定時制高校とは?メリットや全日制との違いをわかりやすく解説!

定時制高校とは、全日制高校とは異なる時間帯に授業を受ける学校のことです。夕方から夜間にかけて授業が行われるケースが多いですが、昼間授業という場合もあります。働きながら学業を続けたい人、不登校経験のある人、専門的なコースを希望する人など、さまざまな理由で全日制高校に通うのが難しい生徒に向けて設けられた教育機関です。この記事では、定時制高校の特徴やメリットについて詳しく解説します。

定時制高校とは何か

定時制高校とは全日制高校とは異なり、特定の時間帯に授業を受けることができる高校です。

多くの場合、夜間に授業が行われることが特徴ですが、中には昼間授業を提供する学校もあります。働きながら学業を続けたい人や、家庭の事情によって全日制に通うのが難しい人にとって有効な学習形態です。

定時制高校の学習スタイルは多様で、個々の生徒のペースに合わせて学習を進めることができます。特定の専門分野を集中して学びたい生徒や、不登校経験がある生徒など、幅広いニーズに対応します。

また、就職支援が充実していることも特徴で、高卒資格に加えてさまざまな資格を取得できることがあります。

全日制高校や通信制高校との違い

全日制高校は昼間授業が中心で、卒業するまでの期間が決まっています。通信制高校は、通学(スクーリング)日数が少なく、自宅で学習を進める形式です。

ここでは全日制、通信制、定時制の違いについて解説します。

学習方法の違い

定時制高校では、年制と単位制のどちらかを選ぶことができます。

学年制は、通常の学年度に沿ったカリキュラムで進みますが、単位制は必要な単位を取得することで卒業できます。

これに対して、全日制高校はほとんどが学年制であり、決められた時期に特定の科目を履修しなければなりません。

通信制高校は単位制が主で、自分のペースで学習が進められるメリットがあります。

定時制高校の生徒は、普通科目のほかに専門科目や実技科目を選択できることがあり、実務的なスキルを身につける機会があります。

時間割や時間帯の違い

定時制高校の時間割は、夜間授業と昼間授業が選べるため、生徒の生活スタイルに合わせやすいことが特徴です。

全日制高校は朝から始まり、午後に終了する時間割が主流です。通信制高校では、特定の時間に拘束されず、自宅で自主学習を進めることができます。

定時制高校では、夜間授業の選択肢があるため、働きながら学ぶ生徒や家庭の事情がある生徒に適しています。

定時制高校に通う生徒の特徴

定時制高校に通う生徒の特徴として、働きながら学ぶ生徒や、不登校経験のある生徒、専門コースで学びたい生徒が多いことが挙げられます。

働きながら学ぶ生徒

定時制高校には、働きながら学業を続ける生徒が多く通っています。彼らは仕事や家庭の事情に対応しながら、定時制高校で学習を続けています。

また、定時制高校は柔軟な時間割を提供しており、働く生徒が時間を効率的に使えるようになっています。そのため、仕事と学業の両立が可能です。

具体的には、夜にかけて授業が行われることが多く、昼の仕事が終わった後に学ぶことができます。

不登校経験がある生徒

定時制高校には、不登校の経験を持つ生徒も多く通います。全日制高校ではうまく適応できなかった生徒たちが、自分のペースで学習を進められる定時制高校に魅力を感じています。

定時制高校では、少人数制のクラスや個別対応が行われることが多く、生徒一人ひとりに対するサポートが充実しています。これにより、社会復帰や進学への自信を取り戻すことが可能になります。

不登校経験を持つ生徒にとって、定時制高校は新たなスタートを切る場として、有効に機能しています。一例として、定時制高校では、出席日数の調整ができるため、無理なく登校することができます。

専門コースで学びたい生徒

定時制高校には、特定の専門コースで学びたいと考える生徒も多く通います。これらの生徒は、全日制高校では提供されない特殊なカリキュラムや授業を受けたいと希望しています。

例えば、美術や音楽、スポーツ、コンピュータ関連など、特定の分野での専門知識や技術を深く学びたいと思っている生徒たちです。定時制高校では、働きながら学べる環境と専門コースを両立させることができるため、彼らの希望を叶えるための重要な選択肢となっています。

また、専門コースでは、実践的なスキルを磨くことができるため、実社会で即戦力となるための準備ができます。例えば、コンピュータ関連のコースでは、プログラミングやWebデザインを学ぶことができます。

定時制高校のメリット

定時制高校のメリットについて解説します。

柔軟な学習スタイルが選べる

定時制高校では生徒の多様な事情に対応するため、柔軟な学習スタイルが提供されています。

例えば、夜間や昼間に授業があるため、生徒は自分のスケジュールに合わせて授業を選択することができます。働きながら学びたい人でも、自分のペースで学習を進められるのが大きなメリットです。

定時制高校では、単位制を採用している学校が多いため、学年に拘束されず、必要な単位を取得することで卒業できます。

さらに、専門的なコースを選ぶことができる場合もあり、将来のキャリアに直結するスキルを身に付けられるチャンスが広がります。例えば、IT技術や介護などの専門分野を学ぶことで、即戦力としての力を養うことが可能です。

就職支援が充実している

定時制高校では、就職支援が充実していることも大きなメリットです。

例えば、多くの定時制高校ではキャリアカウンセラーが常駐しており、生徒の適性や希望に合わせた就職相談を行っています。

それに加えて、インターンシップや企業見学の機会を提供することで、生徒は実際の職場環境を経験しながら、自分に適した職業を見つけることができます。

さらに、定時制高校は地元企業と提携し、就職先の紹介や就職希望者のサポートを行うことが一般的です。

学校自体が職業教育を重視しているため、実践的なスキルを身につけるカリキュラムが組まれています。これにより、生徒は学業を続けると同時に、社会に出たときに役立つ能力を養うことができます。

自由度の高い学びが可能

定時制高校では、自由度の高い学びが可能です。

例えば、自分の興味や関心に合わせて授業を選択できることが多いため、生徒は自分に適した学習を進めることができます。このような教育環境は、自律した学習を促し、生徒自身の能力を最大限に引き出すことを目指しています。

カリキュラムも多様で、基本的な科目だけでなく、専門的なコースや実践的なトレーニングを提供している学校もあります。例えば、介護福祉やビジネススキルのコースを選ぶことで、卒業後のキャリアを見据えた専門知識を習得することができます。

また、柔軟なスケジュールにより、勉強とプライベートのバランスを保つことができるのもメリットです。これにより、生徒はストレスなく学習を続けることができ、モチベーションを維持しやすくなります。

定時制高校のデメリット

定時制高校にはいくつかのデメリットが存在します。

中途退学率が高い

定時制高校のデメリットのひとつは中途退学率が高いことです。全日制高校と比べて、定時制高校では中途退学が多く見られます。

その理由として、勤務と学業の両立が困難であることが挙げられます。多くの生徒が仕事をしながら学んでいるため、時には精神的・肉体的な負担が大きくなり、学業を続けることが難しくなることがあります。

さらに、不登校や学校への適応が困難だった経験を持つ生徒が多いことも影響します。

定時制高校を選ぶ際には、自分の生活や将来計画をしっかりと考えた上で、適応できるかどうかを検討することが重要です。中途退学を防ぐためにも、学校のサポートの有無について事前に確認しておくと良いでしょう。

進学サポートが少ない

もうひとつのデメリットは、進学サポートが比較的少ないことです。定時制高校では、就職支援や働きながら学ぶ環境の提供に重点が置かれているため、全日制高校と比べて進学に関する支援が不足している場合が多いです。

例えば、通常の学校では進学に関する説明会や個別指導の機会が多くありますが、定時制高校ではそれらが限られていることがあります。

また、進学に必要な学力を身につけるための補習や特別講座が少ないことも問題です。

そのため、進学を目指す定時制高校の生徒は、自分自身でしっかりと計画を立て、必要な情報を収集することが求められます。

定時制高校は卒業に時間がかかることも

定時制高校は1日の授業時間が短いため、4年間の学年制を基本としていました。しかし、最近の定時制高校では単位制が主流です。

■卒業までにかかる一般的な年数

学校の種類 卒業にかかる年数
全日制高校 3年
公立定時制高校(学年制) 4年
公立定時制高校(単位制) 最短3年
私立定時制高校 3年、4年
通信制高校(単位制) 最短3年

公立の定時制高校を3年で卒業するなら、単位制を採用している学校を選ぶことになります。単位制であれば、卒業に必要な74単位以上を修得すればいいので、1日に多くの授業に出席するなどして勉強の密度を上げることで、3年での卒業が可能になります。

近年、定時制高校は、統廃合化によって学校数が減少しています。公立定時制高校は、自宅か勤務先の住所と同じ都道府県にある学校しか通えないため、3年の卒業を希望しても、単位制の学校が該当地域になければ通うことはできません。

私立の定時制高校は学年制が主流で、3年制か4年制を選ぶことができます。3年制を選ぶと、午前中や午後の早い時間に登校し、日に5~6時限の授業を行うという、全日制に近い形の授業を受けます。しかし、私立の定時制高校は学費が高く、経済的な負担は大きいです。

自宅や勤務先の近くに単位制の定時制高校がない、私立の定時制高校に通う金銭的な余裕がないといった場合は、4年制の定時制高校に通うことになります。

3年での卒業を希望する場合には、通信制高校を選ぶ方法もあります。

通信制高校ならば、自分の好きな時間に学習できます。単位制なので、3年で卒業することも現実的です。下記バナーから自分に合った通信制高校を無料で探せるので、チェックしてみてください。

就職?進学?定時制高校卒業後の進路

2016年度に定時制高校を卒業した人は、21,551人でした。そのうち、大学や専修学校などに進学した人は約40%、就職した人は40.8%でした。データから卒業者のうち、約40%が進学をしていることがわかります。

■定時制高校卒業者の進路

卒業後の進路 人数 割合
大学・短期大学 2,708人 12.6%
専修学校(専門課程) 3,958人 18.4%
就職者 8,720人 40.8%

文部科学省「平成28年度学校基本調査」より作成

定時制高校は「高校卒業の資格を得るための学校」で、卒業後に就職する人が多いイメージがありますが、実際には就職と同程度の人数が進学しています。

定時制高校の勉強だけで大学へ進学するのは大変ですが、決して不可能ではありません。大学進学を検討している人は、予備校への入学なども検討しておくといいでしょう。

まとめ

定時制高校では柔軟な学習環境が提供されるため、働きながら学ぶことが可能です。経済的に自立しながら学業を続けたい生徒にとって大きなメリットとなります。また、夜間に授業を受けることができるため、昼間に仕事や家庭の事情で忙しい人にも適しています。

さらに、個々のニーズに合わせた学習スタイルを選ぶことができる点も魅力です。専門コースで特定の分野を深く学びたい人や、自分のペースで学びたい人にとって最適な環境があります。

一方で、中途退学率が高いことや、進学サポートが少ないことはデメリットです。また、卒業するのに4年かかるケースがあります。

自分のペースで勉強しながらも、全日制のように3年間で卒業したいのなら、通信制高校という選択肢もあります。下記バナーから自分に合った学校を無料で診断できるので試してみてください。