼する際に押さえるべきポイントを解説します。査定後の売却活動へ進む際の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
【監修】穂坂 潤平 宅地建物取引士。仲介営業13年(宅建は新卒の時に取得)、不動産仲介会社起業3年の経験を経てウェブクルーに入社。趣味は何でも遊びにすること。仕事では「喜ばれる仕事をして、自らも喜ぶこと」をモットーに日々ご提案しております!
空き家の査定方法は2種類
不動産会社に空き家査定を依頼する際に「机上査定と訪問査定のどちらがいいですか?」と尋ねられることがあるでしょう。
不動産の査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。机上査定は簡易査定とも呼ばれ、おおまかな査定額を知るのに適しています。訪問査定は、担当者が不動産のある現地まで向かい詳しい査定額を出してもらえるので、本格的に売却を検討している際に適しています。
ここでは2つの査定方法や必要な資料などを詳しく解説します。
机上査定
机上査定とは、物件の種類、所在地、築年数、建物の規模、間取りなどの売主からの情報に加え、周辺状況や所在地付近の相場・販売実績などの不動産会社が持っているデータをもとに査定額を算出する方法です。
物件自体を確認せずに情報のみで査定する手法から簡易査定とも呼ばれます。
売却物件での立ち会いが必要なく、手軽に行える点が机上査定のメリットです。対してデメリットは査定価格の精度が低い点です。
先に述べた通り、机上査定は物件の状況を加味せず価格が算出されます。そのため机上査定後に訪問査定を行ってみると価格が変わるケースも少なくありません。特に空き家に関しては家の管理状態が悪いことが多いため、机上査定額より低くなる可能性は十分考えられるでしょう。
机上査定は売却時期がはっきり決まっていないが、現状の売却予想金額を知りたい人におすすめの査定方法です。
机上査定に必要な物
机上査定は簡易的な査定なので、建物の基本情報さえ把握していれば書類は必要ありません。ただし、「簡易的な査定とは言え比較的精度の高い情報が知りたい」と考えている方は以下の書類を揃えておくといいでしょう。
- 登記事項証明書:不動産の所有者、土地の地目、規模などの情報が記載されている。紛失の場合は法務局で取得可能。
- 公図・測量図:隣地との境界線を記録されている書類。土地の面積が確認できる。
- 建物の図面:建物の間取りや面積などの情報が確認できる。
- 不動産の所在地が分かる地図:不動産の所在や境界を明確に残す証拠として利用できる。
- 権利書:不動産の権利の移転や保存を示す書類。登記済権利証あるいは登記識別情報と呼ばれている。
- 購入時の資料:建築確認申請書や検査済証などがあれば準備する。
下記の記事でもっと詳しく解説しています。
訪問査定
訪問査定とは名前の通り、不動産会社が査定依頼物件まで足を運び実際の建物や土地の状況を確認、査定を行う方法です。
実際の建物の状況や、部屋の中からの日当りや眺望、室内の設備など目で見ないとわからない部分を細く評価します。 机上査定と比較すると、より精度の高い査定価格が提示可能です。訪問時は基本的に不動産会社と立ち会うことになるため、具体的な売却の流れや疑問点などを質問できます。
担当者と対面できることから相手の人柄や相性なども感じ取れるでしょう。
上記に加え、机上査定より価格提示まで時間がかかることから、訪問査定は売却依頼を真剣に考えている人向けの方法です。
訪問査定に必要な物
訪問査定は机上査定よりも精度が高い査定を行います。そのため書類も机上査定の必要書類に加え、専門性の高いものが必要となります。
具体的な必要書類は以下の通りです。
- 身分証明書:所有者であることを証明する書類
- 実印・印鑑証明書(発行3ヵ月以内):契約や登記申請など不動産売買時に必要
- 登記簿謄本:登記事項証明書とも呼ばれる。不動産登記情報が記載されている
- 境界確認書:隣地境界線を記録した証明書。公図や測量図より効力が強い書類
- 固定資産税通知書・固定資産税評価証明書:固定資産税の納税額が明記されている書類。納税額の確認に加え、移転登記に必要な登録免許税の計算に用いられる
これらの書類は査定後の契約手続きや引き渡しにも利用する書類です。どこに書類が保管してあるか予め確認しておきましょう。
空き家を査定してもらう際のポイント
空き家を査定してもらう際には押さえておくべきポイントが存在します。押さえておくべきポイントは以下の5点です。
- 査定前に空き家の相場価格を調べておく
- 査定は空き家の近隣にある不動産会社に依頼する
- 査定は1社ではなく複数社に依頼し比較する
- 空き家の売却が得意な不動産会社に依頼する
- できる範囲で空き家を整えておく
これらのポイントを理解せず査定を進めてしまうと思いの外手間がかかったり、買い手がなかなか見つからなかったり、相場より安値で売却して損をしたりなど、売却時に困る可能性が考えられます。
後々困らないために、それぞれのポイントの内容を詳しく見てみましょう。
査定前に空き家の相場価格を調べておく
空き家を査定するまえに相場価格を把握しておくと、おおまかな査定金額の予想ができるのでおすすめです。
手早く売って仲介手数料を得ようと、相場より低い査定金額を提示してくる不動産会社が現れる可能性はゼロではありません。
査定額が妥当か判断するために相場価格を調べておきましょう。相場価格の調べ方は複数存在します。代表的な方法は以下の通りです。
- 不動産ポータルサイト
- 土地総合情報システム
- レインズマーケットインフォメーション
不動産ポータルサイトは売り出されている価格帯をチェックできるのに対し、土地総合情報システムやレインズマーケットインフォメーションは実際の売買取引価格を検索可能です。
手軽に相場を調べたい人は不動産ポータルサイトを、具体的に売却を検討している方は土地総合情報システムや、レインズマーケットインフォメーションなどを組み合わせてチェックしてみるといいでしょう。
査定は空き家の近隣にある不動産会社に依頼する
遠方の空き家を査定する場合は、現地の不動産会社に依頼するのがおすすめです。なぜならば不動産の売却活動が成功するかどうかは現地の土地勘や売却エリアの既存顧客数、不動産会社のネットワークで決まるためです。
契約手続きなどで現地に行く必要があると感じるでしょうが、問題ありません。買契約を締結する際は、持ち回り契約と呼ばれる方法よって現地に行かずとも手続きが進められます。
持ち回り契約とは、売主と買主が契約時に同席できない場合に、仲介業者が双方の自宅まで赴き契約を締結する方法です。
このように契約手続きは遠方の不動産会社でも対応可能なので、スムーズに売却を進めるためには現地の不動産会社に査定依頼しましょう。
査定は1社ではなく複数社に依頼し比較する
査定依頼で注意すべきポイントのひとつに査定の依頼数が挙げられます。依頼した不動産会社が1社だけだと、提示された査定額が安いか高いかの判断ができないため、査定は複数社に依頼するほうがいいでしょう。
相場よりはるかに安い査定額で売却すると損をします。逆に高すぎると、なかなか売れず売却活動が長引くだけでなく、値下げせざるを得ない状況に陥るかもしれません。
先に解説した空き家の相場価格と複数社の査定価格を比較して判断すると、適切な売却価格が見えてきます。
また、査定依頼時は不動産会社の担当者の誠実さや相性を見極める機会でもあります。複数社の査定を通して、この人なら任せられると感じる不動産会社・担当者を見つけ出しましょう。
空き家の売却が得意な不動産会社に依頼する
不動産業には大きく分けて以下の4点の業務があります。
- 不動産管理
- 不動産売買
- 不動産仲介
- 不動産賃貸
そして多くの不動産会社は上記の1つや2つに特化して営業を行っています。空き家の売却を相談するならば不動産売買や不動産仲介を行っている会社であることが前提です。
その中でも空き家の場合はリノベーションやリフォームを購入検討者に提案して売却するなど販売手法の判断力が求められます。この判断は空き家売却に関するノウハウやリノベーションの知識がなければできません。
これらの知識を有した不動産会社に依頼すれば、より高く、スムーズに売却できる可能性がぐっと上がります。
空き家の売却が得意な不動産会社かどうかは、売却実績を確認すれば判断できます。ウェブサイトを活用し、不動産会社の売出し中物件を確認して空き家が得意な会社かどうかをチェックしてみましょう。
できる範囲で空き家を整えておく
査定前にできる範囲で空き家を整えておきましょう。予め庭などの草むしりや植栽の剪定、室内の整理整頓を行っておくことで査定時の第一印象が良くなります。
また売却活動へ進むとウェブサイトに載せる物件写真の撮影や、購入検討者の内見が行われます。掲載写真や内見で物件に手入れが行き届いている状況を見せられれば、購入検討者へもいい印象を与えられるでしょう。
例え遠方の物件であっても、査定前と売却期間中は定期的に空き家の手入れを行うことをおすすめします。
空き家を売却する際の注意点
空き家を査定し、売却活動へ進む際には注意すべき点があります。具体的には以下の点に注意しましょう。
- 査定額=売却価格ではない
- 売却前にリフォームは必要ない
- 空き家は名義人しか売れない
これらの注意点に気をつければ、損をしたり、売却時に慌てたりする可能性を抑えられます。それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考に売却活動を進めてください。
査定額=売却価格ではない
不動産売却に共通する注意点ですが、査定額と売却価格は同じではありません。まずはそれぞれの定義を見てみましょう。
査定額とは不動産会社が、不動産の状態や立地、過去の成約事例をもとに、売却できそうな価格のことです。
売却価格は、「売主と買主で合意した、実際に不動産を売却する価格」を指します。成約価格とも呼びます。
つまり、査定額はあくまで参考の数値で、実際の価格は売主の判断に委ねられているわけです。査定額より低い売却価格になるケースがあることはもちろん、購入意欲の高い買主がいれば査定額より高くなることも十分考えられます。
売却期間や周辺相場、住宅ローンの残債や諸費用などを引いて手元にいくらお金を残したいかなど、複数の視点から価格を決定しましょう。
売却前にリフォームする必要はない
「売却額を少しでも上げたい」と考え、リフォームを検討している人もいるかもしれません。しかし、売却額を上げるためだけにリフォームを行うことはおすすめしません。
なぜなら中古の空き家を購入する人は、リフォームを前提にしている人が多いためです。同じ金額をかけるのであれば、自分の好きな色やデザインに作り替えたいと考える人が多いでしょう。
メンテナンスの一環で、外壁塗装や瓦の葺き替えなどを行うことは売却時のアピールポイントになりますが、クロスや床の張り替えなどの内装リフォームは不動産業者と相談しながら進めるのがおすすめです。
空き家は名義人しか売れない
空き家の査定は、売買する権利がある場合は名義人以外でもできます。しかし売却は原則名義人しかできないため注意しましょう。
売却も名義人から委任状を受けていれば代理人として売買を行えますが、空き家を相続する際は名義人不在となっているケースもあります。その場合は名義変更しない限り、売却を行えません。
名義変更のおおまかな流れは以下の通りです。
- 1.登記所で登記簿謄本(全部事項証明書)を取得
- 2.役所で戸籍謄本や住民票などを取得
- 3.固定資産評価証明書を取得
- 4.相続登記申請書類を作成
- 5.管轄の法務局へ登記申請書と必要書類を提出
以上のように名義変更手続きの中で専門的な書類の作成が求められます。そのため自身で手続きを進めることは可能ですが、一般的には司法書士へ依頼するケースが多いです。手数料は6〜10万円程度必要ですが、少しでも不安がある方は司法書士へ依頼をおすすめします。
まずは空き家を机上査定してみよう
空き家の査定方法には机上査定と訪問査定の2種類があります。
訪問査定の方がより精度は高くなりますが、現地での立ち会いが必要になります。空き家を所有している方の中には遠方に住んでいる方も少なくないでしょう。そのため、まずは机上査定で複数者に査定依頼を行い、相場を把握するのが賢明です。
査定依頼を通して空き家に得意な不動産会社か、あなたとの相性は良好かなど、売却依頼する不動産会社を見極めていきましょう。