訪問査定とは?不動産売却を成功へ導く会社を見極める5つのコツ
戸建てやマンションなどの不動産を売却する際には、不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。
査定には机上査定と訪問査定の2種類があります。
「訪問査定ではどのように査定額を算出するのか」「机上査定との違いは何か」といった疑問を持つ人もいるでしょう。
そこでこの記事では、訪問査定の基礎知識や簡易査定との違いなどを解説します。
また、不動産の売却を成功させるには、不動産会社選びが重要です。
訪問査定は、不動産会社選びに役立ちます。
訪問査定時に不動産会社を見極めるコツも併せて解説するので、不動産の売却を検討している人はぜひ最後までお読みください。
【監修】穂坂 潤平 宅地建物取引士。仲介営業13年(宅建は新卒の時に取得)、不動産仲介会社起業3年の経験を経てウェブクルーに入社。趣味は何でも遊びにすること。仕事では「喜ばれる仕事をして、自らも喜ぶこと」をモットーに日々ご提案しております!
訪問査定とは
訪問査定とは、不動産会社が直接物件を訪れて査定を行う方法です。
不動産会社の査定には、机上査定と訪問査定の2種類があります。
査定は机上査定を経て、訪問査定に進むのが一般的です。
どちらの査定を受ける場合でも、基本的に費用は発生しません。
訪問査定でチェックされるおもな内容は、次の通りです。
チェック項目 | 内容 |
---|---|
建物の状況 |
・内装や設備の状態 ・築年数 ・間取り ・日当たり ・増改築 ・建物の傾き など |
敷地形状 |
・土地の形状 ・土地の傾き ・土地の大きさ など |
接道幅員 |
・接道の長さ ・前面道路の幅員 など |
周辺環境 |
・周辺の建物 ・越境の有無 ・高圧線の存在 など |
ライフラインの状況 |
・上下水道 ・ガス ・浄化槽 など |
査定額を算出する際には机上査定で得た情報に、実際の物件の状態や周辺の環境などを加味して算出します。
査定結果が出るまでには、1週間程度の時間が必要です。
机上査定(簡易査定)との違い
机上査定は物件情報のみで査定額を算出する方法です。
おおまかな情報でも査定額を算出できるため、簡易査定とも呼ばれています。
机上査定を依頼する際に必要な物件情報は、次の通りです。
- 所在地
- 築年数
- 間取り
- 土地面積
- 建物面積 など
机上査定は不動産会社による訪問調査がないため、当日から3日程度の短期間で査定結果が出ます。
しかし、物件情報のみで査定額を算出するため、訪問査定に比べて精度は低くなります。
詳しくはこちらで解説しています。
訪問査定のメリット・デメリット
訪問査定は机上査定に比べて精度が高いため、より売却できそうな金額を把握できます。
また担当者と対面でやり取りするため、売却に適した時期や売却を有利に進められる方法などのアドバイスを受けられます。
同時に、担当者の対応によって不動産会社の信頼性を見極めることが可能です。
その一方で細かい査定を行っていくので、スケジュールの調整と手間がかかります。
また、机上査定に比べて行定結いが出るまでに時間がかかるため、すぐに査定額を知りたい人やなんとなく価格を知りたいという人には不向きです。
訪問査定前の準備
訪問査定を受ける際には、いくつか準備が必要です。
滞りなく訪問査定を受けるために、準備しておきたいことを確認しておきましょう。
- 訪問査定に必要な書類を集める
- 物件の相場価格を調べる
- 希望の売却条件を決める
それでは、各項目を詳しく解説します。
訪問査定に必要な書類を集める
訪問査定で精度の高い査定額を得るためには、物件の正確な情報が必要です。
不動産会社の担当者に正確な物件情報を伝えるためにも、次の書類を準備しておきましょう。
書類名 | 内容 | 入手方法 | |
---|---|---|---|
物件種別に関わらず必要な書類 | 登記事項証明書 | 所在地や面積などの物件情報や所有者が記載されている書類 | 登記所または法務局証明サービスセンターの窓口 ※郵送やオンラインでの請求も可能 |
登記済権利証または登記識別情報 | 名義変更や新たに名義人になる人に登記所から通知される書類 | 各自で保管 ※再発行不可 |
|
固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書 | 不動産の固定資産税や評価額が記載されている書類 | 各自で保管 ※毎年4~5月頃に発送 |
|
間取り図 | 住宅の間取りや部屋の広さが記載されている書類 | 各自で保管 | |
本人確認書類 | 運転免許証や保険証などの査定を受ける人の身分が証明できる書類 | 各自で保管 | |
印鑑証明書 | 市町村役場に登録された印鑑を公的に証明する書類 | 住所を管轄する市町村役場の窓口 ※郵送やオンラインでの請求も可能 |
|
【マンションのみ】管理費や修繕積立金の状況がわかる書類 | マンションの管理費や修繕積立金の金額や状況が記載されている書類 | 各自で保管 | |
【マンションのみ】管理規約 | マンションで居住する上でのルールが記載されている書類 | 各自で保管 | |
準備しておくと有効な情報になり得る書類 | 売買契約書および重要事項説明書 | 不動産購入時の契約内容や重要事項が記載されている書類 | 各自で保管 |
ローン残高証明書およびローン返済予定表 | 住宅ローンの残債や返済計画が記載されている書類 | 各自で保管 ※金融機関の窓口で再発行可能 |
|
住宅性能評価書・地盤調査報告書 | 住宅性能や地盤調査の結果が記載されている書類 | 各自で保管 | |
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書 | 耐震性能やアスベストの使用状況が記載されている書類 | 各自で保管 | |
【マンションのみ】大規模修繕工事計画書 | 大規模修繕工事の実施計画が記載されている書類 | 各自で保管 |
なお、訪問査定で必要な書類は不動産会社によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
物件の相場価格を調べる
訪問査定で算出される査定額は、不動産会社によって異なります。
事前に物件の相場価格を調べておけば、提示された査定額が妥当かを判断できます。
相場価格は、レインズや不動産取引価格情報検索などで調べることが可能です。
レインズはレインズ・マーケット・インフォメーションの略称で、国土交通大臣の指定を受けた不動産流通機構が運営している不動産取引情報サービスです。
戸建てやマンションの成約価格が掲載されているため、類似物件を検索すると相場価格を調べられます。
レインズで相場価格を調べる手順は、次の通りです。
1.レインズのサイトにアクセス
2.物件種別・都道府県・地域を選択
3.「検索する」をクリック
4.必要に応じて追加検索条件を指定
5.「検索する」をクリック
6.取引情報一覧表示
不動産取引価格情報検索は、国土交通省が運営する不動産取引情報サービスです。
類似物件の取引価格を調べる方法のほかに、路線価から相場価格を計算する方法もあります。
不動産取引価格情報検索で相場価格を調べる手順は、次の通りです。
1.不動産取引価格情報検索のサイトにアクセス
2.相場価格を調べたい時期を選択
3.物件種別を選択
4.地域を選択
5.「この条件で検索」をクリック
6.不動産取引価格情報一覧表示
なお、不動産取引価格情報検索は購入者のアンケート結果から収集した取引価格を掲載しているため、すべてのデータが揃っているわけではありません。
希望の売却条件を決める
訪問査定を受ける際には、不動産会社の担当者に売却時期や売却価格などの希望条件を伝えることも大切。
例えば、「売却価格よりもできるだけ早く売却したい」「時間はかかってもできるだけ高く売却したい」などです。
希望条件を伝えておくと、担当者はそれに沿った販売戦略を立ててくれます。
優秀な担当者ほど希望条件に適した販売戦略を提案してくれるため、仲介を依頼する不動産会社を見極める際にも役立ちます。
また、近所に売却することを知られたくない場合も、訪問査定のときに伝えておきましょう。
近所に知られたくないときには、物件情報を拡散せずに仲介で売却したり、不動産会社に直接買い取ってもらったりする方法もあります。
売り手の希望条件は、すべて叶うわけではありません。
しかし、不動産会社は売り手の希望に沿う形で動いてくれるため、外せない条件がある場合はきちんと伝えるようにしましょう。
訪問査定で不動産会社を見極める5つのコツ
不動産の売却が成功するかは、仲介を依頼する不動産会社で決まるといっても過言ではありません。
訪問査定は担当者と直接やり取りできる機会になるため、売却を任せられる不動産会社かを見極めましょう。
訪問査定時に不動産会社を見極めるコツは、次の5つです。
- 査定額の根拠を説明できるか
- 具体的な販売戦略があるか
- 対応が親切・丁寧か
- どのようなサービスがあるのか
- エリアに強く実績があるか
それでは、各項目を詳しく解説します。
1. 査定額の根拠を説明できるか
不動産を売却する際には、不動産会社と媒介契約を結ぶのが一般的。
媒介契約とは、不動産会社に売却活動を依頼するために結ぶ契約です。
購入希望者が現れ、売買契約が成立すると、不動産会社に成約報酬として仲介手数料を支払います。
仲介手数料は不動産会社の利益になるため、媒介契約に持ち込むために実際よりも高い査定額を提示するところもあります。
相場よりも高い価格では買い手を見つけるのが難しいため、実際に売り出す際に値下げを提案される可能性もあります。
一方で安すぎる査定額を提示された場合は、担当者が相場をきちんと把握していないことも考えられます。
そのため、査定額を提示された際には、金額に根拠があるのかをしっかりと確認することが大切です。
媒介契約についてはこちらで詳しく解説しています。
2. 具体的な販売戦略があるか
販売戦略は不動産会社ごとに異なるため、訪問査定時にどのように売却活動をする方針なのかを聞いてみましょう。
担当者からの回答により、得意な売却の物件種別やエリアなどを把握できます。
また、物件を売り出してもすぐに買い手が見つかるとは限らないため、希望時期に売却できない可能性もあります。
不動産を売却する方法は仲介だけでなく、買取りという選択肢もあります。
早期売却を希望している場合は、仲介よりも買取りのほうが早く売却することが可能です。
さまざまなケースに対応してきた不動産会社なら、売り手の希望に沿って買取という選択肢を提案してくれるでしょう。
希望時期に売却できない場合のプランがあるのかも確認し、不動産会社の提案力を見極めることが大切です。
3. 対応が親切・丁寧か
不動産の売却は不動産会社の担当者と二人三脚で進めていくため、相性も重要なポイント。
訪問査定では担当者とやり取りできるため、対応が親切で丁寧かをチェックしましょう。
不動産会社にとって査定は営業活動の一環なので、媒介契約につなげるためにセールストークでアプローチを試みるかもしれません。
しかし、売り手のことを第一に考えてくれる担当者なら、セールストークよりもこちらの話をきちんと聞いてくれるはずです。
質問に対してわかりやすく答えてくれるか、誠実で信頼できる人なのかをよく観察し、仲介を依頼する不動産会社を見極めるようにしましょう。
4.どのようなサービスがあるのか
不動産の販売方法やサービス内容は、不動産会社ごとに異なります。
訪問査定時にはどのようなサービスがあり、他社とはどのような違いがあるのかを確認しましょう。
媒介契約を結んだ売り手に対する代表的なサービスは、次の通りです。
- 仲介手数料の割引
- ハウスクリーニング
- ホームインスペクション
- ホームステージング など
ホームステージングとは専門家が選んだ家具や小物などを使用し、物件の魅力を演出するサービスです。
物件のイメージや生活感を高められるため、購入希望者が内覧に訪れたときに魅力をアピールできます。
不動産会社のサービスは、すべてが売却活動にプラスになるとは限りません。
そのため、売却価格の向上や販売促進につながるサービスかを見極めることも大切です。
5. エリアに強く実績があるか
不動産会社を見極める際には、売却予定の不動産があるエリアに強いかも重要なポイントです。
特定のエリアに強い不動産会社は購入希望者を多く抱えているため、買い手が見つかりやすくなります。
訪問査定を受ける際には類似物件の購入希望者がいるか、周辺エリアの売却実績が豊富かを聞いてみましょう。
ただし、特定のエリアに詳しくない担当者でも、物件のアピールポイントを丁寧にヒアリングしてくれる場合や、売り手自身が内覧に立ち会う場合は購入希望者の購入意欲に上手くアプローチできる可能性があります。
誠実に対応にしてくれそうな担当者であれば、エリア外だからという理由だけで断る必要はないでしょう。
訪問査定時の注意点
訪問査定を受ける際には、担当者との信頼関係を築くためや高く売却するために、注意したいことがいくつかあります。
- 物件の情報は隠さずに伝える
- 売却を検討した理由も伝える
- 訪問査定は1社ではなく複数社に依頼する
それでは、各項目を詳しく解説します。
物件の情報は隠さずに伝える
売り手の中には物件の不具合や近隣トラブルなど、マイナス要素は隠しておきたいと考える人もいるかもしれません。
しかし、訪問査定時には、不動産会社の担当者に正確な物件情報を伝えるようにしましょう。
マイナス要素を隠していると正しい査定額が算出されないことに加え、後でトラブルに発展するリスクがあります。
例えば物件の不具合が売却後に発覚した場合、売り手は契約不適合責任を負うことになります。
被災や家事、事故物件を売却するポイントは、下記の記事で詳しく紹介しているので、気になる人はぜひチェックしてみてください。
売却を検討した理由も伝える
不動産の売却理由は、人によってさまざまです。
中には、離婚や住宅ローンの滞納で売却する人もいるかもしれません。
販売戦略は売却を検討した背景によって変動するため、ネガティブな理由でも不動産会社の担当者には正直に伝えるようにしましょう。
また、悩みごとによっては、担当者に相談することで解決策を提案してもらえる可能性もあります。
そのため、他人には言いにくい売却理由がある場合でも、まずは担当者に相談してみましょう。
訪問査定は1社ではなく複数社に依頼する
訪問査定は複数社に依頼するようにしましょう。
なぜなら最初に依頼した業者と媒介契約を結ぶと、より高く売却できる可能性をつぶしてしまうかもしれないからです。
複数社に依頼すると査定額や担当者を比較できるため、妥当な金額か、信頼できる不動産会社かを見極められます。
訪問査定を依頼する不動産会社数は、3~6社が目安です。
「訪問査定で不動産会社を見極める5つのコツ」で解説した内容を踏まえ、自分に合う不動産会社を見つけましょう。
不動産の売却を検討しているなら訪問査定を依頼しよう
不動産の査定方法は、机上査定と訪問査定の2種類です。
机上査定ではおおまかな査定額しかわからないため、不動産の売却を具体的に検討している場合は、精度の高い訪問査定がおすすめです。
訪問査定は不動産会社の担当者が現地調査を行うため、依頼する業者数が多いほど時間がかかりやすくなります。
しかし、査定額の妥当性や不動産会社の信頼性を見極められるため、複数社の訪問査定を受けることは、不動産の売却を成功に導く第一歩になります。
複数社に査定を依頼する際には、一括査定依頼サービスを利用すると便利です。
査定に必要な情報を一度入力すれば複数社にまとめて依頼できるため、電話や店舗に訪れて依頼するよりも手間が省けます。