高校中退後、もう一度高校に入学して卒業を目指す方法

高校を中退したものの、就職面などで苦労して「やっぱり高校を卒業しておけばよかった」と後悔する人は多いもの。「やっぱり勉強したい」「高卒資格は取っておきたい」という人のために、高校へ再入学する方法や注意点などについて紹介します。中退してからのブランクが長かったり、勉強が苦手だったりしても、通信制高校や定時制高校であれば再入学しやすいのでチェックしてみましょう。

選択肢その1:中途退学者向けの募集に応募する

全日制高校を中退してから、再び、全日制高校でやり直すにはどうすればいいのでしょうか。実は、高校中退者を対象に、全日制高校が募集をかけることがあります。ただし、募集する学校はごく一部で、決して多くはありません。

さらに、編入(高校を中退してから別の学校に入学すること)には、学力試験等に合格する必要があります。しかも、編入の試験は入学試験よりも難易度を高くしている学校が少なくありません。高校を中退してからブランクがあったり、成績不振で中退したりした人では、編入試験に合格して学校生活をやり直すのは、かなりハードルが高いでしょう。

東京の都立高校で実施した試験の結果を見ると、募集人数を大幅に下回っていても、合格率は極めて低くなっています。かなり狭き門だと思ってください。

■都立高校の補欠募集の試験結果

学年 募集人数 受験人数 合格人数 合格率
第1学年 617人 196人 80人 40.8%
第2学年 1,478人 45人 15人 33.3%
第3学年 2,272人 6人 1人 16.6%

東京都教育委員会『平成29年度第二学期都立高等学校補欠募集(転学・編入学)実施結果【全日制総括】』(転勤等による転入を除く)を基に作成

このように、いったん高校を中退してしまうと、全日制高校に戻るのはかなり難しいのが現実です。編入ではなく、改めて入学試験を受ける方法であれば、まだ入学できる可能性は高くなります。しかし、この方法だと、2年生で中退したとしても、また1年生からやり直すことになります。

選択肢その2:通信制・定時制の高校へ編入する

高校を中退してから、全日制高校へ編入するのは、とても困難です。しかし、通信制や定時制の高校は、転入、編入を広く受け入れており、高校中退から高卒を目指す進路として一般的です。

通信制高校や定時制高校への編入には、次のようなメリットがあります。

■通信制高校や定時制高校へ編入するメリット

  • 高校中退者を受け入れる体制がある
  • 仕事と勉強も両立ができる
  • 中退した高校の単位を引き継げる
  • できれば、高校を中退しないで転入したほうが有利
  • 1年生で中退した場合は改めて入学する必要がある

高校中退者を受け入れる体制がある

高校を中退した人に対して、ほぼ門戸を閉じている全日制高校に対して、通信制高校や定時制高校は広く門戸が開かれています。そのため、多くの高校中退者が在籍しており、途中から学校に入ったからといって、周りから浮いてしまうということはありません。

それどころか、全日制高校では人間関係がうまくいかず孤立していたのに、通信制高校や定時制高校では「友達が大勢できた」「学校に通うのが、楽しくなった」という声も聞きます。それは、同じ挫折経験がある者同士、お互いを理解しやすい環境にあるからかもしれません。

仕事と勉強も両立ができる

定時制高校や通信制高校なら、仕事を続けながら、学校に通うということも可能です。なぜなら、定時制高校はもともと働いている人を対象にできた高校だからです。仕事が終わった夕方から学校に通うことができるようになっています。いまでは、朝から、昼からとほかの時間帯を選んで勉強することもできます。

通信制高校の場合、週に5日通う学校もあれば、自宅学習が基本で年に数回登校すればいいという学校もあります。必ずしも毎日通う必要はなく、自由な時間が持てるようになっています。そのため、仕事と両立しやすくなっています。

中退した高校の単位を引き継げる

定時制高校や通信制高校に編入するときは、在籍していた高校で修得していた単位を引き継ぐことができます。そのため、新たに入学する場合と比べると、卒業までにかかる期間を短くでき、それだけ学費を節約できます

単位を引き継ぐには、「単位修得証明書」が必要です。これは以前在籍していた高校に申請すると発行してもらえます。

できれば、高校を中退しないで転入したほうが有利

在籍していた高校から別の高校へ入学するときは、いったん中退してから入学する「編入」と高校を中退せずに入学する「転入」のふたつの方法があります。もし、いまの高校があわなくて、別の高校へ行きたいという場合は、中退せずに転入をしましょう

2年生の途中で高校を中退すると、編入したときに引き継がれる単位は1年生で修得したものだけになります。しかし、高校を中退せずに転入した場合、学校によりますが、2年生の途中までの学習が評価されて、単位が修得しやすくなることがあります。すると、それだけ学校を早く卒業できるのです。

焦って高校を中退せずに、資料を取り寄せて転入したい学校を選び、説明会や相談会で直接先生に話を聞いてみましょう。転入した高校でスムーズに学習が進められると、同年代の人たちと同じタイミングで卒業して、大学や専門学校へ進学することができます。

1年生で中退した場合は改めて入学する必要がある

全日制から定時制、または通信制の高校へ編入する場合は、全日制高校に1年以上在籍している必要があります。これは、多くの全日制高校で学年制を導入しているためです。

学年制では、学年ごとに決められた学習が身に付いたとみなされないと、上の学年に進むことはできません。つまり、学年制の単位は学年修了時に修得するものなので、1年で中退した場合、単位はまったく修得していないことになります。そのため、1年で中退したあと、新たに高校でやり直す場合は、新入学と同じ扱いになるのです。

随時入学できる通信制高校・サポート校4選

通信制高校への編入学を検討しているかたは、まず、随時編入を募集している通信制高校をチェックしてみてください。ここでは時期に関係なく入学できる通信制高校・サポート校をピックアップしています。是非参考にしてください。