「通信制高校に行くのは恥ずかしい?」という考えは大きな間違い!通信制高校に対する不安や誤解をなくそう

通信制高校は「全日制高校に行けない人のための学校」「世間体が良くない」「人に言うのが恥ずかしい」など、ネガティブなイメージを持っていませんか。それは、通信制高校のことをよく知らないのが最大の原因。通信制高校がどんな学校かを知ることで、通信制高校をもっと身近に、もっと魅力的に感じることができるはず。ここでは、実際に通信制高校に通う生徒たちの思いを紹介しながら、通信制高校に対する誤解や不安を払拭していきます。

「通信制高校が恥ずかしい」という先入観がひとり歩きしている現状

皆さんは、通信制高校にどんなイメージを持っていますか。勉強が苦手な人、不登校の人など、「全日制高校に行けない人が行くところ」というネガティブなイメージが少なからずあるのではないでしょうか。

こうしたイメージが生まれてしまう最大の原因は、通信制高校に対する知識不足です。通信制高校がどういうところなのかを知らない人が多いため、「全日制高校に行かないなんて何か訳ありなのでは?」「通信制高校に行くなんて恥ずかしい」という先入観だけがひとり歩きしてしまっているのです。

就職に影響するかどうかは本人次第。学校生活での経験や努力が評価される

このような先入観のせいで「通信制高校を卒業することが就職に響くのではないか」という不安を持っている人も少なくないでしょう。しかし、近年では多様な人材を採用したいと考える企業が増えており、全日制や通信制という分類ではなく、「学校でどんな経験や努力をしてきたか」「どんな意欲を持っているか」といった本人の個性や人柄、将来のビジョンなどが重視される傾向にあります。

そのため、通信制高校だからといって就職がうまくいかないと考える必要はありません。むしろ、「○○に打ち込みたいから通信制高校を選んだ」という明確な理由を企業側にしっかりと伝えることこそが、あなたの人間性や価値観を示す最高のチャンスとなります。

通信制高校には魅力がたくさん!制服での通学、文化祭や修学旅行などの行事がある学校も

では一体、通信制高校の魅力はどのようなところにあるのでしょうか。簡単にご紹介しましょう。

■通信制高校の魅力

  • 単位制なので自分のペースで学習を進められる
  • 自由になる時間が多く、趣味や仕事などと学校を両立できる
  • ほとんど通学しなくていいので、不登校でも卒業しやすい
  • 厳しい校則に縛られない
  • 留年がない
  • 卒業資格は全日制高校と同じ

このように、一見すると全日制高校とは異なるポイントばかりです。しかし、制服があったり、部活やクラブ活動を積極的に行っていたり、文化祭や修学旅行などのイベントが豊富だったりと、全日制高校と同じような学校生活を過ごせる通信制高校もたくさんあります。いろいろと調べていくうちにこれまでの通信制高校に対する先入観が払拭され、自分に合いそうな学校や興味の湧く学校が見つかるはずです。

⇒通信制高校の基本についてもっと詳しく知りたい方はこちら

⇒通信制高校のメリット・デメリットについて詳しく知りたい方はこちら

迷いや不安が生じたときは「なぜ通信制高校を選ぼうとしているのか」を考えよう

通信制高校を選ぶことに対して迷いや不安が生じてしまったら、「なぜ通信制高校を選ぼうとしているのか」を改めて考えてみましょう。高卒資格を取得してこういう道に進みたい、あるいは専門知識を高めてプロフェッショナルになりたいなど、高校卒業後の人生プランを設計してください。通信制高校の選択は、あなたの人生におけるひとつの過程にすぎません。その先にある夢に向かって進むんだという意志をしっかりと持っていれば、他人の評価を気にする必要もなくなります。

高校卒業の先を見据えて努力している生徒たちがたくさんいる

ここで、高校卒業の先を見据えてがんばっている生徒たちをご紹介します。彼らは自分の夢の実現のための第1歩として、通信制高校で日々奮闘中。それぞれが目指す道は異なりますが、共通点がひとつだけあります。それは、通信制高校に通っていることを恥じることなく、むしろ誇りを持っているということ。自分のなりたい職業に就くために、ひたむきに努力しているのです。

ケース1:代々木アニメーション学院高等部 林 優花さん(声優タレント科/2017年入学)

代々木アニメーション学院高等部 林 優花さん(声優タレント科/2017年入学)

中学1年生のときに友達から勧められたアニメがきっかけで、声ですべてを表現する声優という仕事に憧れるようになりました。父親から反対されたものの、「いち早く声優になりたい」という熱意を伝えて説得。高校卒業資格と声優の勉強ができる学校を探し、代々木アニメーション学院高等部に入学しました。現在は、アルバイトをしながら学校に通学し、年に2回行われる事務所所属オーディションのためにボイストレーニングを行ったり、ダンスの稽古に励んだりと、忙しい毎日を送っています。

⇒インタビュー記事を読む:通信制高校なら、夢と勉強を両立できる

 

ケース2:青山ビューティ学院高等部 鈴木 聖生さん(トータルビューティコース/2018年入学)

青山ビューティ学院高等部 鈴木 聖生さん(トータルビューティコース/2018年入学)

もともと美容には関心を持っており、中学校卒業後は全日制高校へ進学し、その後美容系専門学校に入学するというプランを考えていましたが、全日制高校への推薦がもらえず断念。進路をあきらめ就職しようと考えたときに出会ったのが、美容系の勉強をしながら高校卒業資格を取得できる、青山ビューティ学院高等部でした。中学生のころと比べると生活態度も一変し、毎日下校時間ギリギリまで残って、友人や先輩とコミュニケーションを取るほど学校が大好きに。

⇒インタビュー記事を読む:僕の毎日を大きく変えた「夢中になれるもの」との出会い

 

ケース3:北海道芸術高等学校 高橋 穂乃佳さん(マンガ・イラストコース/2018年入学)

北海道芸術高等学校 高橋 穂乃佳さん(マンガ・イラストコース/2018年入学)

中学校1年生のころ、普通に歩くだけで動悸や息切れがひどくなり、引きこもりがちな毎日を送るように。そんな中、SNSを通じてプロのイラストレーターが描いた1枚のイラストに出会い、イラストの世界に憧れを持つようになりました。その後、毎日通学する必要がない上にイラストも学べる北海道芸術高等学校に入学。イラストの技術はメキメキ上達し、イラストを描く仕事を知り合いから受けるなど、生活が大きく変わりました。卒業後はイラストの技術を磨くために、専門学校や大学進学を目指して日々がんばっています。

⇒インタビュー記事を読む:やりたいことを始めるのに早すぎるということはない

 

ケース4:トライ式高等学院 前川 悠也さん(普通科コース/2017年入学)

トライ式高等学院 前川 悠也さん(普通科コース/2017年入学)

高校1年生のころ、体調を崩して1日、2日だけ休むつもりでしたが、1週間、1ヵ月と長期的に学校を休むように。これからの進路や将来のことを見据えて、両親と一緒にトライ式高等学院を見学し、転入学。入学当初は週1日のペースで通学していましたが、学校行事がきっかけで少しずつ前向きな性格に変わり、友達と話す機会も増えました。現在は週に1度テニス部の活動に参加しながら、週に3日はキャンパスに通学。これまで考えられなかった進路についても自分から考えられるようになり、趣味のパソコンを活かしてIT系専門学校への進学を目指しています。

⇒インタビュー記事を読む:これまでよりも、これから。前を向くきっかけがあふれる学校生活

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「最終学歴」を気にしすぎる必要はない

通信制高校を卒業して就職する場合、最終学歴は「高卒」となりますが、卒業後に大学や専門学校(専修学校の「専門課程」)に進学すれば、それが最終学歴となります。

先ほど紹介した通信制高校の生徒の中には、卒業後すぐに働くのではなく、進学してさらに勉強しようとしている人もいます。彼らは「通信制高校が最終学歴になるのが嫌」というわけでは決してなく、自分の目標に確実に近づくためのステップとして進学を選んだにすぎません。学歴から職業を決めるのではなく、「なりたい職業に向けて努力する課程の中で学歴が付いてくるだけ」と考えているのです。

通信制高校から大学や専門学校に進む人は年々増加傾向。学校数自体も増えている

実際に、通信制高校から大学や専門学校に進学する人は年々増えています。文部科学省の「学校基本調査」を見てみると、通信制高校を卒業して大学や専門学校(専修学校の「専門課程」)に進む人は21,228人に達し、10年前と比べると約5,000人、割合にして30%以上増加しています。

■高等学校(通信制課程)卒業者の状況

■高等学校(通信制課程)卒業者の状況

出典:文部科学省 「学校基本調査」平成21年度~30年度 調査結果の概要(初等中等教育機関、専修学校・各種学校)より作成

さらに、過去10年間で全日制高校の学校数が減っているにも関わらず、通信制高校の学校数は徐々に増加しており、平成30年度には252校に。これは、通信制高校のメリットや特徴が世間にも浸透し、自ら進んで通信制高校を選ぶ人が増えてきた結果とも言えるのではないでしょうか。

■過去10年間の高等学校数推移

■過去10年間の高等学校数推移 全日制・定時制高校の学校数推移と通信制高校の学校数推移

出典:文部科学省 「学校基本調査」平成21年度~30年度 調査結果の概要(初等中等教育機関、専修学校・各種学校)より作成

通信制高校は「自分の夢や目標への通過点」。恥じる必要はまったくない

人はついつい他人と自分とを比較してしまうもの。世間によく知られている全日制高校と比べて、まだそれほど認知度が高くない通信制高校のことをネガティブに捉えてしまうのは、仕方のないことかもしれません。

しかし何より大切なのは、「あなたの人生をどう生きるか」です。どこで学ぼうと、どこを卒業しようと、社会に出ればあなた自身の魅力や経験、努力が評価されます。世間体を気にすることなく、「今の自分は何をやりたいのか」「将来、どんな道に進みたいのか」を考えて、希望する職業に就くための準備期間と捉えましょう。夢中になれるものに出会えたら、周りからどう見られているかなんて気にならなくなるはず。自分が信じた道を進むことが、後悔しない一番の方法です。