高校をやめたいときに考えた方がよいこと…進学や就職への影響は?
公開日:2025年03月13日 更新日:2025年03月13日

「高校をやめたい」と感じたことがある高校生もいるでしょう。 高校をやめたいと思う背景は、学業のストレスや、人間関係の問題、家庭事情など、多岐にわたります。無理をして高校に通う必要はありませんが、進学や就職への影響は考えておくべきでしょう。 この記事では、高校をやめることを考えた際に考慮すべき点や進路選択肢、不安の軽減方法について解説します。
高校を辞めたらどうなる?
高校を辞めると、進学や就職の選択肢が制限される可能性があります。
進学では、高校卒業資格が必要な大学や専門学校への進学が難しくなります。就職においても、中卒は求人の制約が厳しくなりがちです。そのため、辞める前に将来の進路をよく考えることが大切です。
大学や専門学校への進学が難しくなる
高校を途中で辞めることは、大学や専門学校への進学を希望する場合に大きな影響を及ぼします。高校の卒業資格がないと、これらの教育機関に進学するための条件を満たさないことがあります。
高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)に合格することで、大学や専門学校への進学は可能になります。ただし、情報が不足したり、モチベーションが続かなかったりと、自己学習で大学進学を目指すのは簡単ではありません。
進学を希望する場合は、通信制高校など、サポートを得ながら高校卒業資格を目指せる環境を検討することも大切です。
就職に不利な場合がある
高校を中退すると、就職活動において不利になる場合があります。企業は学歴を重要視することが多く、最終学歴が中卒だと、応募条件に満たないことがあります。
また、学歴だけではなく、就職の際には判断力やコミュニケーション能力も重要視されます。高校での経験はこれらの能力を育む重要な場であるため、高校を辞めるとそれらの経験を積む機会も失われがちです。
社会性が失われる
高校を辞めると、同年代の友人との交流が減少し、社会性を身につける機会が少なくなります。
例えば、部活動や学校行事を通じて得られる経験が失われてしまいます。こうした経験が失われることは、将来の職場や社会での人間関係構築に影響が出ることもあります。高校を辞めたとしても、他人との関わりを断ってしまわないように考える必要があります。
高校をやめたいと思う理由
高校をやめたいと感じる理由は人それぞれです。文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、高等学校の中退理由は以下の通りでした。
- 進路変更:3%
- 学校生活・学業不適応:2%
- 学業不振:8%
- 病気・けが・死亡:3%
- 問題行動等:3%
- 家庭の事情:9%
- 経済的理由:2%
- その他:1%
ほかにやりたいことがある
高校をやめたい理由の1つに「ほかにやりたいことがある」という考えがあります。この場合、単に学校の学習に興味がないのではなく、自分の情熱や才能がほかの分野にあると感じている可能性があります。
例えば、プロスポーツ選手やアーティスト、技術者になるための専門的なトレーニングや活動に集中したいと考える学生もいます。将来の目標が明確であるなら、通信制高校や専門学校など、夢を実現するための最適な選択肢を見つけることが重要です。
人間関係が上手くいかない
学校で人間関係が上手くいかないと感じることは、高校生にとって深刻な問題です。友人とのトラブルや、クラスの雰囲気に馴染めないなど、さまざまな原因が考えられます。これらの問題が放置されると、精神的なストレスが蓄積し、登校拒否や学校生活への意欲低下につながることがあります。
支援を求めるために、学校のカウンセラーや信頼できる教員、専門機関などに相談することも検討してみてください。
学校が合っていない
学校が自分に合っていないと感じることは、誰にでも起こり得る悩みです。例えば、校風や校則、授業内容や学習スタイルなど、高校に通ってみて気づくこともあるでしょう。
このような場合、学業に対するモチベーションが低下し、ストレスが増大することがあります。もし学校が自分に合っていないと感じるのであれば、その原因を明確にし、必要に応じて転校やほかの学びの場を検討することが大切です。
授業についていけない
授業についていけないと感じる高校生もいます。特定の科目が苦手だったり、授業の進行が早すぎると感じたりすることが、高校をやめたい理由につながります。
まずは、自分の苦手な部分を明確にすることが大切です。その上で、先生や友だちに積極的に質問することで、サポートをしてもらえるでしょう。
また、どうしても授業についていけないようであれば、学習塾や家庭教師などを利用する方法も検討してみましょう。
体調に不安がある
高校をやめたい理由の1つに、体調への不安があります。
例えば、慢性的な病気や精神的なストレスが原因で、学校生活が困難に感じることがあります。こうした場合、まずは医師に相談し、適切な治療を受けることが重要です。
また、学校に事情を説明し、必要なサポートや配慮をお願いすることも大切です。
体調不良が原因で欠席が続く場合、通信制高校など、柔軟な学び方が可能な選択肢も検討すると良いでしょう。
高校を辞めた場合の進路選択肢
高校を辞めたいと感じた場合、その後の進路選択をどうするか考え、自分に最適な道を見つけることが大切です。ここでは、高校を辞めた後の進路選択肢について解説します。
自分のペースで勉強できる通信制高校に編入する
通信制高校は、通学の頻度が少なく、自宅で学習することがメインとなる高校です。卒業することで、全日制の高校と同じく、高校卒業資格を取得することができます。
特に、学校に通うことが難しい場合や、学業とほかの活動を両立させたい場合に適しています。
通信制高校はカリキュラムが柔軟であり、多様な学習スタイルに対応しているのが特徴です。また、学習面や生活面でのサポート体制が整っている学校も多く、個別指導やオンライン学習などのサポートも充実しています。
さらに、卒業後は大学や専門学校への進学も可能です。高校を辞めたいけど大学には行きたいという人や、進路変更をしたい人にとって、通信制高校は有力な選択肢の1つです。
定時制高校に通う
定時制高校は、一日の授業時間が短く自由度が高いため、高校を辞めたいと考える生徒にとって有力な選択肢です。授業は夕方から夜にかけて行われることが多く、働きながら学びたい人にも適しています。
例えば、家計を助けるためにアルバイトをしている場合、定時制高校のフレキシブルな時間割はメリットです。
また、クラスメイトの年齢層が幅広く、さまざまなバックグラウンドを持つ人と交流する機会があります。この多様性は、新しい視点を学ぶ良い機会となり、自分自身の将来について幅広い見識を得ることができます。
高等専修学校(専門学校)に通う
高等専修学校は、中学卒業生を対象とする職業教育に重きを置いた教育機関です。学校によっては、高校を中退した生徒も入学が可能な場合があります。
高等専修学校では、専門的な知識や技術を学ぶことができます。例えば、デザインやIT、調理などの分野に興味がある場合、その道のプロを目指すためのスキルを身につけることが可能です。
また、専門学校は実践的なカリキュラムが多いため、将来の就職に役立つ実務経験を積むことができます。
高等専修学校のうち「大学入学資格付与指定校」であれば、卒業後、大学や専門学校への進学が可能になります。
高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)
高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)は、高校を卒業しなくても、高校卒業と同等の学力があると認められる資格です。
高卒認定に合格すると、大学や専門学校への進学が可能になります。
試験は毎年8月と11月の2回行われています。試験科目は8~9科目ですが、一度に全科目に合格する必要はなく、過去に取得済みの科目は免除されます。
高校は辞めたいけど、大学には行きたいという場合は、高卒認定を検討しましょう。
ほかの全日制高校に通う
高校を辞めたい理由が「現在の学校が自分に合っていないから」という場合、ほかの全日制高校に通って、環境を変えるのも1つの方法です。
ほかの全日制高校に転学することで、人間関係のリフレッシュや、学業環境の改善が期待できるかもしれません。
全日制高校は、授業内容や進学実績など学校ごとの特色が異なるため、自分に合った学校を探すことが大切です。また、転校による単位の引き継ぎにも注意が必要です。現在の学校で取得した単位を引き継げるかどうか、よく確認するようにしましょう。
就職する
高校を辞めた後に就職を考えることも、1つの選択肢です。しかし、学歴が中卒になるため、就職先の選択肢が少なくなることがあります。
しかし、アルバイトなどから実務経験を積み、スキルを身につけることで、将来的なキャリアアップも可能です。また、職業訓練校で学んだり、資格取得したりすることも重要です。
留学する
高校を辞めて留学する選択肢もあります。新しい環境や文化に触れることで、視野が広がり、自己成長が期待できます。
また、語学力を高めることや、異文化交流による人脈作りも大きなメリットです。
ただし、留学には費用がかかるため、経済的な準備が必要ですし、現地の生活環境に適応するための心構えも求められます。海外での生活の具体的なプランを立て、家族としっかり話し合った上で決断すると良いでしょう。
【学年別】高校をやめたいときの注意点
いざ高校をやめる際には、学年ごとに注意すべき点が異なります。どの学年で辞める場合も、今後の進路や将来に対する影響を考慮する必要があります。
高1:編入できない点に注意
いまの高校をやめてほかの高校に通いたい場合は、転入なのか編入なのかに注意が必要です。
転入は、いわゆる転校のことです。編入は、一度高校を中退して、新しい高校に入り直すことです。
編入は高校2年生以上の人が使える制度のため、高1で学校を中退した場合、ほかの高校へ編入することはできません。全日制・定時制・通信制いずれの高校でも同様です。
高1で中退してしまうと、ほかの高校に通いたいと思ったとき、翌年度に新1年生として再入学することになります。
高2:単位の引き継ぎに注意
高2で高校をやめる場合、単位の引き継ぎに注意が必要です。新しい学校に転校する際、これまでに取得した単位がすべて引き継がれるとは限りません。
したがって、高2での転校を考える際には、事前に現在の学校と転校先の学校両方に確認し、スムーズな単位の引き継ぎができるように準備することが重要です。
高3:進路への影響に注意
高校3年生での中退は、大学進学や専門学校への進学に影響を与える可能性が高いです。
例えば、通信制高校に編入したとしても、単位取得が間に合わず卒業時期が遅れる可能性があります。その場合、同年代と一緒に高校を卒業できず、進学も遅くなってしまいます。
また、通信制高校に編入する場合、最低在籍期間がある学校もあります。例えば最低在籍期間が半年の場合、編入時期によっては卒業が4月以降になることもあります。
なお、転入と編入の違いについては、『通信制高校への編入と転入の違いを解説!注意点から判断ポイントまで紹介』を参考にしてください。
高校を辞めるべきか悩んでいる人へのアドバイス
高校を辞めるかどうかは、多くの悩みや不安が伴う重大な決断です。安易に決断するのではなく、一度立ち止まって、進むべき道を慎重に選ぶことが、自分の未来を明るくする第一歩です。
将来への影響を考える
高校を辞めると将来にどのような影響があるかを考えることは非常に重要です。
前述の通り、高校中退者は大学や専門学校への進学が難しくなる場合があります。そのため、進学を希望する場合は通信制高校や定時制高校、または高卒認定などの選択肢を検討することが必要です。
また、高校中退は就職活動にも影響を与える可能性があります。多くの企業が高卒以上を学歴の条件とするため、高校を辞めた後の進路選びは慎重に考える必要があります。
家族に相談する
高校を辞めたいと感じたとき、最初に相談すべき相手は家族です。
しかし、親には言えないという人も多いかもしれません。その場合、一度冷静に自分の気持ちや理由を整理し、親に伝えやすくすることが大切です。
親は子どもの未来を真剣に考えているため、冷静に話し合うことで理解を得られる可能性があります。自分の気持ちを正直に伝え、具体的な悩みや理由を説明しましょう。
強い感情だけでなく、具体的な事実を示すことが大切です。家族の反応が心配な場合は、手紙やメモを書いて渡す方法も有効です。
家族のサポートを得ることで、一人で抱え込まずに解決策を見つける手助けになるでしょう。
学校の先生に相談する
高校を辞めたいと感じたとき、まずは学校の先生に相談することをお勧めします。先生は学業や進路に関する豊富な知識を持つため、生徒の状況を理解し、適切なアドバイスをしてくれるでしょう。
また、先生に相談することで、学校内部での対応策や別の学び方について具体的な提案が得られる場合があります。特に進路指導の先生であれば、退学後の選択肢や進学・就職に関する情報を詳しく教えてもらえる可能性もあります。
先生に相談することで、現状を客観的に見つめ直し、最適な解決策を見つける手助けとなります。
相談機関や専門家と話す
高校を辞めたいと感じたときには、相談機関や専門家と話すことも検討してみましょう。
専門のカウンセラーやスクールカウンセラーは、心理的な負担を軽減しつつ、的確なアドバイスを提供してくれます。
また、自治体やNPOなどが運営する相談窓口も有効です。これらの機関では、客観的な視点でアドバイスを受けることができ、自分自身の気持ちや状況を整理する助けとなります。
自分の気持ちや状況を第三者に話すことで、問題解決への糸口が見つかるかもしれません。
別の学校や学び方を探る
高校を辞めたいと感じる理由はさまざまですが、その1つとして「学校が自分に合っていない」と感じることがあります。この場合、ほかの学校や学び方を探ることも1つの解決策です。
特に通信制高校は、自分のペースで学べるため、ストレスを軽減できます。また、興味のある分野に特化した通信制高校に編入することで、モチベーションを保ちながら学ぶことも可能です。
このような選択肢を検討することで、自分に最適な学びのスタイルを見つけましょう。
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まとめ
高校をやめたいと感じることは決して珍しくありません。さまざまな理由や背景がありますが、重要なのは自分自身の将来についてしっかり考え、適切な選択をすることです。
退学後の進路には多くの選択肢があり、通信制高校や定時制高校、高等専修学校、さらには就職や留学などがあります。
焦らず、家族や先生、専門家と相談しながら、自分にとって最適な道を見つけてください。最終的には、自分の幸せと成長を見据えた決断を行うことが大切です。
高校を中退した後の進路については、『高校を中退したらどうなる?その後の影響や選択肢を解説』を参考にしてください。