高校を転校したい！単位は引き継げる？転校（転入）と編入の違いは？

高校の転校（転入）とは？編入との違い

転校（転入）と編入は似ていますが、意味は異なります。

• 転校（転入）：空白期間なしで別の高校に移ること
• 編入：空白期間を経て別の高校に入ること

転校（転入）：空白期間なしで別の高校に移ること

転校（転入）とは、現在高校に在学中の生徒が、別の学校に移籍することをいいます。高校を中退するのではなく、通う学校が変わるだけなので空白期間はありません。

高校在籍期間に空白期間が生じないため、同級生と同じタイミングで卒業することも可能です。

編入：空白期間を経て別の高校に入ること

編入とは、在籍している高校を中退した後で、新しい学校に入りなおすことを指します。次の学校に移るまでに空白期間が生じる点が、転校（転入）との大きな違いです。

編入の場合、高校在籍期間に空白期間が生じるため、卒業時期が延びてしまう可能性があります。

転校（転入）先の選択肢には何がある？

高校を転校（転入）する場合、全日制高校のほかにも、定時制高校や通信制高校といった転入先の選択肢があります。それぞれの注意すべきポイントについて解説します。

全日制高校へ転校（転入）する

全日制高校は定員制で、空きがなければ転入が難しいケースがあります。早めに希望校へ空き状況を確認しましょう。

また、多くの公立全日制高校では、年度途中の転入枠が少なく、第一学期や年度始め以外の転入は制限されることがあります。希望時期を見極め、余裕を持った準備が重要です。

これまでの成績次第で、履修できる授業や進級に影響が出ることがあるため、転入前に単位認定のルールを確認しましょう。途中入学だと、すでに授業内容が進んでいるため遅れを取り戻す努力が必要です。

定時制高校へ転校（転入）する

定時制高校は比較的受け入れに柔軟な面がありますが、転入できる時期は学校によっても違うので確認が必須です。

また、全日制とは授業時間帯が異なり、授業が夜間に行われるケースもあります。転入先の時間割に自分の生活リズムを合わせられるかどうか、必ず確認するようにしましょう。

通信制高校へ転校（転入）する

通信制高校は全国から通える学校が多く、入学シーズン以外でも柔軟に転入を受け付けています。転入時期に自由が利くのは大きな魅力といえるでしょう。

また、全日制のような学年制ではなく単位制を採用しているため、単位の引き継ぎについても柔軟です。転入前の学校で履修した内容が修得済み単位として認定されれば、その分だけ卒業までが楽になります。

通信制は登校頻度が少なく、自由なスタイルで学習を進められます。通っている生徒が多様なのも特徴で、転校したい理由によっては、通信制が適しているケースもあるでしょう。

通信制高校へ転校（転入）する4つのメリット

通信制高校へ転校（転入）するメリットは、以下の通りです。

• 通学せずとも高卒資格を得られる
• サポート体制が整っている
• 前の学校で取得した単位を引き継げる
• 自分のペースで学習できる

通学せずとも高卒資格を得られる

通信制高校は、全日制高校のように毎日通学する必要がありません。

柔軟に学習スタイルを決められるので、以下のような事情で毎日の通学が困難な生徒も高校卒業の資格を得られます。

• 競技スポーツや芸能活動にかかわる生徒
• 持病や不登校などの理由で通学に課題を抱える生徒
• 仕事と学業を両立する必要がある生徒

サポート体制が整っている

通信制高校では、学習環境や生活リズムが異なるさまざまな生徒に対応するため、サポート体制が整っています。

通信制高校の主なサポート体制は、以下の通りです。

• 精神的な不安を抱える生徒に向けた専門カウンセラーの常駐
• 身体的な事情で通学が困難な生徒向けのオンライン個別指導
• 大学進学を目指す生徒に向けた個別の受験対策
• 個々人の活動（スポーツ遠征等）のため、継続した通学が困難な生徒向けの指導

特に私立の通信制高校では、学習支援システムやICTツールの導入にも積極的です。

前の学校で取得した単位を引き継げる

通信制高校への転入では、これまで在籍していた学校で取得した単位を引き継ぐことが可能です。

高校卒業の資格を得るためには、学校教育法施行規則第九十六条にもとづき、74単位以上の単位取得が必要です。

例えば、全日制高校で1年生のときに30単位を取得していた場合、転入後の通信制高校では、残りの44単位の取得を目標にカリキュラムを編成します。

自分のペースで学習できる

通信制高校では、全日制高校のように決められた時間割にしばられることなく、理解度にあわせて学習を進めることが可能です。

例えば、苦手な科目は時間をかけて取り組み、得意な科目は先取りして学習することもできます。

また、1年間で取得する単位数も調整できるので、在籍期間を3年から4年に延ばすといった方法で全体的にゆっくりと進めることも可能です。

なお、通信制高校にもデメリットはあります。詳しくは、こちらの記事「通信制高校のデメリットは？アンケート結果から生徒の本音も紹介！」を参考にしてください。

通信制高校へ転校（転入）する際の注意点

通信制高校へ転校（転入）する際の注意点は、以下の通りです。

• 引き継げる単位数を確認する
• 卒業時期を把握する
• 費用を算出する

引き継げる単位数を確認する

通信制高校へ転入する場合、前にいた学校で取得した単位を引き継げる可能性があります。

しかし、年度途中に転入すると、その年度の単位は引き継ぎできません。例えば、高校2年生の10月に転入した場合に引き継がれるのは、高校1年生で取得した単位のみです。

高校1年生の途中で通信制高校へ転入すると、引き継げる単位はありません。

卒業時期を把握する

また、高校3年生の途中で転入すると、卒業までに必要な74単位以上の取得が間に合わず、卒業時期が延びる可能性があります。

卒業時期が延びてしまうと、大学受験や就職といった卒業後の進路に影響が出るので、あらかじめ卒業時期を把握しておくことが重要です。

高校を卒業する条件のひとつに「3年以上在籍していること」が挙げられます。転入ではなく編入であれば、学校の退学に伴い在籍期間に空白が生じるので、その分卒業時期が延びます。

費用を算出する

通信制高校の転入にかかる主な費用は、以下の通りです。

• 入学金
• 施設・設備費
• 授業料
• 教材費
• スクーリング費

通信制高校では単位制を採用しているケースが多く、取得する単位数によって授業料が変わります。そのため、転入前の学校から引き継げる単位数によって授業料が変動する仕組みです。

授業料や入学金は、公立か私立かによっても異なるので、複数の通信制高校を比較してみるのもおすすめです。

国の就学支援制度を活用すれば、通信制高校の学費が実質無償化される可能性があります。詳しくは、こちらの記事「通信制高校の学費を無償化！利用できる公的制度を徹底解説！」を参考にしてください。

【学年別】転校（転入）する際のポイント

通信制高校へ転校（転入）する際のポイントを、学年別に解説します。

高校1年生の場合

全日制高校は学年制を採用しているので、高校1年生で年度途中に通信制高校へ転入する場合は、引き継ぎできる単位がありません。そのため、高校1年生の途中で転入すると、一から単位を取得しなおす必要があります。

三学期に転入を検討している場合は、学年末までもとの学校に在籍・履修することで、高校1年生分の単位を引き継いで転入することができるでしょう。

編入の場合は卒業時期が延びるのが一般的ですが、高校1年生という早い段階で転入することによって、全日制の同級生と同じ時期に卒業できる可能性が高いです。

高校2年生の場合

高校2年生で年度途中に転入した場合は、高校1年生で取得した単位は引き継ぎできますが、高校2年生で履修中の科目の単位は引き継ぎできません。

とはいえ、適切なカリキュラム編成を転入後の通信制高校で組むことによって、全日制高校の同級生と同じ時期に卒業することも十分に可能です。

なお編入の場合は、学校に在籍していない空白期間も加味すると、卒業までの期間が半年ほど延びる可能性があります。

高校3年生の場合

高校3年生で年度途中に転入した場合は、高校2年生までに取得した単位を引き継ぎできますが、高校3年生で履修中の科目の単位は引き継ぎできません。

また高校3年生では、転入する時期が遅くなるほど、通信制高校での単位取得に十分な時間の確保が難しくなり、3月に卒業できない可能性が高くなります。

大学進学や就職を目指している場合には、受験勉強や就職活動と単位取得の両立という課題も生じます。高校3年生で転入を検討する際は、卒業後の進路も見据えてできるだけ早く決断しましょう。

通信制高校へ転校（転入）するための手続き

通信制高校へ転校（転入）する際の手続きの流れは、以下の通りです。

• 希望する学校の願書を入手する
• 必要な書類を揃える
• 願書と書類を転入する高校へ郵送する
• 受験票を受け取る
• 書類選考や試験を受ける
• 合否が発表される
• 入学手続きを行う

通信制高校の試験では、生徒の学習意欲や将来への展望を重視する傾向です。そのため、多くの学校が学力試験ではなく、書類審査や面接、作文の試験を中心に行っています。

多様な背景を持つ生徒に学びの機会を提供することを目的としているので、筆記試験がある場合でも基礎的な内容が中心で、学力以外の要素と総合的に判断されます。

まとめ

高校の転校（転入）とは、空白期間なしで別の学校に移籍することをいいます。一方で編入は、一度学校を辞めた後、空白期間を経て別の学校に入ることをいいます。言葉は似ていますが、意味は異なるので注意してください。

転入先の選択肢としては、全日制以外に通信制高校もおすすめです。オンライン授業により全国どこからでも入学が可能で、自分のペースで学習を進められます。前の学校で取得した単位を引き継げるため、転校したとしても3年で卒業することもできます。

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