【学校教育に関する調査】3割の親が「中学校の学校教育に不満」と回答。中学校教育に対する「親の本音」とは

「ズバット」を中心とした比較サイトを展開する株式会社ウェブクルー(本社所在地:東京都世田谷区、代表取締役社長:藤島 義琢)は、高校進学予定の子供を持つ親を対象に、「今の学校教育に対する親の本音」に関する調査を実施しました。

調査実施の背景

中学3年生にとって本格的に進路先を決める大事な時期となりました。当人だけでなく、子供たちの将来を考える上で進路選択に高い関心を持つ親も多いのではないでしょうか。現在、中学校卒業後の進路先として、98%を超える生徒が高等学校(以下、高校)を選択しています。(※1)高校は義務教育である中学校までとは異なり、大学進学や職業先を決める大切な教育の場です。

そのため、「中学校からどのような高校に進学するのか」「進学後、子供にどのようなことを身につけてほしいのか」「それができる高校なのか」といった点は気になるポイントでしょう。そこで今回は、「学校教育に対する親の本音」に関するテーマを設け、現在の中学校教育に対する満足度や本音、高校進学について調査を行いました。

※1:文部科学省 高等学校教育 1.高等学校の現状 高等学校教育の現状について p.1

調査トピックス

アンケート回答者(高校進学予定の子供を持つ親)1,005人に調査

■アンケート回答者1,005人のうち、合計で71.7%の人が「中学校の学校教育(全般)に満足している」と回答。「不満がある」と回答した親は28.3%。

■中学校の学習・教育方法に関して、「当てはまるものはない」の回答を除くと、評価できる点は「教科担任制の指導(20.5%)」、評価できない点は「定期試験中心の学習評価方法(12.4%)」が最多。

■中学校の指導体制・教育環境面は「当てはまるものはない」を除くと、評価できる点「生徒指導の実施(20.9%)」、評価できない点「生徒に合わせた進路指導(進路相談)の実施(14.1%)」が最多。

■88.7%の人が「全日制高校」を進学先として選んでいる。

■高校進学後、子供に身につけてほしいこと、学ばせたいスキルは「コミュニケーション力(55.1%)」と「一般教養(51.7%)」に多くの回答が集まる。

調査結果詳細

高校進学予定の子供を持つ親1,005人のうち、7割以上が「中学校の学校教育(全般)に満足」と回答。一方で、不満を感じている人の意見は…

はじめに、高校進学予定の子供を持つ親に中学校の学校教育(全般)に対する評価を聞きました。
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「中学校で行われている学校教育全般に対して、どう思っていますか?」と質問したところ、『とても満足している(11.2%)』『ある程度満足している(60.5%)』『やや不満がある(22.7%)』『とても不満がある(5.6%)』という回答結果になりました。

「満足」と答えた親の意見とは ※それぞれ一部抜粋

【とても満足している】
・生徒達を信じ、生徒主体で学校生活や行事を行ってくださっていると思います(40代/女性/パート・アルバイト/愛知県)
・楽しく学校に通えているし、塾に通わなくても十分な学力が身についています(40代/女性/会社員/愛知県)

【ある程度満足している】
・もちろん不満もあるが学校だけにすべての責任を負わせるのはいかがなものかと思う(40代/男性/自営業/北海道)
・学力は十分ではないけれど先生は一生懸命やってくれていると思います(50代/女性/会社員/高知県)

「不満」と答えた親の意見とは

【やや不満がある】
・学校の先生の質もあるかもしれませんが、今の学校教育指導要領の内容では時間が足りないような気がします。昔のように土曜日も学校があってもよいと思います(40代/女性/専業主婦/兵庫県)
・学校の授業だけでは勉強がしっかりできていません。それをカバーするために塾へ通わせています(50代/女性/パート・アルバイト/神奈川県)

【とても不満がある】
・オールマイティーを求められるのは子供にとって辛いだろうと感じます。できることを伸ばしていく教育なら良いのに(40代/女性/専業主婦/埼玉県)
・公立中学を不登校になり、現在フリースクールに通っている(50代/男性/経営者・役員/熊本県)

全体の割合を見ると「満足している」と回答した人が多い一方で、不満を感じている人からは現状の学校教育では学力がカバーできていないことや、教育方針が合わないといった根本的な問題に関する意見も寄せられました。

中学校教育での「指導内容」が評価される一方、評価できないと回答があったのは「個人に合わせた評価や指導」や「定期試験中心の学習評価方法」「生徒に合わせた進路相談」

小学校教育と中学校教育で大きく異なる点として、おもに指導体制や評価方法が挙げられます。特に評価制度に関しては、子供の進路先に大きく影響するため、気になる親も多いでしょう。このような中学校での指導体制や評価方法に対して、実際に親はどのように感じているのでしょうか。ここでは、中学校教育の「学習・教育方法」と「指導体制・教育環境面」について、評価できる点と評価できない点を調査しました。
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「中学校の学校教育の『学習・教育方法』で最も評価している点を教えてください。」と質問したところ、『当てはまるものはない』と回答した人を除くと、『教科担任制の指導(20.5%)』『各教科の基礎的な学習指導(※2)(19.4%)』が最も多い回答でした。

さまざまな意見があるものの、「教科担任制」という領域に特化した教員から学習できる制度を評価するという回答や、指導内容を評価するという回答がそれぞれ全体の2割ほどありました。

次に、「中学校の学校教育の『学習・教育方法」で最も評価できない点を教えてください。」と質問し、『当てはまるものはない』と回答した人を除くと、『定期試験中心の学習評価方法(12.4%)』が最も多く、『各教科の基礎的な学習指導(※2)(11.9%)』『アクティブラーニングの導入(※3)(8.7%)』と続きます。

冒頭の調査で、中学校教育全般に対して7割以上の親が「満足している」と回答しており、この調査でも4割以上が「(評価できない点として)当てはまるものはない」と回答したことから、中学校で行われている学習や教育方法については、おおむね満足している様子がうかがえます。その一方で、「定期試験中心の学習評価方法」に対しては不満を感じている人がいるようです。

では、中学校教育の「指導体制・教育環境面」については、親はどのように感じているのでしょうか。前の質問と同様に、評価できる点と評価できない点について調査を行いました。

※2:教科書により指導している範囲の学習を指します。(学習指導要領の範囲内)
※3:教師による一方的な講義形式の授業ではなく、生徒が能動的に考え、学習する教育法のこと。(グループディスカッションやグループワークなど)

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「中学校の学校教育の『指導体制・教育環境面」で最も評価している点を教えてください。」と質問したところ、『当てはまるものはない』と回答した人を除くと、『生徒指導の実施(※4)(20.9%)』『生徒に合わせた進路指導(進路相談)の実施(19.2%)』が最も多い回答でした。

「生徒指導の実施」と「生徒に合わせた進路指導(進路相談)」に約2割の回答が集まる結果となりました。では、評価できない点はどのようなものが挙げられるのでしょうか。

「中学校の学校教育の『指導体制・教育環境面」で最も評価できない点を教えてください。」と質問したところ、『当てはまるものはない』と回答した人を除くと、『生徒に合わせた進路指導(進路相談)の実施(14.1%)』『生活指導の実施(※5)(12.8%)』という結果となりました。

「生徒指導の実施」「生徒に合わせた進路指導」といった個人に合わせた指導に満足できないという回答も寄せられました。同様の項目について「評価できる」と回答する保護者も一定数いるなか、不満を感じている保護者もまた少なくはないことがわかります。

※4:生徒の自発的かつ主体的な成長・発達の過程を支援していく働きかけのこと。
※5:生徒の日常生活において、望ましい習慣や意欲的、探求的な生活態度を育てる指導。

回答者のうち88.8%が全日制高校に進学予定。一方、通信制高校や定時制高校を選んだ理由とは?

ここまでの調査で、中学校で行われている学校教育(『学習・教育方法」と『指導体制・教育環境面」)に対して、親がどのように感じているのかが明らかになりました。評価できる点と評価できない点を比較したところ、「当てはまるものはない」の割合が最多となりましたが、それ以外の回答を見ると、教員の力量次第となりがちな「個人に合わせた指導(生徒指導や進路指導)」に対してはあまり満足していない様子がうかがえました。中学校での学校教育全般に対しては約7割が満足しているものの、学習面に関しては課題も残されているようです。

このような回答や意見があるなか、子供の進学先としてどの課程の高校を予定しているかについて聞きました。
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「どのような課程の高校に進学することを予定していますか?」と質問したところ、『全日制高校(88.8%)』『通信制高校(4.4%)』『定時制高校(2.4%)』『現時点では何も決まっていない(4.4%)』という結果になりました。

9割近くの親が「全日制高校」と回答し、11.3%はそれ以外の高校を選択していることがわかりました。アンケート回答者の中では少数派の通信制高校や定時制高校を選択した理由には、どのようなものがあるのでしょうか。

進学先となる高校の選び方、それぞれの理由とは? ※一部抜粋

【全日制高校】
・具体的な将来の目標がまだないので、どこにでも対応できるようにするため(40代/女性/会社員/富山県)
・いろいろな人に出会い、そして関わることで、勉強以外の物も得ることができると思っているから(40代/女性/会社員/大阪府)

【通信制高校】
・現在、起立性調節障害があり不登校だから(40代/女性/専業主婦/大分県)
・個人を見てくれるような教育を受けさせたいため(50代/女性/専業主婦/埼玉県)

【定時制高校】
・朝起きられないためです(30代/女性/パート・アルバイト/大分県)
・大勢の中に入ることができない、時間が長いと疲れてしまう、という理由があります(30代/女性/会社員/熊本県)

【現時点では何も決まっていない】
・子供の判断に任せているから(40代/女性/専業主婦/岡山県)
・アドバイスはしていますが最終的には本人に決めさせたいためです(50代/女性/内職/神奈川県)

体調面などで全日制高校に通うことが難しいといった事情がある場合や、少人数教育を受けさせたいという理由で、定時制や通信制の高校を進学先として選んでいるようです。

子供に身につけてほしいことや学ばせたいスキルは、コミュニケーション力と一般教養。その理由とは?

では高校進学後、親は子供たちにどのようなスキルを身につけてほしいと考えているのでしょうか。次の質問で、子供に身につけてほしいスキルに関して聞いてみました。
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将来に向けて子供に身につけてほしいこと、学んでほしいスキルの中で、特に重要だと思うものを聞いたところ、『コミュニケーション力(55.1%)』と回答した人が最も多く、次いで『一般教養(51.7%)』『判断力(29.8%)』と続きました。

上記以外の結果は以下のとおりです。
論理的思考力(13.6%)
プレゼンテーション力(12.2%)
デジタルリテラシー (※6)(9.3%)
情報収集・分析力(9.1%)

プレゼンテーション力やデジタルリテラシーといった高度なスキルではなく、コミュニケーション力や一般教養を学んでほしいと考えている保護者が多いようです。では、なぜこれらのスキルが重要と考えているのか、さらに詳細な理由について聞きました。

コミュニケーション力や一般教養が大事だと思う理由とは

※前の質問で「コミュニケーション力」もしくは「一般教養」を選んだ回答者の中から一部抜粋
・【一般教養/コミュニケーション力】一般教養があればコミュニケーションも取れるから(40代/女性/パート・アルバイト/愛知県)
・【一般教養/コミュニケーション力/課題解決能力】社会に出たときに困らないよう、必要最低限の教養は必要だと思う(40代/女性/会社員/島根県)
・【一般教養/コミュニケーション力/プレゼンテーション力】あいさつやお礼は社会人としての基本だから(40代/女性/会社員/三重県)
・【一般教養/コミュニケーション力/判断力】当たり前のことができない恥ずかしい人になってほしくないから(40代/女性/専業主婦/愛媛県)

高校で学習する一般教養は、大学で専門教科を学ぶための基礎教養となります。また、一般教養は就職時においても、職業的知識を得る際に必要となります。コミュニケーション力も一般教養と同様に、社会人として持つべきスキルであると言えるでしょう。そのため、高校卒業後の大学進学や就職を見据えて、特別なスキルよりもコミュニケーション力や一般教養が重要だと考えていることがわかりました。

※6:デジタル技術を理解して適切に活用できるスキルのこと。

【まとめ】7割以上の親が中学校教育に満足と回答。しかし、進路指導(高校入学)といった評価は割れる

今回の調査では、中学校での学校教育(全般)に対して、全体の7割以上が「満足している」と回答しました。また、中学校における学校教育の評価できる点と評価できない点を調査したところ、いずれも「当てはまるものはない」が最多となったことから、学習面に関しても、おおむね満足していることがわかりました。

ただ、「生徒指導の実施」「生徒に合わせた進路指導(進路相談)の実施」といった個人に合わせた指導に関しては評価が割れています。特に、進路指導(進路相談)に関しては、評価する人が19.2%、評価しない人が14.1%という結果になっています。

このような中学校の学校教育を踏まえて、卒業後の進路先として9割近くが全日制高校を予定していることがわかりました。また、子供に学ばせたいスキルに関しては、コミュニケーション力や一般教養を挙げる親が多い傾向が見られたことから、高校教育では大学や就職といった将来に備えて基礎的な学習を重視していることがうかがえます。それに加え、全日制高校を選んだ理由に「まだ具体的な将来の目標がないため」などの回答もあるようです。

前述した意見が多数派でしたが、進学先に通信制高校や定時制高校を予定している人の意見では、「個人を見てくれる教育を受けさせたい」「(病気や体調不良などで)不登校のため」といったものも見られます。

近年では、「今の学校教育が合っていない」と感じている小中学校の児童生徒や子供の多様性に合わせ、フリースクールを学びの場として選択する家庭もあります。さらに、中学校の進路先となる高校については、全日制高校以外にもさまざまな課程や方針の学校があります。「夕方から授業が始まる高校に通いたい」「少人数制の授業が受けたい」「学校の勉強以外のことも学びたい」「個人に合ったカウンセラーの相談やサポートを受けたい」と考えている親や子供たちもいるでしょう。その場合は、学びの場や進路先として、子供の個性に合ったサポートを受けられる学校を検討すると良いのではないでしょうか。

調査概要

「今の学校教育に対する親の本音」に関する調査
・調査期間:2023年10月20日(金)~2023年10月21日(土)
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:高校進学予定の子供を持つ親
・有効回答数:1,005人
・年代内訳:30代109人(10.8%)、40代634人(63.0%)、50代262人(26.0%)
・男女比:男性315人(31.3%)、女性690人(68.6%)
・モニター提供元:ゼネラルリサーチ