定時制高校とは?全日制との違いをわかりやすく解説!
公開日:2018年02月13日 更新日:2025年02月26日

「定時制高校ってどんな学校?」という疑問を持つ人もいるでしょう。この記事では、定時制高校の授業時間や学費、卒業率について詳しく解説します。 特に全日制高校との違いについて、簡単に理解できるように比較していきます。進学先の学校選びに役立ててください。
定時制高校の授業時間と通学時間帯
定時制高校の授業時間は、一般的に夕方から夜間にかけて行われます。多くの学校では、午後5時頃から授業が始まります。授業数によりますが、午後8時から9時頃に終了することが多いです。
このため、昼間に仕事をしている人や、ほかの事情で昼間に時間が取れない人も通学が可能です。例えば、昼間はアルバイトなどをしている学生が多く通っています。
また、近年は夜間だけでなく、午後や朝の授業を選択できる定時制高校も増えています。昼間二部制、昼夜間三部制など学校によってさまざまです。学生のライフスタイルやスケジュールに合わせて柔軟に通学できるのが定時制高校の大きなメリットです。
定時制高校の「単位制」「学年制」の違い
定時制高校には「単位制」と「学年制」の2つの制度があります。以前は学年制が主流でしたが、最近では単位制が増えてきています。
学年制では、4年間で決められたカリキュラムを履修し、すべての学年を終了することで卒業資格を得ます。一方、単位制では、必要な単位を自分のペースで取得できるため、3年間で卒業することも可能です。
例えば、昼間に仕事をしている学生は、自身のスケジュールに合わせて単位を取得できる単位制の方が通いやすいでしょう。このように、生活スタイルに応じて自分に合った制度を選ぶことができます。
定時制高校の卒業率
定時制高校の卒業率については、全日制と比較するとやや低い傾向があります。
転入や編入する生徒も多いため、正確な卒業率は算出できませんが、公立で60%、私立で80%程度とされています。公立の定時制高校では、約40%もの生徒が中退していることになります。
ただし、途中で高卒認定の試験に合格して中退していたり、通信制高校へ転入する生徒がいたりするので、純粋に高校卒業を諦めた生徒は、数字ほど多くないといわれています。
定時制高校の生徒の中には、学習意欲を保つのが難しくなり、途中で退学してしまうケースもあります。これを防ぐために、多くの定時制高校ではサポート体制を強化し、カウンセリングや補習授業を行っています。
さらに、単位制の導入により、自分のペースで学習を進められるようになったことから、卒業率が徐々に向上している学校もあります。
定時制高校のデメリットや注意点について知りたい人は、『定時制高校は「やめとけ」といわれる理由。定時制へ行くと「人生終わり」なのか』も参考にしてください。
定時制高校にかかる学費
定時制高校にも公立と私立があり、卒業までにかかる学費は大きく違います。公立の定時制高校の学費は、公立の全日制高校と同程度です。
公立の場合、「高等学校就学支援金制度」を利用することで、定時制課程授業料(東京都の場合、32,400円)、あるいは定時制単位制課程の授業料(東京都の場合、1単位あたり1,740円)をほぼ無料にできます。
実際にかかる学費の大半は学校徴収金(修学旅行の積立金や設備費等)です。給食のある学校だと、これに給食費が加わります。
私立の場合は学校によって異なりますが、入学金に20万~30万円、そのほか授業料や積立金、設備費を加えると、初年度の学費は50万~60万円が目安です。
ただ、私立定時制高校も就学支援金の対象です。支援金の額は家庭の所得によって異なります。
近くに定時制高校がない場合は、学費とは別に、学校までの交通費がかかることに注意してください。
定時制高校と通信制高校のどちらがいい?
全日制以外の選択肢としては、定時制以外に通信制高校もあります。
現在、多くの定時制高校が単位制へと変わり、毎日通学できる通信制高校が増えるなど、学習スタイルにおいて重なる部分が増えてきています。 全日制高校以外の進路を考えたとき、定時制と通信制のどちらを選択すべきでしょうか。
定時制高校は、毎日学校に通うので、多くの友人と一緒に勉強し、卒業するという高校生活らしさがあります。
通信制高校でそういった高校生活らしさを体験するには、毎日通学するコースを選んだり、サポート校に入学したりして補わなくてはなりません。
遠方の定時制高校に毎日通うのは、思っている以上に大変です。自宅や勤務先の近くに定時制高校がない場合は、通信制高校のほうがいいでしょう。
通信制高校は、毎日学校へ通う必要がなく、スクーリングのときだけ学校へ行けばよいので、近所に学校がなくても勉強を進められます。
通信制高校については、『通信制高校とは?カリキュラムや全日制との違いをわかりやすく解説!』で詳しく解説しています。
よくある質問
定時制高校について、よくある質問にお答えします。
Q.定時制高校にはどんな人が通う?
A.定時制高校には、さまざまな背景を持つ生徒が通っています。アルバイトなどで生活費を稼いでいる学生が多いのも特徴です。
また、家庭の事情や健康問題で全日制高校に通えない人もいます。例えば、介護を必要とする家族がいる生徒や、自分自身が持病を持っている生徒などです。
Q.定時制高校の欠点は?
A.夜間定時制の場合、授業時間が夕方から夜にかけて行われるため、生活リズムが不規則になりがちです。例えば、夜遅くまで授業があると帰宅が遅くなるため、健康管理が難しくなることがあります。
また、昼間は仕事やほかの活動をしている人が多いため、学業と生活のバランスを取るのが大変です。疲れてしまい、授業に集中できないこともあります。
さらに、卒業率が全日制高校に比べて低い点も挙げられます。
Q.定時制高校の入学試験は難しい?
A.定時制高校の入学試験は、全日制高校と比較すると難易度が低い傾向にあります。中学校で習った内容に関して基礎学力を問うもので、面接や作文が行われるケースもあります。
また、推薦入試を行っている定時制高校もあります。その場合、学力以外にコミュニケーション力や学習意欲も評価されます。
まとめ
この記事では定時制高校の概要について解説しました。授業時間や学費、卒業率などについてまとめています。
夜間に授業が行われる定時制高校は、昼間仕事をしている人、家庭の事情がある人など多様な背景を持つ生徒に向いています。学費に関しては支援制度も用意されているため、経済的な負担を軽減できる可能性があります。
全日制以外の選択肢としては、定時制のほかに通信制高校もあります。定時制高校が遠方にしかない場合には、通信制も検討してみるとよいでしょう。
通信制高校にどんな人が通っているか、生徒の特長については、『通信制高校に通う普通の子はいる?生徒の特徴や向いていない人の特徴まで解説』で詳しく解説しています。