通信制高校のレポート(添削指導)の内容とは?作成・提出時のポイントも解説
公開日:2018年02月08日 更新日:2023年10月04日
通信制高校は、与えられた課題をレポートにして提出する添削指導が学習の中心で、スクーリング(面接指導)で学習内容を補います。自宅学習ではどういったことを行い、どんなレポートを作成するのでしょうか。ここでは、通信制高校のレポートに関するさまざまな疑問や、作成・提出時のポイントについてご紹介します。
通信制高校を卒業するための要件を改めて確認しよう
まずは、通信制高校の卒業要件を確認しておきましょう。卒業するためには、「74単位以上の修得」「3年以上の在籍」「30単位時間以上の特別活動」という要件を満たさなければなりません。単位を修得するための大事な学習活動の一つに、「レポート」の作成と提出があります。卒業するためには避けては通れない学習活動ですので、レポート作成から提出までの流れをひと通り覚えておきましょう。
学校に提出するレポートはどんなもの?
レポートの課題は教科書に沿って、各学校が作成します。そのため、基本的な学習内容は同じですが、形式は学校ごとに異なります。
通信制高校のレポートの形式は、学校や選択した教科・科目によってさまざまです。一般的には、穴埋め形式の問題や、教科書の内容を要約する記述式になっています。単位の修得に必要なレポートの回数は、文部科学省によって定められている教科・科目と、各学校の裁量により決定する教科・科目があります。文部科学省が定めているレポートの回数とスクーリングの回数は、次のとおりです。
■科目ごとの1単位の修得に必要なレポート回数とスクーリングの単位時間
教科・科目 | レポート | スクーリング |
---|---|---|
国語、地理歴史、公民及び数学に属する科目 | 3回 | 1単位時間 |
理科に属する科目 | 3回 | 4単位時間 |
保健体育に属する科目のうち「体育」 | 1回 | 5単位時間 |
保健体育に属する科目のうち「保健」 | 3回 | 1単位時間 |
芸術及び外国語に属する科目 | 3回 | 4単位時間 |
家庭及び情報に属する科目並びに専門教育に関する各教科・科目 | 必要に応じて2~3回 | 必要に応じて2~8単位時間 |
出典:文部科学省「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議 p.2
実際に学習を始めたら、どのような流れでレポートを作成し、提出するのかをご紹介します。
■レポートを作成し、提出するまでの流れ
①課題範囲を学習する
単位修得に必要な学習範囲を、教科書や教材で勉強します。ここで知識を身につけていきます。
②レポートを作成する
教科書や教材を参考にしながら、課題として出されたレポートを作成します。学習した内容を振り返りながら、問題を解いていきましょう。
③レポートを提出する
作成したレポートを、期限内に学校に提出します。提出方法は学校や通学スタイルによっても異なりますが、郵送や学校に行って直接提出する方法などが一般的です。最近では、パソコンやスマートフォンなどで専用のWebサイトにアクセスし、そこでレポートを作成・提出できる学校も増えています。
④レポートを添削してもらう
提出したレポートに対して、先生の添削を受けます。添削してもらった内容をもとに再度学習し、レポート作成・提出を繰り返していきます。
レポートの提出期限が過ぎるとどうなる?
通信制高校の場合、単位を取得するためにはレポートの提出が欠かせません。全日制高校や定時制高校に比べて登校日数が限られているため、レポートの内容によって学習の習熟度が測られるためです。
レポートの提出頻度は、学習指導要領によって異なります。例えば1年間で30単位の取得を目指す場合、月に7~8回程度の提出が必要です。また、レポートには提出期限が設けられており、期限を過ぎると単位を取得できず、単位不足となれば卒業できません。
ただし、通信制高校には留年がないので、3年間で必要な単位を取得すれば卒業できます。つまり、1年次、2年次で単位が足りない場合は、その次の年に取得することで卒業が可能になります。通信制高校では学習からレポートの作成・提出まで自分のペースで行えて、留年がない半面、3年間で卒業するにはしっかりとした自己管理も求められると言えるでしょう。
通信制高校のレポート提出のコツ
前述のとおり、通信制高校の卒業要件の中には、74単位以上の修得が含まれています。確実に単位を取得するためには、レポートの提出期限を守るだけでなく、正しく回答することも大切です。ここからは通信制高校のレポート提出のコツを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
教科書をしっかり読む
レポートの目的は高校卒業資格を得るために、各科目で基礎を身につけることです。教科書や教材の内容をしっかり理解できていれば、レポート作成が難しいと感じることも少ないでしょう。
レポートの出題形式は、穴埋め問題がほとんどです。教科書や教材を参考にし、答えを見つけていきます。どうしてもわからない箇所がある場合は、先生に質問したりインターネットで検索したりして、答えを導き出しましょう。
自宅で集中できないときはほかの場所を探す
家庭環境やそのときの気分によっては、自宅だと集中して勉強できないケースがあるかもしれません。さまざまな理由で自宅学習が難しい場合は、図書館やカフェなどの勉強に集中できる場所を探しましょう。また学校に自習室がある場合は利用するのもおすすめです。
わからないところは先生に質問する
通信制高校の中には、生徒が質問しやすい体制を整備しているところがあります。例えば、生徒一人ひとりにコーチング担任がつき、勉強に関する質問だけでなく、悩みを相談できる学校や、学校に行かなくてもオンライン上で質問できる学校もあるようです。さまざまな方法を利用し、わからないところは先生に質問し、すぐに解消するようにしましょう。
サポート校を利用する
レポートの作成を自分だけで進めるのに不安がある場合は、サポート校の利用を検討してみましょう。サポート校とは通信制高校に通う生徒に対し、おもに学習面をサポートしてくれる学校です。サポート校ではレポート作成のサポート以外にも、個別授業もしてくれるため、最短での卒業を目指せます。
また、サポート校の中には大学への進学を目指すコースや芸術コース、スポーツコースなどのさまざまなコースを設けています。美容師免許や調理師免許などの国家資格を取得できる学校では、卒業後の就職サポートまで対応しています。
通信制高校のレポートに関する疑問
最後に、みなさんが疑問に思っているであろうポイントにお答えします。
レポートは難しいの?
通信制高校のレポートは難しいものではありません。そもそも、通信制高校の大きな目的は、高校卒業資格を取ること。選択した教科・科目の必要最低限の知識を身につけることが求められるので、難易度の高いレポートが課題になるケースは少ないでしょう。
レポートの量はどのくらい?
1単位あたりのレポート数は3通程度で、教科・科目によって修得できる単位数が異なります。例えば、年間30単位登録した場合には約90通のレポート提出が必要となり、月間では7通前後という計算に。コツコツと計画的に進めていけば、クリアできる量だと言えるでしょう。
レポートを作成するのにどれくらいの時間がかかる?
通信制高校のレポートは提出して終わりではなく、添削後の復習や、レポート再提出の時間も考慮しておく必要があります。それらを含めると、ひとつのレポートが最終的に完成するまでに数時間程度見込んでおいたほうがよさそうです。提出の前後で慌てないよう、無理なく進められるように計画を立てておきましょう。進め方に不安があるときは早めに学校やサポート校の先生に相談し、「わからないまま放置しない」ことが大切です。
レポートさえ提出していれば学習面は問題ない?
単位を習得するためにレポート作成は欠かせないものですが、最終的には単位認定試験を受け、学習内容を理解したことを証明する必要があります。単位認定試験といっても、レポートと同様、難易度の高いものではないので構える必要はありません。試験問題はレポートの課題の中から出題されるため、レポートをきちんと提出し、添削された内容をきちんと復習していれば難しくありません。