通信制高校の広域と狭域の違い

通信制高校は「広域(こういき)」と「狭域(きょういき)」のふたつに分かれます。通信制高校は、住んでいる地域によって入学できる学校に制限があり、広域と狭域は、入学を受け入れられる地域の大きさを表しているのです。通信制高校を選ぶときは、広域や狭域に注意する必要があります。

広域と狭域は通学範囲の違い

通信制高校は、通学できる範囲の違いで、広域と狭域のふたつに分かれます。住んでいる場所によっては、入学できない通信制高校があるので注意が必要です。

基本的に広域は私立校、狭域は公立校

通信制という言葉から、通信制高校は「授業は通信だから、日本中どこからでも入学できる」と思いがちですが、実際にはレポート(添削指導)だけでなく、スクーリング(面接指導)が必要なので、学校に通える範囲でなければ入学できません。

その一方で、全日制や定時制の高校は、原則として学校のある地域に住む生徒しか募集できないのですが、通信制高校は学校教育法で全国から生徒を募集することを認められています。そのため通信制高校は、入学できる範囲から広域と狭域のふたつに分けられます。

■通信制高校の広域と狭域の違い

広域通信制高校 狭域通信制高校
入学できる地域が3都道府県以上 入学できる地域が学校のある県+隣接する1都道府県

広域通信制高校は、地域によっては校舎がないこともありますが、そういった地域でもスクーリングが行えるように協力校や学習センターといった外部の教育機関と連携して環境を整えています。普段はサポート校に通って、年に数日のスクーリングだけ通信制高校の本校に通うタイプもあります。広域通信制高校は、基本的に私立校です。

狭域通信制高校は、スクーリングできる施設が本校だけなのが一般的です。学校によっては、近隣の協力校などでスクーリングができることがあります。狭域通信制高校の多くが公立校です。

全国に対応する広域通信制高校もある

広域通信制高校は、3つ以上の都道府県から、生徒を募集できる通信制高校です。対象となる生徒は、該当地域(都道府県)に住所、または勤務地を持っている人に限られます。規模は通信制高校によって異なりますが、中には全国から生徒を募集している学校もあります。

広域通信制高校は、学校の所在地以外にも、スクーリングを行える施設を持ったり、まとめてスクーリングができるように宿泊施設を用意したり、インターネットを活用して授業を行うなど、積極的にスクーリングの負担を軽くする試みを採用しています。

広域通信制高校としての設備や環境を整えて運営を続けるには、規則に縛られない柔軟さが求められます。そのため、105校ある広域通信制高校は1校を除いて私立(学校法人/株式会社)となっています。

ほとんどの公立の通信制高校は狭域

学校のある県と隣接するひとつの都道府県から生徒を募集する通信制高校を、広域に対して狭域と分類します。正確には、狭域通信制高校という分類はありませんが、広域通信制高校と区別するために用いられます。

狭域通信制高校は、多くが公立校です。公立の通信制高校は、都道府県の教育委員会が管轄するため、生徒を募集できる地域が学校の所在地の県と隣接するひとつの都道府県だけと限定されています。公立の通信制高校は、私立校と比べて、スクーリングの施設が少ないことがあります。中には本校でしかスクーリングができない通信制高校もあるので、月2回程度とはいえ、あまりにも遠方だと通うのが大変です。

ただ、広域だから良い、狭域だからダメ、ということはありません。広域、狭域という分類は、あくまでも、生徒を募集できる地域の大きさでしかないのです。通いたい通信制高校を選ぶときは、自分が通いたい学校かどうか、設備や体制が整っているかどうかなどの点が重要です。オープンキャンパスなどの学校を見学できる機会があれば、実際に足を運んで、よく確認しましょう。