不登校から高校進学を叶えよう!入試や受験、高校選びの注意点

中学校で不登校になってしまっても、高校に進学することはできます。「不登校だと難しいのでは…」と心配する必要はありません。しかし、進学はあくまでも高校生活のスタートで、最終的に卒業することが目標なので、自分にあった学校を選ぶことが大切です。ここでは、不登校からの高校受験、卒業を見据えた高校選びや大学進学までの流れをご紹介します。

不登校でも進学できる高校を選ぼう

中学校で不登校になってしまっても、高校進学の進路は開かれています。不登校の子供の進学先というと、定時制や通信制の高校が提案されがちですが、全日制の高校に入学することも可能です。現在不登校でも、高校に入学して環境が変わると通学できるようになる子供もいます。まずは、各高校の種類とそれぞれの特徴を確認しましょう。

高校の種類と特徴をチェック

高校は、学習方法や授業時間の違いから、全日制、定時制、通信制の3つに分かれています。それぞれの高校について、受験の面から違いを紹介します。

■全日制高校
全日制高校の入試は学力検査・内申点の合計点数で合否が決定します。学校によっては面接試験が加わる場合もあるでしょう。

また、私立高校では学力検査・内申点・面接(ない場合もある)の合計点数で合否が決まりますが、内申点が重視されない「オープン入試」を実施している学校も増えています。この場合、不登校で欠席日数が多くても、学校が求めている学力があれば受験に影響はありません。

■定時制高校
入学前に学力試験と面接を行いますが、内申点は選考基準にしておらず、ほぼ全員が入学できます。不登校だったとしても、通学できる範囲であれば、基本的にどこの学校でも入学可能です。

■通信制高校
入試は書類選考と面接だけの学校が一般的で、内申点は選考基準に含まれません。学校によっては、学力試験や作文などを行いますが、ほぼ全員が入学できます。学校が入学を受け入れている都道府県からであれば、誰でも受験することができます。

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受験以外の特徴は以下にまとめています。

■全日制、定時制、通信制の高校の比較

  全日制 定時制 通信制
入試 学力試験と内申書
※私立の場合は内申書が必要ない場合もあり
学力試験と面接。学力は考慮しないことが多い 多くは書類審査と面接
※学校によっては学力試験や作文などがある
制度 多くは学年制 学年制と単位制の学校がある 多くは単位制
通学 毎日。授業は朝~夕方 毎日。多くの学校で授業は夕方~夜。学校によって朝、昼の部もある 学校によって異なる。毎日~年に数日など幅広い
卒業年数 3年 基本的に4年。3年で卒業することも可能 最短で3年
学習内容 学校による 基本的にやさしい 基本的にやさしい

学年制…1学年で必要な単位を修得すれば進級できる。修得できない単位があった場合は留年する。最終学年を修了すれば卒業
単位制…在学中に卒業要件をすべて満たせば卒業できる。修得できない単位があっても留年せず、修得しなおせば良い

学校生活を満喫したい場合は、全日制高校がおすすめですが、「あまり学校に登校したくない」という場合は、最低限の登校日数で卒業が目指せる通信制高校が良いでしょう。入学できるという点だけでなく、どんな学校なら通学・卒業できそうかをよく考えて選びましょう。

全日制、定時制、通信制高校のメリット・デメリットに関しては「通信制高校のメリットとデメリット解消法!全日制・定時制との違いも徹底比較」で詳しく解説しています。

不登校のタイプを考慮して進学先を選ぶ

子供によって不登校のタイプはさまざまです。そのため、高校へ進学して環境が変わったからといって、不登校が解消するとは限りません。どういった高校へ進学するのが、不登校の子供にとって適しているのかを、よく話し合って決めましょう。

■人間関係やいじめが原因
不登校の原因が人間関係の悩みやいじめなどの場合、高校から人間関係をリセットすると通学できるようになることがあります。原因となった生徒と同じ高校にならないようにしたり、いじめに対する処罰の厳しい学校を選んだりする配慮が必要です。

■病気がちで欠席が多い
高校では、長期間の欠席が留年の原因になります。留年は退学するきっかけになるので、学年制ではなく、単位制の高校が適しているでしょう。単位制の高校は、定時制や通信制が多いですが、全日制でも採用している学校があります。

■朝起きられない
朝早く起きられない「起立性調節障害」などの場合、治療をしながら昼や夜から通学できる定時制や通信制の高校が向いているでしょう。入学した学校によっては、症状が緩和したら、全日制高校へ転入することもできます。

また、生活リズムの乱れによる睡眠不足が原因となり、朝起きられない場合もあります。この場合も定時制や通信制がおすすめですが、生活リズムの乱れは少しずつ改善していくように心がけましょう。

■学校に行きたくてもなぜか通学できない
徐々に通学できるように、サポートが受けられる高校を選びましょう。通信制高校やサポート校では、週1日から登校するコースを設けている学校や、生徒のカウンセリングに力を注いでいる学校がたくさんあります。無理に通学しようとせずに、少しずつ不登校を解消していける高校が適していると言えるでしょう。

■勉強についていけない
定時制や通信制の高校の中には、中学校の勉強から教えてくれる学校があります。勉強についていけないまま高校の勉強をするよりは、基礎からやり直して行ける学校に通い、苦手を克服していくと良いでしょう。定時制や通信制の高校は、学習内容が比較的やさしいので、学力に不安があっても卒業しやすいのが特長です。

令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、中学校の長期欠席者数(年度間に30日以上登校しなかった児童生徒数)は232,875人でした。うち、不登校は163,442人で、不登校の要因で最も多いのは「無気力・不安」。次に「いじめを除く友人関係をめぐる問題」「生活リズムの乱れ・あそび・非行」となっています。

なお当サイトでは、前述のようなさまざまな理由から不登校になってしまった子供や保護者からの口コミを「通信制高校・サポート校 在校生/卒業生の口コミ」に掲載しています。不登校を経験した子供がどんな学校を選んだのか、その後の高校生活はどうか、などを語ったリアルな口コミが続々と寄せられていますので、ぜひ一度目を通してみてください。

通信制高校では不登校の生徒を受け入れる体制が整っている

通信制高校には、不登校の子供の受け入れ先としての役割を担っている側面があります。そのため、学校によってはカウンセラーが常駐しているなど、不登校の子供をサポートする体制が整っています。どの学校に行けば良いのかわからない、というときは、まず通信制高校を検討するのがおすすめです。

学校によって異なりますが、基本的な通信制高校の特徴は次の通りです。

■通信制高校の特徴

  • 通学は月に数日程度で自宅学習と通学の比率を選択できる(学校による)
  • 自分のペースで勉強できる
  • 単位制で留年がない
  • 生徒同士の交流の自由度が高い

このように通信制高校は、不登校の子供でも通いやすいのがメリットです。その一方で「自宅学習なので自己管理が必要」「疑問点の解消に時間がかかる」などのデメリットもありますが、私立の通信制高校では、そういったデメリットを手厚いサポート体制で軽減させています。

また、学校によっては、高校生活に慣れて通学できるようになったら、通学日数を増やしたり、全日制へ転入したりすることもできます。不登校を理由に通信制高校を選ぶときは、不登校を克服してからのことも考えて学校を選ぶと良いでしょう。

なお、「不登校で悩む生徒をバックアップする通信制高校・サポート校」では、不登校の改善に特に力を入れている学校をピックアップしています。通学日数や学習内容など、一人ひとりに合わせた柔軟な対応が可能な学校ばかりですので、ぜひチェックしてみてください。

不登校からの高校受験で注意すること

不登校から高校受験をするとき、問題になるのが「内申書」「学力」「面接」です。学校に通っていないと、内申書の点数を高くできず、学力も落ちていきます。また、高校受験では面接を実施していることが多く、不登校で人と関わることに抵抗がある場合にハードルとなる可能性があります。それでも、それぞれ以下の点に注意して対策を行えば、高校受験に臨むことができます。

内申点が低くても学力でカバーできる

高校受験は、入学試験と内申書(調査書)で合格・不合格が決まります。試験の点数がどんなに良くても、内申書が悪ければ入学できません。内申書の点数(評定、内申点)が●点以上でなければ入学できないと決めている高校もあります。

学校によっては、「内申点が低い=問題を抱える生徒」と考え、内申点が基準以下の生徒は合格しにくい傾向にあります。不登校だと出席日数が少ないため、内申点が低い、内申点がない、ということがあり、高校受験にとても不利です。

しかし中には、内申点を重視しない、内申書が必要ない、という高校があります。また、入学試験の結果だけを合否の判断基準にする、オープン入試もあるため、不登校でも、学力で高校受験をクリアすることが可能です。さらに、内申点や学力を合格基準にしていない高校もあります。

高校受験のための学力アップ

内申書を重視しない学校やオープン入試を実施している学校は、難関校だったり、合格の基準点が高かったりと、高い学力が求められます。受験する高校の情報を集めたり、在籍する中学校に聞いたりして、事前に合格できる範囲内なのかを調べておきましょう。

不登校の子供の場合は、中学校以外で学力を向上させなくてはならないため、次のような方法で学力アップができます。

■家庭教師を依頼する
基本的に自宅学習で学力を補い、疑問点や不足している部分を家庭教師で補います。週1回の依頼であれば、数万円程度で済みます。自分で勉強を進めることができるのであれば、家庭教師は強い味方になると言えます。

■ネット授業を利用する
インターネットで高校受験の講義を受けられます。月額1,000円程度とかなりリーズナブルなので、家計の負担になりにくいのがポイントです。受験のための講義なので、内容は実践的です。

■学習塾・予備校に通う
自宅学習ではなく、外部の教育施設で講義を受けます。実際に学習塾や予備校へ通うので、高校通学の練習にもなるでしょう。高校受験に関する情報を得られるのも、学習塾に通うメリットのひとつです。

ほかにも、通信教育の教材を使用するなどの方法があります。また、複数の方法を組み合わせても良いでしょう。中学校の授業は、多くの生徒に合わせたペースで行っているので、集中して勉強すれば追いつくことが可能です。

面接の練習をしておく

前述の通り、高校によっては面接を実施しています。不登校で人と接することに抵抗がある場合は家族と練習しておきましょう。

また、「面接で不登校のことを聞かれたら不利になるのでは」と不安に思うかもしれませんが、正直に話し、これから学校生活でどうしたいかなど前向きなことを伝えましょう。

以上は、あくまでも自分から意欲的に勉強ができるタイプの子供に適した方法です。自分で勉強することが苦手で、学校という環境が必要な子供は少なくありません。子供に勉強をする環境が必要な場合は、無理に勉強するよりは、フリースクールなどを利用して、学力の遅れを補うほうが有効でしょう。

フリースクールに関する情報は「フリースクールってどんなところ? 学校との違いや学べる内容、費用をわかりやすく解説」で紹介しています。

不登校から大学進学を目指すには

不登校の期間を経て、高校に入学したとしても、大学進学は十分に可能です。不登校の解決も大切ですが、大学や専門学校への進学など、将来の進路も考えた上で進学する高校を選びましょう。そのほうが後悔のない、満足のできる高校生活を送れるはずです。

全日制高校からの大学進学

高校へ通えるのであれば、大学受験の対策は一般的な高校生と変わりません。高校の授業や自宅で勉強して学習内容の理解を深め、学習塾などで受験対策を行いましょう。

定時制高校からの大学進学

高卒資格を得ることが第一の目的のため、あまり大学進学には向いていません。学校の授業内容も、比較的やさしく、大学受験には不十分なので、学習塾などで大学受験の学力を補う必要があります。

通信制高校からの大学進学

公立の通信制高校は、定時制と同じで、高卒資格の取得が第一の目的です。大学へ進学するのであれば、私立の通信制高校で大学受験に特化したコースを選択すると良いでしょう。

■通信制高校のサポート校を利用する
学習塾などが運営するサポート校では、大学受験に特化した授業が準備されています。マンツーマン授業を受けるなど、通信制高校より高度な受験対策が可能です。

通信制高校やサポート校によっては、高校の学習内容を早い段階で終わらせて、残った時間で大学受験向けの授業を行っています。そのため、一般的な全日制高校より、通信制高校のほうが大学受験の勉強に時間を割くことができます。大学受験に関しては、全日制より通信制高校のほうが有利な面もあるのです。

また、通信制高校によっては、大学の指定校推薦枠を持っています。学内の選抜試験をクリアすれば、推薦を受けることも可能です。

■通信制高校の指定校推薦枠の例

ルネサンス高等学校、ルネサンス豊田高等学校、ルネサンス大阪高等学校 上武大学、立正大学、相模女子大学、京都外国語大学など
第一学院高等学校 法政大学、東洋大学、神奈川大学、日本大学、国士館大学など
NHK学園高等学校 立教大学、帝京大学、二松学舎大学、城西大学、駿河台大学など

学校によって、さまざまな大学進学のためのカリキュラムを用意しています。「通信制高校からの大学進学。難関校の受験も大丈夫!」で詳しく紹介しているので、気になる方はチェックしてみてください。