通信制高校の卒業に必要な条件(単位、期間など)

通信制高校の多くは、「単位制」というシステムを採用しているため、卒業に必要な単位数を修得すると卒業できます。また、一般的な全日制高校とは違い、留年もありません。通信制高校を卒業するのに必要なこと、卒業した後の進路、卒業に重要な学校選びのポイントについて紹介します。

通信制を卒業するには何が必要?

高校の制度は、大きく「学年制」と「単位制」に分かれています。「学年制」は、多くの全日制高校が導入しているしくみで、その学年に必要な学習ができたと判断されると、次の学年に進級できます。 しかし、学習ができていないとみなされた場合、留年して同じ学年を繰り返すことになります。

一方、通信制高校では、主に「単位制」を導入しており、卒業要件である74単位以上を修得すれば、卒業できます。最終的に卒業に必要な単位数を修得できればいいので、学年制にある留年が存在しません。1年次に修得できなかった単位は、2年次に修得すればいいのです。

単位修得には、「レポートの提出」「スクーリング」「単位認定試験」が必要です。レポートとは、学校に提出する課題のこと。スクーリングは、実際に学校に登校して授業などを受けることです。これらを通して学んだことを活かし、単位認定試験に合格すると単位修得となります。試験の出題範囲は、日々のレポートが中心です。

1年間で修得する単位数は、自分で自由に決めることができます。学校の雰囲気に慣れるまでゆっくりとしたペースで勉強したい場合は、1年次は少なめに2年次から徐々に修得する単位数を増やしていくことができます。逆に、1年次に多めに修得して、3年次は大学進学の勉強を中心にするといったことも可能です。3年以上かけて卒業することもできます。

通信制高校は自由度が高い反面、自己管理能力が問われます。学校によっては、生徒が計画的に単位を修得できるように、レポートや試験などのサポートを行なっています。

卒業するには最低でも3年かかる

高校を卒業するには、3年以上の在籍が条件になっています。そのため、通信制高校も、どんなにたくさんの単位を修得しても3年以下で卒業することはできません。また、1年間で修得できる単位数には上限があります。上限は学校ごとに異なりますが、新入学した場合は、最低でも3年間勉強しないと、卒業できないしくみになっています。

ただし、転入や編入で通信制高校に入学する場合は、以前通っていた学校の単位が反映されます。そのため、修得していた単位数に応じて、卒業するまでにかかる時間が短縮されます。74単位からこれまでに修得した単位を引くと、卒業に必要な残りの単位数になります。

  新入学 転入 編入
通信制高校での卒業に必要な単位 74単位 74単位-在籍していた学校で修得した単位 74単位-中退の前学年までに修得した単位

※転入…いま在籍している学校から別の学校へ移ること。
※編入…高校を中退してから別の学校に入学すること。

通信制高校の卒業後の進路

通信制高校は、働きながら在籍する人もいるので、卒業後の進路はさまざまです。それでも、最も多いのが進学で、大学や専門学校への進学率は約40%あります。内訳は、大学進学が17.5%、専門学校進学が22.7%。就職は19%です。

実は、多くの通信制高校で、大学に進学を目指すカリキュラムを組んでいます。そのため、全日制高校と同様の学力をつけることが可能なのです。通信制高校が大学の付属校の場合、内部推薦での進学も期待できます。中には、大学への指定校推薦枠を持っている学校もあります。大学進学を考えている場合は、こうした制度がある学校かどうかを確認すると良いでしょう。

どういった進路を選択するかによって、学校生活の送り方が変わります。できるだけ早めに進路を設定して、準備するようにしましょう。

自分にあった学校選びが卒業のポイント

無事通信制高校を卒業するには、自分にあった学校選びが重要です。自分にあわない学校へ入学しても、勉強が捗らず、なかなか卒業できないこともあり得ます。

一口に通信制高校といっても、学校ごとにさまざまな特徴があります。たとえば、勉強が苦手な人は中学の勉強からやり直せるカリキュラムがある学校がいいでしょう。逆に、難関大学を目指す人なら、大学受験向けのコースのある学校がおすすめです。学生生活を楽しみたい人には、運動会や文化祭などイベントが充実している学校もあります。

学校に登校するスクーリングの日数もさまざま。スクーリングの日数が少なければ、学校から遠くても問題ありませんが、スクーリングの日数が多い学校の場合は、自宅からの通いやすさを考慮しましょう。

資料を請求して、気になる学校があったら、オープンキャンパスや体験授業、説明会などに足を運んでみましょう。資料だけではわからなかった、学校の雰囲気が肌で感じられるはずです。不安や疑問があれば、気軽に学校の先生や生徒に質問してみましょう。

卒業するまで在籍する学校ですから、できるだけ多くの資料を取り寄せて比較し、自分の行きたい学校を選びましょう。