サポート校とは|特徴や通信制高校との違いと利用するメリットを解説!

「サポート校」とは、通信制高校に通う生徒のための教育施設であり、通信制高校のデメリットを解消しながら、通信制高校を卒業するためのサポートを受けることができます。しかし、サポート校は、通信制高校と異なる存在であるため、学費や学習内容などにおいて違いがあります。本記事では、サポート校とは何かといったことを説明した上で、サポート校の特徴、通信制高校とのさまざまな違い、サポート校を利用するメリットなどについて紹介します。

サポート校とは

「サポート校」とは、通信制高校に通う生徒のための教育施設です。通信制高校は、法律に基づいた「学校」ですが、サポート校は、いわゆる「学校」とは異なります。サポート校は、学習塾や予備校のような位置付けであると考えると、イメージしやすいでしょう。サポート校は、生徒に対して通信制高校とは異なる役割を果たします。以下、サポート校を利用する役割と目的について解説します。

サポート校の役割

サポート校の役割は、生徒が通信制高校の単位を取得し、卒業できるようにサポートすることです。学習や進路に関する支援、心身面・メンタル面の相談、カリキュラム、課外活動での生徒同士の交流などを通し、生徒が通信制高校を卒業できるようにサポートします。

サポート校を利用する目的

通信制高校に通う生徒は、自主学習と自己管理の支援を求めてサポート校を利用しています。通信制高校の主な学習方法は、レポートの作成と提出です。通信制高校に通う生徒の大半は10代後半の若者であるため、学校とのコミュニケーションを取る機会が少ない中、生徒自身が自主学習と自己管理をしながらレポート作成と提出を行うことは、簡単ではありません。

生徒が通信制高校で学ぶ理由としては、仕事の都合や経済的な状況の他、不登校、心身のトラブル、人間関係、集団生活への苦手意識、感覚過敏、以前通っていた高校を退学せざるを得なかったなど、さまざまです。通信制高校の卒業を目指すためには、手厚い支援が必要な場合もあるでしょう。サポート校を利用すれば、学習面の指導、管理、精神面のケア、カウンセリングを受けることができます。通信制高校で求められる自主学習や自己管理の支援を受けることができれば、より確実に通信制高校を卒業することができるでしょう。

サポート校と通信制高校との違い

サポート校は、通信制高校と密接な関係にあるものの、教育施設としては異なります。通信制高校は、全日制高校や定時制高校と同じく、高等学校の教育課程の一つです。全日制高校や定時制高校は、授業を受けるために平日の日中・夜間に登校しますが、通信制高校は、自宅学習(通信教育)が基本であり、レポートの提出、テストの受験、一定期間のスクーリングで単位を取得します。

サポート校は、通信制高校を卒業するためのサポートを受ける教育施設です。以下、サポート校と通信制高校の違いについて、「高校卒業資格の取得」「運営体制」「学費」「学習内容」の4点で両者を比較しながら解説します。

高校卒業資格の取得

通信制高校は、学校教育法で定められた高等学校です。通信制高校で定められた単位を取得すれば、全日制高校や定時制高校と同様に、「高校卒業資格」を取得することができます。高校卒業資格は、大学などの高等教育機関への進学や就職の際、ほとんどの場合で必要となります。資格試験の受験資格においても、高校卒業資格が求められる場合があります。

サポート校は、学校教育法による学校とは異なる教育施設です。サポート校では、通信制高校を卒業するためのサポートを受けられますが、サポート校に通うだけでは高校卒業資格を得ることはできません。

運営体制

通信制高校には、国、県、市町村の運営する「公立高校」と、学校法人、株式会社の運営する「私立高校」があります。どちらも法律に基づき、許認可を受けて運営されています。

サポート校は、学校とは異なる民間の教育施設のため、教育課程や教員構成などにおいて法律の規定がありません。教育内容や学費などについては、それぞれのサポート校で自由に決めることができます。サポート校は、専門学校、予備校、学習塾など、教育関連の学校法人が運営していることが多く、通信制高校と連携するサポート校もあります。

学費

通信制高校とサポート校は、別の学校・教育施設のため、それぞれの学費が必要となります。ただし、通信制高校とサポート校が連携していると、支払先が同一になる場合もあります。

通信制高校の学費は、公立と私立でかかる費用が異なります。公立の通信制高校の場合、授業料は1単位当たり336円です。通信制高校を卒業するためには、74単位取得しなければなりません。地域によって多少の差はあるものの、公立の通信制高校の卒業までの学費は、入学金や教材費などを合計したとしても、10万円程度です。

私立の通信制高校の場合、授業料は1単位当たり6,000円から1万円程度です。学費は、自宅学習と通学のどちらをメインにするかによって大きく異なります。私立の通信制高校の1年間の学費は、入学金や施設費などを含めて、20万円から80万円程度です。公立・私立ともに「高等学校等就学支援金」を利用することができ、世帯収入によっては授業料が実質的に無料となる場合があります。サポート校の1年間の学費は、20万円から120万円程度です。ただし、サポート校の場合は、提供する教育やサポート内容で大きく異なります

通信制高校を卒業するためのサポートだけを受ける場合は、サポート校の学費を抑えることができます。一方、サポート校の登校日数を増やして幅広い分野を学ぶと、サポート校の学費は私立の全日制高校と同じ程度になるといわれています。この他にも、入学金(5万円から20万円程度)、行事・イベント費などが必要です。サポート校は、高等学校ではないので、高等学校等就学支援金の対象ではありません。学費の合計金額を抑えたいなら、サポート校で細やかな指導を受け、私立の通信制高校では自宅学習中心で学費の安いコースを選択するという方法があります。

学習内容

通信制高校の学習内容は、学校教育法に準拠したものです。通信制高校は、公立・私立ともにそれぞれ特徴がありますが、基本的な学習内容は変わりません。

サポート校は、民間の教育施設のため、各サポート校が工夫を凝らし、学習内容を自由に決定することができます。アニメーション、ダンス、プログラミングなどの知識やスキルを学んだり、大学進学を目指して受験指導を受けたり、文化祭などの学校行事を楽しんだり、サポート校によって学ぶ内容や行事・体験に違いがあります。

サポート校が通信制高校に通う生徒を支援!

サポート校とは、通信制高校に通う生徒が卒業できるように学習面のサポートやメンタル面のケアなどを行い、単位取得を支援する教育施設です。サポート校は、法律で定める学校とは違い、民間で独自に運営されています。通信制高校の生徒のための、学習塾や予備校にあたるものがサポート校です。

■サポート校は学習塾や予備校と同じ
サポート校は学習塾や予備校と同じ

また、通信制高校ならではのデメリットを補うのもサポート校の役割です。

■通信制高校のデメリット

  • 基本的に自宅学習のため、計画通りに進めるには自己管理能力が必要
  • 学習内容が比較的やさしいため、大学受験をするには物足りない
  • 生徒同士の交流が少なく、友達が作りにくい

サポート校によっては、こういった通信制高校のデメリットを解消できる体制を持っています。サポート校に通うだけでは、高校卒業の資格を得ることはできませんが、通信制高校を確実に卒業するための支援体制を受けることができるのです。

■通信制高校とサポート校の違い
通信制高校とサポート校の違い

サポート校に入学するメリット

通信制高校に通う生徒の中には、事情があって全日制高校に通うのが難しい生徒がいます。サポート校では、生徒一人ひとりの状況・状態にあわせて指導できるよう少人数制を取り入れているところが多く、より細やかなサポートが期待できます

例えば、起立性調節障害などで朝起きることができず、全日制高校への登校が難しい生徒には、まず昼の登校から始めさせるなどの進め方がとられます。カウンセラーが常駐しているサポート校もあり、学習面での指導はもちろん、体調管理や心のケアのサポートもしてもらえます。

サポート校によっては、複数の通信制高校から生徒が集まるため、同じ境遇の生徒と知りあうきっかけにもなります。通信制高校に通う生徒には、全日制高校でないことへの「引け目」を感じている生徒も多くいます。そんな中、同じ境遇の生徒たちの集まりの場としてサポート校が存在し、通いながら気持ちをわかりあえる友人やスタッフとコミュニケーションをとれる環境は、生徒にとって大きな心の支えになるでしょう。

サポート校は高校卒業資格を得るだけなら必要不可欠なものというわけではありません。しかし、サポート校を利用すると、通信制高校におけるデメリットを解消することができます。通信制高校のデメリットを解消しつつ、生徒が得られるメリットとしては、以下の3点が挙げられます。

  • 生徒一人一人へのフォローやサポート 
  • 普通の高等学校では学べない分野を学べる
  • 校則や服装などは自由度が高い

生徒一人一人へのフォローやサポート

サポート校では、登校頻度の少ない通信制高校に代わって、生徒一人一人に対するフォローやサポートを受けることができます。サポート校では、生徒が通信制高校の卒業に必要な単位を取得できるように、学習を支援します。サポート校の教師やスタッフが、レポート提出に向けてのスケジュール管理、問題の解き方、レポート作成に関する質問、テスト対策の相談などについて、きめ細やかに対応します。

サポート校では、学習面だけではなく、生徒のさまざまな事情を考慮し、体調管理や心のケアといったサポートも行います。例えば、起立性調節障害の生徒には、朝の登校を無理に求めず、まずはサポート校への登校を昼間から始めるなどといった配慮を行います。生徒一人一人の事情に対応できるように、カウンセラーが常駐するサポート校も多いです。

普通の高等学校では学べない分野を学べる

サポート校は、法律に基づいた学校ではないので、独自のカリキュラムが用意されています。そのため、サポート校では、普通の高等学校では学べない分野を学べる場合が多いです。

<普通の高等学校では学べないサポート校で学べる分野の例>

  • アニメーション・マンガ
  • 音楽・ボーカル
  • ダンス
  • プログラミング
  • ファッション
  • ヘアメイク・ネイル
  • 調理・パティシエ・バリスタ
  • 演技・お笑い

自身の趣味や特技を極めるだけではなく、高等学校卒業後の進路を見据えて、スキルや資格の取得を目指すこともできます。大学進学を希望する生徒のために、大学受験用コースを用意しているサポート校もあります。

幅広い分野をサポート校で学べることは、卒業後の進路を考えるためにも役立ちます。文部科学省の「学校基本調査」によると、通信制高校の生徒の卒業後の状況は、全日制高校や定時制高校に比べて、いわゆる「その他」に当たる「進学」「就職」以外の割合が多いです。幅広く学べるサポート校を利用すれば、通信制高校の生徒が卒業後の進路を真剣に考えることも期待できます。

校則や服装などの自由度が高

サポート校は、通信制高校と同様、校則や服装などのルールも最低限にとどめるなど、生徒の自由度が高いといったメリットがあります。サポート校では、さまざまな理由や事情で通信制高校を選んだ生徒のために、快適に自分らしく学校生活を過ごせることを尊重しています。サポート校の校則は、制服があっても私服登校を選ぶことができたり、アルバイトも許可していたりなど、認められる自由度の範囲が広いことも多いです。

サポート校のコースや学んでいる分野によっては、身だしなみのルールを細かく定めている場合もあります。逆に、ヘアメイク・ネイル・ファッションなどを学ぶコースでは、スキルを身に付けるために、自分自身や同級生がモデルを務めることも認められています。

サポート校で通信制高校のデメリットを解消!

さまざまな事情から全日制高校に通うことができず、やむを得ず通信制高校を選んだ人は少なくありません。そういう人にとって、通信制高校の学校生活は、とても満足できるものではないでしょう。しかし、サポート校を利用すれば、通信制高校の不満を解消できます。

・自宅学習の管理が大変
サポート校で学習指導を受け、進行ペースを管理してもらうことが可能。わからないことも、すぐに質問できる

・学習内容が簡単すぎる
サポート校で大学進学コースを選べば、通信制高校の勉強とは別に、大学受験のための勉強をすることができる

・生徒同士の交流が少ない
週1~5日と自分都合にあわせてサポート校に通学できる。そのため、生徒同士が会う頻度も高く、交流の機会がある

・学校行事が少ない
サポート校によっては、頻繁に学校行事を行っている。遠足や文化祭、スキー教室などさまざまで、参加は自由

通信制高校だから××が大変、××がない、××できない、といった悩みの多くは、サポート校に入学することで解消できます。
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まとめ

サポート校は、生徒の自主学習や自己管理の支援を行い、通信制高校を卒業できるようにサポートするといった、通信制高校とは異なる教育施設です。サポート校に通うだけだと高校卒業資格を得ることはできませんが、サポート校による学習面・メンタル面へのフォローやサポート、幅広い分野の学習などを通じて、充実した高校生活を送ることができるでしょう。通信制高校に通う際には、より確実に卒業を目指すために、サポート校の利用を検討してみてはいかがでしょうか。