定時制高校は「やめとけ」といわれる理由。定時制へ行くと「人生終わり」なのか

「定時制高校はやめとけ」といわれることがありますが、それはなぜでしょうか。定時制高校へ行くと、「人生終わり」などという人もいます。 定時制高校は夕方・夜間に授業が行われるなど、全日制高校とは違う点があります。働きながら学びたい人や、学業以外の活動と両立したい人にとってはメリットがある一方で、定時制ならではのデメリットもあります。 この記事では、定時制高校の特徴を解説した上で、定時制に向く人と向かない人を詳しく紹介します。

定時制高校はどんな感じ?

定時制高校は、多様なライフスタイルやニーズに対応した学校です。働きながら学ぶ生徒や、不登校経験のある生徒、全日制を途中退学した生徒などが多く通っています。

定時制高校は、夕方から夜にかけて授業が行われる夜間定時制のほか、昼間に通える定時制も近年は増えています。

全日制高校と定時制高校の大きな違いは、卒業に必要な年数です。全日制高校では通常、3年間で卒業を目指しますが、特に夜間定時制では4年間かかることが一般的です。

また、定時制高校のカリキュラムは全日制高校に比べて自由度が高く、一部の科目が選択制であったり、自習の時間が設けられていたりします。

学習環境でも差が見られます。全日制高校では、同年代の生徒と過ごしますが、定時制高校では生徒の年齢層が広く、さまざまな背景を持つ生徒が集まっています。

定時制高校については、定時制高校とは?全日制との違いをわかりやすく解説!で詳しく解説しています。

なぜ定時制高校は「やめとけ」といわれるのか

定時制高校が「やめとけ」といわれる理由は、以下の通りです。

  • 卒業率が低い
  • 素行の悪い生徒がいる
  • 進学や就職に不安がある
  • 友達を作りにくい

卒業率が低い

定時制高校では、卒業率の低さがしばしば問題視されています。

その原因のひとつに、経済的な理由があります。定時制高校は働きながら通う生徒も多いですが、仕事と学業の両立が難しくなり中途退学するケースが考えられます。

また、働きながら学校に通う場合、体力的・精神的な負担が大きくなりがちです。疲労が蓄積し、結果として学業の継続が困難になることがあります。

全日制高校と比べて授業時間が短いため、充分な学習支援が受けられないケースもあります。生徒自身の自己管理能力が求められるため、自己学習の習慣が身についていない場合、学力の低下につながり、結果的に卒業が難しくなります。

素行の悪い生徒がいる

定時制高校の一部には、素行の悪い生徒がいるケースがあります。

定時制高校は、さまざまな背景を持つ生徒が在籍しているため、学業に専念しにくい環境が生まれることもあります。特に仕事との両立や家庭の事情で通学している生徒も多いため、個々の意識や態度に差が出やすいです。

以前と比べると、不良やヤンキーは減っているのが実情で、真面目に取り組む生徒も多くいます

進学や就職に不安がある

定時制高校に通う生徒が抱える悩みのひとつは、進学や就職に対する不安です。

まず、全日制高校と比較して授業時間が短いため、学力が向上しづらいです。大学の受験を考えた際に、全日制と同レベルの学力を求められることが多く、厳しい受験戦争に対応できるかが問題となります。

また、定時制高校の就職率は40~50%となっています。中には、定時制高校の卒業生に対して偏見を持っている企業も一部います。

友達を作りにくい

定時制高校に通う生徒の多くは、昼間に仕事をしているなど、特別な事情を持っています。学校生活のスタイルが異なるため、友達を作りにくいのはデメリットです。

また、夜間定時制では授業が夜に行われるため、帰宅時間が遅くなり、その後の時間を友達との交流に使うことが難しい場合もあります。

さらに、年齢層やバックグラウンドが多様であることから、共通の話題や興味を見つけるのが難しいケースもあります。

定時制高校に向かない人

定時制高校に向かない人は、以下の通りです。

  • 人間関係が原因で全日制を中退した人
  • 3年で高校を卒業したい人

人間関係が原因で全日制を中退した人

人間関係が原因で全日制高校を中退して、定時制高校を検討している場合には注意が必要です。

定時制高校は多様な背景を持つ生徒が集まる場所です。不登校や中退といった経験を持つ生徒も多く、互いに理解し合える環境である反面、全日制高校のようなクラスメイトとの関係を築くのが難しい場合もあります。

人間関係に悩んでいた人にとって、自分のペースで学べる点は定時制高校のメリットです。ただし、学習意欲を保つためには自己管理が重要になってきます。

3年で高校を卒業したい人

定時制高校では、卒業には通常4年かかることが一般的です。これは、全日制高校に比べて1日の授業時間が短いためです。

しかし、一部の定時制高校では単位制を採用しており、3年で卒業できるコースも存在します。この場合、1日の授業時間が増えることが多いです。

定時制高校に向いている人

定時制高校に向いている人は、以下の通りです。

  • 勉強以外にやりたいことがある人
  • 仕事をしている人
  • 同級生とのコミュニケーションが苦にならない人

勉強以外にやりたいことがある人

定時制高校は勉強だけでなく、ほかの活動にも力を入れたいという人に向いています。例えば、昼間はスポーツや音楽などの活動に時間を使い、夜に学校で授業を受けることが可能です。

時間を効率的に使いながら両立させるためには、計画性と自己管理が重要です。勉強以外の目標を持つ人にとって、柔軟なスケジュールを組める定時制高校は魅力的でしょう。

仕事をしている人

定時制高校は、仕事をしている人にも向いています。昼間はアルバイトや正社員として働き、夜に学校へ通うことで収入を得ながら学ぶことができます。

このような生活スタイルは、家庭の経済状況に応じて柔軟に対応したい人や、早くから社会経験を積みたい人にとって大きなメリットです。

また、定時制高校に通う学生は同じように仕事をしている仲間が多いため、共通の話題で盛り上がることができるでしょう。

同級生とのコミュニケーションが苦にならない人

同級生とのコミュニケーションが苦にならない人も定時制高校に向いています。

定時制高校では幅広い年齢層の生徒が通っており、それぞれ異なる背景や生活スタイルを持つことが多いです。

例えば、10代や20代の人だけでなく、定年を過ぎた人までが一緒に学ぶこともあります。年代の異なる生徒と積極的に交流することで、新たな視点や知識が得られるでしょう。

通信制高校との違いは?

全日制以外の高校としては、定時制高校のほかにも通信制高校があります。

定時制高校は夜間に授業が行われることが多く、教室での対面授業が主流です。一方、通信制高校は自宅での学習がメインです。オンライン授業が主な学習方法となるため、自分のペースで学習を進められます。

また、定時制高校では週に数回の登校が求められるため、学校生活や友人関係の構築が比較的容易です。しかし、通信制高校では登校する回数が少ないため、人間関係や学校行事に参加する機会が限られます。

さらに、学習内容についても違いがあります。定時制高校では、カリキュラムが全日制に近く、一定のペースで学習が進行します。それに対して、通信制高校では個々の学習ペースに合わせられるため、自分の得意科目や興味のある分野に深く取り組むことができます。

通信制高校について詳しく知りたい人は、通信制高校とは?カリキュラムや全日制との違いをわかりやすく解説!も参考にしてください。

まとめ

定時制高校に対する懸念や、定時制高校のデメリットについて解説しました。

以前は、定時制高校は夜間に授業が行われるケースが一般的でしたが、最近は昼間に通える学校も増えています。

定時制高校は、家庭の事情や健康上の理由などで通学できる時間が限られる人には利便性があります。その一方で、卒業率の低さ、学力の問題、素行の悪い生徒がいることがデメリットとして挙げられます。

また、進学や就職に関する不安も多く、全日制高校との違いが大きいと感じる人もいるでしょう。友達を作りにくいという声もあり、これは特に若い世代にとって重要な問題です。

しかし、勉強以外にやりたいことがある人や仕事をしている人にとっては、自分の時間を有効に使えるのは魅力的です。