母子家庭・ひとり親家庭が給付型奨学金を受けるには?給付条件や注意点などを紹介

給付型奨学金は、学生が安心して学べる返済不要の奨学金です。母子家庭・ひとり親家庭では、お子さんの進学において奨学金の利用を検討するケースも多いでしょう。 本記事では、日本学生支援機構(JASSO)の給付型奨学金を中心に、母子家庭・ひとり親家庭が奨学金をもらうための条件や注意点、新制度による変更点を紹介します。

母子家庭・ひとり親が活用できる給付型奨学金とは?

給付型奨学金とは、無利子で返済が不要な奨学金のことです。従来の奨学金はいわゆる「借金」であり、大学を卒業したときに返済が必要となります。

給付型奨学金の中でもポピュラーなのが、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。それぞれ利息なしと利息ありの貸与がありますが、いずれにせよ返済までには長い時間がかかるでしょう。奨学金は、大学に通えるお金を貸付して次世代の若者が学びを深められるようにと設立された制度です。

しかし、現実には大学卒業後に就職が上手くいかなかったり、家庭の事情でお金が足らなくなったりと、返済ができない奨学生が多くいます。中には奨学金の借金がきっかけで自己破産するケースもあるのです。

これらの現状から、2018年に返済の必要がない給付型奨学金制度が導入されました。申し込みの条件として、本人が優良な成績であることを前提に、世帯の収入や課税の有無などさまざまな要件があります。

給付型奨学金を受けられれば、母子家庭であっても大学進学への道が近づくといえるでしょう。

貸与型との違い

前述の通り、貸与型はお金を借りて奨学金を受ける制度です。奨学金を扱うのは、主に公的機関の「JASSO(日本学生支援機構)」やあしなが育英会となっています。

金額に応じて月に返済する額が変動するため、自分が卒業後に計画的に返済できるかどうかを見極めて貸与額を決める必要があるのです。

一方の給付型は、返済義務がなくお金を給付してもらう制度であるため、給付の要件に合って利用ができれば、経済面での負担を減らし安心して進学できるでしょう。こちらは学校や財団、地方自治体などが奨学金を提供しています。

いずれも、自身の経済状況や成績、将来への展望も見据えてどのような奨学金を受けるのか選択しましょう。

給付型奨学金による支援額

日本学生支援機構における給付型奨学金の支援額は、世帯の収入金額に応じて区分が設けられており、自宅から通学するか、自宅外から通学するかによって変動します。また、大学が国公立なのか私立かによっても変わり、規定に沿った金額が毎月振り込まれる仕組みです。例として、以下のように月の支援額が決められます。

【例】 世帯2名(母、子)非課税 自宅から大学へ通学を希望している

  • 年間収入:200万円
  • 区分:「第一区分」
  • 高校、高専(高等専門学校)の在籍中でも受験できる

支援額は日本学生支援機構で表になって掲載されています。生活保護世帯や社会的養護が必要とされる場合については、通常の金額とは異なるため、詳しく確認しておきましょう

給付型奨学金の申込みの流れ

給付型奨学金の申し込みの流れは、大きく分けて3ステップです。

①インターネットで申し込む

②学校に必要書類を提出

③マイナンバーと身元確認書類を日本学生支援機構に提出

給付型奨学金を利用したい場合には、まずインターネットから日本学生支援機構の「スカラネット」を利用します。奨学金の申込期間は決められており、高校生は3年生の4月下旬頃大学生は毎年春と秋の2回です。

次に、在学している学校に給付型奨学金を受けたい旨を説明して書類を受け取り、締め切りまでに必要事項を入力して学校に提出します。この締め切りは学校それぞれで決まっており、統一ではありません。また、自分のいる学校が給付型奨学金の対象でないと申し込みができないため、予め確認することをおすすめします。

申し込みが完了して1週間以内に、マイナンバーの情報と身元確認書類を郵送します。これは学校を通してのやりとりではないため、自分で用意して直接日本学生支援機構に郵送しましょう。

マイナンバーは学生だけでなく、保護者も必要です。一方、身元確認書類は学生の分だけでよいとされています。いずれかの書類に不備があると受付してもらえない可能性があるため注意しましょう。

母子家庭・ひとり親が給付型奨学金をもらうための各条件

日本学生支援機構の給付型奨学金を母子家庭がもらえるための条件として「学力基準」「収入基準」「資産基準」の3つの基準をいずれもクリアしなければなりません。

新しい給付型奨学金では、その基準も大きく拡充され、より受給しやすくなりました。そこで、具体的にどのような基準が設けられているか、その内容について詳しく見ていきましょう。

1.学力基準

学力基準の内容は、申し込みをした際の在学中の成績が5段階で「3.5以上」あるかどうかが1つの基準となります。申し込みの際の基準は上記の内容となっていますが、学力基準は在学中にも適用されます。

仮に進学先で成績が悪かったり、出席をほとんどしていなかったりと、進学先での意欲に課題があると見られた場合には、制度の打ち止めをされてしまう可能性があります。給付を受けた後でも、学びに積極的な姿勢を見せていく必要があるのです。

2.収入基準

収入基準をクリアして給付を受けるには、世帯が住民税非課税であることが基準となっています。金額の基準は日本学生支援機構に掲載されていますが、世帯の事情も考慮して基準が変動すると知っておきましょう。

例えば、世帯に障害を持つ人がいる場合や世帯に無収入の家族が数名いる場合など、状況に応じて給付の対象になるかもしれません。収入基準を超えてしまっていても、給付を受けられるであろう要件を持っている場合は、事前に相談してみるのも方法の一つです。

3.資産基準

資産基準とは、世帯として保有している資産を元にしたものです。基準として、本人と同一世帯の生計維持者が持つ資産の合計が見られることになります。

基準で扱われる資産とは、有価証券や資産として持っているお金などです。不動産の資産は対象にはなりません。母子家庭で申し込みをする場合は、子と母の資産合計が1250万円未満であれば要件を満たしています。

申し込み前に、世帯の資産がどれくらいあるのかおおよそ計算しておくと、自分が要件に該当しているか確認しやすいでしょう。

2020年4月の新制度による変更点は2つ

返済の必要がなく、学生にとってはありがたい制度の給付型奨学金ですが、申し込みができる要件が厳しいことや、給付金が少なく自己負担が大変なことが課題となっていました。そこで、2020年4月にスタートしたのが「新給付型奨学金制度(大学無償化制度)」です。

2020年4月に変更となったのは「対象となる学生枠の拡大」と「支援金額の増加」の2点で、どのように変更されたのか、詳しく解説します。

 

1.給付型奨学金の対象となる学生枠が拡大

新制度では、給付型奨学金の対象となる学生枠の拡大し、申請をしやすくなったのが大きな変更点です。これまでの申し込み対象の要件が緩和され、非課税世帯以外にもそれに準ずる世帯収入の場合でも対象となりました。

具体的には、年間の世帯収入が300万円未満であれば第二区分380円未満であれば第三区分とされ、それぞれに支援額が決められています。また、これまで優良な成績が申し込み要件でしたが、成績表の基準だけでなく進学への意欲がどれくらいあるかも基準内容となりました。

このように、収入面や学習意欲の条件が追加され、給付型奨学金を目指せる学生枠が拡大しています。

2.支援金額の増加

これまでの支援金額は、学生がアルバイトをしながら授業料を支払うのを前提とした金額のみの支給でした。新制度ではより学習に専念できるよう、支援金額が増加しています。

年間の給付額が国公立でおよそ80万円、私立で90万円となり、進学を目指す学生にとっては手厚い支援を受けられるようになりました。特に、自宅外から通学する場合は負担を大きく減らせるでしょう。

また、給付金だけでなく入学金と授業料の免除制度が導入された点も大きな特徴です。入学後3ヵ月が経過すると、授業料の免除を受けられるため、給付金も合わせるとほぼ無償化されるといえるでしょう。

2020年の新制度は、就学支援金制度として通信制高校にも適用されます。詳しい内容は以下のページにまとめているため、ご参考ください。

>>2020年4月改正の「就学支援金制度」で通信制高校の授業料が無償に!? 支給額や申請方法を確認しよう

母子家庭・ひとり親が給付型奨学金をもらう際の5つの注意点

日本学生支援機構の給付型奨学金をもらう際に注意したい点として次の5つが挙げられます。

  • 本人の所得も含まれる
  • 奨学金の対象校であるか
  • 上限額が減額されるケースがある
  • 支援停止となるケースがある
  • 在学中は対象にならない

母子家庭の強い味方になるであろう給付型奨学金ですが、申し込みをする前に注意点を確認しましょう。ここからは、注意点に関する具体的な内容について紹介します。

1.本人の所得も世帯収入に含まれる

母子家庭の中には、アルバイトをして生計を助けている人もいるでしょう。その収入は世帯収入に入るため、収入基準を超えていないか確認する必要があります。収入基準は2人世帯の場合、最大で373万円です。

あくまで本人の収入が課税の対象にならなければ問題ありません。しかし、掛け持ちバイトをしている人などは予め世帯収入を計算することをおすすめします。

2.給付型奨学金の対象校である必要がある

給付を申請する以前に、給付金型奨学金の対象校について情報を得ておきましょう。この制度は、すべての学校で導入されているわけではありません。対象校となるのは、国や地方自治体の確認をもらったところのみとなっています。

そのため、自分の進路先が給付型奨学金の対象校に入っているかどうかを確認する必要があります。また、大学に在学中であれば自分の学校が対象なのか調べておきましょう。

文部科学省のホームページには、学校名で検索をかけて対象校かどうかを調べられるシステムがあります。

3.条件次第では上限額が減額される

奨学金の併用をする際に、条件次第では上限額が減額される仕組みを知っておきましょう。給付型奨学金は、通常の貸与型と併用して利用できます。併用すれば自己負担は少なくできるため、さらに進学しやすくなるでしょう。

ただし、併用の際には注意点もあり、貸与型奨学金第一種を併用すると上限額が減額される場合があります。無利子の奨学金は支援のバランスを均等にするため、金額が調整されるのです。

利子が発生する第二種の奨学金であれば、併用の場合でも通常通り利用できます。どのような奨学金を利用するか、併用するなら金額がどうなるのかを確認しましょう。

4.支援停止や返還となるケースもある

給付型奨学金は申請が下りれば卒業まで利用できるものではなく、支援停止や返還となるケースもある制度です。給付型奨学金を利用するには、学習意欲や優秀な成績が条件となります。

そのため、学業を怠ってしまったり、成績が振るわなかったりすると給付型奨学金を停止させられてしまう事態にもなりかねません。さらには、給付した金額の返還を求められる可能性もあるのです。

具体的には、定期的な適格認定と呼ばれる学業審査が実施されます。基準に満たない場合は支援金が途絶えるかもしれないため、しっかり学業に勤しみましょう。

5.在学中は対象とならない

途中で奨学金の内容を変更する際、これまで在学中に出した授業料などは対象となりません。大学に在学している最中に給付型奨学金の申し込みをしたり、従来の奨学金から切り替たりするのは可能です。

しかし、申し込みをして給付される前に支払っていた入学金や授業料のお金は戻ってきません。給付が決定した段階での金額をもらえると知っておきましょう。給付型奨学金への切り替えをしようと申し込みをした際に、給付要件に当てはまらなかった場合は、これまでの奨学金がそのまま適用されます。

奨学金を使おうと考えている際には、早めに申し込みをするかどうかを検討するのをおすすめします。

母子家庭・ひとり親が利用できる給付型奨学金以外の2つの選択肢

給付型奨学金以外で母子家庭が利用できる選択肢として「国の教育ローン」と「学校や団体独自の奨学金」の2つがあります。

いずれも日本学生支援機構の奨学金と併用でき、進学に必要となるお金が足りないときに役立つでしょう。奨学金だけで不足する場合の手段として覚えておきたい2つの制度について、その内容を詳しく解説します。

1.国の教育ローン

母子家庭にとって頼もしい味方である国の教育ローンは、教育関係に限定したローンです。民間企業や銀行など、さまざまな機関が教育ローンを実施しています。

その中でも、金利が低く返済期間が最長15年あることからも国の教育ローンがおすすめで、対象となる世帯年収の幅も広く、多くの人が利用しやすいです。

インターネットからいつでも申し込みができ、奨学金のように申込期間を気にする必要もありません。学生支援機構の奨学金との併用も可能で、母子家庭でもローンを組めるため、学業への資金が足りない場合には、利用を検討してみましょう。

2.学校や団体が独自に設ける奨学金

学校や団体が独自に設ける奨学金についても、調べてみると良いでしょう。進学に必要なお金を用意するのが難しい母子家庭に向けて、福祉団体や学校が独自の奨学金制度を設けています。

全国母子寡婦福祉団体協会は「ひとり親家庭支援奨学金制度」を作り、高校や大学へ進学するための給付金を支給しているのです。月に3万円の給付ですが、ほかの奨学金と併用できるため、生活費や学業費の足しになるでしょう。

このほかにも、財団が制度を設けている給付型奨学金も多数存在するため、給付額や要件によってどの奨学金を使うか考えてみてください。

給付型奨学金は母子家庭の強い味方になる

貸与型のように返済の必要がない給付型奨学金は、母子家庭であっても進学を目指したいときに強い味方となります。2020年からの新制度により、大学や専門学校への進学がよりしやすくなりました。

奨学金の給付を受けるには、さまざまな要件を満たしていなければなりません。また、申し込みをする前に注意点についても確認しましょう。上手く奨学金を利用して、母子家庭でも諦めることなく、進学を目指してみてください。