高校をやめても再入学できる?入りやすいのは通信制や定時制高校
公開日:2018年02月13日 更新日:2025年06月16日

高校をやめた後、「もう一度高校に行きたい」と考えている人は多いかもしれません。 一度高校をやめた人でも、もう一度入学することは可能です。「もう一度入学する」と言っても、状況によって受け入れてくれるかどうかや手続きの方法などが異なります。 この記事では、再入学と転入、編入の違いについても解説します。 「もう一度高校に行きたい」という場合は、自分が再入学、転入、編入のどのタイプに該当するのかを確かめておくようにしましょう。
再入学と転入、編入の違い
「再入学」という言葉は、いろいろな意味で使われることがあります。
本来の意味は、「一度辞めた学校に再度入学すること」です。
しかし、転入や編入の意味で「再入学」と言われることもあります。
転入は、「高校を辞めた後、期間を置かずに他の学校に入学すること」を指します。いわゆる転校です。
編入は、「高校を辞めた後に、ある程度の期間が経過してから、他の学校に入学すること」を意味します。

また、高校を卒業した後に、再度他の高校に入学するケースも「再入学」と言われることがあります。
「再入学」の意味には複数のケースがあるため、あなたの状況がどのケースに当たるかを理解することが重要です。
【ケース別】再入学の方法
高校の再入学に関しては、状況によって手続きや期間が異なります。そのため、自分の状況がどのケースに当てはまるかを確認することが重要です。
学校によってルールや準備するものが異なるので、具体的な手続きは、再入学を希望する学校に確認する必要があります。
また、学校によっては受け入れを行っていない場合もあるので、予め確認しましょう。
期間を置いてから他の学校に入学する(編入)
編入は高校を辞めた後に時間を置いて再入学することを指します。
高校を辞めてから「もう一度高校に行きたい」という場合、最も想定されるパターンです。

編入の条件は以下の通りです。
- 志望校が編入を受け入れていること
- 編入試験に合格すること
以前に在籍していた高校に証明書の発行を依頼することで、過去の単位を引き継ぐことができる場合があります。
ただし、高等学校の「学籍に関する記録」の保存期間は20年間と定められているため、保存期間が過ぎた場合、新入学として扱われることになります。
期間を置かずに、他の学校に入学する(転入)
転入とは、現在在籍している高校から別の高校に移ることを指します。いわゆる「転校」です。

しかし、必ずしも希望する学校に転入できるわけではありません。
転入が可能となる主な条件は以下の通りです。
- 現在高校に在籍していること
- 転入先の志望校に欠員があること
- 転入試験に合格すること
まずは志望校に欠員があるかどうかを確認し、その後転入試験を受ける準備を進めてください。
学校によって転入条件や受け入れの状況が異なるため、学校に確認しましょう。
一度辞めた学校に再度入学する(再入学)
一度辞めた学校に「再度入学したい」という場合もあるでしょう。

一度辞めた学校に再度入学を希望する場合、まずは再入学が可能かどうかを確認しましょう。
再入学を受け入れていない学校もあります。また、再入学できる条件として、「辞めた後1~4年以内」など期間の制限を設けている学校もあります。
再入学の場合は、既に一度、入学試験に合格しているため、面接や作文で入学ができる場合が多いようです。
しかし、詳細な条件や手続きについては学校によって異なるため、具体的には学校に問い合わせて確認してください。
高校を卒業した後、他の学校に再入学する
ケースとしては少ないですが、一度高校を卒業した後、「もう一度高校に行きたい」という場合もあります。
高校を卒業していても、再度高校に入学することは法令上、禁止されていません。
ただし、普通科を卒業した人が、普通科に再入学するなど、同一学科に入学するのは難しいでしょう。
高卒者を受け入れているかどうかは、学校によっても異なるため、希望校に確認しましょう。
全日制高校への再入学は難しい
一度高校を辞めて「もう一度高校に行きたい」と考えたとき、全日制の高校に通いたいと思う人は多いでしょう。
しかし、一度高校を辞めてしまうと、再び全日制高校に入学するのは難しいです。
全日制高校では、再入学の募集が少なく、合格率が低くなっています。そのため、高校を中退してからブランクがあったり、成績不振で中退したりした人では、編入試験に合格して学校生活をやり直すのは、かなりハードルが高いでしょう。
東京の都立高校で実施した試験の結果を見ると、受験人数が募集人数を大幅に下回っていても、合格率は低くなっています。
■都立高校の転入・編入募集の試験結果
学年 | 募集人数 | 受験人数 | 合格人数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
第1学年 | 1,294人 | 221人 | 97人 | 43.9% |
第2学年 | 2,845人 | 44人 | 21人 | 47.7% |
第3学年 | 4,224人 | 2人 | 0人 | 0% |
出典:東京都教育委員会「令和6年度第二学期都立高等学校転学・編入学募集実施結果【全日制総括】」(保護者の転勤等による都外からの転入を除く)をもとに作成
また、全日制高校のカリキュラムは、基本的に15歳で入学する生徒を対象に組まれており、アルバイトや頭髪に関する校則、制服の着用も一般的です。
そのため、大人になってから全日制高校に入り直すのは、人によってはハードルが高いと感じるかもしれません
再入学しやすいのは通信制
通信制高校や定時制高校は「もう一度高校に行きたい」という人にとって有力な選択肢です。
これらの高校では、一度高校を辞めた人を、積極的に受け入れています。
特に通信制高校は、近年入学者が増加しており、注目を集めています。
全日制高校では人間関係がうまくいかず孤立していたのに、通信制高校や定時制高校では「友達が大勢できた」「学校に通うのが楽しくなった」という声も聞きます。
それは、同じ挫折経験がある者同士、お互いを理解しやすい環境にあるからかもしれません。
また、通信制高校の入学試験は面接や作文がメインで、学習意欲があるかどうかを確認するためのものとなっています。
学科試験が実施される場合もありますが、学力を確かめるためのものであり、合否を判断するために行われるわけではありません。
そのため、ブランクがあって勉強に自信がなくても、特に心配する必要はないでしょう。
さらに、以前の在籍校で取得した単位の引き継が可能な場合もあり、再び高校生活をスタートする際のハードルを下げています。
社会人が学び直すなら通信制高校がおすすめ
社会人になってから「もう一度高校に行きたい」という場合、通信制高校がおすすめです。
通信制高校では、オンライン授業やリモート学習がメインのため、自宅などで自分の都合に合わせて学習を進めることができます。そのため、仕事と学習を両立しやすい環境が整っています。
また、通信制高校に通う人は、不登校経験がある人、仕事をしながら勉強している人、大人になってから学び直したい人など、さまざまです。
さまざまなライフステージの学生が在籍しているため、人間関係においても多様性があり、新しい出会いの場としても魅力的です。
専門的な知識やスキルを学べるコースを用意している学校もあるため、社会人になってから専門的な学習をしたい人にとっても有意義な選択肢と言えます。
高校再入学に関するよくある質問
高校再入学に関するよくある質問をまとめました。
Q.1年生で辞めても単位は引き継げる?
A.高校を1年生の時に辞めてしまった場合、取得した単位は引き継げません。
全日制高校の場合、ほとんどの場合「学年制」を採用しています。「学年制」では、学年を修了しないと、単位を取得することができないため、1年生の途中で辞めた場合、修得単位数は0となります。
この場合、再度入学する場合、1年生への新入学という扱いになります。
Q.高校再入学に年齢制限はある?
A.高校の再入学に年齢制限はありません。
一度社会に出てから再び高校で学ぶことを決めた人や、人生の新しい目標を持って高齢で再入学する人もいます。
実際に、80代で高校を卒業する人もおり、年齢に関係なく学び直すことができます。
Q.大卒でも高校に再入学できる?
A.法令上は、大卒者であっても高校に再入学することは可能です。
学びたいことや高校に再入学したい理由が明確になっていれば、再入学が認められることもあるでしょう。
ただし、学校によっては断られるケースもあります。特に、過去に卒業した学科への再入学は難しいでしょう。
大卒者の再入学については、学校によって対応が異なるため、入学を希望する高校に確認してください。
まとめ
一度高校を辞めた人が「もう一度高校に行きたい」という場合、全日制高校に再入学するのはかなり難しいでしょう。
一方、通信制や定時制高校のように間口が広い学校もあります。特に通信制高校は、柔軟な学習環境や、さまざまな専門コースがあり、多様なニーズに応えられるようになっています。
「もう一度高校に行きたい」という人は、高校で何をしたいのかを考え、自分にとって最適な選択肢を検討するようにしてください。