「高校を中退したい」と子供が訴えたとき、親はどう対応すべきか

子供が「高校を中退したい」と言ってきたときの親の対応は重要です。頭ごなしに反対するのではなく、子供にとって最適な方法をよく考えましょう。仮に高校を中退するとなったら、どんな進路があるのか、学校をやめる前に調べておくことも重要です。この記事では、子供が学校をやめたいと言ってきた際に、親がすべき対応をまとめていきます。

まず高校を中退する理由を聞く

子供が「高校をやめたい」と言ったら、まずは子供から高校をやめたい理由を聞き出すことが大切です。親としては、「高校を辞めてどうするのか?」「将来の可能性を広げるためにも高校は卒業しておいた方がいいのでは?」と考えることが大半でしょう。

だからといって、親の気持ちを押し付け、頭ごなしに子供の意思を否定してはいけません。実はいじめに悩んでいるのかもしれませんし、勉強についていけないのかもしれません。高校を中退したい理由を明確にすれば、これからの進路を見つける大きな手掛かりにもなります。

また、子供は親と話し合うことで、自分自身の気持ちを整理することができます。自ら解決の糸口を見つけることができるかもしれません。子供が抱えている問題を聞き出したうえで、学校の先生に相談してみるのも良いでしょう。それでも高校を中退せざるを得ないときは、その後の進路について、子供と一緒に考えてみましょう。

実際に高校を退学する理由は、それぞれの事情によってさまざまです。文部科学省の調査によると、2021年(令和3年)度の高等学校中途退学者数は38,928人で、事由別中途退学者数は以下のとおりです。

退学事由 人数
学業不振 2,560人
学校生活・学業不適応 11,855人
進路変更 17,219人
病気・けが・死亡 1,919人
経済的理由 532人
家庭の事情 1,478人
問題行動等 954人
その他 2,411人

※文部科学省初等中等教育局児童生徒課 「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」 p.112-113

通信制高校への転入、編入を検討する

※転入…いま在籍している学校から別の学校へ移ること
※編入…高校を中退してから別の学校に入学すること

高校中退の選択をすると学歴は中卒になります。中卒では就職先の選択肢は多くありませんし、大学進学や専門学校への進学を希望する場合は高卒認定を受けるか、再度高校へ編入して入学資格を得なくてはいけません。別の高校に転入・編入しようとしても、新入学で受ける試験よりも難易度が高くなっています。

そこでおすすめしたいのが、高校中退者に広く門戸を開いている通信制高校への転入・編入です。

通信制高校は毎日通学しなくても単位を取得できて、高校卒業の資格を取得することができます。学校によっては登校の時間を選べたり、リモート授業が選べたりする学校もあります。また、さまざまなサポート体制が整っている学校が多いです。

高校卒業の資格を得られれば、就職時に選択の幅が広がる上、大学や専門学校への入学資格も得られます。そのほか、さまざまな資格においても、高卒でないと受験ができないものもあります。

以下で通信制高校への転入・編入の流れや準備などを簡単にまとめているので、転入・編入を検討している人は参考にしてください。

■転入、編入できる時期
通信制高校は、転入・編入のできる時期が決まっていることがあります。随時受け入れてくれる学校もあれば、4月や10月などの学期が変わるタイミングに限られている学校もあるため、事前に確認しましょう。
通信制高校の転入・編入について

■単位の引継ぎ
高校を中退して、通信制高校へ転入・編入すると、前学年の単位を引継ぐことができます。自分の取得している単位数によって、卒業するために必要な単位数が変わるので、しっかり確認しておきましょう。

■通信制高校のサポート体制
勉強についていけない、病気で毎日の通学ができない、友人関係の問題など、中退した理由を通信制高校へ相談し、生徒をサポートできる体制について確認し、転入・編入する学校を選びましょう。メンタルサポートが整っている通信制高校が数多くあります。

本サイトで探せる『メンタルサポートが充実している通信制高校』を是非チェックしてみてください。

■卒業後の進路
卒業後の進路はどうすれば良いのかという点も気になるところです。大学進学を希望しているのであれば、大学受験に対応するカリキュラムがある通信制高校を選択しましょう。また、就職サポートを積極的にしている通信制高校も多数あります。

本サイトでは、いろいろな条件で通信制高校を検索できますので、お子さんに合いそうな通信制高校がきっとみつかります。取り寄せた資料を読んで気になる学校があれば、オープンキャンパスや説明会へ足を運んで、詳しく知りたいことを質問してみましょう。
オープンキャンパス、学校説明会情報はこちらでチェックすることができます。

通信制高校以外の進学を考える

ここからは、通信制高校以外の進学先についてまとめています。選択肢は多いほうが良いため、通信制高校以外も確認して、幅広く可能性を調べていきましょう。

■定時制高校
基本的に夕方から夜まで週5日間、学校で授業を受けるため、登校する日数は全日制高校と同じです。学校によっては、朝から昼、昼から夕方などのいくつかの時間帯で授業を行っているところもあります。学年制以外に単位制を採用する学校もあり、基本的に卒業までに3~4年かかります。

■海外留学
海外の高校へ進学するという道もあります。ただし、海外の高校を卒業しても、日本では高卒資格と認められないケースがほとんどです。条件を満たすと、日本の大学への受験資格を取得できる場合もあります。

■高等専修学校
中卒以上から入学できる専修学校で、専門的な技術や知識を修得できるのが高等専修学校です。学校によっては、高卒資格や大学受験の資格を得られる仕組みがあります。

■高卒認定試験
試験に合格すると高卒と同等の学力があるとみなされ、大学や専門学校への受験資格が得られます。ただし、高卒認定試験に合格しただけだと最終学歴は『中卒』となります。高校卒業資格は得られないということを覚えておいてください。

■就職
通信制高校などに転入・編入する以外に、そのまま就職するという選択肢があります。ただ、中卒では高卒よりも求人数が少なく、選択肢も多くはありません。また、生涯賃金を見たときにもやはり中卒と高卒では大きな差があります。

詳しくは以下の記事をチェックしてください。
不登校で中卒をリカバリーできる進路とは?高卒資格を得る方法も紹介

まとめ

子供が高校を中退したいと言ってきたとき、本記事でも紹介したように、まずは「なぜ辞めたいのか」を明確にさせることが大切です。決して初めから「中退はだめ」と押し付けないようにしはましょう。

辞めたい理由を聞いたうえで、次の進路はどのようなところが合うのかを一緒に考えるのがベストです。通信制高校への転入・編入を考える場合、まずはどんな学校が合うのかを検討し、資料をいくつか取り寄せてみましょう。