通信制高校の学費を無償化!利用できる公的制度を徹底解説!
公開日:2018年02月08日 更新日:2024年12月09日

通信制高校の学費を無償化する制度として「高等学校等就学支援金制度」と「高校生等奨学給付金」があります。文部科学省が案内する制度で、それぞれの制度の概要について解説します。 国の就学支援制度のなかには、通信制高校の学費が実質無償化される制度があります。 条件に当てはまる家庭に、決められた金額が給付されます。学校へ通うための費用がすべて無償化されるわけではありませんが、給付により家計が助けられ、子どもを安心して高校へ通わせられるようになるので、ぜひ利用しましょう。 この記事では「高等学校等就学支援金制度」「高校生等奨学給付金」について、利用できる人の条件や給付金額など詳しく解説します。
通信制高校の学費
国の就学支援制度を紹介する前に、通信制高校では3年間でどれくらいの学費がかかるか解説します。公立・私立それぞれの学費は、下記のとおりです。
学校区分 | 【公立】 | 【私立】 |
---|---|---|
1年間の授業料 (約25単位) |
約10,000円 ※1単位400円の場合 |
約30万円 ※1単位12,000円の場合 |
1年間の諸費用 | 約20,000円 | 約6万~10万円 |
1年間の学費合計 | 約30,000円 | 約36万~40万円 |
3年間でかかる学費 | 約90,000円 | 約108万~120万円 |
通信制高校によっては、パソコンやタブレットPCの購入を必須としている学校もあります。3年間でかかる学費に加えて別途、端末代がかかることもあるでしょう。
通信制高校の学費の詳細や、入学から卒業までの費用ついては、『通信制高校の学費は安い?3年間でいくらかかるか全日制・定時制高校と徹底比較』で詳しく解説しています。
通信制高校の学費無償化制度(給付金制度)
通信制高校の学費が実質無償化になる制度や、一定の金額が給付される制度を2つ紹介します。
- 高等学校等就学支援金制度
- 高校生等奨学給付金
高等学校等就学支援金制度

高等学校等就学支援金制度は、経済的な理由で高校進学を諦めなくて済むように、国が設けた制度です。通信制高校を含む国公私立の高等学校に在籍する生徒を対象に、授業料として一定の金額が給付されます。
給付される金額は、家庭の世帯年収や進学する学校区分により異なりますが、就学支援金をもらうことで、高校の授業料が実質無償になる場合もあります。
利用できる条件
高等学校等就学支援金制度は、下記のような利用条件があります。
- 日本国内に在住していること
- 高校等に在籍していること
- 世帯年収が約960万円未満(片働きの場合)、約1090万円未満(共働きの場合)であること
- 在籍期間が通算で48ヶ月以下であること
上記は、家族構成が両親と子ども2人の場合の条件です。子どもが2人以外や親がひとりの場合は、給付される目安の世帯年収が異なります。
給付金額
高等学校等就学支援金制度により給付される金額は、家族構成や世帯年収および学校区分により異なります。
公立と私立それぞれ、給付対象となる世帯年収目安、および最大で給付される金額は下記のとおりです。
公立の最大給付額 | 私立の最大給付額 | |||
---|---|---|---|---|
世帯年収 | 定額制 | 単位制 | 定額制 | 単位制 |
910万円以上 | なし | なし | なし | なし |
590万円以上~ 910万円未満 |
520円/月 11万8,000円/年 |
336円/単位 11万8,000円/年 |
9,900円/月 11万8,800円/年 |
4,812円/単位 11万8,800円/年 |
590万円未満 | 24,750円/単位 29万7,000円/年 |
12,030円/単位 29万7,000円/年 |
出典:文部科学省「支給期間 ・ 支給限度額一覧(令和2年4月以降)」、「高校生の学びを支えます」
上記の年収目安と最大給付額は、家族構成が両親2人・高校生1人・中学生以下1人の場合です。公立の通信制高校は、授業料が年間約1万円なので、高等学校等就学支援金制度によって実質無償化されます。
私立の通信制高校の授業料は約30万円なので、学校によっては私立の授業料も実質無償となるでしょう。
家族構成や子どもの年齢により、制度が利用できる年収と給付額は大きく異なります。自身の場合について知りたい人は、進学先の学校または都道府県別に設置された問合せ先へ確認しましょう。
手続きの方法
通信制高校で高等学校等就学支援金制度の手続きをしてから給付されるまでの流れは、下記のとおりです。
手順 | 詳細 |
---|---|
申請する | ・入学後に学校から制度の案内を受ける ・在校生の場合は、7月頃までに学校から案内を受ける ・申請は原則、オンラインで行う |
学校から都道府県へ申請される | ・学校が都道府県へ、集めた申請を都道府県へ提出 ・学校によっては、家庭から都道府県へ直接申請する場合もある |
都道府県から国へ申請される | ・都道府県が受給資格の判定を行う ・申請時に記載されたマイナンバーを基に判定する |
給付金が授業料へ充てられる | ・制度が利用できる場合は、給付額が進学先の学校へ充当される |
都道府県ごとに申請方法が異なるため、必ず学校から受けた案内に沿って申請しましょう。
制度を利用する際の注意点
高等学校等就学支援金制度を利用する際は、下記の点に注意が必要です。
- 当制度を利用するには申請が必要
- 制度の対象となる世帯年収には上限がある
- 単位数にもとづいて給付金額が決まる
- 給付金が受け取れる期間には上限がある
- 給付を受け続けるには、毎年7月頃に収入証明が必要
高等学校等就学支援金制度は、高校進学と同時に自動で利用できるわけではなく、必ず申請が必要です。学校から案内を受けたら、速やかに申請しましょう。
また、通信制高校の場合、当制度の給付額は通算で74単位分、給付される期間は48ヶ月が上限です。
高等学校等就学支援金を受け取るには、毎年7月頃に収入状況の証明が必要です。学校から申請書等が配布されるため、課税証明などの必要な書類を準備しておく必要があります。
高校生等奨学給付金
高校生等奨学給付金制度は、経済的な理由で高等学校に通うことが困難な生徒を支援するための制度です。毎年7月頃に、学校から案内があります。
生活保護受給者および非課税世帯が対象で、給付された金額の返還は不要です。通信制高校に通う生徒も対象で、授業料以外の教育費における負担軽減が目的です。
授業料以外の教育費とは、下記のような費用が該当します。
- 教材費
- 教科外活動費
- 生徒会費
- 入学学用品日
- 修学旅行費
学校によっては上記以外の費用が発生することもありますが、授業料以外であれば、支援対象として認められる場合もあります。
利用できる条件
高校生等奨学給付金制度が利用できる対象者は、下記のとおりです。
- 生活保護世帯または住民税非課税世帯(年収約270万円未満)であること
- 保護者が対象の自治体内に住所を有していること
- 生徒が高等学校等に在学していること
高校生等奨学給付金は、高等学校等就学支援金と併用して利用できます。2つの制度を利用したい場合は、進学先の学校または都道府県の窓口にて、別々に申請する必要があります。
給付金額
高校生等奨学給付金制度で給付される金額は、公立・私立や世帯状況により異なります。
世帯状況 | 公立の給付額(年額) | 私立の給付額(年額) |
---|---|---|
生活保護受給世帯 | 32,300円 | 52,600円 |
非課税世帯 | 50,500円 | 52,100円 |
家計急変により生活保護受給世帯または住民税非課税世帯になった場合は、申し込んだ月により支給額が異なります。
手続きの方法
高校生等奨学給付金制度へ手続きをするには、下記の流れに沿って申請しましょう。
- 学校からの案内にて制度の対象者を確認する
- 申請書に必要事項を記載する
- 進学先の学校または居住している都道府県へ提出する
- 給付される金額と結果通知を確認する
制度の対象者は、対象の自治体に住んでいる生活保護受給世帯と住民税非課税世帯です。7月頃に学校から案内されるため、制度を利用する場合は速やかに申請書を提出しましょう。
制度を利用する際の注意点
高校生等奨学給付金制度を利用するには、下記に注意が必要です。
- 生活保護世帯または非課税世帯が対象
- 制度への申請には期限がある
- 学校の住所ではなく、保護者が居住している自治体で申請できる
- 申請書類に不備がある場合、給付日が延びる可能性がある
申請期限は各自治体によって異なります。期日を逃すと次の募集時期まで待たなければならないため、案内を受け取り次第速やかに申請しましょう。新入生の場合は4~6月頃に申請できます。
また、申請時の内容に不備があった場合は給付が遅れたり、給付資格が得られなかったりするため、正確に記載しましょう。
家計急変時に受けられる支援制度
高校へ通う子どもの保護者が、ケガや病気などで働けない場合や、やむを得ない理由により収入が得られない状況となったとき、授業料の支援が受けられます。当制度を利用できる条件は下記のとおりです。
- 両親の収入がない、または減少した
- 世帯年収が約590万円未満相当まで減少した
- 家計急変事由や直近の収入証明の提出が可能
条件に当てはまる場合は、最大で下記の金額が支給されます。
- 公立:9,900円/月
- 私立:33,000円/月
すでに高等学校等就学支援金制度を利用している世帯でも、給付限度額に達していない場合は追加で利用できることがあります。対象であるかわからない場合は、学校もしくは住んでいる自治体に相談することをおすすめします。
自治体の通信制高校学費免除・補助制度の例
国が提供する学習支援以外にも、自治体が独自で就学支援制度を設けている場合があります。高校生の学費に関する支援制度で、自治体の取り組み例を2つ紹介します。
東京都:私立都認可外通信制高等学校在学生授業料助成金(都の制度)
東京都では、私立の通信制高校へ通う子どもを対象に、私立都認可外通信制高等学校在学生授業料助成金を提供しています。
利用できる条件は、下記の通りです。
- 東京都内在住であること
- 生徒が東京都以外の自治体が認可している私立通信制高等学校に在学している
条件に当てはまる世帯は、所得別に下記のような助成が受けられます。
世帯年収目安 | 助成金額(年額) | |
---|---|---|
片働き | 共働き | |
約910万円以上 | 約1090万円以上 | 私立高等学校等授業料軽減助成金(都):26万5,000円 高等学校等就学支援金制度(国):0円 |
約590万円以上~ 約910万円未満 |
約740万円以上~ 約1,090万円未満 |
私立高等学校等授業料軽減助成金(都):14万6,200円 高等学校等就学支援金制度(国):11万8,800円 |
約590万円未満 | 約740万円未満 | 私立高等学校等授業料軽減助成金(都):0円 高等学校等就学支援金制度(国):29万7,000円 |
出典:東京都「私立都認可外通信制高等学校在学生授業料助成金(都の制度)」
所得によっては、国の高等学校等就学支援金制度と合算して上限26万5,000円まで助成が受けられます。
大阪府:大阪府高校等授業料無償化制度
国の高等学校等就学支援金制度において、所得超過により給付が受けられなかった世帯を対象とした制度です。所得や子どもの人数にかかわらず、授業料を無償化できます。
当制度が利用できる条件には、下記があります。
- 生徒および保護者が大阪府内に在住している
- 子どもが高等学校等に在学している
- 高等学校等就学支援金制度にて所得超過により給付が受けられなかった
国の高等学校等就学支援金制度へ申請をしていることが前提です。申請をして上記に当てはまった場合は、現金が振り込まれるのではなく、大阪府が高校の授業料を負担します。
まとめ
通信制高校の学費を無償化するための制度として挙げられるのが、文部科学省が案内する「高等学校等就学支援金制度」と「高校生等奨学給付金」です。
高等学校等就学支援金制度は、授業料の負担を軽減するために設けられた制度であり、公立の通信制高校であれば授業料が実質無償化されます。私立の通信制高校も学校によっては実質無償となるため、学費の負担を軽減できます。
高校生等奨学給付金は、授業料以外の教育費に対して給付金が支給される制度です。
また、国だけでなく住んでいる自治体でも、通信制高校の就学支援に取り組んでいるところがあります。
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