通信制高校の学費(授業料)が高い理由・安い理由を詳しく解説!

通信制高校の学費は、自宅学習タイプや通学タイプなど、選択する学習スタイルによって大きく変わります。本記事では、通信制高校に通う際にかかる学費や、安くする方法について紹介します。また、学費が大幅に安くなる支援制度もわかりやすく解説!

通信制高校の学費とカリキュラムを比較 ~公立か私立か、自宅学習か通学か~

通信制高校の学費は、公立か私立か、学習スタイルは、自宅学習メインか、通学コースか、によって大きく変わります。初年度にかかる平均的な金額はおおよそ以下の表のとおりです。

■1年間にかかるおおよその金額

  初年度のおおよその金額 就学支援金が支給された場合の金額
公立 約3万円 約2万円
私立 自宅学習メイン 約26万円~約43万円 約8万円~約26万円
通学コース 約50万円~約115万円 約30万円~約95万円

※25単位履修した場合。就学支援金は保護者の市町村民税所得割額が154,500円未満の場合の金額。

学習スタイルが自宅学習メインなら学費は安く、通学コースであれば、学校に通う回数が多いほど学費は高くなります。そのため、自分の学習スタイルと、通信制高校で選択するコースを一致させることが学費を安く抑えるコツです。あまり通学するつもりがないのに通学回数の多いコースを選んでも、学費が余計にかかってしまいます。

また、通信制高校の学費は、高等学校等就学支援金の支給を受けて、安く抑えることができます。就学支援金とは、国から学費の支援を受けられる制度です。詳しくは、ページ下部の「2020年4月改正の「就学支援金制度」で通信制高校の授業料が無償に!? 支給額や申請方法を確認しよう」で紹介しています。

通信制高校でかかる学費と選択できるコースについては、各学校の資料で詳しく紹介されています。ズバット 通信制高校比較では、通いたいエリアややりたいことから通信制高校を検索することができます。あなたにあった通信制高校の資料を取り寄せて、比較してみましょう。

 

通信制高校に通う際に発生する学費の種類

通信制高校の学費で、おおむねどの学校でも発生するのが、入学金、授業料、教科書代です。さらに学校によっては、施設設備費などが発生します。入学金は入学時に一度だけ、授業料は授業単価×履修単位数、教科書代は履修する科目・教科ごと、施設設備費などは毎年発生します。

また、通信制高校によっては、遠足などの特別活動、生徒会の運営などにも費用が発生するため、正確な合計金額が知りたい場合は、資料を取り寄せたうえで、事前にしっかり確認しましょう。

通信制高校の学費:<公立> 約3万円

公立の通信制高校の学費はかなり割安です。私立の通信制高校は、1単位あたりの授業料が7,000円~10,000円なのに対して、公立は336円なので約1/20~1/30。私立より公立の学費が安いのは全日制高校も同じですが、公立の通信制高校の学費の安さは際立っています。

■公立の通信制高校で1年にかかる学費(東京都)

入学料 500円
授業料(1単位336円) 336円×25単位=8,400円
授業料以外に必要な費用 日本スポーツ振興センター共済掛金 年165円
実習に必要な教材費 科目により異なる
レポート等郵送費 100gまで15円
※通信教育の郵便物は、第四種郵便として特別扱い

※25単位履修した場合。「令和5年度東京都立高等学校定時制課程通信制課程入学案内」通信課程通より作成。

人によって異なりますが、公立通信制高校の学費は、年間3万円程度です。公立の定時制高校でかかる費用は、年間12万円程度(給食費、修学旅行の積立金を含む)なので、公立の通信制高校は、私立の通信制高校はもちろん、公立の定時制高校よりも学費が安いです。

費用の安さだけを考えると、公立の通信制高校に人気が集中しそうですが、私立の通信制高校のような学習についてのサポート体制がありません。そのため、学費の安さだけで公立の通信制高校を選ばないように注意し、自分に必要なサポートが整った学校を選んでください。

通信制高校の学費:<自宅学習メイン> 約26万円~約43万円

通信制高校に入学するとき、自宅学習がメインのコースを選ぶと、スクーリングの回数が必要最低限になるので、学費を安く抑えられます。学校によっては、インターネットを使った授業が充実していて、質問に対するレスポンスが早いので、自宅でも十分に学習を進められます。

■鹿島学園高等学校/基本

学費の合計 266,000円
内訳 入学金 50,000円
授業料 7,000円×25単位=175,000円
施設費 年24,000円
教育拡充費 年17,000円

※25単位履修した場合。

これは、鹿島学園高等学校の基本となる学費で、通学コースやオプションコースを選択したり、校外学習や修学旅行に参加したりすると、その分の費用がかかります。また、別途教科書代が必要です。そういった諸経費が1年に30,000円ほどかかるとすると、1年間の学費は30万円弱になります。

⇒鹿島学園高等学校に週3日通う生徒のインタビューはこちら

■ルネサンス高等学校

学費の合計 430,000円
内訳 入学金 50,000円
授業料 10,000円×25単位=250,000円
施設設備費 年20,000円
教育関連諸費 年60,000円
スクーリング費 年50,000円

※25単位履修した場合。

ルネサンス高校は、インターネットを活用し、パソコンやタブレット、スマートフォンを使って自宅学習ができます。スクーリングの日数は、最短で年3日です。

通信制高校の学費:通学コース 約50万円~約115万円

通信制高校の通学コースは、通学する回数によって学費が異なります。通学の回数が多いと学費が高く、全日制高校と同じように毎日通学するタイプだと、私立の全日制高校と変わらない学費がかかります。

不登校から徐々に通学する回数を増やしたい、大学へ進学したいので指導を受けたい、高校生活を楽しみたいなど、希望にあわせて通学コースを選びましょう。

■飛鳥未来高等学校/スタンダードコース(週1日)

学費の合計 480,000円
内訳 入学金 10,000円
授業料 8,000円×25単位=200,000円
施設設備費 年60,000円
補習費 年180,000円
教材費 年30,000円

※池袋キャンパスの学費。25単位履修した場合。

基本は自宅学習ですが、週に1回ホームルームがあり、クラスメイトと交流したり、学習の進行具合を確認してもらえたりします。通学はするものの、自分のペースで勉強するという基本を保つことができます。
 

■NHK学園高等学校/登校コース(週3日)

学費の合計 487,000円
内訳 入学金 35,000円
授業料 8,000円×25単位=200,000円
施設設備充実費 10,000円
教育運営費 240,000円
生徒会費 2,000円

※25単位履修した場合。

週3日通学して授業を受けるコースです。NHK学園では、少人数制で複数担任制なので、一人ひとりにあわせた学習支援を行っています。

就学支援金で学費はどれくらい安くなる?

通信制高校では、高等学校等就学支援金制度によって、1単位あたり4,812円~12,030円(年間30単位、通算74単位以内)の支援金を受けることができます。就学支援金の金額は、保護者の市町村民税所得割額によって決まります。

保護者の所得割額が154,500円未満(目安年収590万円未満)の場合は、1単位あたり7,218円の支給を受けられます。すると、実際に通信制高校に払う学費は次のようになります。

■就学支援金の支給を受けたときの学費

  学費の合計 就学支援金の額 実際に払う学費
鹿島学園高等学校/基本 266,000円 175,000円 91,000円
ルネサンス高等学校 430,000円 180,450円 249,550円
NHK学園高等学校
/登校コース(週3日)
480,000円 180,450円 299,550円

※25単位履修した場合。就学支援金は保護者の市町村民税所得割額が154,500円未満の場合の金額。

就学支援金を受けることで、学習へのサポート体制が手厚い私立の通信制高校の学費がかなり安くなるため、学費を節約するのに、必ずしも公立校を選ぶ必要はありません。通信制高校の学費は、就学支援金も含めて調べることが大切です。

就学支援金のしくみやどれくらい支給されるのかは「2020年4月改正の「就学支援金制度」で通信制高校の授業料が無償に!? 支給額や申請方法を確認しよう」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

サポート校の学費は通信制高校と別に必要

サポート校は、通信制高校に通う生徒を支援する教育施設です。通信制高校は自宅学習が基本のため、自分で学習計画を立てて管理できる人でないと、なかなか3年で卒業できません。そのため、サポート校は、通信制高校に通う生徒が3年で卒業できるように学習支援などを行います。

サポート校の学費は、通信制高校とは別にかかります。つまり、2校分の学費を払うことになるわけです。また、サポート校は、学校教育法で定められた学校ではないので、就学支援金の支給を受けることはできません。ただ、サポート校とあわせて入学した通信制高校の授業料は、就学支援金の対象になります。

■KTCおおぞら高等学院の年間授業料例

ツーデイコース
(週2日通学)
240,000円
ウィークデイコース
(週5日通学)
480,000円

サポート校のKTCおおぞら高等学院へ入学するには、通信制高校の屋久島おおぞら高等学校への入学が必要です。屋久島おおぞら高等学校の学費は、入学金50,000円、施設費50,000円、授業料が1単位につき10,000円です。

⇒KTCおおぞら高等学院に週5日通う生徒へのインタビューはこちら
⇒KTCおおぞら高等学院に週2日通う生徒へのインタビューはこちら

 

また、サポート校の学費については「通信制高校を確実に卒業するなら。サポート校の学費とメリット」で詳しく紹介していますので、チェックしてみてください。

奨学金や特待生の制度を利用する

通信制高校の学費を抑えるために国の制度である就学支援金を説明しましたが、そのほかにも奨学金や特待生の制度を利用することもできます。それぞれ解説します。

奨学金制度

奨学金にはさまざまな種類があります。ここでは以下3つの制度を紹介します。

■あしなが高校奨学金

保護者が、病気や災害(道路上の交通事故を除く)、 自死などで死亡、または保護者が著しい障がい認定を受けていて、経済的な援助を必要としている家庭の子どもを対象としています。月額給付額は30,000円で申請時の成績は問いません。

※参考:あしなが育英会

■交通遺児育英奨学金

保護者が道路における交通事故で死亡、または重度の後遺障害者となった家庭の生徒・学生が対象です。奨学金のタイプは無利子の貸与で、月額20,000円~40,000円(一部給付)が支給されます。また、入学一時金を借りることもできます。(入学金のみの貸与は不可)

※参考:公益財団法人 交通遺児育英会

■公益財団法人あすのば

あすのば入学・新生活応援給付金は入学や新生活を迎える以下のいずれかに当てはまる子供を対象に、給付を行っています。

・現在、住民税の所得割が非課税世帯の子ども
・今年に入って家計が急変するなど、住民税非課税相当となった世帯の子ども
・生活保護を受けている世帯の子ども
・児童養護施設・里親などのもとで生活していて、2023年4月までに措置解除を予定している子ども

給付金は中学校卒業生の場合、40,000円です。

※参考:公益財団法人 あすのば
※2023年4月時点の情報です。2024年度以降の給付に関しては、サイトにてご確認ください。

特待生の制度

学校によっては一定の条件を満たすと特待生となり、学費や入学金が免除になる場合があります。例えば、ルネサンス高校グループでは下記活動において、優秀な成績を収めている方を対象に、学費の一部または全額を免除しています。

・学業・資格取得
・文化・芸術活動 ・スポーツ活動
・eスポーツ活動
・ITエンジニア(プログラミング)
・その他、本校が認めた競技および活動 など

条件は学校によって異なるので、特待生制度があるかどうかも学校選びのときにチェックしてみましょう。

まとめ

通信制高校の学費は私立か公立か、さらに通学スタイルによって大きく異なります。たとえ自分の希望している学校の学費が高くても、制度をうまく利用すれば大幅に抑えることができる可能性があります。

また、高校の授業料支援に関するさまざまな制度は知っているけど、通信制高校は対象外だと思っている方も少なくありません。通信制高校でも学費を抑える方法があるので、活用して自分に合った通信制高校を選択しましょう。